海軍機関術練習所条例
法令番号: 勅令第二百七十六號
公布年月日: 明治36年12月7日
法令の形式: 勅令
朕海軍機關術練習所條例改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十六年十二月五日
海軍大臣 男爵 山本權兵衞
勅令第二百七十六號
海軍機關術練習所條例
第一條 海軍機關術練習所ハ之ヲ橫須賀軍港ニ置ク
第二條 海軍機關術練習所ハ機關術ノ敎授ヲ掌リ且機關ニ關スル技術工藝ノ改良進步ヲ圖ル所トス
第三條 海軍機關術練習所ニ左ノ職員ヲ置ク
所長
敎官
分隊長
軍醫長
主計長
前項ノ外海軍中少軍醫及中少主計ヲ置ク
第四條 所長ハ海軍敎育本部長ニ隸シ軍紀風紀ヲ維持シ所務ヲ總理ス
第五條 敎官ハ所長ノ命ヲ承ケ敎授ヲ擔任シ又機關ニ關スル技術工藝ノ硏究調査ニ關スル事ヲ掌ル
先任敎官ハ前項ノ外所長ヲ輔佐シ所長ノ命令ヲ執行シ所內ノ定則ヲ維持ス
第六條 分隊長ハ所長ノ命ヲ承ケ隊員ノ紀律ヲ維持シ之ヲ董督訓練ス
第七條 軍醫長ハ所長ノ命ヲ承ケ醫務衞生ニ關スル事ヲ掌ル
第八條 第三條第二項ニ揭クル中少軍醫ハ軍醫長ノ命ヲ承ケ服務ス
第九條 主計長ハ所長ノ命ヲ承ケ會計給與ニ關スル事ヲ掌リ及庶務ヲ掌理ス
第十條 第三條第二項ニ揭クル中少主計ハ主計長ノ命ヲ承ケ服務ス
第十一條 海軍機關術練習所ニハ第三條ニ揭クル職員ノ外海軍機關兵曹長、船匠長、准士官、下士卒及判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十二條 海軍機關術練習所ニ於テ敎授スヘキ者ハ海軍機關士、機關兵曹長、上等機關兵曹、機關兵曹、機關兵、船匠長、船匠師、船匠手、木工トス
前項ノ准士官以上ヲ海軍機關術練習所學生ト稱シ下士卒ヲ海軍機關術練習所練習生ト稱ス
第十三條 海軍機關術練習所學生ハ海軍大臣之ヲ命ス
第十四條 海軍機關術練習所練習生ヲ左ノ五種ニ區別ス
一 掌機兵ト爲スヘキ者
二 機關工術專科ノ實修ヲ爲スヘキ者
三 機關術敎員ト爲スヘキ者
四 船匠工ト爲スヘキ者
五 船匠術敎員ト爲スヘキ者
第十五條 掌機兵ト爲スヘキ者ハ海軍三等機關兵曹以下二等機關兵以上及進級停年ヲ超過シタル三等機關兵ニシテ左ノ諸號ニ適合スル者ノ中ヨリ之ヲ選拔ス
一 身體强健品行方正ナル者
二 掌機兵ト爲スニ適當ナル技能學力ヲ有スト認メタル者
三 掌機兵タラムコトヲ志願シ卒業後四箇年以上現役ニ服スヘキ者又ハ服スヘキコトヲ誓約スル者
第十六條 機關工術專科ノ實修ヲ爲スヘキ者ハ一等掌機證狀ヲ有スル海軍機關兵曹一等機關兵ニシテ左ノ諸號ニ適合スル者ノ中ヨリ之ヲ選拔ス
一 身體强健品行方正ナル者
二 機關工術專科ヲ實修セシムルニ適當ト認メタル者
三 機關工術專科ノ實修ヲ志願シ卒業後四箇年以上現役ニ服スヘキ者又ハ服スヘキコトヲ誓約スル者
第十七條 機關術敎員ト爲スヘキ者ハ機關工術專科證書ヲ有スル海軍機關兵曹ニシテ左ノ諸號ニ適合スル者ノ中ヨリ之ヲ選拔ス
一 身體强健品行方正ナル者
二 機關術敎員ト爲スニ適當ト認メタル者
三 卒業後三箇年以上現役ニ服スヘキ者又ハ服スヘキコトヲ誓約スル者
第十八條 船匠工ト爲スヘキ者ハ海軍三等船匠手以下二等木工以上及進級停年ヲ超過シタル三等木工ニシテ左ノ諸號ニ適合スル者ノ中ヨリ之ヲ選拔ス
一 身體强健品行方正ナル者
二 船匠工ト爲スニ適當ナル技能學力ヲ有スト認メタル者
三 船匠工タラムコトヲ志願シ卒業後四箇年以上現役ニ服スヘキ者又ハ服スヘキコトヲ誓約スル者
第十九條 船匠術敎員ト爲スヘキ者ハ一等船匠工證狀ヲ有スル海軍船匠手ニシテ左ノ諸號ニ適合スル者ノ中ヨリ之ヲ選拔ス
一 身體强健品行方正ナル者
二 船匠術敎員ト爲スニ適當ト認メタル者
三 船匠工證狀ヲ授與シタル日ヨリ六箇月以上勤務ニ服シタル者
四 卒業後三箇年以上現役ニ服スヘキ者又ハ服スヘキコトヲ誓約スル者
第二十條 機關術練習所學生卒業シタルトキハ之ニ卒業證書ヲ授與ス
第二十一條 掌機兵ト爲スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ掌機證狀ヲ授與シ船匠工ト爲スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ船匠工證狀ヲ授與ス
掌機證狀及船匠工證狀ハ卒業ノ成績ニ依リ各二等ニ分ツ
第二十二條 機關工術專科ノ實修ヲ爲ス練習生卒業シタルトキハ之ニ機關工術專科證書ヲ授與ス
第二十三條 機關術敎員ト爲スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ機關術敎員適任證書ヲ授與シ船匠術敎員ト爲スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ船匠術敎員適任證書ヲ授與ス
第二十四條 掌機證狀ヲ有スル下士卒ヲ掌機兵ト稱シ船匠工證狀ヲ有スル下士卒ヲ船匠工ト稱ス
第二十五條 掌機證狀、船匠工證狀、機關工術專科證書、機關術敎員適任證書又ハ船匠術敎員適任證書ヲ有スル者ニハ臂章ヲ付與ス
第二十六條 機關術敎員適任證書及船匠術敎員適任證書ノ有效期間ハ三箇年トス其ノ期滿ツレハ臂章ヲ除去ス但シ戰時又ハ事變等ニ際シテハ其ノ有效期間ヲ延スコトヲ得
第二十七條 二等掌機證狀又ハ二等船匠工證狀ヲ有スル者ニシテ二箇年以上ヲ經過シ實務ノ成績優等ナルトキハ檢定試驗ヲ行ヒ一等證狀ヲ授與スルコトヲ得
第二十八條 機關術敎員適任證書又ハ船匠術敎員適任證書ヲ有スル者ニシテ其ノ有效期間滿チムトシ實務ノ成績優等ナルトキハ檢定試驗ヲ行ヒ更ニ機關術敎員適任證書又ハ船匠術敎員適任證書ヲ授與スルコトヲ得
第二十九條 所長ハ海軍機關術練習所學生中不適合ト認ムル者アルトキハ海軍敎育本部長ニ禀申シ海軍敎員本部長至當ト認メタルトキハ之ヲ海軍大臣ニ具申ス海軍大臣ハ退學ヲ命スルコトヲ得
練習生中不適合ト認ムル者アルトキハ所長之ニ退學ヲ命スルコトヲ得
第三十條 戰時又ハ事變ニ際シ必要アルトキハ學生及練習生ヲ退學セシムルコトヲ得
第三十一條 機關術敎員適任證書、船匠術敎員適任證書、機關工術專科證書、掌機證狀又ハ船匠工證狀ヲ有スル者ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ其ノ證書又ハ證狀ヲ褫奪ス
一 怠慢ニシテ實務ノ成績不良ナル者
二 品行不正ニシテ改悛ノ見込ナキ者
三 重禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
第三十二條 海軍機關術練習所ニ臨時講習科ヲ設ケ本職アル海軍機關監、機關士、機關兵曹長、船匠長、上等機關兵曹、船匠師又ハ艦團隊其ノ他各部ノ下士卒ニ所要ノ講習ヲ爲サシムルコトヲ得
附 則
本令施行ノ際ニ於ケル機關工練習生及兵器工練習生ハ之ヲ機關工術專科ノ實修ヲ爲ス者トシ從來ノ機關工及兵器工ハ之ヲ掌機兵、機關工證狀及兵器工證狀ハ之ヲ機關工術專科證書ト看做ス
本令發布前ニ授與シタル機關術敎員適任證書ノ有效期間ハ本令發布ノ日ヨリ三箇年トス
朕海軍機関術練習所条例改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十六年十二月五日
海軍大臣 男爵 山本権兵衛
勅令第二百七十六号
海軍機関術練習所条例
第一条 海軍機関術練習所ハ之ヲ横須賀軍港ニ置ク
第二条 海軍機関術練習所ハ機関術ノ教授ヲ掌リ且機関ニ関スル技術工芸ノ改良進歩ヲ図ル所トス
第三条 海軍機関術練習所ニ左ノ職員ヲ置ク
所長
教官
分隊長
軍医長
主計長
前項ノ外海軍中少軍医及中少主計ヲ置ク
第四条 所長ハ海軍教育本部長ニ隷シ軍紀風紀ヲ維持シ所務ヲ総理ス
第五条 教官ハ所長ノ命ヲ承ケ教授ヲ担任シ又機関ニ関スル技術工芸ノ研究調査ニ関スル事ヲ掌ル
先任教官ハ前項ノ外所長ヲ輔佐シ所長ノ命令ヲ執行シ所内ノ定則ヲ維持ス
第六条 分隊長ハ所長ノ命ヲ承ケ隊員ノ紀律ヲ維持シ之ヲ董督訓練ス
第七条 軍医長ハ所長ノ命ヲ承ケ医務衛生ニ関スル事ヲ掌ル
第八条 第三条第二項ニ掲クル中少軍医ハ軍医長ノ命ヲ承ケ服務ス
第九条 主計長ハ所長ノ命ヲ承ケ会計給与ニ関スル事ヲ掌リ及庶務ヲ掌理ス
第十条 第三条第二項ニ掲クル中少主計ハ主計長ノ命ヲ承ケ服務ス
第十一条 海軍機関術練習所ニハ第三条ニ掲クル職員ノ外海軍機関兵曹長、船匠長、准士官、下士卒及判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十二条 海軍機関術練習所ニ於テ教授スヘキ者ハ海軍機関士、機関兵曹長、上等機関兵曹、機関兵曹、機関兵、船匠長、船匠師、船匠手、木工トス
前項ノ准士官以上ヲ海軍機関術練習所学生ト称シ下士卒ヲ海軍機関術練習所練習生ト称ス
第十三条 海軍機関術練習所学生ハ海軍大臣之ヲ命ス
第十四条 海軍機関術練習所練習生ヲ左ノ五種ニ区別ス
一 掌機兵ト為スヘキ者
二 機関工術専科ノ実修ヲ為スヘキ者
三 機関術教員ト為スヘキ者
四 船匠工ト為スヘキ者
五 船匠術教員ト為スヘキ者
第十五条 掌機兵ト為スヘキ者ハ海軍三等機関兵曹以下二等機関兵以上及進級停年ヲ超過シタル三等機関兵ニシテ左ノ諸号ニ適合スル者ノ中ヨリ之ヲ選抜ス
一 身体強健品行方正ナル者
二 掌機兵ト為スニ適当ナル技能学力ヲ有スト認メタル者
三 掌機兵タラムコトヲ志願シ卒業後四箇年以上現役ニ服スヘキ者又ハ服スヘキコトヲ誓約スル者
第十六条 機関工術専科ノ実修ヲ為スヘキ者ハ一等掌機証状ヲ有スル海軍機関兵曹一等機関兵ニシテ左ノ諸号ニ適合スル者ノ中ヨリ之ヲ選抜ス
一 身体強健品行方正ナル者
二 機関工術専科ヲ実修セシムルニ適当ト認メタル者
三 機関工術専科ノ実修ヲ志願シ卒業後四箇年以上現役ニ服スヘキ者又ハ服スヘキコトヲ誓約スル者
第十七条 機関術教員ト為スヘキ者ハ機関工術専科証書ヲ有スル海軍機関兵曹ニシテ左ノ諸号ニ適合スル者ノ中ヨリ之ヲ選抜ス
一 身体強健品行方正ナル者
二 機関術教員ト為スニ適当ト認メタル者
三 卒業後三箇年以上現役ニ服スヘキ者又ハ服スヘキコトヲ誓約スル者
第十八条 船匠工ト為スヘキ者ハ海軍三等船匠手以下二等木工以上及進級停年ヲ超過シタル三等木工ニシテ左ノ諸号ニ適合スル者ノ中ヨリ之ヲ選抜ス
一 身体強健品行方正ナル者
二 船匠工ト為スニ適当ナル技能学力ヲ有スト認メタル者
三 船匠工タラムコトヲ志願シ卒業後四箇年以上現役ニ服スヘキ者又ハ服スヘキコトヲ誓約スル者
第十九条 船匠術教員ト為スヘキ者ハ一等船匠工証状ヲ有スル海軍船匠手ニシテ左ノ諸号ニ適合スル者ノ中ヨリ之ヲ選抜ス
一 身体強健品行方正ナル者
二 船匠術教員ト為スニ適当ト認メタル者
三 船匠工証状ヲ授与シタル日ヨリ六箇月以上勤務ニ服シタル者
四 卒業後三箇年以上現役ニ服スヘキ者又ハ服スヘキコトヲ誓約スル者
第二十条 機関術練習所学生卒業シタルトキハ之ニ卒業証書ヲ授与ス
第二十一条 掌機兵ト為スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ掌機証状ヲ授与シ船匠工ト為スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ船匠工証状ヲ授与ス
掌機証状及船匠工証状ハ卒業ノ成績ニ依リ各二等ニ分ツ
第二十二条 機関工術専科ノ実修ヲ為ス練習生卒業シタルトキハ之ニ機関工術専科証書ヲ授与ス
第二十三条 機関術教員ト為スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ機関術教員適任証書ヲ授与シ船匠術教員ト為スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ船匠術教員適任証書ヲ授与ス
第二十四条 掌機証状ヲ有スル下士卒ヲ掌機兵ト称シ船匠工証状ヲ有スル下士卒ヲ船匠工ト称ス
第二十五条 掌機証状、船匠工証状、機関工術専科証書、機関術教員適任証書又ハ船匠術教員適任証書ヲ有スル者ニハ臂章ヲ付与ス
第二十六条 機関術教員適任証書及船匠術教員適任証書ノ有効期間ハ三箇年トス其ノ期満ツレハ臂章ヲ除去ス但シ戦時又ハ事変等ニ際シテハ其ノ有効期間ヲ延スコトヲ得
第二十七条 二等掌機証状又ハ二等船匠工証状ヲ有スル者ニシテ二箇年以上ヲ経過シ実務ノ成績優等ナルトキハ検定試験ヲ行ヒ一等証状ヲ授与スルコトヲ得
第二十八条 機関術教員適任証書又ハ船匠術教員適任証書ヲ有スル者ニシテ其ノ有効期間満チムトシ実務ノ成績優等ナルトキハ検定試験ヲ行ヒ更ニ機関術教員適任証書又ハ船匠術教員適任証書ヲ授与スルコトヲ得
第二十九条 所長ハ海軍機関術練習所学生中不適合ト認ムル者アルトキハ海軍教育本部長ニ禀申シ海軍教員本部長至当ト認メタルトキハ之ヲ海軍大臣ニ具申ス海軍大臣ハ退学ヲ命スルコトヲ得
練習生中不適合ト認ムル者アルトキハ所長之ニ退学ヲ命スルコトヲ得
第三十条 戦時又ハ事変ニ際シ必要アルトキハ学生及練習生ヲ退学セシムルコトヲ得
第三十一条 機関術教員適任証書、船匠術教員適任証書、機関工術専科証書、掌機証状又ハ船匠工証状ヲ有スル者ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ其ノ証書又ハ証状ヲ褫奪ス
一 怠慢ニシテ実務ノ成績不良ナル者
二 品行不正ニシテ改悛ノ見込ナキ者
三 重禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
第三十二条 海軍機関術練習所ニ臨時講習科ヲ設ケ本職アル海軍機関監、機関士、機関兵曹長、船匠長、上等機関兵曹、船匠師又ハ艦団隊其ノ他各部ノ下士卒ニ所要ノ講習ヲ為サシムルコトヲ得
附 則
本令施行ノ際ニ於ケル機関工練習生及兵器工練習生ハ之ヲ機関工術専科ノ実修ヲ為ス者トシ従来ノ機関工及兵器工ハ之ヲ掌機兵、機関工証状及兵器工証状ハ之ヲ機関工術専科証書ト看做ス
本令発布前ニ授与シタル機関術教員適任証書ノ有効期間ハ本令発布ノ日ヨリ三箇年トス