朕海軍機關術練習所條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月三日
海軍大臣 侯爵 西鄕從道
勅令第三百二十四號
海軍機關術練習所條例
第一條 海軍機關術練習所ハ之ヲ橫須賀軍港ニ置ク
第二條 海軍機關術練習所ハ橫須賀鎭守府ニ屬シ機關術ノ敎授ヲ掌リ且機關術ノ改良進步ヲ圖ル所トス
第三條 海軍機關術練習所ニ左ノ職員ヲ置ク
所長
敎官
分隊長
軍醫長
主計長
前項ノ外海軍少軍醫及少主計ヲ置ク
第四條 所長ハ鎭守府司令長官ニ隸シ軍紀風紀ヲ維持シ所務ヲ總理ス
第五條 敎官ハ所長ノ命ヲ承ケ敎授ヲ擔任シ又機關術ノ硏究調査ニ關スル事ヲ掌ル
先任敎官ハ前項ノ外所長ヲ輔佐シ所長ノ命令ヲ執行シ所內ノ定則ヲ維持ス
第六條 分隊長ハ所長ノ命ヲ承ケ隊員ノ紀律ヲ維持シ之ヲ董督訓練ス
第七條 軍醫長ハ所長ノ命ヲ承ケ醫務衞生ニ關スル事ヲ掌ル
第八條 第三條第二項ニ揭クル少軍醫ハ軍醫長ノ命ヲ承ケ服務ス
第九條 主計長ハ所長ノ命ヲ承ケ會計給與ニ關スル事ヲ掌リ及庶務ヲ掌理ス
第十條 第三條第二項ニ揭クル少主計ハ主計長ノ命ヲ承ケ服務ス
第十一條 海軍機關術練習所ニハ第三條ニ揭クル職員ノ外海軍准士官下士卒及判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十二條 海軍機關術練習所ニ於テ敎授スヘキ者ハ海軍上等機關兵曹、機關兵曹、機關兵、船匠師、船匠手、木工、鍛冶手及鍛冶トス
第十三條 海軍機關術練習所ニ於テ敎授スル海軍機關兵曹及機關兵ヲ機關術練習生ト稱シ海軍船匠手及木工ヲ船匠術練習生ト稱シ海軍鍛冶手及鍛冶ヲ鍛冶術練習生ト稱ス
第十四條 機關術練習生ヲ左ノ四種ニ區別ス
一 機關術ヲ練磨セシムル者
二 掌機工ト爲スヘキ者
三 掌罐工ト爲スヘキ者
四 機關術ノ敎員ト爲スヘキ者
第十五條 船匠術練習生ヲ左ノ二種ニ區別ス
一 船匠術ヲ練磨セシムル者
二 船匠工ト爲スヘキ者
第十六條 鍛冶術練習生ヲ左ノ二種ニ區別ス
一 鍛冶術ヲ練磨セシムル者
二 兵器工ト爲スヘキ者
第十七條 機關術船匠術若ハ鍛冶術ヲ練磨セシムル者ハ其ノ志願者ニ就キ左ノ諸項ニ適合スル者ヨリ選拔スヘシ
一 海軍一等機關兵曹以下三等機關兵以上海軍一等船匠手以下三等木工以上及海軍一等鍛冶手以下三等鍛冶以上ノ者
二 身體强健品行方正ナル者
三 年齡三十五年未滿ノ者
四 卒業後五箇年以上現役ニ服スヘキ者
五 入學試驗ニ合格シタル者
第十八條 掌機工掌罐工船匠工若ハ兵器工ト爲スヘキ者ハ各其ノ志願者ニ就キ左ノ諸項ニ適合スル者ヨリ所長之ヲ選拔スヘシ
一 掌機工若ハ掌罐工ト爲スヘキ者ハ海軍一等機關兵曹以下三等機關兵以上船匠工ト爲スヘキ者ハ海軍一等船匠手以下三等木工以上兵器工ト爲スヘキ者ハ海軍一等鍛冶手以下三等鍛冶以上ノ者
二 掌機工若ハ掌罐工ト爲スヘキ者ハ第二十二條ニ規定スル機關術卒業證書、船匠工ト爲スヘキ者ハ船匠術卒業證書、兵器工ト爲スヘキ者ハ鍛冶術卒業證書ヲ有スル者
三 卒業後五箇年以上現役ニ服スヘキ者
第十九條 機關術敎員ト爲スヘキ者ハ一等掌機工證狀若ハ一等掌罐工證狀ヲ有スル海軍一等機關兵曹以下一等機關兵以上ニシテ卒業後三箇年以上現役ニ服スヘキ者ノ中ヨリ所長之ヲ選拔ス
第二十條 海軍機關術練習所ニ於テ敎授スル上等機關兵曹及船匠師ハ海軍大臣之ヲ選定ス
第二十一條 入學試驗ノ規格ハ所長之ヲ定ム
第二十二條 機關術船匠術若ハ鍛冶術ヲ練磨セシムル練習生卒業シタルトキハ之ニ機關術卒業證書船匠術卒業證書若ハ鍛冶術卒業證書ヲ授與ス
第二十三條 掌機工ト爲スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ掌機工證狀ヲ授與シ掌罐工ト爲スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ掌罐工證狀ヲ授與シ船匠工ト爲スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ船匠工證狀ヲ授與シ兵器工ト爲スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ兵器工證狀ヲ授與ス
掌機工證狀掌罐工證狀船匠工證狀及兵器工證狀ハ試驗ノ成績ニ依リ各二等ニ分ツ
第二十四條 機關術敎員ト爲スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ機關術敎員適任證書若ハ機關術敎員敎程卒業證書ヲ授與ス但シ機關術敎員ノ資格ヲ有スルハ適任證書ヲ授與セシ者ニ限ル
第二十五條 掌機工證狀ヲ有スル下士卒ヲ掌機工、掌罐工證狀ヲ有スル下士卒ヲ掌罐工、船匠工證狀ヲ有スル下士卒ヲ船匠工、兵器工證狀ヲ有スル下士卒ヲ兵器工ト稱ス
第二十六條 掌機工證狀掌罐工證狀船匠工證狀兵器工證狀若ハ機關術敎員適任證書ヲ有スル者ニハ臂章ヲ付與ス
第二十七條 上等機關兵曹卒業シタルトキハ機關術卒業證書ヲ授與シ船匠師卒業シタルトキハ船匠術卒業證書ヲ授與ス
第二十八條 所長ハ海軍機關術練習所ニ於テ敎授スル者ノ中不適合ト認ムル者アルトキハ准士官ニ在テハ鎭守府司令長官ヲ經テ海軍大臣ニ禀申シ海軍大臣ハ退學ノ手續ヲ行フコトアリ又下士卒ニ在テハ所長之ニ退學ヲ命スルコトヲ得
第二十九條 海軍機關術練習所ノ定員ハ別表定ムル所ニ依ル
附 則
第三十條 本令ハ明治三十年十月八日ヨリ施行ス
(別表)
【表】
朕海軍機関術練習所条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月三日
海軍大臣 侯爵 西郷従道
勅令第三百二十四号
海軍機関術練習所条例
第一条 海軍機関術練習所ハ之ヲ横須賀軍港ニ置ク
第二条 海軍機関術練習所ハ横須賀鎮守府ニ属シ機関術ノ教授ヲ掌リ且機関術ノ改良進歩ヲ図ル所トス
第三条 海軍機関術練習所ニ左ノ職員ヲ置ク
所長
教官
分隊長
軍医長
主計長
前項ノ外海軍少軍医及少主計ヲ置ク
第四条 所長ハ鎮守府司令長官ニ隷シ軍紀風紀ヲ維持シ所務ヲ総理ス
第五条 教官ハ所長ノ命ヲ承ケ教授ヲ担任シ又機関術ノ研究調査ニ関スル事ヲ掌ル
先任教官ハ前項ノ外所長ヲ輔佐シ所長ノ命令ヲ執行シ所内ノ定則ヲ維持ス
第六条 分隊長ハ所長ノ命ヲ承ケ隊員ノ紀律ヲ維持シ之ヲ董督訓練ス
第七条 軍医長ハ所長ノ命ヲ承ケ医務衛生ニ関スル事ヲ掌ル
第八条 第三条第二項ニ掲クル少軍医ハ軍医長ノ命ヲ承ケ服務ス
第九条 主計長ハ所長ノ命ヲ承ケ会計給与ニ関スル事ヲ掌リ及庶務ヲ掌理ス
第十条 第三条第二項ニ掲クル少主計ハ主計長ノ命ヲ承ケ服務ス
第十一条 海軍機関術練習所ニハ第三条ニ掲クル職員ノ外海軍准士官下士卒及判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十二条 海軍機関術練習所ニ於テ教授スヘキ者ハ海軍上等機関兵曹、機関兵曹、機関兵、船匠師、船匠手、木工、鍛冶手及鍛冶トス
第十三条 海軍機関術練習所ニ於テ教授スル海軍機関兵曹及機関兵ヲ機関術練習生ト称シ海軍船匠手及木工ヲ船匠術練習生ト称シ海軍鍛冶手及鍛冶ヲ鍛冶術練習生ト称ス
第十四条 機関術練習生ヲ左ノ四種ニ区別ス
一 機関術ヲ練磨セシムル者
二 掌機工ト為スヘキ者
三 掌缶工ト為スヘキ者
四 機関術ノ教員ト為スヘキ者
第十五条 船匠術練習生ヲ左ノ二種ニ区別ス
一 船匠術ヲ練磨セシムル者
二 船匠工ト為スヘキ者
第十六条 鍛冶術練習生ヲ左ノ二種ニ区別ス
一 鍛冶術ヲ練磨セシムル者
二 兵器工ト為スヘキ者
第十七条 機関術船匠術若ハ鍛冶術ヲ練磨セシムル者ハ其ノ志願者ニ就キ左ノ諸項ニ適合スル者ヨリ選抜スヘシ
一 海軍一等機関兵曹以下三等機関兵以上海軍一等船匠手以下三等木工以上及海軍一等鍛冶手以下三等鍛冶以上ノ者
二 身体強健品行方正ナル者
三 年齢三十五年未満ノ者
四 卒業後五箇年以上現役ニ服スヘキ者
五 入学試験ニ合格シタル者
第十八条 掌機工掌缶工船匠工若ハ兵器工ト為スヘキ者ハ各其ノ志願者ニ就キ左ノ諸項ニ適合スル者ヨリ所長之ヲ選抜スヘシ
一 掌機工若ハ掌缶工ト為スヘキ者ハ海軍一等機関兵曹以下三等機関兵以上船匠工ト為スヘキ者ハ海軍一等船匠手以下三等木工以上兵器工ト為スヘキ者ハ海軍一等鍛冶手以下三等鍛冶以上ノ者
二 掌機工若ハ掌缶工ト為スヘキ者ハ第二十二条ニ規定スル機関術卒業証書、船匠工ト為スヘキ者ハ船匠術卒業証書、兵器工ト為スヘキ者ハ鍛冶術卒業証書ヲ有スル者
三 卒業後五箇年以上現役ニ服スヘキ者
第十九条 機関術教員ト為スヘキ者ハ一等掌機工証状若ハ一等掌缶工証状ヲ有スル海軍一等機関兵曹以下一等機関兵以上ニシテ卒業後三箇年以上現役ニ服スヘキ者ノ中ヨリ所長之ヲ選抜ス
第二十条 海軍機関術練習所ニ於テ教授スル上等機関兵曹及船匠師ハ海軍大臣之ヲ選定ス
第二十一条 入学試験ノ規格ハ所長之ヲ定ム
第二十二条 機関術船匠術若ハ鍛冶術ヲ練磨セシムル練習生卒業シタルトキハ之ニ機関術卒業証書船匠術卒業証書若ハ鍛冶術卒業証書ヲ授与ス
第二十三条 掌機工ト為スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ掌機工証状ヲ授与シ掌缶工ト為スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ掌缶工証状ヲ授与シ船匠工ト為スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ船匠工証状ヲ授与シ兵器工ト為スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ兵器工証状ヲ授与ス
掌機工証状掌缶工証状船匠工証状及兵器工証状ハ試験ノ成績ニ依リ各二等ニ分ツ
第二十四条 機関術教員ト為スヘキ練習生卒業シタルトキハ之ニ機関術教員適任証書若ハ機関術教員教程卒業証書ヲ授与ス但シ機関術教員ノ資格ヲ有スルハ適任証書ヲ授与セシ者ニ限ル
第二十五条 掌機工証状ヲ有スル下士卒ヲ掌機工、掌缶工証状ヲ有スル下士卒ヲ掌缶工、船匠工証状ヲ有スル下士卒ヲ船匠工、兵器工証状ヲ有スル下士卒ヲ兵器工ト称ス
第二十六条 掌機工証状掌缶工証状船匠工証状兵器工証状若ハ機関術教員適任証書ヲ有スル者ニハ臂章ヲ付与ス
第二十七条 上等機関兵曹卒業シタルトキハ機関術卒業証書ヲ授与シ船匠師卒業シタルトキハ船匠術卒業証書ヲ授与ス
第二十八条 所長ハ海軍機関術練習所ニ於テ教授スル者ノ中不適合ト認ムル者アルトキハ准士官ニ在テハ鎮守府司令長官ヲ経テ海軍大臣ニ禀申シ海軍大臣ハ退学ノ手続ヲ行フコトアリ又下士卒ニ在テハ所長之ニ退学ヲ命スルコトヲ得
第二十九条 海軍機関術練習所ノ定員ハ別表定ムル所ニ依ル
附 則
第三十条 本令ハ明治三十年十月八日ヨリ施行ス
(別表)
【表】