朕市町村立小學校敎員加俸令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年三月三十日
文部大臣 伯爵 樺山資紀
勅令第百三十三號
市町村立小學校敎員加俸令
第一條 沖繩縣ヲ除クノ外府縣ハ市町村立小學校敎育費國庫補助法第三條第二項ノ下付金ヲ以テ市町村立小學校敎員加俸資金トナシ特別會計ヲ設置スヘシ
前項ノ資金ハ府縣費ヲ以テ之ヲ補充スルコトヲ得
第二條 市町村立小學校敎員加俸資金ヨリ生スル收入ハ之ヲ資金ニ編入スヘシ
第三條 市町村立小學校本科敎員ニシテ五箇年以上同一府縣內ノ市町村立小學校ニ勤續シ地方長官ニ於テ成績佳良ナリト認メタル者ニハ年功加俸ヲ給ス
年功加俸ハ正敎員ニ在リテハ年額二十四圓トシ准敎員ニ在リテハ年額十八圓トス但シ年功加俸ヲ受ケタル後勤續年數五箇年ヲ加フル每ニ正敎員ニ在リテハ年額十八圓ヲ加ヘ准敎員ニ在リテハ年額十二圓ヲ加フルコトヲ得
第四條 兵役ニ服スル爲其ノ職ヲ去リタル者兵役ヲ終リタル後九十日以內更ニ就職シタルトキハ前後ノ在職年數ヲ勤續年數ニ通算ス學校ノ廢止若ハ學校編制ノ變更ニ因リ退職シタル者六十日以內更ニ就職シタルトキ亦同シ
第五條 師範學校訓導ニ在職シタル年數ハ之ヲ勤續年數ニ通算ス
第六條 年功加俸ヲ受クル者懲戒處分ヲ受ケタルトキ又ハ地方長官ニ於テ成績佳良ナラスト認メタルトキハ年功加俸ヲ支給セス
第七條 市町村立尋常小學校本科正敎員ニシテ單級學校ニ勤務スル者ニハ年額二十四圓以下ノ特別加俸ヲ給ス其ノ僻陬ノ地ニ在ル多級學校ニ勤務スル者ニハ地方長官ニ於テ必要ト認メタルトキハ年額十八圓以下ノ特別加俸ヲ給スルコトヲ得
第八條 小學校令ヲ施行セサル地方ニ於ケル訓導及訓導ノ資格アル學校長ハ本令ニ於テハ本科正敎員ト看做ス
第九條 市町村立小學校敎員加俸給與ニ關スル細則ハ地方長官之ヲ定メ文部大臣ノ認可ヲ受クヘシ
附 則
第十條 本令ハ明治三十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十一條 市町村立小學校敎育費國庫補助法第六條第一項ニ依リ支給ヲ受クル者ニシテ本令第三條第一項ニ依リ年功加俸ヲ受ケ其ノ額同法ニ依リ受クル額ヨリ寡キトキハ同一學校ニ勤續スル間其ノ差額ヲ加給ス
朕市町村立小学校教員加俸令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年三月三十日
文部大臣 伯爵 樺山資紀
勅令第百三十三号
市町村立小学校教員加俸令
第一条 沖縄県ヲ除クノ外府県ハ市町村立小学校教育費国庫補助法第三条第二項ノ下付金ヲ以テ市町村立小学校教員加俸資金トナシ特別会計ヲ設置スヘシ
前項ノ資金ハ府県費ヲ以テ之ヲ補充スルコトヲ得
第二条 市町村立小学校教員加俸資金ヨリ生スル収入ハ之ヲ資金ニ編入スヘシ
第三条 市町村立小学校本科教員ニシテ五箇年以上同一府県内ノ市町村立小学校ニ勤続シ地方長官ニ於テ成績佳良ナリト認メタル者ニハ年功加俸ヲ給ス
年功加俸ハ正教員ニ在リテハ年額二十四円トシ准教員ニ在リテハ年額十八円トス但シ年功加俸ヲ受ケタル後勤続年数五箇年ヲ加フル毎ニ正教員ニ在リテハ年額十八円ヲ加ヘ准教員ニ在リテハ年額十二円ヲ加フルコトヲ得
第四条 兵役ニ服スル為其ノ職ヲ去リタル者兵役ヲ終リタル後九十日以内更ニ就職シタルトキハ前後ノ在職年数ヲ勤続年数ニ通算ス学校ノ廃止若ハ学校編制ノ変更ニ因リ退職シタル者六十日以内更ニ就職シタルトキ亦同シ
第五条 師範学校訓導ニ在職シタル年数ハ之ヲ勤続年数ニ通算ス
第六条 年功加俸ヲ受クル者懲戒処分ヲ受ケタルトキ又ハ地方長官ニ於テ成績佳良ナラスト認メタルトキハ年功加俸ヲ支給セス
第七条 市町村立尋常小学校本科正教員ニシテ単級学校ニ勤務スル者ニハ年額二十四円以下ノ特別加俸ヲ給ス其ノ僻陬ノ地ニ在ル多級学校ニ勤務スル者ニハ地方長官ニ於テ必要ト認メタルトキハ年額十八円以下ノ特別加俸ヲ給スルコトヲ得
第八条 小学校令ヲ施行セサル地方ニ於ケル訓導及訓導ノ資格アル学校長ハ本令ニ於テハ本科正教員ト看做ス
第九条 市町村立小学校教員加俸給与ニ関スル細則ハ地方長官之ヲ定メ文部大臣ノ認可ヲ受クヘシ
附 則
第十条 本令ハ明治三十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十一条 市町村立小学校教育費国庫補助法第六条第一項ニ依リ支給ヲ受クル者ニシテ本令第三条第一項ニ依リ年功加俸ヲ受ケ其ノ額同法ニ依リ受クル額ヨリ寡キトキハ同一学校ニ勤続スル間其ノ差額ヲ加給ス