朕敎育基金令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年十一月二十一日
大藏大臣 伯爵 松方正義
內務大臣 侯爵 西鄕從道
文部大臣 伯爵 樺山資紀
勅令第四百三十五號
敎育基金令
第一條 敎育基金元資金ヨリ生スル收入ハ本令ノ規定ニ依リ之ヲ使用ス
第二條 文部大臣ハ敎育基金特別會計法第四條ニ依リ一般ノ歲出トシテ每年度豫算ニ於テ定マリタル金額ヲ前年十二月三十一日現在ノ學齡兒童數ニ應シテ北海道廳及府縣ニ配當ス
第三條 前條ノ配當金ハ沖繩縣ヲ除クノ外府縣ニ下付スヘシ
府縣ハ前項ノ下付金ヲ以テ其ノ敎育資金ト爲シ特別會計ヲ設置スヘシ
北海道廳及沖繩縣ノ配當金ハ文部大臣之ヲ管理ス
第四條 敎育資金ヨリ生スル收入ハ之ヲ資金ニ編入スヘシ
第五條 敎育資金ハ第八條ノ場合ヲ除クノ外市町村立尋常小學校ノ校地校舍ヲ設備スル費用ニ充ツル爲市制町村制ヲ施行シタル地方ニ於テハ之ヲ市町村町村組合町村學校組合ニ貸付シ其ノ他ノ地方ニ於テハ之ヲ小學校設置區域ニ補助ス
第六條 貸付金額ハ市町村町村組合町村學校組合ノ申請ニ依リ第五條ノ設備ニ要スル費用ノ總額十分ノ七以內ニ於テ地方長官之ヲ定ム
貸付金ノ償還期間ハ十箇年以內トシ年賦ヲ以テ之ヲ償還セシムヘシ
貸付金ニ對シテハ一箇年百分ノ五ノ利子ヲ附スヘシ
第七條 補助金額ハ第五條ノ設備ニ要スル費用ノ總額十分ノ三以內ニ於テ地方長官之ヲ定ム
第八條 府縣ハ每年配當ヲ受ケタル金額十分ノ三以內ヲ限リ文部大臣ノ認可ヲ受ケ市町村立小學校敎員ノ奬勵其ノ他普通敎育ニ關スル費用ニ充ツルコトヲ得
第九條 府縣知事ハ敎育資金使用ニ關スル規則ヲ定メ文部大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十條 北海道廳及沖繩縣ノ配當金ノ使用ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
附 則
第十一條 本令ハ明治三十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十二條 敎育基金中本令施行以前ニ生シタル利子額ニ相當スル金額ノ使用方法ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
朕教育基金令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年十一月二十一日
大蔵大臣 伯爵 松方正義
内務大臣 侯爵 西郷従道
文部大臣 伯爵 樺山資紀
勅令第四百三十五号
教育基金令
第一条 教育基金元資金ヨリ生スル収入ハ本令ノ規定ニ依リ之ヲ使用ス
第二条 文部大臣ハ教育基金特別会計法第四条ニ依リ一般ノ歳出トシテ毎年度予算ニ於テ定マリタル金額ヲ前年十二月三十一日現在ノ学齢児童数ニ応シテ北海道庁及府県ニ配当ス
第三条 前条ノ配当金ハ沖縄県ヲ除クノ外府県ニ下付スヘシ
府県ハ前項ノ下付金ヲ以テ其ノ教育資金ト為シ特別会計ヲ設置スヘシ
北海道庁及沖縄県ノ配当金ハ文部大臣之ヲ管理ス
第四条 教育資金ヨリ生スル収入ハ之ヲ資金ニ編入スヘシ
第五条 教育資金ハ第八条ノ場合ヲ除クノ外市町村立尋常小学校ノ校地校舎ヲ設備スル費用ニ充ツル為市制町村制ヲ施行シタル地方ニ於テハ之ヲ市町村町村組合町村学校組合ニ貸付シ其ノ他ノ地方ニ於テハ之ヲ小学校設置区域ニ補助ス
第六条 貸付金額ハ市町村町村組合町村学校組合ノ申請ニ依リ第五条ノ設備ニ要スル費用ノ総額十分ノ七以内ニ於テ地方長官之ヲ定ム
貸付金ノ償還期間ハ十箇年以内トシ年賦ヲ以テ之ヲ償還セシムヘシ
貸付金ニ対シテハ一箇年百分ノ五ノ利子ヲ附スヘシ
第七条 補助金額ハ第五条ノ設備ニ要スル費用ノ総額十分ノ三以内ニ於テ地方長官之ヲ定ム
第八条 府県ハ毎年配当ヲ受ケタル金額十分ノ三以内ヲ限リ文部大臣ノ認可ヲ受ケ市町村立小学校教員ノ奨励其ノ他普通教育ニ関スル費用ニ充ツルコトヲ得
第九条 府県知事ハ教育資金使用ニ関スル規則ヲ定メ文部大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十条 北海道庁及沖縄県ノ配当金ノ使用ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
附 則
第十一条 本令ハ明治三十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十二条 教育基金中本令施行以前ニ生シタル利子額ニ相当スル金額ノ使用方法ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル