海軍糧食条例
法令番号: 勅令第四十七號
公布年月日: 明治31年3月26日
法令の形式: 勅令
朕海軍糧食條例ノ改正ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年三月二十五日
海軍大臣 侯爵 西鄕從道
勅令第四十七號
海軍糧食條例
第一條 糧食ハ艦船營舍學校病院監獄ニ在ル軍人軍屬ニ給與ス
左ニ揭クル場合ニ於テハ前項ノ軍人軍屬ニ準シ糧食ヲ給與スルコトヲ得
一 公務ニ原因シ傷痍疾病ニ罹リタル職工人夫ヲ入院治療セシムルトキ
二 難破船乘組ノ者若ハ漂流人ヲ救助スルトキ
三 海軍官衙ニ於テ逮捕又ハ自首ニ由リ軍人軍屬ヲ拘禁若ハ護送スルトキ
四 犯罪ノ常人ヲ拘禁若ハ護送スルトキ
五 演習ノ際職工人夫其ノ他ノ者ニ特ニ糧食給與ノ必要アリト海軍大臣ニ於テ認メタルトキ
第二條 每一週間一人ニ給與スル糧食ハ左ノ量額ヲ以テ最上限トス
麵包 一貫匁
鳥獸魚肉類 一貫匁
穀類 一貫四百匁
乾物野菜類 一貫二百匁
茶焙麥類 二十一匁
砂糖 百六十匁
醬油酢油類 五合
鹽 四十匁
凝脂 三十匁
前項ニ揭クル品種若ハ量額ヲ給與スルコト能ハサル場合ニ於テハ適宜品種若ハ量額ヲ定メ之ヲ給與スルコトヲ得
第三條 傷痍疾病ニ罹ル者ニハ其ノ症狀ニ應シ第二條ニ揭クル糧食ノ幾分ヲ滋養食品ニ換ヘ給與スルコトヲ得
第四條 非常ノ勞働ヲ爲シ若ハ衞生上必要トスルトキハ第二條ニ揭クル糧食品種ノ外ニ每一日一人ニ付火酒六勺以內ヲ給與スルコトヲ得
第五條 生徒下士卒及艦營傭人ニ糧食ヲ給與スルニ當リ其ノ食數十人以上ナルトキハ供食總數ノ十分ノ一ニ該當スル量額ヲ減シ減量食數ヲ現金ニ換ヘ給與シ適宜他ノ食品ヲ買辨セシムルコトヲ得
第六條 左ニ揭クル場合ニ於テハ食數ニ應シ現金ヲ給與シ糧食ヲ自辨セシムルコトヲ得
一 艦船營內ニ於テ准士官以上文官及候補生各別ニ炊爨スルトキ
二 生徒ニ外泊ヲ命シタルトキ
三 生徒下士卒及艦營傭人ニ休暇ヲ與ヘ糧食ヲ自辨セシムルノ必要アルトキ
四 現品ヲ以テ糧食ヲ給與スルヲ得サルトキ
第七條 艦船便乘者若ハ願ニ依リ入院治療ヲ許可シタル者其ノ他糧食ヲ自辨スルコト能ハサル爲メ特ニ糧食給與ノ必要アリト海軍大臣ニ於テ認メタル者ハ食數ニ應シ食料ヲ辨償セシメ糧食ヲ給スルコトヲ得
第八條 第五條第六條ニ依リ換給シ及第七條ニ依リ辨償セシムヘキ金額ハ前三年度間給與セシ糧食平均價格ニ依リ海軍大臣之ヲ定ム
第九條 本條例施行ノ細則ハ海軍大臣之ヲ定ム
附 則
本條例ハ明治三十一年五月一日ヨリ施行ス
朕海軍糧食条例ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年三月二十五日
海軍大臣 侯爵 西郷従道
勅令第四十七号
海軍糧食条例
第一条 糧食ハ艦船営舎学校病院監獄ニ在ル軍人軍属ニ給与ス
左ニ掲クル場合ニ於テハ前項ノ軍人軍属ニ準シ糧食ヲ給与スルコトヲ得
一 公務ニ原因シ傷痍疾病ニ罹リタル職工人夫ヲ入院治療セシムルトキ
二 難破船乗組ノ者若ハ漂流人ヲ救助スルトキ
三 海軍官衙ニ於テ逮捕又ハ自首ニ由リ軍人軍属ヲ拘禁若ハ護送スルトキ
四 犯罪ノ常人ヲ拘禁若ハ護送スルトキ
五 演習ノ際職工人夫其ノ他ノ者ニ特ニ糧食給与ノ必要アリト海軍大臣ニ於テ認メタルトキ
第二条 毎一週間一人ニ給与スル糧食ハ左ノ量額ヲ以テ最上限トス
麺包 一貫匁
鳥獣魚肉類 一貫匁
穀類 一貫四百匁
乾物野菜類 一貫二百匁
茶焙麦類 二十一匁
砂糖 百六十匁
醬油酢油類 五合
塩 四十匁
凝脂 三十匁
前項ニ掲クル品種若ハ量額ヲ給与スルコト能ハサル場合ニ於テハ適宜品種若ハ量額ヲ定メ之ヲ給与スルコトヲ得
第三条 傷痍疾病ニ罹ル者ニハ其ノ症状ニ応シ第二条ニ掲クル糧食ノ幾分ヲ滋養食品ニ換ヘ給与スルコトヲ得
第四条 非常ノ労働ヲ為シ若ハ衛生上必要トスルトキハ第二条ニ掲クル糧食品種ノ外ニ毎一日一人ニ付火酒六勺以内ヲ給与スルコトヲ得
第五条 生徒下士卒及艦営傭人ニ糧食ヲ給与スルニ当リ其ノ食数十人以上ナルトキハ供食総数ノ十分ノ一ニ該当スル量額ヲ減シ減量食数ヲ現金ニ換ヘ給与シ適宜他ノ食品ヲ買弁セシムルコトヲ得
第六条 左ニ掲クル場合ニ於テハ食数ニ応シ現金ヲ給与シ糧食ヲ自弁セシムルコトヲ得
一 艦船営内ニ於テ准士官以上文官及候補生各別ニ炊爨スルトキ
二 生徒ニ外泊ヲ命シタルトキ
三 生徒下士卒及艦営傭人ニ休暇ヲ与ヘ糧食ヲ自弁セシムルノ必要アルトキ
四 現品ヲ以テ糧食ヲ給与スルヲ得サルトキ
第七条 艦船便乗者若ハ願ニ依リ入院治療ヲ許可シタル者其ノ他糧食ヲ自弁スルコト能ハサル為メ特ニ糧食給与ノ必要アリト海軍大臣ニ於テ認メタル者ハ食数ニ応シ食料ヲ弁償セシメ糧食ヲ給スルコトヲ得
第八条 第五条第六条ニ依リ換給シ及第七条ニ依リ弁償セシムヘキ金額ハ前三年度間給与セシ糧食平均価格ニ依リ海軍大臣之ヲ定ム
第九条 本条例施行ノ細則ハ海軍大臣之ヲ定ム
附 則
本条例ハ明治三十一年五月一日ヨリ施行ス