憲兵条例
法令番号: 勅令第三百三十二號
公布年月日: 明治30年9月27日
法令の形式: 勅令
朕憲兵條例ノ改正ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月二十二日
內閣總理大臣 伯爵 松方正義
海軍大臣 侯爵 西鄕從道
陸軍大臣 子爵 高島鞆之助
內務大臣 伯爵 樺山資紀
司法大臣 淸浦奎吾
勅令第三百三十二號
憲兵條例
第一章 總則
第一條 憲兵ハ陸軍兵ノ一ニシテ陸軍大臣ノ管轄ニ屬シ軍事警察、行政警察、司法警察ヲ掌ル其ノ戰時若ハ事變ニ際シ特ニ要スル服務ノ規程ハ別ニ之ヲ定ム
第二條 憲兵ノ職掌軍事警察ニ係ルモノハ陸軍大臣及海軍大臣ニ隸シ行政警察ニ係ルモノハ內務大臣ニ隸シ司法警察ニ係ルモノハ司法大臣ニ隸ス但シ臺灣ノ軍事警察、行政警察、司法警察ニ係ルモノハ臺灣總督ニ隸ス
第三條 憲兵ハ行政警察、司法警察ニ係ル事件ニ付警視總監、北海道廳長官、府縣知事東京府知事ヲ除ク及檢事ノ指示ヲ承ク但シ臺灣ニ在テハ行政警察、司法警察ニ係ル事件ニ付テハ縣知事、廳長及法院檢察官ノ指示ヲ承ク其ノ他地方ノ守備ニ付テハ旅團長、要塞司令官又ハ守備隊長ノ指揮ヲ承クヘキモノトス
第四條 憲兵ハ其ノ職務上ニ關シ正當ノ職權ヲ有スル者ヨリ要求アルトキハ直ニ之ニ應スヘシ
第五條 憲兵ハ左ニ記載スル場合ニアラサレハ兵器ヲ用ウルコトヲ得ス
一 暴行ヲ受クルトキ
二 其ノ占守スル土地若ハ委託セラレタル場所又ハ人ヲ防衞スルニ兵力ヲ用ウルノ外他ニ手段ナキトキ又兵力ヲ以テセサレハ抗抵ニ勝ツ能ハサルトキ
第六條 第一乃至第七憲兵管區內ニ在テハ必要ノ場合ニ際シ內務大臣、陸軍大臣協議シテ憲兵ヲ一時彼此其ノ管區外ニ分派スルコトヲ得
臺灣ニ在テハ臺灣總督ニ於テ必要ト認ムルトキハ憲兵ヲ其ノ管區外ニ使用スルコトヲ得
第二章 配置編制
第七條 東京ニ憲兵司令部ヲ置キ各管區ニ憲兵隊ヲ配置ス
憲兵隊ニハ其管區ノ番號ヲ附ス
憲兵管區ハ別表ニ依ル
第八條 各府縣廳所在地及北海道、臺灣樞要ノ地ニ漸次憲兵分隊ヲ置ク其ノ管轄區域ヲ憲兵警察區トス但シ臺灣ニ在テハ必要ニ應シ憲兵分隊ノ一部ヲ分駐セシメ其ノ管轄區域ヲ憲兵警察區ト爲スコトヲ得
憲兵分隊ニハ府縣ノ名北海道ニ在テハ分隊首部所在地名ヲ冠ス但シ臺灣ニ在テハ番號ヲ附ス
第九條 憲兵警察區ヲ數箇ノ憲兵巡察區ニ分劃シ各巡察區ニ憲兵一伍若ハ數伍ヲ配置ス
第十條 憲兵警察區ノ區域ハ府縣ハ其ノ區域ニ從ヒ北海道ニ在テハ陸軍大臣、內務大臣協議シテ之ヲ定メ憲兵巡察區ハ憲兵隊長ヨリ警視總監、北海道廳長官、府縣知事東京府知事ヲ除クニ協議シテ之ヲ定ム
臺灣ニ在テハ憲兵警察區ハ臺灣總督之ヲ定メ憲兵巡察區ハ憲兵隊長之ヲ定ム
第十一條 憲兵司令部ノ職員左ノ如シ
憲兵司令官 少將若ハ憲兵大佐
副官 憲兵少佐、憲兵大、中尉
軍吏
書記 憲兵下士、軍吏部下士若ハ屬
第十二條 憲兵隊第八乃至第十憲兵隊ヲ除クノ職員左ノ如シ
本部
隊長 憲兵中、少佐
副官 憲兵大、中尉
軍吏
下副官(准士官) 憲兵曹長
書記 憲兵下士、軍吏部下士
分隊
分隊長 憲兵大、中尉
分隊副長 憲兵中尉
書記 憲兵下士
上等伍長(准士官)
伍長
憲兵曹長
憲兵上等兵
分隊副長及上等伍長ハ之ヲ置カサルコトヲ得
第十三條 第八乃至第十憲兵隊ノ職員左ノ如シ
本部
隊長 憲兵大、中佐
副官 憲兵大、中尉
軍醫
獸醫
軍吏
下副官(准士官) 憲兵曹長
書記 憲兵下士、軍吏部下士
蹄鐵工長若ハ蹄鐵工下長
看護長
分隊
分隊長 憲兵大尉
分隊副長 憲兵中尉
軍醫
上等伍長(准士官) 憲兵曹長
伍長
書記
憲兵下士
憲兵上等兵
看護長
第十四條 憲兵上等兵五名乃至十二名ヲ以テ一伍トシ數伍ヲ以テ一分隊トシ數分隊ヲ以テ一隊ト爲ス
必要ニ依リ伍ニ乘馬ヲ附シ又臺灣ニ在テハ伍ニ伍長ヲ增加ス
第三章 職務
第十五條 憲兵司令官ハ全國ノ憲兵隊ヲ統轄シ司令部ノ事務ヲ總理ス
第十六條 憲兵司令官非常若ハ緊要ノ事件アルコトヲ知リタルトキハ速ニ內務大臣、陸軍大臣、海軍大臣、司法大臣ニ申報スヘシ
第十七條 憲兵司令官ハ軍紀、風紀、訓練、敎育及職務服行ノ程度ヲ檢閱スル爲メ必要ト認ムル時機ニ於テ各憲兵隊ヲ巡視シ其ノ景況ヲ陸軍大臣ニ申報スヘシ
第十八條 憲兵隊長ハ各分隊ヲ統轄シ其ノ勤務方法ヲ指定シ隊中ノ事務ヲ總理ス
第十九條 憲兵隊長ハ管區內ノ情勢ヲ審ニシ非常若ハ緊要ノ事件アルコトヲ知リタルトキハ速ニ憲兵司令官ニ申報シ且其ノ事件ノ必要ニ依リ衞戍司令官、要塞司令官、警備隊司令官、鎭守府司令長官、要港部司令官、北海道廳長官及管轄控訴院檢事長ニ申報シ臺灣ニ在テハ臺灣總督及憲兵司令官ニ申報シ且其ノ事件ノ必要ニ依リ旅團長、要塞司令官、法院檢察官ニ申報シ鄰接憲兵隊長ニ通報スヘシ
第二十條 憲兵分隊長ハ部下ヲ指揮監督シ其ノ勤務方法ヲ指定シ分隊ノ事務ヲ處理ス又警察區內ノ情勢ヲ審ニシ非常若ハ緊要ノ事件アルコトヲ知リタルトキハ警視總監、府縣知事東京府知事ヲ除ク及管轄地方栽判所檢事正及憲兵隊長ニ申報シ且其ノ事件ノ必要ニ依リ直ニ衞戍司令官、要塞司令官、警備隊司令官、鎭守府司令長官、要港部司令官ニ申報シ臺灣ニ在テハ縣知事、廳長、法院檢察官及憲兵隊長ニ申報シ且其ノ事件ノ必要ニ依リ直ニ守備隊長ニ申報シ又鄰接分隊長ニ通報スヘシ
第二十一條 憲兵分隊長ハ常ニ警部長、警視其ノ他ノ警察署長及鄰接分隊長ト交互諜報シ其ノ地方ノ情況ヲ知悉スヘシ
第二十二條 憲兵分隊副長ハ分隊ノ一部ヲ指揮ス其ノ職掌分隊長ニ亞ク
臺灣ニ在テハ憲兵分隊副長一ノ警察區ニ分駐ヲ命セラレタルトキハ分隊長ト同一ノ職務ニ服ス但シ其ノ分隊長ノ統轄ヲ離ルルコトナシ
第二十三條 憲兵上等伍長及伍長ハ憲兵上等兵ノ勤務ヲ指示監督シ且巡察區內ヲ巡視シ其ノ事情ヲ知悉スヘシ又必要ノ事件ハ其ノ地方ノ警察官ト相互諜報スヘシ
第二十四條 憲兵上等兵ハ常ニ巡察區內ヲ巡察シ其ノ事情ヲ審ニスヘシ
第二十五條 憲兵ノ勤務諸報吿等ニ係ル細則ハ各主管大臣之ヲ定ム但シ臺灣ニ在テハ臺灣總督之ヲ定ム
附 則
第二十六條 當分ノ內憲兵少尉ヲ以テ分隊長若ハ分隊副長ノ職ニ充ツルコトヲ得但シ臺灣ニ在テハ中尉ヲ以テ分隊長少尉ヲ以テ分隊副長ノ職ニ充ツルコトヲ得
第二十七條 當分ノ內憲兵隊長、副官、分隊長、分隊副長ハ豫備役、後備役ノ者ヲ以テ充ツルコトヲ得其ノ身分取扱ハ召集中ノ者ニ同シ
第二十八條 臺灣憲兵隊條例ハ本令施行ノ日ヨリ廢止ス
(別表)
憲兵管區表
管區名
區域
第一憲兵管區
東京府 神奈川縣 群馬縣 千葉縣 山梨縣 茨城縣 栃木縣 長野縣 埼玉縣
第二憲兵管區
宮城縣 新潟縣 靑森縣 秋田縣 福島縣 巖手縣 山形縣
第三憲兵管區
愛知縣 石川縣 三重縣 富山縣 靜岡縣 岐阜縣 福井縣
第四憲兵管區
大阪府 京都府 兵庫縣 和歌山縣 滋賀縣 岡山縣 奈良縣 鳥取縣
第五憲兵管區
廣島縣 愛媛縣 山口縣 高知縣 島根縣 香川縣 德島縣
第六憲兵管區
熊本縣 長崎縣 福岡縣 鹿兒島縣 宮崎縣 佐賀縣 大分縣 沖繩縣
第七憲兵管區
北海道
第八憲兵管區
臺灣守備混成第一旅團守備管區
第九憲兵管區
臺灣守備混成第二旅團守備管區
第十憲兵管區
臺灣守備混成第三旅團守備管區
朕憲兵条例ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月二十二日
内閣総理大臣 伯爵 松方正義
海軍大臣 侯爵 西郷従道
陸軍大臣 子爵 高島鞆之助
内務大臣 伯爵 樺山資紀
司法大臣 清浦奎吾
勅令第三百三十二号
憲兵条例
第一章 総則
第一条 憲兵ハ陸軍兵ノ一ニシテ陸軍大臣ノ管轄ニ属シ軍事警察、行政警察、司法警察ヲ掌ル其ノ戦時若ハ事変ニ際シ特ニ要スル服務ノ規程ハ別ニ之ヲ定ム
第二条 憲兵ノ職掌軍事警察ニ係ルモノハ陸軍大臣及海軍大臣ニ隷シ行政警察ニ係ルモノハ内務大臣ニ隷シ司法警察ニ係ルモノハ司法大臣ニ隷ス但シ台湾ノ軍事警察、行政警察、司法警察ニ係ルモノハ台湾総督ニ隷ス
第三条 憲兵ハ行政警察、司法警察ニ係ル事件ニ付警視総監、北海道庁長官、府県知事東京府知事ヲ除ク及検事ノ指示ヲ承ク但シ台湾ニ在テハ行政警察、司法警察ニ係ル事件ニ付テハ県知事、庁長及法院検察官ノ指示ヲ承ク其ノ他地方ノ守備ニ付テハ旅団長、要塞司令官又ハ守備隊長ノ指揮ヲ承クヘキモノトス
第四条 憲兵ハ其ノ職務上ニ関シ正当ノ職権ヲ有スル者ヨリ要求アルトキハ直ニ之ニ応スヘシ
第五条 憲兵ハ左ニ記載スル場合ニアラサレハ兵器ヲ用ウルコトヲ得ス
一 暴行ヲ受クルトキ
二 其ノ占守スル土地若ハ委託セラレタル場所又ハ人ヲ防衛スルニ兵力ヲ用ウルノ外他ニ手段ナキトキ又兵力ヲ以テセサレハ抗抵ニ勝ツ能ハサルトキ
第六条 第一乃至第七憲兵管区内ニ在テハ必要ノ場合ニ際シ内務大臣、陸軍大臣協議シテ憲兵ヲ一時彼此其ノ管区外ニ分派スルコトヲ得
台湾ニ在テハ台湾総督ニ於テ必要ト認ムルトキハ憲兵ヲ其ノ管区外ニ使用スルコトヲ得
第二章 配置編制
第七条 東京ニ憲兵司令部ヲ置キ各管区ニ憲兵隊ヲ配置ス
憲兵隊ニハ其管区ノ番号ヲ附ス
憲兵管区ハ別表ニ依ル
第八条 各府県庁所在地及北海道、台湾枢要ノ地ニ漸次憲兵分隊ヲ置ク其ノ管轄区域ヲ憲兵警察区トス但シ台湾ニ在テハ必要ニ応シ憲兵分隊ノ一部ヲ分駐セシメ其ノ管轄区域ヲ憲兵警察区ト為スコトヲ得
憲兵分隊ニハ府県ノ名北海道ニ在テハ分隊首部所在地名ヲ冠ス但シ台湾ニ在テハ番号ヲ附ス
第九条 憲兵警察区ヲ数箇ノ憲兵巡察区ニ分画シ各巡察区ニ憲兵一伍若ハ数伍ヲ配置ス
第十条 憲兵警察区ノ区域ハ府県ハ其ノ区域ニ従ヒ北海道ニ在テハ陸軍大臣、内務大臣協議シテ之ヲ定メ憲兵巡察区ハ憲兵隊長ヨリ警視総監、北海道庁長官、府県知事東京府知事ヲ除クニ協議シテ之ヲ定ム
台湾ニ在テハ憲兵警察区ハ台湾総督之ヲ定メ憲兵巡察区ハ憲兵隊長之ヲ定ム
第十一条 憲兵司令部ノ職員左ノ如シ
憲兵司令官 少将若ハ憲兵大佐
副官 憲兵少佐、憲兵大、中尉
軍吏
書記 憲兵下士、軍吏部下士若ハ属
第十二条 憲兵隊第八乃至第十憲兵隊ヲ除クノ職員左ノ如シ
本部
隊長 憲兵中、少佐
副官 憲兵大、中尉
軍吏
下副官(准士官) 憲兵曹長
書記 憲兵下士、軍吏部下士
分隊
分隊長 憲兵大、中尉
分隊副長 憲兵中尉
書記 憲兵下士
上等伍長(准士官)
伍長
憲兵曹長
憲兵上等兵
分隊副長及上等伍長ハ之ヲ置カサルコトヲ得
第十三条 第八乃至第十憲兵隊ノ職員左ノ如シ
本部
隊長 憲兵大、中佐
副官 憲兵大、中尉
軍医
獣医
軍吏
下副官(准士官) 憲兵曹長
書記 憲兵下士、軍吏部下士
蹄鉄工長若ハ蹄鉄工下長
看護長
分隊
分隊長 憲兵大尉
分隊副長 憲兵中尉
軍医
上等伍長(准士官) 憲兵曹長
伍長
書記
憲兵下士
憲兵上等兵
看護長
第十四条 憲兵上等兵五名乃至十二名ヲ以テ一伍トシ数伍ヲ以テ一分隊トシ数分隊ヲ以テ一隊ト為ス
必要ニ依リ伍ニ乗馬ヲ附シ又台湾ニ在テハ伍ニ伍長ヲ増加ス
第三章 職務
第十五条 憲兵司令官ハ全国ノ憲兵隊ヲ統轄シ司令部ノ事務ヲ総理ス
第十六条 憲兵司令官非常若ハ緊要ノ事件アルコトヲ知リタルトキハ速ニ内務大臣、陸軍大臣、海軍大臣、司法大臣ニ申報スヘシ
第十七条 憲兵司令官ハ軍紀、風紀、訓練、教育及職務服行ノ程度ヲ検閲スル為メ必要ト認ムル時機ニ於テ各憲兵隊ヲ巡視シ其ノ景況ヲ陸軍大臣ニ申報スヘシ
第十八条 憲兵隊長ハ各分隊ヲ統轄シ其ノ勤務方法ヲ指定シ隊中ノ事務ヲ総理ス
第十九条 憲兵隊長ハ管区内ノ情勢ヲ審ニシ非常若ハ緊要ノ事件アルコトヲ知リタルトキハ速ニ憲兵司令官ニ申報シ且其ノ事件ノ必要ニ依リ衛戍司令官、要塞司令官、警備隊司令官、鎮守府司令長官、要港部司令官、北海道庁長官及管轄控訴院検事長ニ申報シ台湾ニ在テハ台湾総督及憲兵司令官ニ申報シ且其ノ事件ノ必要ニ依リ旅団長、要塞司令官、法院検察官ニ申報シ隣接憲兵隊長ニ通報スヘシ
第二十条 憲兵分隊長ハ部下ヲ指揮監督シ其ノ勤務方法ヲ指定シ分隊ノ事務ヲ処理ス又警察区内ノ情勢ヲ審ニシ非常若ハ緊要ノ事件アルコトヲ知リタルトキハ警視総監、府県知事東京府知事ヲ除ク及管轄地方栽判所検事正及憲兵隊長ニ申報シ且其ノ事件ノ必要ニ依リ直ニ衛戍司令官、要塞司令官、警備隊司令官、鎮守府司令長官、要港部司令官ニ申報シ台湾ニ在テハ県知事、庁長、法院検察官及憲兵隊長ニ申報シ且其ノ事件ノ必要ニ依リ直ニ守備隊長ニ申報シ又隣接分隊長ニ通報スヘシ
第二十一条 憲兵分隊長ハ常ニ警部長、警視其ノ他ノ警察署長及隣接分隊長ト交互諜報シ其ノ地方ノ情況ヲ知悉スヘシ
第二十二条 憲兵分隊副長ハ分隊ノ一部ヲ指揮ス其ノ職掌分隊長ニ亜ク
台湾ニ在テハ憲兵分隊副長一ノ警察区ニ分駐ヲ命セラレタルトキハ分隊長ト同一ノ職務ニ服ス但シ其ノ分隊長ノ統轄ヲ離ルルコトナシ
第二十三条 憲兵上等伍長及伍長ハ憲兵上等兵ノ勤務ヲ指示監督シ且巡察区内ヲ巡視シ其ノ事情ヲ知悉スヘシ又必要ノ事件ハ其ノ地方ノ警察官ト相互諜報スヘシ
第二十四条 憲兵上等兵ハ常ニ巡察区内ヲ巡察シ其ノ事情ヲ審ニスヘシ
第二十五条 憲兵ノ勤務諸報告等ニ係ル細則ハ各主管大臣之ヲ定ム但シ台湾ニ在テハ台湾総督之ヲ定ム
附 則
第二十六条 当分ノ内憲兵少尉ヲ以テ分隊長若ハ分隊副長ノ職ニ充ツルコトヲ得但シ台湾ニ在テハ中尉ヲ以テ分隊長少尉ヲ以テ分隊副長ノ職ニ充ツルコトヲ得
第二十七条 当分ノ内憲兵隊長、副官、分隊長、分隊副長ハ予備役、後備役ノ者ヲ以テ充ツルコトヲ得其ノ身分取扱ハ召集中ノ者ニ同シ
第二十八条 台湾憲兵隊条例ハ本令施行ノ日ヨリ廃止ス
(別表)
憲兵管区表
管区名
区域
第一憲兵管区
東京府 神奈川県 群馬県 千葉県 山梨県 茨城県 栃木県 長野県 埼玉県
第二憲兵管区
宮城県 新潟県 青森県 秋田県 福島県 巌手県 山形県
第三憲兵管区
愛知県 石川県 三重県 富山県 静岡県 岐阜県 福井県
第四憲兵管区
大阪府 京都府 兵庫県 和歌山県 滋賀県 岡山県 奈良県 鳥取県
第五憲兵管区
広島県 愛媛県 山口県 高知県 島根県 香川県 徳島県
第六憲兵管区
熊本県 長崎県 福岡県 鹿児島県 宮崎県 佐賀県 大分県 沖縄県
第七憲兵管区
北海道
第八憲兵管区
台湾守備混成第一旅団守備管区
第九憲兵管区
台湾守備混成第二旅団守備管区
第十憲兵管区
台湾守備混成第三旅団守備管区