台湾島及澎湖島駐在海軍軍人軍属給与規則
法令番号: 勅令第百六十一號
公布年月日: 明治28年11月29日
法令の形式: 勅令
朕臺灣島及澎湖島駐在海軍軍人軍屬給與規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十八年十一月二十八日
海軍大臣 侯爵 西鄕從道
勅令第百六十一號
臺灣島及澎湖島駐在海軍軍人軍屬給與規則
第一條 臺灣島及澎湖島ニ駐在スル軍人軍屬ノ給與ハ本規則ニ依ル但本規則ニ明文ナキモノハ總テ現行ノ諸條規ヲ適用ス
第二條 本規則ニ於テ俸給ト稱スルハ海軍軍人俸給令第一條及第二條ノ俸給若クハ同令第五條ノ加給額ヲ加算シタルモノ竝ニ一般ノ文官俸給ヲ云フ
第三條 駐在地到著ノ日ヨリ該地出發ノ日マテ准士官以上候補生及文官ニハ俸給五分ノ一、下士以下ニハ俸給四分ノ一ヲ增給ス
第四條 駐在員ニシテ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ臺灣島若クハ澎湖島內ニ於テ治療ヲ受クル間ハ俸給ヲ減スルコトナシ
艦船艇乘員該島內ニ於テ治療ヲ受クル間ハ前項ヲ準用ス
第五條 駐在地ニ出發スル准士官以上及候補生ニハ俸給ノ三十日分、文官ニハ俸給ノ一箇月分ヲ手當トシテ給ス出發ノ際手當ヲ受ケサル者駐在地ニ於テ准士官ニ昇進シタルトキ亦同シ但一箇年以內ニ在テ數囘往復スルモ再給セス
外國旅費規則ニ依リ支度料ヲ受ケタル者一箇年以內ニ在テ其ノ派遣地ヨリ直ニ赴任スルトキハ手當金給與ノ限ニアラス
第六條 軍人軍屬ニハ海軍糧食條例第一條ノ規程ニ拘ラス糧食ヲ給ス但時宜ニ依リ現金ヲ以テ食料ヲ給スルコトヲ得其ノ金額ハ海軍大臣之ヲ定ム
軍人軍屬外ノ者ト雖糧食給與ノ必要アルトキハ前項ニ依ル
第七條 下士卒ニ交付スル被服物品ハ海軍被服條例第一表ノ定數又ハ同條例第二表ノ交換期限ヲ變更若クハ伸縮スルコトヲ得
第八條 軍人軍屬ニハ必要ニ應シ適宜ノ被服物品ヲ給與若クハ貸與スルコトヲ得軍人軍屬外ノ者亦同シ
第九條 駐在員ニシテ臺灣島及澎湖島內ヲ旅行スルトキ旅費ハ實費拂トス
艦船艇乘員ニシテ該島內ヲ旅行スルトキハ前項ヲ準用ス
文官ニシテ廢官若クハ退官ノ者其ノ命令受領ノ日ヨリ二週間以內ニ其ノ所在地ヲ出發歸鄕スルトキハ舊官相當ノ旅費ヲ給ス但自己ノ便宜又ハ刑事裁判及懲戒處分ニ由リ退官ノ者ハ此ノ限ニアラス
前項ノ旅費ハ本人出發ノ際精算拂ト爲シ給スルコトヲ得
第十條 軍人軍屬傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタルトキハ其ノ治療費ハ總テ官給トス軍人軍屬外ノ者ト雖時宜ニ依リ官給スルコトヲ得
第十一條 軍人軍屬死亡スルトキハ其ノ埋葬若クハ遺物ノ輸送ニ係ル諸費ハ總テ官費トス但時宜ニ依リ其ノ遺骸モ亦官費輸送スルコトヲ得
軍人軍屬外ノ者ト雖官ニ於テ埋葬若クハ遺物ノ輸送ヲ要スルトキハ前項ニ依ル
第十二條 准士官以上候補生及文官ニハ宿舍ヲ貸與ス但時宜ニ依リ宿舍料ヲ給スルコトヲ得
宿舍料ノ金額ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十三條 軍人軍屬ニ要スル筆紙墨文具等ハ總テ現品ヲ以テ給與若クハ貸與ス軍人軍屬外ノ者ト雖給與若クハ貸與ノ必要アルトキ亦同シ
第十四條 軍人軍屬駐在中ハ其ノ俸給三分ノ二以內ヲ其ノ家族ニ交付スルコトヲ得
第十五條 駐在スル雇員其ノ他傭役者ノ給與ハ本規則ニ準シ海軍大臣之ヲ定ム
第十六條 駐在員ニアラサルモ臺灣島若クハ澎湖島ニ往復スル軍人軍屬ノ給與ハ本規則ヲ適用ス
第十七條 本規則ニ依レル給與ノ停止、減額及本規則ノ施行細則ハ海軍大臣之ヲ定ム
附 則
第十八條 本規則ハ旅順ロ海軍根據地ニモ適用ス但旅費ハ內地港灣出發ノ日ヨリ歸著ノ日マテ實費ヲ給ス
第十九條 本規則ハ明治二十八年十二月一日ヨリ施行ス
朕台湾島及澎湖島駐在海軍軍人軍属給与規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十八年十一月二十八日
海軍大臣 侯爵 西郷従道
勅令第百六十一号
台湾島及澎湖島駐在海軍軍人軍属給与規則
第一条 台湾島及澎湖島ニ駐在スル軍人軍属ノ給与ハ本規則ニ依ル但本規則ニ明文ナキモノハ総テ現行ノ諸条規ヲ適用ス
第二条 本規則ニ於テ俸給ト称スルハ海軍軍人俸給令第一条及第二条ノ俸給若クハ同令第五条ノ加給額ヲ加算シタルモノ並ニ一般ノ文官俸給ヲ云フ
第三条 駐在地到著ノ日ヨリ該地出発ノ日マテ准士官以上候補生及文官ニハ俸給五分ノ一、下士以下ニハ俸給四分ノ一ヲ増給ス
第四条 駐在員ニシテ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ台湾島若クハ澎湖島内ニ於テ治療ヲ受クル間ハ俸給ヲ減スルコトナシ
艦船艇乗員該島内ニ於テ治療ヲ受クル間ハ前項ヲ準用ス
第五条 駐在地ニ出発スル准士官以上及候補生ニハ俸給ノ三十日分、文官ニハ俸給ノ一箇月分ヲ手当トシテ給ス出発ノ際手当ヲ受ケサル者駐在地ニ於テ准士官ニ昇進シタルトキ亦同シ但一箇年以内ニ在テ数回往復スルモ再給セス
外国旅費規則ニ依リ支度料ヲ受ケタル者一箇年以内ニ在テ其ノ派遣地ヨリ直ニ赴任スルトキハ手当金給与ノ限ニアラス
第六条 軍人軍属ニハ海軍糧食条例第一条ノ規程ニ拘ラス糧食ヲ給ス但時宜ニ依リ現金ヲ以テ食料ヲ給スルコトヲ得其ノ金額ハ海軍大臣之ヲ定ム
軍人軍属外ノ者ト雖糧食給与ノ必要アルトキハ前項ニ依ル
第七条 下士卒ニ交付スル被服物品ハ海軍被服条例第一表ノ定数又ハ同条例第二表ノ交換期限ヲ変更若クハ伸縮スルコトヲ得
第八条 軍人軍属ニハ必要ニ応シ適宜ノ被服物品ヲ給与若クハ貸与スルコトヲ得軍人軍属外ノ者亦同シ
第九条 駐在員ニシテ台湾島及澎湖島内ヲ旅行スルトキ旅費ハ実費払トス
艦船艇乗員ニシテ該島内ヲ旅行スルトキハ前項ヲ準用ス
文官ニシテ廃官若クハ退官ノ者其ノ命令受領ノ日ヨリ二週間以内ニ其ノ所在地ヲ出発帰郷スルトキハ旧官相当ノ旅費ヲ給ス但自己ノ便宜又ハ刑事裁判及懲戒処分ニ由リ退官ノ者ハ此ノ限ニアラス
前項ノ旅費ハ本人出発ノ際精算払ト為シ給スルコトヲ得
第十条 軍人軍属傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタルトキハ其ノ治療費ハ総テ官給トス軍人軍属外ノ者ト雖時宜ニ依リ官給スルコトヲ得
第十一条 軍人軍属死亡スルトキハ其ノ埋葬若クハ遺物ノ輸送ニ係ル諸費ハ総テ官費トス但時宜ニ依リ其ノ遺骸モ亦官費輸送スルコトヲ得
軍人軍属外ノ者ト雖官ニ於テ埋葬若クハ遺物ノ輸送ヲ要スルトキハ前項ニ依ル
第十二条 准士官以上候補生及文官ニハ宿舎ヲ貸与ス但時宜ニ依リ宿舎料ヲ給スルコトヲ得
宿舎料ノ金額ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十三条 軍人軍属ニ要スル筆紙墨文具等ハ総テ現品ヲ以テ給与若クハ貸与ス軍人軍属外ノ者ト雖給与若クハ貸与ノ必要アルトキ亦同シ
第十四条 軍人軍属駐在中ハ其ノ俸給三分ノ二以内ヲ其ノ家族ニ交付スルコトヲ得
第十五条 駐在スル雇員其ノ他傭役者ノ給与ハ本規則ニ準シ海軍大臣之ヲ定ム
第十六条 駐在員ニアラサルモ台湾島若クハ澎湖島ニ往復スル軍人軍属ノ給与ハ本規則ヲ適用ス
第十七条 本規則ニ依レル給与ノ停止、減額及本規則ノ施行細則ハ海軍大臣之ヲ定ム
附 則
第十八条 本規則ハ旅順ロ海軍根拠地ニモ適用ス但旅費ハ内地港湾出発ノ日ヨリ帰著ノ日マテ実費ヲ給ス
第十九条 本規則ハ明治二十八年十二月一日ヨリ施行ス