法制局官制
法令番号: 勅令第九十一號
公布年月日: 明治23年6月12日
法令の形式: 勅令
朕法制局官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年六月十一日
內閣總理大臣 伯爵 山縣有朋
勅令第九十一號
法制局官制
第一條 法制局ハ內閣ニ屬シ左ノ事務ヲ掌ル
一 內閣總理大臣ノ命ニ依リ法律命令案ヲ起草シ理由ヲ具ヘテ上申ス
二 法律命令ノ新定廢止改正ニ付意見アルトキハ案ヲ具ヘテ內閣ニ上申ス
三 各省大臣ヨリ閣議ニ提出スル所ノ法律命令案ヲ審査シ意見ヲ具ヘ又ハ修正ヲ加ヘテ內閣ニ上申ス
四 前項ニ揭クルモノヽ外內閣總理大臣ヨリ諮詢アルトキハ意見ヲ具ヘテ上申ス
第二條 法制局ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 一人 勅任
部長 三人 勅任又ハ奏任一等
參事官 十五人 奏任
書記官 二人 參事官ヨリ兼ネシム
試補 六人
屬 三十人 判任
第三條 奏任官ノ進退ハ長官之ヲ內閣總理大臣ニ具狀シ判任官ハ之ヲ專行ス
第四條 法制局ニ三部ヲ置キ其事務ヲ分掌セシムルコト左ノ如シ
第一部 內務外務軍制及敎育ニ關スル事項
第二部 財務勸業運輸及通信ニ關スル事項
第三部 民法商法訴訟法刑法治罪法恩赦其他司法ニ關スル事項
第五條 長官ハ法制局ニ屬スル一切ノ事務ヲ總管シ部長參事官ヲ統督ス
第六條 長官ハ各部ノ分掌ニ拘ラス臨時ニ調査委員ヲ命シ又ハ書記官ヲシテ議案ヲ調製セシムルコトヲ得
第七條 長官故障アルトキハ席次ニ依リ部長ヲ指定シテ長官ノ事務ヲ代理セシムヘシ
第八條 部長ハ各部ノ事務ヲ提掌シ部會議ヲ整理ス
第九條 法制局ニ於テ要用アルトキハ總會議ヲ開キ部長參事官合同會議シ長官議事ヲ整理シ主査ノ參事官又ハ書記官議案ヲ辯明ス
長官ハ臨時ニ部長ノ一人ヲ指定シテ議事整理ノ任ヲ代理セシムルコトヲ得
第十條 各省大臣ハ其ノ主務ニ係ル事件ニ關リ主任官ヲ差シテ法制局ノ總會議ニ參席シ辯明ヲ爲サシムヘシ但表決ノ數ニ預ラス
各省大臣ハ自ラ參席スルコト隨意タルヘシ
第十一條 法制局ニ於テ要用アルトキハ各省ノ主任官ヲ呼出スコトヲ得
朕法制局官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年六月十一日
内閣総理大臣 伯爵 山県有朋
勅令第九十一号
法制局官制
第一条 法制局ハ内閣ニ属シ左ノ事務ヲ掌ル
一 内閣総理大臣ノ命ニ依リ法律命令案ヲ起草シ理由ヲ具ヘテ上申ス
二 法律命令ノ新定廃止改正ニ付意見アルトキハ案ヲ具ヘテ内閣ニ上申ス
三 各省大臣ヨリ閣議ニ提出スル所ノ法律命令案ヲ審査シ意見ヲ具ヘ又ハ修正ヲ加ヘテ内閣ニ上申ス
四 前項ニ掲クルモノヽ外内閣総理大臣ヨリ諮詢アルトキハ意見ヲ具ヘテ上申ス
第二条 法制局ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 一人 勅任
部長 三人 勅任又ハ奏任一等
参事官 十五人 奏任
書記官 二人 参事官ヨリ兼ネシム
試補 六人
属 三十人 判任
第三条 奏任官ノ進退ハ長官之ヲ内閣総理大臣ニ具状シ判任官ハ之ヲ専行ス
第四条 法制局ニ三部ヲ置キ其事務ヲ分掌セシムルコト左ノ如シ
第一部 内務外務軍制及教育ニ関スル事項
第二部 財務勧業運輸及通信ニ関スル事項
第三部 民法商法訴訟法刑法治罪法恩赦其他司法ニ関スル事項
第五条 長官ハ法制局ニ属スル一切ノ事務ヲ総管シ部長参事官ヲ統督ス
第六条 長官ハ各部ノ分掌ニ拘ラス臨時ニ調査委員ヲ命シ又ハ書記官ヲシテ議案ヲ調製セシムルコトヲ得
第七条 長官故障アルトキハ席次ニ依リ部長ヲ指定シテ長官ノ事務ヲ代理セシムヘシ
第八条 部長ハ各部ノ事務ヲ提掌シ部会議ヲ整理ス
第九条 法制局ニ於テ要用アルトキハ総会議ヲ開キ部長参事官合同会議シ長官議事ヲ整理シ主査ノ参事官又ハ書記官議案ヲ弁明ス
長官ハ臨時ニ部長ノ一人ヲ指定シテ議事整理ノ任ヲ代理セシムルコトヲ得
第十条 各省大臣ハ其ノ主務ニ係ル事件ニ関リ主任官ヲ差シテ法制局ノ総会議ニ参席シ弁明ヲ為サシムヘシ但表決ノ数ニ預ラス
各省大臣ハ自ラ参席スルコト随意タルヘシ
第十一条 法制局ニ於テ要用アルトキハ各省ノ主任官ヲ呼出スコトヲ得