第一條 領事ハ日本帝國ノ利益殊ニ貿易交通及航海ノ利益ヲ保護奬勵シ日本ト駐在國トノ間ニ締結セル條約ノ施行ヲ視察シ日本臣民竝ニ日本ト友好アル外國ノ臣民ヨリ倚賴アルトキハ之ニ相當ノ勸吿若クハ保護ヲ與フヘシ
領事ハ諸般ノ事務ヲ執行スルニ當テハ日本ノ法律及命令ニ準據スヘシ但特別ノ條約又ハ慣例アル國ニ駐在スル者ノ外駐在國ノ法律及慣例ニ違フコトヲ得ス
第二條 領事ハ駐在國ニ於テ日本臣民ノ爲メ名簿ヲ備置キ日本臣民ヨリ居住、婚姻、出生、死亡ノ屆出ヲ受ケタルトキハ之ヲ其名簿ニ登錄スヘシ其請求アルトキハ右事項ニ關シ證明書ヲ付與スヘシ
第三條 領事ハ駐在國ニ於テ日本臣民死亡ノ際其遺留財產ヲ相續スヘキ者不在ナルカ又ハ其他ノ事故アリテ遺留財產ニ危險アルトキハ之ヲ保護スルノ手續ヲ爲スヘシ
第四條 領事ハ駐在國ニ於テ救助ヲ要スル日本臣民アルトキハ之ニ一時ノ救助ヲ爲シ若クハ之ヲ本邦ニ送還スヘシ
第五條 領事ハ必要アルトキハ日本ノ海軍艦船及其乘組員ヲ幇助スヘシ
第六條 領事ハ駐在國ニ於テ日本海軍艦船乘組員脫走シタルトキハ艦船長ノ要求ニ依リ其逮捕ヲ駐在國ノ官廳ニ照會スヘシ
第七條 領事ハ災厄ニ遭遇セル日本船舶ニ對シ必要ノ救助ヲ爲シ及駐在國ヨリ與フル救助ヲ監視スヘシ
第九條 領事ハ駐在國ニ於テ日本船舶ノ海員雇入雇止定約ヲ公認スヘシ
第十一條 領事ハ駐在國ニ於テ日本船舶ノ船長ヲシテ出入港屆出ヲ爲サシムルコトヲ得
入港地ニ於テ船舶諸證書ヲ領事ノ保管ニ附スヘキ成規又ハ慣例アル時ハ領事之ヲ保管スヘシ
第十二條 領事ハ日本臣民ニ旅券ヲ付與シ及其旅券ヲ査證スルコトヲ得
領事ハ日本ニ旅行セントスル外國人ノ倚賴ニ依リ其旅券ノ査證ヲ爲スコトヲ得
第十三條 領事ハ日本船舶及日本ニ航行スル外國船舶ニ對シ其船長ノ倚賴ニ依リ船舶健康證書ヲ付與スルコトヲ得
第十四條 領事ハ駐在國ノ官廳ヨリ發セル證書ノ署名捺印ヲ證明スルコトヲ得
第十五條 領事ハ駐在國ニ於テ日本船舶ノ海員脫走シタルトキハ船長ノ申出ニ依リ其復役ヲ强制スル爲メ駐在國ノ官廳ニ照會スルコトヲ得
第十六條 日本船舶ノ船長疾病、死亡其他ノ事故ニ由リ船舶ノ指揮運轉ニ差支ヲ生シタルトキハ領事ハ其船舶關係人ノ申出ニ依リ假ニ船長ヲ選定スルコトヲ得
第十七條 條約若クハ慣例ニ從ヒ領事裁判權ヲ行フヘキ國ニ駐在スル領事ハ裁判權ヲ行フヘシ
第十八條 領事ハ日本臣民相互ノ間若クハ日本臣民ト外國人トノ間ニ生シタル民事上ノ爭論ニ關シ勸解ノ倚賴ヲ受ケタルトキハ之ヲ勸解スルコトヲ得
第十九條 領事ハ駐在國ノ法律規則及慣例ニ矛盾セサル限リハ日本臣民及日本船舶ニ對シ取締ヲ爲スコトヲ得
第二十條 領事ハ職務上必要アルトキハ日本軍艦ニ幇助ヲ要求スルコトヲ得
第二十一條 領事ハ此規則ニ揭クル領事手數料及出張入費表目ニ據リ手數料及出張入費ヲ徵收スヘシ但別ニ法律規則ノ明文アル事項ニ付テハ其規定ニ從フヘシ
第二十二條 表目第一第二ノ手數料ハ其關係者無資力ナル場合ニ於テハ之ヲ免除スルコトヲ得
第三ノ手數料ハ遺留財產ノ價額五拾圓未滿ナルトキハ之ヲ免除ス
第二十三條 領事ノ取扱ヲ願出タル後中途ニシテ之ヲ願下ルトキハ其手數料ノ半額ヲ徵收スヘシ
第二十四條 外國語ヲ以テ證明書ヲ付與シタルトキハ規定ノ手數料ニ十分ノ五ヲ增課スヘシ
飜譯ヲ要スルモノアルトキハ更ニ其實費ヲ拂ハシムヘシ
第二十五條 各地ノ法律規則又ハ慣例ニ依リ領事ノ證明又ハ取扱ヲ要スヘキ事項ニシテ表目中明文ナキモノニ付テハ其地ノ慣例ニ從ヒ五圓以內ノ手數料ヲ徵收スヘシ
第二十六條 日本臣民ノ願出ニ依リ領事館所在地外ニ出張シテ事務ノ取扱ヲ要スルトキハ規定ノ手數料ノ外其出張入費ヲ出願人ヨリ拂ハシムヘシ
第二十七條 領事ノ裁判權執行ニ付テハ民事訴訟用印紙規則ヲ適用スヘシ
第二十八條 領事ハ其職務上ノ事項ニ付外務大臣ニ報吿スヘシ
第二十九條 領事ト本邦他官廳トノ往復文書ハ開封ニテ外務省ヲ經由スヘキモノトス但緊急ノ場合ニ於テ直接ノ通信ヲ爲シタルトキハ次便ヲ以テ其寫ヲ外務大臣ニ送達スヘシ
第三十條 此規則ニ於テ領事ト稱スルハ總領事領事又ハ其代理及ヒ委任狀ヲ有スル副領事又ハ其代理ヲ云フ