海軍軍人軍属違警罪処分例
法令番号: 法律第二十五號
公布年月日: 明治22年10月2日
法令の形式: 法律
朕海軍軍人軍屬違警罪處分例制定ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年十月一日
內閣總理大臣 伯爵 黑田淸隆
海軍大臣 伯爵 西鄕從道
法律第二十五號
海軍軍人軍屬違警罪處分例
第一條 海軍軍人軍屬ノ犯シタル違警罪ハ違警罪卽決例ニ依リ憲兵部ニ於テ其處分ヲ爲シ憲兵設置ナキ地ニ於テハ警察署ニ於テ其處分ヲ爲ス可シ
第二條 憲兵部若クハ警察署ニ於テ被吿人ヲ留置シタルトキハ直チニ其所屬ノ長官若クハ艦船團長ニ通知ス可シ
第三條 卽決ノ言渡ニ對シテハ海軍常設軍法會議ニ正式ノ裁判ヲ請求スルコトヲ得其裁判管轄ハ海軍治罪法ニ從フ
第四條 正式ノ裁判ヲ請求スル者ハ違警罪卽決例第五條ニ記載シタル期限內ニ其理由ヲ記シタル書面ヲ卽決ノ言渡ヲ爲シタル憲兵部若クハ警察署ニ差出ス可シ
第五條 憲兵部若クハ警察署ニ於テ前條ノ書面ヲ受領シタルトキハ二十四時內ニ訴訟ニ關スル一切ノ書類ヲ管轄軍法會議ノ長官ニ送致ス可シ
第六條 海軍軍法會議ニ於テ被吿人ノ訊問ヲ要セサルモノト認ルトキハ書面ニ依リ其裁判ヲ爲スコトヲ得
第七條 卽決ノ言渡確定シ若クハ正式裁判ノ言渡ヲ爲シタルトキハ憲兵部警察署海軍軍法會議ヨリ被吿人所屬ノ長官若クハ艦船團長又ハ被吿人所在ノ地ノ軍法會議主理ニ其執行ヲ囑託スルコトヲ得
第八條 海軍軍法會議ノ裁判ニ對シテハ上訴ヲ爲スコトヲ得ス
朕海軍軍人軍属違警罪処分例制定ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年十月一日
内閣総理大臣 伯爵 黒田清隆
海軍大臣 伯爵 西郷従道
法律第二十五号
海軍軍人軍属違警罪処分例
第一条 海軍軍人軍属ノ犯シタル違警罪ハ違警罪即決例ニ依リ憲兵部ニ於テ其処分ヲ為シ憲兵設置ナキ地ニ於テハ警察署ニ於テ其処分ヲ為ス可シ
第二条 憲兵部若クハ警察署ニ於テ被告人ヲ留置シタルトキハ直チニ其所属ノ長官若クハ艦船団長ニ通知ス可シ
第三条 即決ノ言渡ニ対シテハ海軍常設軍法会議ニ正式ノ裁判ヲ請求スルコトヲ得其裁判管轄ハ海軍治罪法ニ従フ
第四条 正式ノ裁判ヲ請求スル者ハ違警罪即決例第五条ニ記載シタル期限内ニ其理由ヲ記シタル書面ヲ即決ノ言渡ヲ為シタル憲兵部若クハ警察署ニ差出ス可シ
第五条 憲兵部若クハ警察署ニ於テ前条ノ書面ヲ受領シタルトキハ二十四時内ニ訴訟ニ関スル一切ノ書類ヲ管轄軍法会議ノ長官ニ送致ス可シ
第六条 海軍軍法会議ニ於テ被告人ノ訊問ヲ要セサルモノト認ルトキハ書面ニ依リ其裁判ヲ為スコトヲ得
第七条 即決ノ言渡確定シ若クハ正式裁判ノ言渡ヲ為シタルトキハ憲兵部警察署海軍軍法会議ヨリ被告人所属ノ長官若クハ艦船団長又ハ被告人所在ノ地ノ軍法会議主理ニ其執行ヲ嘱託スルコトヲ得
第八条 海軍軍法会議ノ裁判ニ対シテハ上訴ヲ為スコトヲ得ス