(設立)
第五十条の二 外国法事務弁護士は、この章の定めるところにより、外国法事務弁護士法人を設立することができる。
(名称)
第五十条の三 外国法事務弁護士法人は、その名称中に外国法事務弁護士法人という文字を使用しなければならない。
(社員の資格)
第五十条の四 外国法事務弁護士法人の社員は、外国法事務弁護士でなければならない。
2 次に掲げる者は、社員となることができない。
一 第五十一条の規定により業務の停止の懲戒を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者
二 第五十一条の規定により外国法事務弁護士法人が除名され、又は外国法事務弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合において、その処分を受けた日以前三十日内にその社員であつた者でその処分を受けた日から三年(外国法事務弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合にあつては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの
(業務の範囲)
第五十条の五 外国法事務弁護士法人は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、外国法に関する法律事務を行うほか、定款で定めるところにより、法令等に基づき外国法事務弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができる。ただし、次に掲げる業務を行うことは、この限りでない。
一 第三条第一項第一号、第二号及び第四号から第六号までに掲げる法律事務
二 国内において効力を有し、又は有した法(外国において効力を有し、又は有した法に含まれる条約その他の国際法を除く。)の解釈又は適用についての鑑定その他の法的意見の表明
2 外国法事務弁護士法人は、前項に規定するもののほか、国際仲裁事件の手続についての代理を行うことができる。
(設立の手続)
第五十条の六 外国法事務弁護士法人を設立するには、その社員になろうとする外国法事務弁護士が、定款を定めなければならない。
2 弁護士法第三十条の八第二項及び第三項の規定は、外国法事務弁護士法人の定款について準用する。この場合において、同項第三号中「法律事務所」とあるのは「事務所」と、同項第五号中「住所」とあるのは「住所、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第二条第五号に規定する原資格国法、同条第九号に規定する指定法」と読み替えるものとする。
(弁護士会及び日本弁護士連合会への入会及び退会)
第五十条の七 外国法事務弁護士法人は、その成立の時に、主たる事務所の所在する地域の弁護士会(二個以上の弁護士会があるときは、当該外国法事務弁護士法人が定款に記載した弁護士会)及び日本弁護士連合会に入会するものとする。
2 第四十一条第一項及び弁護士法第三十六条の二第二項から第七項までの規定は、外国法事務弁護士法人について準用する。この場合において、同条第二項から第四項までの規定中「法律事務所」とあるのは「事務所」と、同条第二項中「の会員となる」とあるのは「に入会するものとする」と読み替えるものとする。
(業務の執行)
第五十条の八 外国法事務弁護士法人の社員は、定款で業務を執行しないものとされた場合を除き、次に掲げる業務を執行する。
一 当該社員の原資格国法に関する法律事務(第三条第一項各号に掲げる法律事務を除く。)
2 業務を執行する社員は、前項に規定するもののほか、指定を受け、かつ、第三十四条第一項の規定による指定法の付記を受けたときは、当該指定法に関する法律事務について業務を執行することができる。ただし、第三条第一項第一号、第二号及び第四号から第六号までに掲げる法律事務並びに当該指定法以外の法の解釈又は適用についての鑑定その他の法的意見の表明については、この限りでない。
3 業務を執行する社員は、前二項に規定するもののほか、第五条の二第一項各号に掲げる者の書面による助言を受けてするときは、特定外国法に関する法律事務について業務を執行することができる。ただし、第三条第一項第一号、第二号及び第四号から第六号までに掲げる法律事務並びに当該特定外国法以外の法の解釈又は適用についての鑑定その他の法的意見の表明については、この限りでない。
4 業務を執行する社員は、前三項の規定により執行することのできる業務であつても、第三条第二項各号に掲げるものについては、弁護士と共同し、又は弁護士の書面による助言を受けて行わなければならない。
(社員の資格の表示)
第五十条の九 外国法事務弁護士法人は、社員が業務を執行するに際しては、当該社員に、外国法事務弁護士の名称を用いさせ、かつ、その名称に原資格国の国名を付加させなければならない。
(事務所)
第五十条の十 外国法事務弁護士法人は、その事務所の名称中に当該外国法事務弁護士法人の名称を用いなければならない。
2 第四十五条第二項及び第四項の規定は外国法事務弁護士法人の事務所について、第四十九条の四の規定は外国法事務弁護士法人及びその事務所について、第四十九条の五の規定は外国法事務弁護士法人について準用する。この場合において、第四十五条第二項ただし書中「原資格国」とあるのは「社員の原資格国」と、「自己」とあるのは「当該社員」と、第四十九条の五中「外国法事務弁護士の事務所」とあるのは「外国法事務弁護士法人の主たる事務所」と、「弁護士法人にあつては」とあるのは「弁護士法人又は外国法事務弁護士法人にあつては」と、「限る。以下この条において同じ」とあるのは「限る」と、「事務所の」とあるのは「事務所(弁護士法人にあつては、その主たる事務所に限る。)の」と読み替えるものとする。
(業務の範囲を超える法律事務の取扱いについての雇用関係に基づく業務上の命令の禁止等)
第五十条の十一 外国法事務弁護士法人は、自己の業務の範囲を超える法律事務の取扱いについて、その雇用する弁護士又は外国法事務弁護士に対し、雇用関係に基づく業務上の命令をしてはならない。
2 前項の規定に違反してされた命令を受けて、使用者である外国法事務弁護士法人が自己の業務の範囲を超える法律事務を行うことに関与した弁護士又は外国法事務弁護士は、これが雇用関係に基づく業務上の命令に従つたものであることを理由として、懲戒その他の責任を免れることができない。
3 外国法事務弁護士法人は、第一項に規定するもののほか、その雇用する弁護士又は外国法事務弁護士が自ら行う法律事務であつて当該使用者である外国法事務弁護士法人の業務の範囲を超える法律事務に当たるものの取扱いについて、不当な関与をしてはならない。
4 外国法事務弁護士法人の社員は、当該外国法事務弁護士法人が雇用する弁護士又は外国法事務弁護士が自ら行う法律事務であつて当該社員の権限外法律事務に当たるものの取扱いについて、不当な関与をしてはならない。
(外国法共同事業における不当関与の禁止)
第五十条の十二 外国法共同事業を営む外国法事務弁護士法人は、当該外国法共同事業に係る弁護士又は弁護士法人が自ら行う法律事務であつて当該外国法事務弁護士法人の業務の範囲を超える法律事務に当たるものの取扱いについて、不当な関与をしてはならない。
2 外国法共同事業を営む外国法事務弁護士法人の社員は、当該外国法共同事業に係る弁護士又は弁護士法人が自ら行う法律事務であつて当該社員の権限外法律事務に当たるものの取扱いについて、不当な関与をしてはならない。
(外国法事務弁護士の義務の規定及び弁護士法の準用等)
第五十条の十三 第四十二条並びに第四十九条の三第一項、第三項、第五項及び第七項の規定は、外国法事務弁護士法人について準用する。
2 弁護士法第一条、第二十一条、第二十三条の二、第二十四条、第二十七条から第二十九条まで、第三十条の七、第三十条の九から第三十条の十一まで、第三十条の十三から第三十条の十六まで、第三十条の十七本文、第三十条の十八から第三十条の二十まで及び第三十条の二十二から第三十条の三十までの規定は、外国法事務弁護士法人について準用する。この場合において、同法第二十一条、第三十条の九、第三十条の十七本文、第三十条の二十六の三及び第三十条の二十七第二項中「法律事務所」とあるのは「事務所」と、同法第三十条の十八第四号及び第三十条の二十中「社員等」とあるのは「社員又は使用人である外国法事務弁護士」と、同法第三十条の二十二第五号中「第十一条」とあるのは「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第二十九条」と、同条第六号中「第五十七条第一項第二号」とあるのは「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第五十二条第一項第二号」と、「第十三条第一項」とあるのは「同法第三十条第二項」と、同法第三十条の二十三第一項第六号中「第五十六条又は第六十条」とあるのは「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第五十一条」と、同法第三十条の二十六第一項中「弁護士で」とあるのは「弁護士又は外国法事務弁護士で」と読み替えるものとする。
3 弁護士法第七十二条及び第七十四条第二項の規定は、外国法事務弁護士法人には適用しない。