消費者安全法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第七十七号
公布年月日: 平成24年9月5日
法令の形式: 法律
消費者安全法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十四年九月五日
内閣総理大臣 野田佳彦
法律第七十七号
消費者安全法の一部を改正する法律
(消費者安全法の一部改正)
第一条 消費者安全法(平成二十一年法律第五十号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五章 消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置(第十五条―第二十二条)」を
第五章
消費者安全調査委員会による消費者事故等の調査等
第一節
消費者安全調査委員会(第十五条―第二十二条)
第二節
事故等原因調査等(第二十三条―第三十一条)
第三節
勧告及び意見の陳述(第三十二条・第三十三条)
第四節
雑則(第三十四条―第三十七条)
第六章
消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置(第三十八条―第四十五条)
に、「第六章」を「第七章」に、「(第二十三条―第二十六条)」を「(第四十六条―第四十九条)」に、「第七章」を「第八章」に、「(第二十七条―第三十条)」を「(第五十条―第五十五条)」に改める。
第一条中「集約等」の下に「、消費者安全調査委員会による消費者事故等の調査等の実施」を加える。
第二条第六項第一号中「前項第一号」を「第五項第一号」に改め、同項第二号中「前項第二号」を「第五項第二号」に改め、同項を同条第七項とし、同条第五項の次に次の一項を加える。
6 この法律において「生命身体事故等」とは、前項第一号に掲げる事故及び同項第二号に掲げる事態をいう。
第六条第四項中「及び消費者委員会」を「並びに消費者委員会及び消費者安全調査委員会」に改める。
第七条第二項及び第三項中「消費者委員会」の下に「及び消費者安全調査委員会」を加える。
第十四条第一項中「関係者」の下に「(第三十五条において「関係行政機関の長等」という。)」を加える。
第三十条第一号中「第二十七条及び第二十八条」を「第五十条及び第五十一条」に改め、同条第二号中「前条」を「前二条」に、「同条」を「各本条」に改め、同条を第五十五条とする。
第二十九条中「第二十二条第一項」を「第四十五条第一項」に改め、同条を第五十三条とし、同条の次に次の一条を加える。
第五十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第二十三条第二項第一号若しくは第三項又は第二十七条第四項の規定による報告の徴取に対して虚偽の報告をした者
二 第二十三条第二項第二号若しくは第三項若しくは第二十七条第二項若しくは第四項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はこれらの規定による質問に対して虚偽の陳述をした者
三 第二十三条第二項第三号若しくは第三項又は第二十七条第四項の規定による質問に対して虚偽の陳述をした者
四 第二十三条第二項第四号若しくは第三項又は第二十七条第四項の規定による処分に違反して物件を提出しない者
五 第二十三条第二項第五号若しくは第三項又は第二十七条第四項の規定による処分に違反して物件を保全せず、又は移動した者
第二十八条中「第十七条第二項」を「第四十条第二項」に改め、同条を第五十一条とし、同条の次に次の一条を加える。
第五十二条 第二十五条第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二十七条第一号中「第十八条第一項」を「第四十一条第一項」に改め、同条第二号中「第十九条」を「第四十二条」に改め、同条を第五十条とする。
第七章を第八章とする。
第六章中第二十六条を第四十九条とし、第二十三条から第二十五条までを二十三条ずつ繰り下げる。
第六章を第七章とする。
第五章中第二十二条を第四十五条とし、第十七条から第二十一条までを二十三条ずつ繰り下げる。
第十六条第一項中「又は第二項」を「若しくは第二項又は第二十九条第一項若しくは第二項」に改め、同条を第三十九条とする。
第十五条第一項中「又は第二項」を「若しくは第二項又は第二十九条第一項若しくは第二項」に改め、同条を第三十八条とする。
第五章を第六章とし、第四章の次に次の一章を加える。
第五章 消費者安全調査委員会による消費者事故等の調査等
第一節 消費者安全調査委員会
(調査委員会の設置)
第十五条 消費者庁に、消費者安全調査委員会(以下「調査委員会」という。)を置く。
(所掌事務)
第十六条 調査委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 生命身体事故等(運輸安全委員会設置法(昭和四十八年法律第百十三号)第二条第二項に規定する航空事故等、同条第四項に規定する鉄道事故等及び同条第六項に規定する船舶事故等を除く。第四号及び第三十三条を除き、以下同じ。)の原因及び生命身体事故等による被害の原因(以下「事故等原因」と総称する。)を究明するための調査(以下「事故等原因調査」という。)を行うこと。
二 生命身体事故等について、他の行政機関(運輸安全委員会を除く。)による調査若しくは検査又は法律(法律に基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定による地方公共団体の調査若しくは検査(法律の規定によりこれらの調査又は検査の全部又は一部を行うこととされている他の者がある場合においては、その者が行う調査又は検査を含む。以下「他の行政機関等による調査等」という。)の結果について事故等原因を究明しているかどうかについての評価(以下単に「評価」という。)を行うこと。
三 事故等原因調査又は他の行政機関等による調査等の結果の評価(以下「事故等原因調査等」という。)の結果に基づき、生命身体事故等による被害の拡大又は当該生命身体事故等と同種若しくは類似の生命身体事故等の発生の防止のため講ずべき施策又は措置について内閣総理大臣に対し勧告すること。
四 生命身体事故等による被害の拡大又は当該生命身体事故等と同種若しくは類似の生命身体事故等の発生の防止のため講ずべき施策又は措置について内閣総理大臣又は関係行政機関の長に意見を述べること。
五 前各号に掲げる事務を行うために必要な基礎的な調査及び研究を行うこと。
六 前各号に掲げるもののほか、法律に基づき調査委員会に属させられた事務
(職権の行使)
第十七条 調査委員会の委員は、独立してその職権を行う。
(組織)
第十八条 調査委員会は、委員七人以内で組織する。
2 調査委員会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
3 調査委員会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。
(委員等の任命)
第十九条 委員及び臨時委員は、調査委員会の所掌事務の遂行につき科学的かつ公正な判断を行うことができると認められる者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
2 専門委員は、当該専門の事項に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
(委員の任期等)
第二十条 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 臨時委員は、その者の任命に係る当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
4 専門委員は、その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。
5 委員、臨時委員及び専門委員は、非常勤とする。
(委員長)
第二十一条 調査委員会に委員長を置き、委員の互選により選任する。
2 委員長は、調査委員会の会務を総理し、調査委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
(職務従事の制限)
第二十二条 調査委員会は、委員長、委員、臨時委員又は専門委員が事故等原因調査等の対象となる生命身体事故等に係る事故等原因に関係があるおそれのある者であると認めるとき、又はその者と密接な関係を有すると認めるときは、当該委員長、委員、臨時委員又は専門委員を当該事故等原因調査等に従事させてはならない。
2 前項の委員長、委員又は臨時委員は、当該事故等原因調査等に関する調査委員会の会議に出席することができない。
第二節 事故等原因調査等
(事故等原因調査)
第二十三条 調査委員会は、生命身体事故等が発生した場合において、生命身体被害の発生又は拡大の防止(生命身体事故等による被害の拡大又は当該生命身体事故等と同種若しくは類似の生命身体事故等の発生の防止をいう。以下同じ。)を図るため当該生命身体事故等に係る事故等原因を究明することが必要であると認めるときは、事故等原因調査を行うものとする。ただし、当該生命身体事故等について、消費者安全の確保の見地から必要な事故等原因を究明することができると思料する他の行政機関等による調査等の結果を得た場合又は得ることが見込まれる場合においては、この限りでない。
2 調査委員会は、事故等原因調査を行うため必要な限度において、次に掲げる処分をすることができる。
一 事故等原因に関係があると認められる者(次号及び第三十条において「原因関係者」という。)、生命身体事故等に際し人命の救助に当たった者その他の生命身体事故等の関係者(以下「生命身体事故等関係者」という。)から報告を徴すること。
二 生命身体事故等の現場、原因関係者の事務所その他の必要と認める場所に立ち入って、商品等、帳簿、書類その他の生命身体事故等に関係のある物件(以下「関係物件」という。)を検査し、又は生命身体事故等関係者に質問すること。
三 生命身体事故等関係者に出頭を求めて質問すること。
四 関係物件の所有者、所持者若しくは保管者に対しその提出を求め、又は提出物件を留め置くこと。
五 関係物件の所有者、所持者若しくは保管者に対しその保全を命じ、又はその移動を禁止すること。
六 生命身体事故等の現場に、公務により立ち入る者及び調査委員会が支障がないと認める者以外の者が立ち入ることを禁止すること。
3 調査委員会は、必要があると認めるときは、委員長、委員又は専門委員に前項各号に掲げる処分をさせることができる。
4 前項の規定により第二項第二号に掲げる処分をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、生命身体事故等関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
5 第二項又は第三項の規定による処分の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(他の行政機関等による調査等の結果の評価等)
第二十四条 調査委員会は、生命身体事故等が発生した場合において、生命身体被害の発生又は拡大の防止を図るため当該生命身体事故等に係る事故等原因を究明することが必要であると認める場合において、前条第一項ただし書に規定する他の行政機関等による調査等の結果を得たときは、その評価を行うものとする。
2 調査委員会は、前項の評価の結果、消費者安全の確保の見地から必要があると認めるときは、当該他の行政機関等による調査等に関する事務を所掌する行政機関の長に対し、当該生命身体事故等に係る事故等原因の究明に関し意見を述べることができる。
3 調査委員会は、第一項の評価の結果、更に調査委員会が消費者安全の確保の見地から当該生命身体事故等に係る事故等原因を究明するために調査を行う必要があると認めるときは、事故等原因調査を行うものとする。
4 第一項の他の行政機関等による調査等に関する事務を所掌する行政機関の長は、当該他の行政機関等による調査等に関して調査委員会の意見を聴くことができる。
(調査等の委託)
第二十五条 調査委員会は、事故等原因調査等を行うため必要があると認めるときは、当該事故等原因調査等に係る調査又は研究の実施に関する事務の一部を、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人、一般社団法人若しくは一般財団法人、事業者その他の民間の団体又は学識経験を有する者に委託することができる。
2 前項の規定により事務の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、当該委託に係る事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
3 第一項の規定により事務の委託を受けた者又はその役員若しくは職員であって当該委託に係る事務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(生命身体事故等の発生に関する情報の報告)
第二十六条 内閣総理大臣は、第十二条第一項又は第二項の規定により生命身体事故等の発生に関する情報の通知を受けた場合その他生命身体事故等の発生に関する情報を得た場合においては、速やかに調査委員会にその旨を報告しなければならない。
(内閣総理大臣の援助)
第二十七条 調査委員会は、事故等原因調査を行うために必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、生命身体事故等についての事実の調査又は物件の収集の援助その他の必要な援助を求めることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による援助を求められた場合において、必要があると認めるときは、その職員に第二十三条第二項第二号に掲げる処分をさせることができる。
3 内閣総理大臣は、生命身体事故等が発生したことを知った場合において、必要があると認めるときは、生命身体事故等についての事実の調査、物件の収集その他の調査委員会が事故等原因調査を円滑に開始することができるための適切な措置をとらなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による措置をとるため必要があると認めるときは、その職員に第二十三条第二項各号に掲げる処分をさせることができる。
5 第二十三条第四項及び第五項の規定は、第二項又は前項の規定により職員が処分をする場合について準用する。
(事故等原因調査等の申出)
第二十八条 何人も、生命身体被害の発生又は拡大の防止を図るために事故等原因調査等が必要であると思料するときは、調査委員会に対し、その旨を申し出て、事故等原因調査等を行うよう求めることができる。この場合においては、内閣府令で定めるところにより、当該申出に係る生命身体事故等の内容及びこれに対する事故等原因調査等の必要性その他内閣府令で定める事項を記載した書面を添えなければならない。
2 調査委員会は、前項の規定による申出があったときは、必要な検討を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、事故等原因調査等を行わなければならない。
3 被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹(以下この項において「被害者等」という。)が第一項の規定により申出をした場合において、当該申出が、自ら負傷若しくは疾病を被り、又は配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹が死亡し若しくは負傷若しくは疾病を被った第二条第七項第一号に掲げる事故に該当するものに係るものであるときは、調査委員会は、事故等原因調査等を行うこととしたときはその旨を、行わないこととしたときはその旨及びその理由を、速やかに、当該被害者等に通知しなければならない。
(申出を受けた場合における通知)
第二十九条 調査委員会は、前条第一項の規定による申出により重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、内閣府令で定めるところにより、その旨及び当該重大事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。
2 調査委員会は、前条第一項の規定による申出により生命身体事故等(重大事故等を除く。)が発生した旨の情報を得た場合であって、当該生命身体事故等の態様、当該生命身体事故等に係る商品等又は役務の特性その他当該生命身体事故等に関する状況に照らし、当該生命身体事故等による被害が拡大し、又は当該生命身体事故等と同種若しくは類似の生命身体事故等が発生するおそれがあると認めるときは、内閣総理大臣に対し、内閣府令で定めるところにより、当該生命身体事故等が発生した旨及び当該生命身体事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知するものとする。
3 前二項の規定は、調査委員会が、第十二条第一項又は第二項の規定による通知をしなければならないこととされている者から前条第一項の規定による申出を受けた場合には、適用しない。
(原因関係者の意見の聴取)
第三十条 調査委員会は、事故等原因調査を完了する前に、原因関係者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(報告書等)
第三十一条 調査委員会は、事故等原因調査を完了したときは、当該生命身体事故等に関する次の事項を記載した報告書を作成し、これを内閣総理大臣に提出するとともに、公表しなければならない。
一 事故等原因調査の経過
二 認定した事実
三 事実を認定した理由
四 事故等原因
五 その他必要な事項
2 調査委員会は、前項の報告書を作成するに当たり、少数意見があるときは、当該報告書にこれを付記するものとする。
3 調査委員会は、事故等原因調査を完了する前においても、当該事故等原因調査を開始した日から一年以内に事故等原因調査を完了することが困難であると見込まれる状況にあることその他の事由により必要があると認めるときは、事故等原因調査の経過について、内閣総理大臣に報告するとともに、公表するものとする。
第三節 勧告及び意見の陳述
(内閣総理大臣に対する勧告)
第三十二条 調査委員会は、事故等原因調査等を完了した場合において、必要があると認めるときは、その結果に基づき、内閣総理大臣に対し、生命身体被害の発生又は拡大の防止のため講ずべき施策又は措置について勧告することができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による勧告に基づき講じた施策又は措置について調査委員会に通報しなければならない。
(意見の陳述)
第三十三条 調査委員会は、消費者安全の確保の見地から必要があると認めるときは、生命身体事故等による被害の拡大又は当該生命身体事故等と同種若しくは類似の生命身体事故等の発生の防止のため講ずべき施策又は措置について内閣総理大臣又は関係行政機関の長に意見を述べることができる。
第四節 雑則
(情報の提供)
第三十四条 調査委員会は、事故等原因調査等の実施に当たっては、被害者及びその家族又は遺族の心情に十分配慮し、これらの者に対し、当該事故等原因調査等に関する情報を、適時に、かつ、適切な方法で提供するものとする。
(関係行政機関等の協力)
第三十五条 調査委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長等に対し、資料の提供、意見の表明、事故等原因の究明のために必要な分析又は検査の実施その他必要な協力を求めることができる。
(政令への委任)
第三十六条 この法律に定めるもののほか、調査委員会に関し必要な事項は、政令で定める。
(不利益取扱いの禁止)
第三十七条 何人も、第二十三条第二項若しくは第三項若しくは第二十七条第二項若しくは第四項の規定による処分に応ずる行為をしたこと又は第二十八条第一項の規定による申出をしたことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いを受けない。
第二条 消費者安全法の一部を次のように改正する。
第二条に次の一項を加える。
8 この法律において「多数消費者財産被害事態」とは、第五項第三号に掲げる事態のうち、同号に定める行為に係る取引であって次の各号のいずれかに該当するものが事業者により行われることにより、多数の消費者の財産に被害を生じ、又は生じさせるおそれのあるものをいう。
一 消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引であって、事業者が消費者に対して示す商品、役務、権利その他の取引の対象となるものの内容又は取引条件が実際のものと著しく異なるもの
二 前号に掲げる取引のほか、消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引であって、政令で定めるもの
第十四条第一項中「第三十五条」の下に「及び第三十八条第二項」を加える。
第三十八条の見出しを「(消費者への注意喚起等)」に改め、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 内閣総理大臣は、第十二条第一項若しくは第二項又は第二十九条第一項若しくは第二項の規定による通知を受けた場合その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために相当であると認めるときは、関係行政機関の長等に対し、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を提供することができる。
第四十条第一項から第三項までの規定中「重大消費者被害」を「重大生命身体被害」に改め、同条第五項中「第二項」の下に「若しくは第五項」を、「第三項」の下に「若しくは第六項」を加え、同項を同条第八項とし、同条第四項中「第二項」の下に「若しくは第五項」を、「又は」の下に「第三項若しくは」を加え、同項を同条第七項とし、同条第三項の次に次の三項を加える。
4 内閣総理大臣は、多数消費者財産被害事態が発生した場合(当該多数消費者財産被害事態による被害の拡大又は当該多数消費者財産被害事態と同種若しくは類似の多数消費者財産被害事態の発生(以下この条において「多数消費者財産被害事態による被害の発生又は拡大」という。)の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合を除く。)において、多数消費者財産被害事態による被害の発生又は拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、当該多数消費者財産被害事態を発生させた事業者に対し、消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引の取りやめその他の必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。
5 内閣総理大臣は、前項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、多数消費者財産被害事態による被害の発生又は拡大の防止を図るため特に必要があると認めるときは、当該事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
6 内閣総理大臣は、多数消費者財産被害事態による被害の発生又は拡大の防止を図るために他の法律の規定に基づく措置が実施し得るに至ったことその他の事由により前項の命令の必要がなくなったと認めるときは、同項の規定による命令を変更し、又は取り消すものとする。
第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条中「重大消費者被害」を「重大生命身体被害」に改める。
第五十一条中「第四十条第二項」の下に「又は第五項」を加える。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十四年十月一日から施行する。ただし、第二条の規定は、平成二十五年四月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 第一条の規定による改正後の消費者安全法の規定は、この法律の施行前に発生した生命身体事故等にも適用する。
(検討)
第三条 政府は、この法律(第二条の規定については、当該規定。以下この条において同じ。)の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(地方自治法の一部改正)
第四条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
別表第一消費者安全法(平成二十一年法律第五十号)の項中「第二十三条第二項」を「第四十六条第二項」に改める。
(消費者庁及び消費者委員会設置法の一部改正)
第五条 消費者庁及び消費者委員会設置法(平成二十一年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二節 消費者庁の任務及び所掌事務等(第三条―第五条)」を
第二節
消費者庁の任務及び所掌事務等(第三条―第五条)
第三節
審議会等(第五条の二)
に改める。
第二章に次の一節を加える。
第三節 審議会等
第五条の二 別に法律で定めるところにより消費者庁に置かれる審議会等は、消費者安全調査委員会とし、消費者安全法(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
第六条第二項第三号及び第四号中「第二十条」を「第四十三条」に改める。
内閣総理大臣 野田佳彦
総務大臣 川端達夫