災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第100号
公布年月日: 平成23年8月30日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

東日本大震災の被災者が直面する二重ローン問題に対応するため、被災者生活再建支援法に基づく支援金(最高300万円)、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく弔慰金(最高500万円)・見舞金、及び義援金について、債権者による差押えを禁止する必要がある。これらの金銭は被災者の生活再建のであり、銀行等の債権者が債権回収のために差し押さえることは制度の趣旨に反する。そこで、これらの受給権を差押禁止債権とし、実際に支払われた金銭も差押禁止動産とすることで、被災者の生活再建を支援する。また、地方公共団体による同趣旨の給付金等についても、差押禁止の措置を検討する。

参照した発言:
第177回国会 参議院 災害対策特別委員会 第12号

審議経過

第177回国会

参議院
(平成23年8月10日)
衆議院
(平成23年8月23日)
災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十三年八月三十日
内閣総理大臣 菅直人
法律第百号
災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律
(災害弔慰金の支給等に関する法律の一部改正)
第一条 災害弔慰金の支給等に関する法律(昭和四十八年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。
第五条の次に次の一条を加える。
(譲渡等の禁止)
第五条の二 災害弔慰金の支給を受けることとなつた者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
2 災害弔慰金として支給を受けた金銭は、差し押さえることができない。
(被災者生活再建支援法の一部改正)
第二条 被災者生活再建支援法(平成十年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二十一条・」を「第二十条の二-」に改める。
第五章中第二十一条の前に次の一条を加える。
(譲渡等の禁止)
第二十条の二 支援金の支給を受けることとなった者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
2 支援金として支給を受けた金銭は、差し押さえることができない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(災害弔慰金の支給等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
2 第一条の規定による改正後の災害弔慰金の支給等に関する法律第五条の二(同法第九条において準用する場合を含む。)の規定は、平成二十三年三月十一日以後に生じた災害に係る災害弔慰金及び災害障害見舞金について適用する。ただし、この法律による改正前の規定により生じた効力を妨げない。
(被災者生活再建支援法の一部改正に伴う経過措置)
3 第二条の規定による改正後の被災者生活再建支援法第二十条の二の規定は、平成二十三年三月十一日以後に生じた自然災害により被災世帯となった世帯の世帯主に対して支給する被災者生活再建支援金について適用する。ただし、この法律による改正前の規定により生じた効力を妨げない。
(検討)
4 地方公共団体が自然災害に際して行う金銭の給付であって、災害弔慰金若しくは災害障害見舞金又は被災者生活再建支援金に類するものに係る差押えの禁止等については、速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
5 国又は地方公共団体が、災害等に際して危険を顧みることなく職務を遂行したことにより死亡し、又は障害の状態となった者について行う金銭の給付に係る差押えの禁止等については、速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
内閣総理大臣 菅直人
法務大臣 江田五月
厚生労働大臣 細川律夫