第一条 障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「第十一条」を「第十三条」に、
「
第二章 |
障害者の福祉に関する基本的施策(第十二条―第二十二条) |
第三章 |
障害の予防に関する基本的施策(第二十三条) |
」を
「
第二章 |
障害者の自立及び社会参加の支援等のための基本的施策(第十四条―第三十条) |
第三章 |
障害の原因となる傷病の予防に関する基本的施策(第三十一条) |
」に、「(第二十四条―第二十六条)」を「(第三十二条―第三十四条)」に改める。
第一条中「法律は」の下に「、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため」を加え、「基本的理念」を「基本原則」に、「推進し、もつて障害者の福祉を増進する」を「推進する」に改める。
第二条及び第三条を次のように改める。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
二 社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(地域社会における共生等)
第三条 第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。
一 全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。
二 全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。
三 全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。
第二十六条第二項第一号中「第九条第五項」を「第十一条第五項」に改め、同条第五項中「第九条第五項」を「第十一条第五項」に、「第九条第六項」を「第十一条第六項」に改め、同条を第三十四条とする。
第二十四条中「第九条第四項」を「第十一条第四項」に改め、同条を第三十二条とする。
第二十三条第一項中「及び予防」を「となる傷病及びその予防」に改め、同条第二項中「予防」を「原因となる傷病の予防」に、「障害の原因となる」を「当該」に改め、同条第三項中「かんがみ」を「鑑み」に、「に起因する障害があるため継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」を「に係る障害者」に改め、第三章中同条を第三十一条とする。
第三章の章名を次のように改める。
第三章 障害の原因となる傷病の予防に関する基本的施策
第二十二条中「の文化的意欲を満たし、若しくは障害者に文化的意欲を起こさせ、又は障害者が自主的かつ積極的にレクリエーションの活動をし、若しくはスポーツ」を「が円滑に文化芸術活動、スポーツ又はレクリエーション」に、「、文化」を「、文化芸術」に改め、第二章中同条を第二十五条とし、同条の次に次の五条を加える。
(防災及び防犯)
第二十六条 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない。
(消費者としての障害者の保護)
第二十七条 国及び地方公共団体は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供その他必要な施策を講じなければならない。
2 事業者は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供等に努めなければならない。
(選挙等における配慮)
第二十八条 国及び地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票において、障害者が円滑に投票できるようにするため、投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならない。
(司法手続における配慮等)
第二十九条 国又は地方公共団体は、障害者が、刑事事件若しくは少年の保護事件に関する手続その他これに準ずる手続の対象となつた場合又は裁判所における民事事件、家事事件若しくは行政事件に関する手続の当事者その他の関係人となつた場合において、障害者がその権利を円滑に行使できるようにするため、個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮するとともに、関係職員に対する研修その他必要な施策を講じなければならない。
(国際協力)
第三十条 国は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を国際的協調の下に推進するため、外国政府、国際機関又は関係団体等との情報の交換その他必要な施策を講ずるように努めるものとする。
第二十条中「地方公共団体は」の下に「、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ」を加え、「に関する」を「及びその家族その他の関係者に対する」に改め、同条に次の一項を加える。
2 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に総合的に応ずることができるようにするため、関係機関相互の有機的連携の下に必要な相談体制の整備を図るとともに、障害者の家族に対し、障害者の家族が互いに支え合うための活動の支援その他の支援を適切に行うものとする。
第十九条の見出し中「バリアフリー化」を「バリアフリー化等」に改め、同条第一項中「利用し、及びその意思を表示できる」を「取得し及び利用し、その意思を表示し、並びに他人との意思疎通を図ることができる」に改め、「整備」の下に「、障害者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣」を加え、同条第二項中「地方公共団体は」の下に「、災害その他非常の事態の場合に障害者に対しその安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ずるものとするほか」を加え、同条第三項中「、社会連帯の理念に基づき」を削り、同条を第二十二条とする。
第十八条第一項中「交通施設」の下に「(車両、船舶、航空機等の移動施設を含む。次項において同じ。)」を加え、同条第二項中「、社会連帯の理念に基づき」を削り、同条を第二十一条とする。
第十七条中「の生活の安定を図る」を「が地域社会において安定した生活を営むことができるようにする」に改め、同条を第二十条とする。
第十六条第一項中「地方公共団体は、」の下に「国及び地方公共団体並びに事業者における」を加え、「障害者に適した職種又は職域について」を削り、「優先雇用」の下に「その他」を加え、同条第二項中「、社会連帯の理念に基づき」を削り、「場を与えるとともに」を「機会を確保するとともに、個々の障害者の特性に応じた」に改め、同条を第十九条とする。
第十五条第一項中「その障害の状態」を「障害者の多様な就業の機会を確保するよう努めるとともに、個々の障害者の特性」に改め、同条第二項中「に適した職種及び職域」を「の多様な就業の機会の確保を図るため、前項に規定する施策」に改め、同条第三項中「地域」を「地域社会」に改め、同条を第十八条とする。
第十四条第一項中「、能力及び障害の状態に応じ、」を「及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた」に改め、「ため」の下に「、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ」を加え、同条第二項を次のように改める。
2 国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない。
第十四条第三項中「障害のある」を「障害者である」に、「障害のない」を「障害者でない」に改め、同条に次の一項を加える。
4 国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促進しなければならない。
第十四条を第十六条とし、同条の次に次の一条を加える。
(療育)
第十七条 国及び地方公共団体は、障害者である子どもが可能な限りその身近な場所において療育その他これに関連する支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。
2 国及び地方公共団体は、療育に関し、研究、開発及び普及の促進、専門的知識又は技能を有する職員の育成その他の環境の整備を促進しなければならない。
第十二条第三項中「その年齢及び障害の状態」を「、その性別、年齢、障害の状態及び生活の実態」に改め、「介護」の下に「、保健」を加え、同条第六項を同条第七項とし、同条第五項中「日常生活」の下に「及び社会生活」を加え、同項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。
5 国及び地方公共団体は、医療若しくは介護の給付又はリハビリテーションの提供を行うに当たつては、障害者が、可能な限りその身近な場所においてこれらを受けられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、その人権を十分に尊重しなければならない。
第二章の章名を次のように改める。
第二章 障害者の自立及び社会参加の支援等のための基本的施策
第一章中第十一条を第十三条とし、第十条を第十二条とする。
第九条第一項中「福祉に関する施策及び障害の予防に関する」を「自立及び社会参加の支援等のための」に改め、同条を第十一条とする。
第八条第一項中「福祉に関する」を「自立及び社会参加の支援等のための」に、「年齢及び障害の状態」を「性別、年齢、障害の状態及び生活の実態」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を講ずるに当たつては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。
第七条第一項中「障害者の福祉についての」を「基本原則に関する」に、「積極的に参加する意欲を高める」を「参加することを促進する」に改め、同条第三項中「地方公共団体は」の下に「、障害者の自立及び社会参加の支援等に関する活動を行う民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら」を加え、同条を第九条とする。
第六条第一項中「社会連帯の理念に基づき、障害者の福祉の増進に協力するよう」を「基本原則にのつとり、第一条に規定する社会の実現に寄与するよう」に改め、同条第二項を削り、同条を第八条とする。
第五条中「国民が障害者について正しい」を「基本原則に関する国民の」に改め、同条を第七条とする。
第四条中「障害者の権利の擁護及び障害者に対する差別の防止を図りつつ」を「第一条に規定する社会の実現を図るため、前三条に定める基本原則(以下「基本原則」という。)にのつとり、」に、「を支援すること等により、障害者の福祉を増進する」を「の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する」に改め、同条を第六条とする。
第三条の次に次の二条を加える。
(差別の禁止)
第四条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。
3 国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。
(国際的協調)
第五条 第一条に規定する社会の実現は、そのための施策が国際社会における取組と密接な関係を有していることに鑑み、国際的協調の下に図られなければならない。