現行法では犯罪被害財産の没収・追徴を禁止し被害者の損害賠償請求権を優先しているが、被害者が十分に請求権を行使できない場合、犯人が不法な利益を保持してしまう事態が生じている。また、暴力団関係者による組織的なヤミ金融事案で、犯罪被害財産が外国の銀行に隠匿され、当該国により没収される事案が発生した。これらの状況を踏まえ、組織的犯罪や財産隠匿など被害者による損害賠償請求権の行使が困難な場合に限り没収・追徴を可能とし、その財産を被害回復給付金の支給に充てること、また外国との相互主義に基づく財産の譲与を可能とすることで、犯罪収益の剥奪と被害者保護の充実を図るものである。
参照した発言:
第164回国会 参議院 法務委員会 第11号