預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第175号
公布年月日: 平成14年12月18日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

金融機関における資金決済の安定確保は我が国経済において極めて重要である。そのため、金融機関の破綻時に全額保護される決済用預金を設けるとともに、仕掛かり中の決済の結了のための措置等を講じることにより、我が国の金融機能の一層の安定化を図ることとする。また、流動性預金の全額保護を平成17年3月末まで継続するため、本法律案を提出するものである。

参照した発言:
第155回国会 衆議院 本会議 第7号

審議経過

第155回国会

衆議院
(平成14年11月7日)
(平成14年11月8日)
(平成14年11月12日)
(平成14年11月13日)
(平成14年11月15日)
(平成14年11月19日)
(平成14年11月21日)
参議院
(平成14年11月22日)
(平成14年11月26日)
(平成14年11月28日)
(平成14年12月3日)
(平成14年12月5日)
(平成14年12月10日)
(平成14年12月11日)
預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十四年十二月十八日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第百七十五号
預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律
(預金保険法の一部改正)
第一条 預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五十八条の二」を「第五十八条の三」に、「第四章 預金等債権の買取り(第七十条―第七十三条」を
第三章の二
資金決済に関する債権者の保護(第六十九条の二―第六十九条の四)
第四章
預金等債権の買取り(第七十条―第七十三条)
に改める。
第一条中「保護」の下に「及び破綻金融機関に係る資金決済の確保」を加える。
第二条第十一項中「の規定」を「(同項の規定を第五十四条の二第二項において準用する場合を含む。)及び第五十四条の二第一項の規定(以下「保険金計算規定」という。)」に改める。
第十五条中「次章、第四章及び第六章から第八章までに規定する」を「この法律(第一章、第二章、第五章及び第九章を除く。)で別に定める」に改める。
第三十四条第三号の次に次の一号を加える。
三の二 第六十九条の三の規定による資金の貸付け
第三十四条第八号中「第百二十八条」の下に「において準用する第六十九条の三」を加える。
第五十一条の見出しを「(一般預金等に係る保険料の額)」に改め、同条第一項中「保険料の」を「預金等(決済用預金(次条第一項に規定する決済用預金をいう。次項において同じ。)以外の預金等に限るものとし、外貨預金その他政令で定める預金等を除く。以下「一般預金等」という。)に係る保険料の」に、「)における預金等(外貨預金その他の政令で定める預金等を除く。)」を「次条第一項において同じ。)における一般預金等」に改め、同条第二項中「費用」の下に「(決済用預金に係るものを除く。)」を加え、同条の次に次の一条を加える。
(決済用預金に係る保険料の額)
第五十一条の二 次に掲げる要件のすべてに該当する預金(外貨預金その他政令で定める預金を除く。以下「決済用預金」という。)に係る保険料の額は、各金融機関につき、当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の直前の営業年度の各日における決済用預金の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、機構が委員会の議決を経て定める率を乗じて計算した金額とする。
一 その契約又は取引慣行に基づき第六十九条の二第一項に規定する政令で定める取引に用いることができるものであること。
二 その預金者がその払戻しをいつでも請求することができるものであること。
三 利息が付されていないものであること。
2 前条第二項から第五項までの規定は、前項に規定する率について準用する。この場合において、同条第二項中「係るものを除く。」とあるのは「係るものに限る。」と読み替えるものとする。
第五十四条の見出しを「(一般預金等に係る保険金の額等)」に改め、同条第一項中「保険金」を「一般預金等(他人の名義をもつて有するものその他の政令で定める一般預金等を除く。以下「支払対象一般預金等」という。)に係る保険金」に、「預金等(外貨預金その他の政令で定める預金等を除く。以下この条、次条、第五十八条及び第五十八条の二において同じ。)」を「支払対象一般預金等」に、「(同条第四項の仮払金の支払又は第百二十七条第一項の貸付けに係る預金等の払戻しにより現に有しないこととなつたものを含む。)に限る。次項及び次条」を「に限るものとし、同条第四項の仮払金(支払対象一般預金等に係るものに限る。以下この条において同じ。)の支払又は第百二十七条において準用する第六十九条の三第一項の貸付けに係る支払対象一般預金等の払戻しにより現に有しないこととなつたものを含む。次項」に、「第二条第二項第五号に掲げる預金等」を「支払対象一般預金等のうち第二条第二項第五号に掲げるもの」に改め、同条第二項中「前項」を「支払対象一般預金等に係る保険金の額は、前項」に改め、「を保険金の額」を削り、同項各号中「預金等」を「支払対象一般預金等」に改め、同条第三項中「第百二十七条第一項の貸付けに係る預金等」を「第百二十七条において準用する第六十九条の三第一項の貸付けに係る支払対象一般預金等」に、「保険金」を「支払対象一般預金等に係る保険金」に、「同条第一項の貸付けに係る預金等」を「第百二十七条において準用する第六十九条の三第一項の貸付けに係る支払対象一般預金等」に改める。
第五十四条の二第一項中「、前条第一項から第三項までの規定」を「、保険金計算規定」に改め、同項第一号中「当該資産管理機関等の預金等に係る債権」を「当該資産管理機関等の支払対象預金等(支払対象一般預金等又は支払対象決済用預金をいう。以下同じ。)に係る債権(当該支払対象預金等を有する預金者等が第五十三条第一項の請求をした時において現に有するものに限るものとし、同条第四項の仮払金の支払又は第六十九条の三第一項(第百二十七条において準用する場合を含む。)の貸付けに係る支払対象預金等の払戻しにより現に有しないこととなつたものを含む。以下この条において同じ。)」に、「有する預金等」を「有する支払対象預金等」に、「個人別管理資産額相当預金等債権」を「個人別管理資産額相当支払対象預金等債権」に、「当該加入者等の預金等」を「当該加入者等の支払対象預金等」に、「前条第一項から第三項までの規定」を「保険金計算規定」に改め、同項第二号及び第三号中「預金等」を「支払対象預金等」に、「前条第一項から第三項までの規定」を「保険金計算規定」に改め、同条第二項中「前条第二項」を「第五十四条第二項」に改め、同項各号中「預金等に」を「支払対象預金等に」に、「個人別管理資産額相当預金等債権」を「個人別管理資産額相当支払対象預金等債権」に改め、同条第四項を次のように改める。
4 第一項の場合における第二条第十一項の規定の適用については、同項中「及び第五十四条の二第一項」とあるのは、「、第五十四条の二第一項並びに第五十四条の三第一項及び第二項」とする。
第五十四条の二第五項を削り、同条を第五十四条の三とし、第五十四条の次に次の一条を加える。
(決済用預金に係る保険金の額)
第五十四条の二 決済用預金(他人の名義をもつて有するものその他の政令で定める決済用預金を除く。以下「支払対象決済用預金」という。)に係る保険金の額は、一の保険事故が発生した金融機関の各預金者につき、その発生した日において現にその者が当該金融機関に対して有する支払対象決済用預金に係る債権(その者が第五十三条第一項の請求をした時において現に有するものに限るものとし、同条第四項の仮払金(支払対象決済用預金に係るものに限る。次項において同じ。)の支払又は第六十九条の三第一項(第百二十七条において準用する場合を含む。次項において同じ。)の貸付けに係る支払対象決済用預金の払戻しにより現に有しないこととなつたものを含む。)のうち元本の額(その額が同一人について二以上あるときは、その合計額)に相当する金額とする。
2 前条第三項の規定は、その有する支払対象決済用預金に関し保険事故に係る預金者が当該保険事故について第五十三条第四項の仮払金の支払を受けている場合又は第六十九条の三第一項の貸付けに係る支払対象決済用預金の払戻しを受けている場合について準用する。この場合において、前条第三項中「前二項の規定にかかわらず、これらの規定」とあるのは、「第五十四条の二第一項の規定にかかわらず、当該規定」と読み替えるものとする。
第五十八条第一項中「第五十四条第一項から第三項までの規定」を「保険金計算規定」に、「預金等」を「支払対象預金等」に改め、同条第二項及び第三項中「預金等」を「支払対象預金等」に改める。
第五十八条の二第一項中「預金等(」を「支払対象預金等(」に、「預金等の」を「支払対象預金等の」に改め、第三章第三節中同条の次に次の一条を加える。
(決済用預金に係る保険金の支払等のための措置)
第五十八条の三 金融機関は、保険事故が発生した場合における支払対象決済用預金に係る保険金の支払又はその払戻しの円滑の確保を図るため、電子情報処理組織の整備その他の内閣府令で定める措置を講じなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項に規定する措置が講ぜられていないと認めるときは、金融機関に対し、その必要の限度において、期限を付して当該措置を講ずるよう命ずることができる。
第五十九条第二項第三号中「第五十四条第一項から第三項までの規定」を「保険金計算規定」に改める。
第三章の次に次の一章を加える。
第三章の二 資金決済に関する債権者の保護
(決済債務の保護)
第六十九条の二 為替取引その他の金融機関が行う資金決済に係る取引として政令で定める取引に関し金融機関が負担する債務(外国通貨で支払が行われるものを除き、金融機関その他の金融業を営む者で政令で定める者以外の者の委託に起因するものその他政令で定めるものに限る。以下この章において「決済債務」という。)であつて、かつ、支払対象決済用預金の払戻しを行う場合に消滅するもの以外のもの(以下この項及び次条第一項において「特定決済債務」という。)については、これを支払対象決済用預金に係る債務と、特定決済債務に係る債権を支払対象決済用預金に係る債権と、特定決済債務に係る債権者を預金者と、特定決済債務の額を支払対象決済用預金の額と、特定決済債務の弁済を支払対象決済用預金の払戻しとそれぞれみなして、この法律の規定(第五十八条の二、この章及び第七十三条の規定並びに第百二十七条の規定及び当該規定に係る罰則を除く。)を適用する。この場合において、第五十一条の二第一項中「次に掲げる要件のすべてに該当する預金(外貨預金その他政令で定める預金を除く。以下「決済用預金」という。)に係る保険料」とあるのは「特定決済債務に係る保険料」と、第五十四条の二第一項中「決済用預金(他人の名義をもつて有するものその他の政令で定める決済用預金を除く。以下「支払対象決済用預金」という。)に係る保険金」とあるのは「特定決済債務に係る保険金」と、「のうち元本の額」とあるのは「の額」と、同条第二項中「その有する支払対象決済用預金」とあるのは「その有する特定決済債務に係る債権」と、第五十五条の二第四項中「預金等」とあるのは「特定決済債務」と、第五十八条の三第一項中「支払対象決済用預金」とあるのは「特定決済債務」とする。
2 決済債務が一般預金等の払戻しを行う場合に消滅するものであるときは、当該決済債務の額に相当する金額の当該一般預金等については、決済用預金とみなす。
(決済債務の弁済のための資金の貸付け)
第六十九条の三 機構は、次に掲げる者から決済債務の弁済(第五十四条の二第一項の規定及び同条第二項において準用する第五十四条第三項の規定により計算した保険金の額に対応する支払対象決済用預金又は特定決済債務につき行うものに限る。)のために必要とする資金の貸付けの申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、委員会の議決を経て、当該決済債務に係る第五十四条の二第一項の規定及び同条第二項において準用する第五十四条第三項の規定により計算した保険金の額の合計額に達するまでを限り、当該申込みに係る貸付けを行う旨の決定をすることができる。
一 第七十四条第一項又は第二項の規定により管理を命ずる処分を受けた金融機関
二 破産の宣告を受けた者(当該破産の宣告を受ける前において金融機関であつた者に限る。)
三 更生手続開始の決定を受けた破綻金融機関
四 会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第三十条第一項又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第二十二条第一項の規定による保全管理人による管理を命ずる処分を受けた破綻金融機関
五 民事再生法第六十四条第一項の規定による管財人による管理を命ずる処分を受けた破綻金融機関
六 民事再生法第七十九条第一項の規定による保全管理人による管理を命ずる処分を受けた破綻金融機関
七 商法第三百八十六条第一項(信用金庫法第六十二条、協同組合による金融事業に関する法律第六条の二第四項及び労働金庫法第六十六条において準用する場合を含む。次条において同じ。)の規定による商法第三百八十六条第一項第十一号の管理の命令を受けた破綻金融機関
八 特別清算開始の命令を受けた者(当該命令に係る解散をする前において金融機関であつた者に限る。)
2 第六十四条第三項の規定は前項の規定による決定をしたときについて、同条第四項の規定は前項の規定により貸付けを行う旨の決定をしたときについて、それぞれ準用する。この場合において、同条第三項中「を当事者とする合併等に係る」とあるのは、「に係る」と読み替えるものとする。
3 第一項の規定により次の各号に掲げる者に対してされた貸付けは、当該金融機関に係る破産手続、更生手続、再生手続、整理手続又は特別清算手続における機構以外の債権者との関係においては、当該各号に定める決定より前にされたものとみなす。
一 第一項第二号に掲げる者 当該破産宣告
二 第一項第三号に掲げる破綻金融機関 当該更生手続開始の決定
三 再生手続開始の決定を受けた破綻金融機関 当該再生手続開始の決定
四 整理開始の命令を受けた破綻金融機関 当該整理開始の命令
五 第一項第八号に掲げる者 当該特別清算開始の命令
4 第一項の決定に基づく資金の貸付けに要すると見込まれる費用は、第六十四条第二項の適用については、同項の資金援助に要すると見込まれる費用とみなす。
5 第一項第二号又は第八号に掲げる者は、同項の貸付けに係るこの法律の適用については、金融機関とみなす。
(決済債務に係る破産法等の特例)
第六十九条の四 決済債務を負担する金融機関及び決済債権者(当該決済債務に係る債権を有し、かつ、当該金融機関に対して他の決済債務を負担する他の金融機関(当該他の金融機関から当該決済債務に係る債権を取得し、又は当該他の決済債務を引き受けた者を含む。)をいう。以下この項において同じ。)が、相互に負担する決済債務を継続的に相殺することによりその全部又は一部を消滅させることを内容とする契約を当該金融機関に係る保険事故が発生する前に締結している場合において、当該契約の対象となる決済債務が当該金融機関に係る支払の停止等(支払の停止又は破産、更生手続開始、再生手続開始、整理開始若しくは特別清算開始の申立てをいう。以下この項において同じ。)より後に生じたときであつて当該金融機関に係る前条第一項(第百二十七条において準用する場合を含む。)の規定による貸付けを行う旨の決定があつたときは、当該決済債権者は、破産法第百四条(商法第四百三条第一項及び第四百五十六条第一項において準用する場合を含む。)、会社更生法第四十九条(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第三十五条第一項において準用する場合を含む。)及び民事再生法第九十三条の規定にかかわらず、その有する債権に係る当該金融機関が負担する次の各号に掲げる決済債務をその負担する当該各号に定める決済債務と相殺することができる。
一 当該支払の停止等より前に生じた決済債務 当該支払の停止等から当該支払の停止等に係る破産宣告、更生手続開始の決定、再生手続開始の決定、整理開始の命令若しくは特別清算開始の命令(以下この号において「破産宣告等」という。)までの間に生じた当該金融機関に対して負担する決済債務(当該支払の停止等より前に生じた原因に基づくものを除く。)又は当該破産宣告等より後に生じた当該金融機関に対して負担する決済債務
二 当該支払の停止等より後に生じた決済債務 当該金融機関に対して負担する決済債務
2 民法第六百五十三条の規定は、決済債務に係る当該金融機関が締結している委任契約については、適用しない。
3 商法第三百八十六条第一項の規定による同項第一号の処分を受けた破綻金融機関に対し前条第一項の規定による資金の貸付けを行う旨の決定があるときは、当該処分にかかわらず、裁判所は、当該破綻金融機関の申立てにより、同項に規定する決済債務の弁済を許可することができる。
4 特別清算開始の命令を受けた破綻金融機関に対し前条第一項の規定による資金の貸付けを行う旨の決定があるときは、商法第四百二十三条第一項及び第四百三十八条第一項の規定にかかわらず、裁判所は、当該破綻金融機関の申立てにより、前条第一項に規定する決済債務の弁済を許可することができる。
5 裁判所は、前二項の許可と同時に、弁済を行う決済債務の種類、弁済の限度額及び弁済をする期間(前項の場合においては、当該期間の末日は、商法第四百四十二条第一項において準用する同法第二百三十二条第一項本文の通知を行う日より前の日でなければならないものとする。)を定めなければならない。
6 裁判所は、前項の規定により、弁済を行う決済債務の種類、弁済の限度額及び弁済をする期間を定めるときは、あらかじめ、機構の意見を聴かなければならない。
第七十七条第五項中「(平成十四年法律第百五十四号)」を削る。
第百二十七条を次のように改める。
(預金等の払戻しのための資金の貸付け)
第百二十七条 第六十九条の三の規定は、同条第一項各号に掲げる者から支払対象預金等の払戻し(保険金計算規定により計算した保険金の額に対応する支払対象預金等につき行うものに限る。)のために必要とする資金の貸付けの申込みを受けた場合について準用する。この場合において、同項中「当該決済債務に係る第五十四条の二第一項の規定及び同条第二項において準用する第五十四条第三項の規定」とあるのは、「当該支払対象預金等に係る保険金計算規定」と読み替えるものとする。
第百二十七条の次に次の一条を加える。
(預金等の払戻しに関する商法の特例)
第百二十七条の二 第六十九条の四第三項から第六項までの規定は、前条において準用する第六十九条の三第一項の規定による資金の貸付けを行う旨の決定があるときについて準用する。この場合において、第六十九条の四第三項中「同項に規定する決済債務の弁済」とあるのは「第百二十七条において準用する同項に規定する預金等の払戻し」と、同条第四項中「前条第一項に規定する決済債務の弁済」とあるのは「第百二十七条において準用する前条第一項に規定する預金等の払戻し」と、同条第五項及び第六項中「弁済を行う決済債務の種類」とあるのは「払戻しを行う預金等の種別」と、「弁済の」とあるのは「払戻しの」と、「弁済をする」とあるのは「払戻しをする」と読み替えるものとする。
第百二十八条を次のように改める。
(資産価値の減少防止のための資金の貸付け)
第百二十八条 第六十九条の三(第三項及び第四項を除く。)の規定は、同条第一項各号に掲げる者(同項第一号に掲げる者にあつては、破産、更生手続開始若しくは再生手続開始の申立て又は整理開始若しくは特別清算開始の命令があつた後に限る。)からその保有する貸付債権その他の資産の価値の減少を防止するために必要とする資金の貸付けの申込みを受けた場合について準用する。この場合において、同項中「当該決済債務に係る第五十四条の二第一項の規定及び同条第二項において準用する第五十四条第三項の規定により計算した保険金の額の合計額に達するまでを限り」とあるのは、「その必要の限度において」と読み替えるものとする。
第百三十七条第六項第二号中「第五十五条の二第四項」の下に「及び第五十八条の三第一項」を加える。
第百四十七条第二号中「第百一条第七項、第百十八条第四項、第百二十七条第二項及び第百二十八条第二項」を「第六十九条の三第二項(第百二十七条及び第百二十八条において準用する場合を含む。)、第百一条第七項及び第百十八条第四項」に改める。
第百五十条第一項中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
二 第五十八条の三第二項の規定による命令に違反したとき。
附則第六条の二の三を附則第六条の二の四とし、附則第六条の二の二の次に次の一条を加える。
(決済用預金に関する特例)
第六条の二の三 特定預金(附則第六条の二第一項第一号に規定する特定預金をいう。)であつて決済用預金に該当しないものについては、平成十五年四月一日から平成十七年三月三十一日までの間、決済用預金とみなす。この場合における第五十四条の二第一項の規定の適用については、同項中「元本の額(その額」とあるのは、「元本の額及び利息等の額の合算額(その合算額」とする。
(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部改正)
第二条 金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五百九条」を「第五百九条の二」に改める。
第四百二条の見出しを「(決済債務の弁済等の許可)」に改め、同条第一項中「預金保険法第百二十七条第一項の規定」を「預金保険法第六十九条の三第一項(同法第百二十七条において準用する場合を含む。)の規定」に、「預金保険法第百二十七条第一項に規定する預金等の払戻し」を「預金保険法第六十九条の三第一項に規定する決済債務の弁済又は同法第百二十七条において準用する同項に規定する預金等の払戻し」に改め、同条第二項中「同時に、」の下に「弁済を行う決済債務の種類又は」を加え、「払戻しの限度額及び払戻し」を「弁済又は払戻し(以下この条、第四百七十三条及び第五百九条の二において「弁済等」という。)の限度額及び弁済等」に改め、同条第三項中「払戻しを行う預金等の種別、払戻しの限度額及び払戻し」を「弁済を行う決済債務の種類又は払戻しを行う預金等の種別、弁済等の限度額及び弁済等」に改める。
第四百七十三条の見出しを「(決済債務の弁済等の許可)」に改め、同条第一項中「預金保険法第百二十七条第一項の規定」を「預金保険法第六十九条の三第一項(同法第百二十七条において準用する場合を含む。)の規定」に、「預金保険法第百二十七条第一項に規定する預金等の払戻し」を「預金保険法第六十九条の三第一項に規定する決済債務の弁済又は同法第百二十七条において準用する同項に規定する預金等の払戻し」に改め、同条第二項及び第三項中「払戻しを行う預金等の種別、払戻しの限度額及び払戻し」を「弁済を行う決済債務の種類又は払戻しを行う預金等の種別、弁済等の限度額及び弁済等」に改める。
第六章第三節中第五百九条の次に次の一条を加える。
(決済債務の弁済等の許可)
第五百九条の二 破産の宣告を受けた金融機関に対し預金保険法第六十九条の三第一項(同法第百二十七条において準用する場合を含む。)の規定による資金の貸付けを行う旨の決定があるときは、破産法第十六条の規定にかかわらず、裁判所は、破産管財人の申立てにより、預金保険法第六十九条の三第一項に規定する決済債務の弁済又は同法第百二十七条において準用する同項に規定する預金等の払戻しを許可することができる。
2 裁判所は、前項の許可と同時に、弁済を行う決済債務の種類又は払戻しを行う預金等の種別、弁済等の限度額及び弁済等をする期間(当該期間の末日は、裁判所の定めた債権届出の期間の末日より前の日でなければならないものとする。)を定めなければならない。
3 裁判所は、前項の規定により、弁済を行う決済債務の種類又は払戻しを行う預金等の種別、弁済等の限度額及び弁済等をする期間を定めるときは、あらかじめ、機構の意見を聴かなければならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十五年四月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 金融機関(この法律による改正後の預金保険法(以下「新預金保険法」という。)第二条第一項に規定する金融機関をいう。以下同じ。)が、新預金保険法第五十条の規定により平成十五年四月一日に開始する営業年度(同条第一項に規定する営業年度をいう。以下同じ。)に納付する次の各号に掲げる保険料の額は、新預金保険法第五十一条第一項及び第五十一条の二第一項の規定(次条及び附則第四条において「保険料計算規定」という。)にかかわらず、各金融機関につき、当該各号に定める金額とする。
一 一般預金等(新預金保険法第五十一条第一項に規定する一般預金等をいい、新預金保険法第六十九条の二第二項の規定により決済用預金とみなされるもの及び新預金保険法附則第六条の二の三の規定により決済用預金とみなされる特定預金に該当するものを除く。次条第一号において同じ。)に係る保険料 平成十五年三月三十一日に終了する営業年度の各日におけるその他預金等(新預金保険法附則第六条の二第一項第二号に規定するその他預金等をいう。)の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、保険料率(新預金保険法第五十一条第一項に規定する保険料率をいう。次条第一号及び附則第四条第一号において同じ。)を乗じて得た金額
二 決済用預金(新預金保険法第五十一条の二第一項に規定する決済用預金をいい、新預金保険法第六十九条の二第二項の規定により決済用預金とみなされる一般預金等及び新預金保険法附則第六条の二の三の規定により決済用預金とみなされる特定預金を含む。次条第二号において同じ。)に係る保険料(新預金保険法第六十九条の二第一項の規定により決済用預金に係る保険料とみなされる特定決済債務に係る保険料を含む。次条第二号及び附則第四条第二号において同じ。) 平成十五年三月三十一日に終了する営業年度の各日における特定預金(新預金保険法附則第六条の二第一項第一号に規定する特定預金をいう。)の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、新預金保険法第五十一条の二第一項に規定する率を乗じて得た金額
第三条 特定決済債務(新預金保険法第六十九条の二第一項に規定する特定決済債務をいう。第二号及び次条において同じ。)について各日においてその額を計算することが困難なものとして内閣総理大臣の承認を受けた金融機関が、新預金保険法第五十条の規定により平成十六年四月一日に開始する営業年度に納付する次の各号に掲げる保険料の額は、保険料計算規定にかかわらず、各金融機関につき、当該各号に定める金額とする。
一 一般預金等に係る保険料 平成十六年三月三十一日に終了する営業年度の各日における一般預金等の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、保険料率を乗じて得た金額
二 決済用預金に係る保険料 次に掲げる金額を合算した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、新預金保険法第五十一条の二第一項に規定する率を乗じて得た金額
イ 平成十六年三月三十一日に終了する営業年度の各日における決済用預金の額の合計額を平均した額
ロ 平成十六年三月三十一日に終了する営業年度の各日における特定決済債務の額の合計額を平均した額に準ずる額として政令で定めるところにより計算した額
第四条 一般預金等(新預金保険法第五十一条第一項に規定する一般預金等をいい、新預金保険法第六十九条の二第二項の規定により決済用預金とみなされるものを除く。第一号において同じ。)のうち政令で定めるもの(第一号において「要調整一般預金等」という。)、決済用預金(新預金保険法第五十一条の二第一項に規定する決済用預金をいい、新預金保険法第六十九条の二第二項の規定により決済用預金とみなされる一般預金等を含む。第二号において同じ。)のうち政令で定めるもの(第二号において「要調整決済用預金」という。)及び特定決済債務について各日においてその額を計算することが困難なものとして内閣総理大臣の承認を受けた金融機関が、新預金保険法第五十条の規定により平成十七年四月一日に開始する営業年度からこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日の属する営業年度までの間の営業年度に納付する次の各号に掲げる保険料の額は、保険料計算規定にかかわらず、各金融機関につき、当該各号に定める金額とする。
一 一般預金等に係る保険料 次に掲げる金額を合算した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、保険料率を乗じて得た金額
イ 当該営業年度の直前の営業年度の各日における要調整一般預金等以外の一般預金等の額の合計額を平均した額
ロ 当該営業年度の直前の営業年度の各日における要調整一般預金等の額の合計額を平均した額に準ずる額として政令で定めるところにより計算した額
二 決済用預金に係る保険料 次に掲げる金額を合算した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、新預金保険法第五十一条の二第一項に規定する率を乗じて得た金額
イ 当該営業年度の直前の営業年度の各日における要調整決済用預金以外の決済用預金の額の合計額を平均した額
ロ 当該営業年度の直前の営業年度の各日における要調整決済用預金及び特定決済債務の額の合計額を平均した額に準ずる額として政令で定めるところにより計算した額
第五条 前三条の営業年度の各日は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十五条第一項(長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第十七条、信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第八十九条第一項、協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)第六条第一項及び労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第九十四条第一項において準用する場合を含む。)に規定する休日を含まないものとする。
第六条 新預金保険法第五十四条から第五十四条の三まで及び第六十九条の二の規定は、施行日以後に発生する保険事故(新預金保険法第四十九条第二項に規定する保険事故をいう。以下この条及び次条において同じ。)に係る保険金の計算について適用し、施行日前に発生した保険事故に係る保険金の計算については、なお従前の例による。
第七条 新預金保険法附則第六条の二の三の規定により決済用預金とみなされる特定預金に係る平成十七年三月三十一日までに発生した保険事故に係る保険金の額については、当該特定預金は、平成十七年四月一日以後も決済用預金とみなす。この場合における新預金保険法第五十四条の二第一項の規定の適用については、同項中「元本の額(その額」とあるのは、「元本の額及び利息等の額の合算額(その合算額」とする。
(権限の委任)
第八条 内閣総理大臣は、附則第三条及び第四条の規定による権限を金融庁長官に委任する。
2 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。
(罰則の適用に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第十条 附則第二条から第七条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に際し必要な経過措置は、政令で定める。
内閣総理大臣 小泉純一郎
財務大臣 塩川正十郎