農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百二十号
公布年月日: 平成11年8月4日
法令の形式: 法律
農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十一年八月四日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第百二十号
農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律
農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第一章 総則(第一条―第三条)」を
第一章
  総則(第一条―第三条)
第一章の二
農用地等の確保等に関する基本指針(第三条の二・第三条の三)
に改める。
第一章の次に次の一章を加える。
第一章の二 農用地等の確保等に関する基本指針
(基本指針の作成)
第三条の二 農林水産大臣は、農用地等の確保等に関する基本指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。
2 基本指針においては、次に掲げる事項につき、農業振興地域整備基本方針の指針となるべきものを定めるものとする。
一 農用地等の確保に関する基本的な方向
二 農業振興地域の指定の基準に関する事項
三 その他農業振興地域の整備に際し配慮すべき重要事項
3 農林水産大臣は、基本指針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議し、かつ、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。
4 農林水産大臣は、基本指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(基本指針の変更)
第三条の三 農林水産大臣は、経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、基本指針を変更するものとする。
2 前条第三項及び第四項の規定は、基本指針の変更について準用する。
第四条第一項中「都道府県知事は」の下に「、基本指針に基づき」を加え、同条第二項第一号を次のように改める。
一 農用地等の確保に関する事項
第四条第二項第三号を削り、同項第四号中ホをトとし、同号ニ中「ロ」を「ハ」に改め、同号中ニをへとし、ハをニとし、ニの次に次のように加える。
ホ 農業を担うべき者の育成及び確保のための施設の整備
第四条第二項第四号中ロをハとし、イの次に次のように加える。
ロ 農用地等の保全
第四条第二項第四号を同項第三号とし、同条第五項中「の承認を受けなければ」を「に協議しなければ」に改め、同項に後段として次のように加える。
この場合において、当該農業振興地域整備基本方針のうち第二項第一号及び第二号に掲げる事項に係るものについては、農林水産大臣の同意を得なければならない。
第四条第六項中「承認をしようとする」を「協議を受けた」に改める。
第五条第一項中「経済事情」を「基本指針の変更により又は経済事情」に改め、「生じたときは」の下に「、遅滞なく」を加え、同条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 農林水産大臣は、必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、当該都道府県知事の定めた農業振興地域整備基本方針のうち前条第二項第一号及び第二号に掲げる事項に係るものについて前項の規定による変更をするための必要な措置をとるべきことを指示することができる。
第八条第二項第二号の次に次の一号を加える。
二の二 農用地等の保全に関する事項
第八条第二項第四号の次に次の一号を加える。
四の二 農業を担うべき者の育成及び確保のための施設の整備に関する事項
第十条第三項を次のように改める。
3 市町村の定める農業振興地域整備計画のうち第八条第二項第一号に掲げる事項に係るもの(以下「農用地利用計画」という。)は、当該農業振興地域内にある農用地等及び農用地等とすることが適当な土地であつて、次に掲げるものにつき、当該農業振興地域における農業生産の基盤の保全、整備及び開発の見地から必要な限度において農林水産省令で定める基準に従い区分する農業上の用途を指定して、定めるものでなければならない。
一 集団的に存在する農用地で政令で定める規模以上のもの
二 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第二条第二項に規定する土地改良事業又はこれに準ずる事業で、農業用用排水施設の新設又は変更、区画整理、農用地の造成その他の農林水産省令で定めるものの施行に係る区域内にある土地
三 前二号に掲げる土地の保全又は利用上必要な施設の用に供される土地
四 第三条第四号に掲げる土地で、政令で定める規模以上のもの又は第一号及び第二号に掲げる土地に隣接するもの
五 前各号に掲げるもののほか、果樹又は野菜の生産団地の形成その他の当該農業振興地域における地域の特性に即した農業の振興を図るためその土地の農業上の利用を確保することが必要であると認められる土地
第十条中第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。
4 前項の農用地等及び農用地等とすることが適当な土地には、土地改良法第七条第四項に規定する非農用地区域内の土地その他政令で定める土地は含まれないものとする。
第十二条の次に次の一条を加える。
(農業振興地域整備計画に関する基礎調査)
第十二条の二 第八条第一項の市町村は、その区域内にある農業振興地域について、おおむね五年ごとに、農業振興地域整備計画に関する基礎調査として、農林水産省令で定めるところにより、農用地等の面積、土地利用、農業就業人口の規模、人口規模、農業生産その他農林水産省令で定める事項に関する現況及び将来の見通しについての調査を行うものとする。
2 都道府県知事は、必要があると認めるときは、市町村に対し、前項の規定による基礎調査の結果について必要な報告を求めることができる。
第十三条第一項中「変更により」の下に「、前条第一項の規定による基礎調査の結果により」を加え、同条第三項中「前条」を「第十二条」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の規定による農業振興地域整備計画の変更のうち、農用地等以外の用途に供することを目的として農用地区域内の土地を農用地区域から除外するために行う農用地区域の変更は、次に掲げる要件のすべてを満たす場合に限り、することができる。
一 当該農業振興地域における農用地区域以外の区域内の土地利用の状況からみて、当該変更に係る土地を農用地等以外の用途に供することが必要かつ適当であつて、農用地区域以外の区域内の土地をもつて代えることが困難であると認められること。
二 当該変更により、農用地区域内における農用地の集団化、農作業の効率化その他土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないと認められること。
三 当該変更により、農用地区域内の第三条第三号の施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないと認められること。
四 当該変更に係る土地が第十条第三項第二号に掲げる土地に該当する場合にあつては、当該土地が、農業に関する公共投資により得られる効用の確保を図る観点から政令で定める基準に適合していること。
第十三条の二第五項中「(昭和二十四年法律第百九十五号)」を削る。
第二十四条中「十万円」を「五十万円」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。
(農用地等の確保等に関する基本指針に関する経過措置)
第二条 農林水産大臣は、この法律の施行前に、この法律による改正後の農業振興地域の整備に関する法律(以下「新法」という。)第三条の二の規定の例により、農用地等の確保等に関する基本指針を定めなければならない。
2 前項の規定により定められた基本指針は、新法第三条の二第一項の規定により定められた基本指針とみなす。
(農業振興地域整備基本方針に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前にこの法律による改正前の農業振興地域の整備に関する法律(以下「旧法」という。)第四条第五項(旧法第五条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による承認を受けた農業振興地域整備基本方針は、新法第四条第五項(新法第五条第三項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による協議が調い、かつ、同意を得た農業振興地域整備基本方針とみなす。
2 この法律の施行の際現に旧法第四条第五項の規定により農林水産大臣に対してされている承認の申請は、新法第四条第五項の規定により農林水産大臣に対してされた協議の申出とみなす。
3 都道府県知事は、政令で定めるところにより、この法律の施行の日以後遅滞なく、旧法第四条第一項の規定により定められている農業振興地域整備基本方針を変更しなければならない。この場合には、新法第四条第四項から第七項まで及び第五条第二項の規定を準用する。
(罰則に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(集落地域整備法の一部改正)
第五条 集落地域整備法(昭和六十二年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。
第七条第四項中「第一項後段」の下に「及び第二項」を加え、「あるのは、」を「あるのは」に、「農業振興地域整備計画」」を「農業振興地域整備計画」と、「変更により、前条第一項の規定による基礎調査の結果により」とあるのは「変更により」」に改める。
農林水産大臣 中川昭一
建設大臣 関谷勝嗣
内閣総理大臣 小渕恵三