租税特別措置法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百八号
公布年月日: 平成9年12月5日
法令の形式: 法律
租税特別措置法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成九年十二月五日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第百八号
租税特別措置法の一部を改正する法律
租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第六条を次のように改める。
(民間国外債等の利子の課税の特例)
第六条 内国法人は、平成十年四月一日から平成十二年三月三十一日までの間に発行された民間国外債(内国法人が国外において発行した債券で、その利子の支払が国外において行われるものをいう。第十一項において同じ。)のうち同項に規定する指定民間国外債以外のもの(以下この条において「一般民間国外債」という。)につき支払を受けるべき利子(第三条の三第二項又は第六項の規定の適用があるものを除く。)について所得税を納める義務があるものとし、その支払を受けるべき金額に対し百分の十五の税率を適用して所得税を課する。
2 平成十年四月一日から平成十二年三月三十一日までの間に発行した一般民間国外債につき、居住者又は内国法人に対しその利子(第三条の三第三項又は第六項の規定の適用があるものを除く。)の支払をする者は、その支払の際、その支払をする金額に百分の十五の税率を乗じて計算した金額の所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月末日までに、これを国に納付しなければならない。
3 前項の規定により徴収して納付すべき所得税は、所得税法第二条第一項第四十五号に規定する源泉徴収に係る所得税とみなして、同法、国税通則法及び国税徴収法の規定を適用する。この場合において、第一項に規定する一般民間国外債につき支払を受けるべき利子の支払を受けるべき者が内国法人であるときは、当該内国法人に対する法人税法の規定の適用については、同法第六十八条第一項及び第百条第一項中「又は賞金」とあるのは「若しくは賞金又は租税特別措置法第六条第一項(民間国外債等の利子の課税の特例)に規定する一般民間国外債につき支払を受けるべき利子」と、「同法」とあるのは「所得税法又は租税特別措置法」とする。
4 非居住者又は外国法人が、平成十年四月一日から平成十二年三月三十一日までの間に発行された一般民間国外債の利子の支払を受ける場合において、その支払を受けるべき利子につきこの項の規定の適用を受けようとする旨、その者の氏名又は名称及び国外にある住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地その他大蔵省令で定める事項を記載した申告書(以下この条において「非課税適用申告書」という。)を、その支払を受ける際、その利子の支払をする者(当該利子の支払が支払の取扱者で政令で定めるもの(以下この項、第七項及び第十一項において「支払の取扱者」という。)を通じて行われる場合には、当該支払の取扱者及び利子の支払をする者)を経由してその支払をする者の当該利子に係る所得税法第十七条の規定による納税地(同法第十八条第二項の規定による指定があつた場合には、その指定をされた納税地)の所轄税務署長に提出したときは、その支払を受ける利子については、所得税を課さない。ただし、当該利子のうち、国内に恒久的施設を有する非居住者が支払を受けるものでその者の国内において行う事業に帰せられるものその他の政令で定めるものについては、この限りでない。
5 所得税法第二百十二条の規定は、前項ただし書に規定する利子については、適用しない。
6 第四項の場合において、非課税適用申告書が同項に規定する税務署長に提出されたときは、同項に規定する利子の支払をする者においてその受理がされた時にその提出があつたものとみなす。
7 非居住者又は外国法人が、平成十年四月一日から平成十二年三月三十一日までの間に発行された一般民間国外債のうち特定民間国外債であつて支払の取扱者に政令で定めるところにより保管の委託をしているものにつきその利子の支払を受ける場合において、当該保管の委託を受けている支払の取扱者(以下この項において「保管支払取扱者」という。)で当該特定民間国外債の利子の受領の媒介、取次ぎ又は代理(以下この項において「媒介等」という。)をするものが、その媒介等に基づきその利子の交付を受けるときまでに、その利子(第三条の三第三項又は第六項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)の支払を受けるべき者につき次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める事項その他大蔵省令で定める事項(以下この項及び第十四項において「利子受領者情報」という。)をその利子の支払をする者に対し(その利子の交付が、当該保管支払取扱者が保管の再委託をしている他の支払の取扱者を通じて行われる場合には、当該他の支払の取扱者を経由してその利子の支払をする者に対し)通知をし、かつ、その利子の支払をする者が、その利子の支払を行う際その利子の支払を受けるべき者に関する事項その他の大蔵省令で定める事項を記載した書類(当該保管支払取扱者から通知をされた利子受領者情報に基づき記載されたものに限る。第九項及び第十四項において「利子受領者確認書」という。)を作成し、これをその支払をする者の当該利子に係る所得税法第十七条の規定による納税地(同法第十八条第二項の規定による指定があつた場合には、その指定をされた納税地)の所轄税務署長に提出したときは、当該非居住者又は外国法人は、その支払を受けるべき利子につき第四項の規定による非課税適用申告書の提出をしたものとみなす。
一 当該利子の支払を受けるべき者がすべて非居住者又は外国法人である場合 その旨
二 当該利子の支払を受けるべき者に居住者又は内国法人が含まれている場合 当該利子の支払を受けるべき者のうち非居住者又は外国法人がその支払を受けるべき金額
8 第四項本文及び前二項の規定は、金融機関又は証券業者で政令で定めるもの(内国法人に限る。次項において「国内金融機関等」という。)が平成十年四月一日から平成十二年三月三十一日までの間に発行された一般民間国外債の利子(第三条の三第二項又は第六項の規定の適用があるものを除く。)の支払を受ける場合について準用する。この場合において、第四項本文中「国外にある住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所」とあるのは「本店又は主たる事務所」と、前項各号中「非居住者又は外国法人」とあるのは「非居住者若しくは外国法人又は次項に規定する国内金融機関等」と、「内国法人」とあるのは「内国法人(次項に規定する国内金融機関等を除く。)」と読み替えるものとする。
9 第七項に規定する特定民間国外債とは、次に掲げる要件を満たしている一般民間国外債をいう。
一 当該一般民間国外債の発行をする者が締結する引受契約等(債券の発行に係る引受け、募集又は売出しの取扱いその他これらに準ずるもの(以下この号において「引受け等」という。)に関する契約をいう。)に、当該一般民間国外債の引受け等を行う者は、当該一般民間国外債を居住者及び内国法人(国内金融機関等を除く。)に対して当該引受契約等に基づく募集又は売出し、募集又は売出しの取扱いその他これらに準ずるものにより取得させ、又は売り付けてはならない旨の定めがあること。
二 当該一般民間国外債の券面及びその発行に係る目論見書に、居住者又は内国法人が当該一般民間国外債の利子の支払を受ける場合(国内金融機関等については、前項において準用する第四項本文及び第六項の規定によりその者による非課税適用申告書の提出がある場合又は前項において準用する第七項の規定により当該一般民間国外債の利子の支払をする者による利子受領者確認書の提出がある場合を除く。)には、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じそれぞれイ又はロに定める金額に係る利子について所得税が課される旨の記載があること。
イ 居住者又は内国法人が支払を受ける場合(ロに掲げる場合を除く。) その支払を受けるべき金額
ロ 第三条の三第六項に規定する公共法人等又は金融機関若しくは証券業者等が同項に規定する国内における支払の取扱者を通じて支払を受ける場合(これらの者による同項に規定する申告書の提出がある場合に限る。) その支払を受けるべき金額から同項に規定する政令で定める金額を控除した金額
三 その他政令で定める要件
10 非居住者又は外国法人が、平成十年四月一日から平成十二年三月三十一日までの間に発行された指定民間国外債につき支払を受ける利子については、所得税を課さない。ただし、当該利子のうち、国内に恒久的施設を有する非居住者が支払を受けるものでその者の国内において行う事業に帰せられるものその他の政令で定めるものについては、この限りでない。
11 前項に規定する指定民間国外債とは、その国の法令又は慣行により利子の支払の取扱者がその支払を受ける者に関する情報の開示をすることができない国であつてその開示をすることができないことについて国際的にも容認されていると認められるもののうち政令で定める国(以下この項において「指定国」という。)において発行された民間国外債であつて、その利子の支払が当該指定国において行われることその他の政令で定める要件を満たしているものをいう。
12 所得税法第二百十二条の規定は、第十項ただし書に規定する利子については、適用しない。
13 前各項の規定は、平成十年四月一日から平成十二年三月三十一日までの間に発行された外貨債(外貨公債の発行に関する法律(昭和三十八年法律第六十三号)第二条第一項及び第四条に規定する外貨債のうち、国外において発行されたものでその利子の支払が国外において行われるものに限る。)の利子について準用する。この場合において、第三項中「第六条第一項(民間国外債等の利子の課税の特例)」とあるのは、「第六条第十三項(外貨債の利子の課税の特例)において準用する同条第一項」と読み替えるものとする。
14 第三項に定めるもののほか、非課税適用申告書に記載された事項の確認のための手続その他の非課税適用申告書の提出に関する事項、利子受領者情報の通知並びにその通知に係る情報の保存及び管理に関する事項、利子受領者情報の通知があつた場合において当該利子受領者情報に変更がないときにおけるその通知の省略の特例、利子受領者確認書の提出に関する事項、一般民間国外債の利子につき第二項の規定により所得税を徴収された者が確定申告書の提出をする場合に添付すべき書類に関する事項その他第一項、第二項及び第四項から前項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第四十一条の十三及び第六十八条第一項中「昭和六十年四月一日から平成十年三月三十一日まで」を「平成十年四月一日から平成十二年三月三十一日まで」に改め、「発行された」の下に「第六条第一項に規定する」を加え、「(内国法人が国外において発行した第六条に規定する債券をいう。)でその発行日から最終償還日までの期間が四年以上のもの」を削る。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十年四月一日から施行する。
(民間国外債の利子の非課税等に関する経過措置)
第二条 内国法人がこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に発行した改正前の租税特別措置法(以下「旧法」という。)第六条第一項に規定する債券につき支払う同項に規定する利子に係る所得税については、なお従前の例による。
2 非居住者が施行日前に発行された旧法第四十一条の十三に規定する民間国外債につき支払を受ける同条に規定する発行差金に係る所得税については、なお従前の例による。
3 外国法人が施行日前に発行された旧法第六十八条第一項に規定する民間国外債につき支払を受ける同項に規定する利子又は発行差金に係る法人税については、なお従前の例による。
(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律の一部改正)
第三条 国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。
附則第二項を次のように改める。
2 当分の間、第五条第一項本文の規定にかかわらず、同項に規定する債券等(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の施行地外の地域(以下「国外」という。)において発行されたものでその利子の支払が国外において行われるものに限る。)の利子に係る所得税の課税については、同法及び租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の定めるところによる。
(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第四条 施行日前に発行された前条の規定による改正前の国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律第五条第一項に規定する債券等の利子に係る所得税については、なお従前の例による。
(外貨公債の発行に関する法律の一部改正)
第五条 外貨公債の発行に関する法律(昭和三十八年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。
附則に次の一項を加える。
3 当分の間、第二条第一項本文(第四条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、同項及び第四条に規定する外貨債(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の施行地外の地域(以下「国外」という。)において発行されたものでその利子の支払が国外において行われるものに限る。)の利子に係る所得税の課税については、同法及び租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の定めるところによる。
(外貨公債の発行に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第六条 施行日前に発行された前条の規定による改正前の外貨公債の発行に関する法律第二条第一項及び第四条に規定する外貨債の利子に係る所得税については、なお従前の例による。
大蔵大臣 三塚博
内閣総理大臣 橋本龍太郎