(趣旨)
第一条 この法律は、義務教育に従事する教員が個人の尊厳及び社会連帯の理念に関する認識を深めることの重要性にかんがみ、教員としての資質の向上を図り、義務教育の一層の充実を期する観点から、小学校又は中学校の教諭の普通免許状の授与を受けようとする者に、障害者、高齢者等に対する介護、介助、これらの者との交流等の体験を行わせる措置を講ずるため、小学校及び中学校の教諭の普通免許状の授与について教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)の特例等を定めるものとする。
(教育職員免許法の特例)
第二条 小学校及び中学校の教諭の普通免許状の授与についての教育職員免許法第五条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「修得した者」とあるのは、「修得した者(十八歳に達した後、七日を下らない範囲内において文部省令で定める期間、盲学校、聾学校若しくは養護学校又は社会福祉施設その他の施設で文部大臣が厚生大臣と協議して定めるものにおいて、障害者、高齢者等に対する介護、介助、これらの者との交流等の体験を行った者に限る。)」とする。
2 前項の規定により読み替えられた教育職員免許法第五条第一項の規定による体験(以下「介護等の体験」という。)に関し必要な事項は、文部省令で定める。
3 介護等に関する専門的知識及び技術を有する者又は身体上の障害により介護等の体験を行うことが困難な者として文部省令で定めるものについての小学校及び中学校の教諭の普通免許状の授与については、第一項の規定は、適用しない。
(関係者の責務)
第三条 国、地方公共団体及びその他の関係機関は、介護等の体験が適切に行われるようにするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 盲学校、聾学校及び養護学校並びに社会福祉施設その他の施設で文部大臣が厚生大臣と協議して定めるものの設置者は、介護等の体験に関し必要な協力を行うよう努めるものとする。
3 大学及び文部大臣の指定する教員養成機関は、その学生又は生徒が介護等の体験を円滑に行うことができるよう適切な配慮をするものとする。
(教員の採用時における介護等の体験の勘案)
第四条 小学校又は中学校の教員を採用しようとする者は、その選考に当たっては、この法律の趣旨にのっとり、教員になろうとする者が行った介護等の体験を勘案するよう努めるものとする。