農産物検査法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第104号
公布年月日: 平成7年6月7日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

米麦の公正な取引と品質改善を目的とした農産物検査法に基づき、国による検査が実施されてきた。しかし近年、米麦の生産・流通・消費を取り巻く情勢変化により、品質や安定供給への関心が高まっている。また、新食糧法の制定に伴う新たな米管理システムへの移行や、世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会の附帯決議において農産物検査制度の検討が求められている。このような状況を踏まえ、国民の信頼に応える適切な検査を通じて米麦の安定流通の確保を図るため、本法律案を提出するものである。

参照した発言:
第132回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号

審議経過

第132回国会

参議院
(平成7年3月14日)
衆議院
(平成7年4月27日)
(平成7年5月10日)
(平成7年5月11日)
(平成7年5月12日)
参議院
(平成7年5月18日)
(平成7年5月23日)
(平成7年5月25日)
(平成7年5月31日)
農産物検査法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成七年六月七日
内閣総理大臣 村山富市
法律第百四号
農産物検査法の一部を改正する法律
農産物検査法(昭和二十六年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第一条の見出しを「(目的)」に改め、同条中「且つ」を「かつ」に改める。
第二条から第五条の二までを次のように改める。
(定義)
第二条 この法律において「農産物」とは、米穀、麦(小麦、大麦及びはだか麦をいう。以下同じ。)その他政令で定める農産物(農産物を原料又は材料として製造し、又は加工したもので政令で定めるものを含む。)をいう。
(米穀の生産者に係る検査)
第三条 米穀の生産者は、その生産した米穀を、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)第五条第一項の計画出荷米(第八条において「計画出荷米」という。)として売り渡し、又はその売渡しを委託しようとするときは、その売渡し又は売渡しの委託前に、もみ、玄米又は精米の区分(以下「米穀の区分」という。)に応じ、国の検査(以下単に「検査」という。)を受けなければならない。
2 米穀の生産者は、その生産した米穀で前項の検査に係る米穀以外のものについて検査を受けることができる。
(米穀の輸入者に係る検査)
第四条 米穀を輸入した者は、その輸入した米穀を政府に売り渡そうとするときは、その売渡し前に、米穀の区分に応じ、検査を受けなければならない。
2 米穀の輸入を業として行う者(以下「輸入業者」という。)は、その輸入した米穀で前項の検査に係る米穀以外のものについて検査を受けることができる。
(米穀の売買取引業者等に係る検査)
第五条 米穀の売買取引又は加工を業として行う者(以下「売買取引業者等」という。)は、その所有し、又は占有する米穀で検査を受けていないものについて検査を受けることができる。
2 米穀の売買取引業者等は、その所有し、又は占有する米穀で検査を受けたものについて、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる日以後において、検査を受けることができる。
一 輸入に係る米穀 第十六条第一項の規定により表示され、又は記載された検査年月日(この項の検査に係るものを除く。)から起算して農林水産省令で定める期間を経過した日
二 その他の米穀 その生産された年の翌年の農林水産省令で定める日
(麦の生産者に係る検査)
第五条の二 麦の生産者は、その生産した麦について、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律第六十六条第一項の売渡し又は売渡しの委託を行おうとするときは、その売渡し又は売渡しの委託前に検査を受けなければならない。
第五条の二の次に次の三条を加える。
(麦の輸入者に係る検査)
第五条の三 麦の輸入業者は、その輸入した麦について検査を受けることができる。
(準用)
第五条の四 第三条第二項及び第五条第一項の規定は、麦について準用する。この場合において、第三条第二項中「前項」とあるのは、「第五条の二」と読み替えるものとする。
(米麦以外の農産物に係る検査)
第五条の五 米穀又は麦以外の農産物の生産者、輸入業者又は売買取引業者等は、その所有し、又は占有する農産物について検査を受けることができる。
第六条第一項中「、包装及び品位」を「及び荷造り、包装等並びに品位及び成分」に改め、同条第二項中「但し」を「ただし」に、「事情」を「理由」に改め、同条に次の一項を加える。
3 農林水産大臣は、第一項の規格を設定し、変更し、又は廃止しようとするときは、農産物の検査等に関し学識経験を有する者及び関係者の意見を聴くものとする。
第七条中「第三条第一項若しくは第二項、第四条又は第五条の規定による検査(以下単に「検査」という。)は、省令の」を「検査は、農林水産省令で」に、「包装、荷造等の条件並びに品位」を「荷造り、包装等並びに品位及び成分」に改め、「規定により定められた」を削り、「基いて、各個に、又は抽出して」を「基づいて」に改め、同条に次の三項を加える。
2 第五条第一項(第五条の四において準用する場合を含む。)、第五条の五及び第十七条第二項の検査であつて、農産物の売買取引業者等からの第十一条第一項の請求により行うものについては、前項の規定にかかわらず、農林水産省令で定めるところにより、銘柄についての検査を行わないことができる。
3 第五条第二項の検査は、第一項の規定にかかわらず、量目及び品位につき、行う。
4 米穀又は麦の成分についての検査(以下「成分検査」という。)は、次に掲げる場合に限り、行う。
一 米穀又は麦について、成分検査をそれ以外の検査とともに受けようとする者から第十一条第一項の請求があつた場合
二 成分検査以外の検査を受けた米穀又は麦について、成分検査を受けようとする売買取引業者等から第十一条第一項の請求があつた場合
第八条中「十トン」を「農林水産省令で定める量目」に、「省令」を「農林水産省令」に、「包装、荷造等又は量目」を「量目又は荷造り、包装等」に改め、「ついては」の下に「、米穀を計画出荷米として売り渡し、又はその売渡しを委託するため検査を受ける場合その他農林水産省令で定める場合を除き、」を加え、ただし書を削る。
第十五条を削る。
第十四条第二項を次のように改める。
2 第十一条第一項の請求をした者(次条第一項及び第二十条において「受検者」という。)又はその代理人は、検査(成分検査を除く。)の実施に立ち会うことができる。
第十四条を第十五条とする。
第十三条第一項中「実施する」を「行う」に改め、同条第二項中「やむをえない事由」を「やむを得ない理由」に、「事由の」を「理由が」に改め、同条を第十四条とする。
第十二条中「省令の」を「農林水産省令で」に、「票せん、標識」を「票せん」に、「附さなければ」を「付さなければ」に改め、同条を第十三条とする。
第十一条の二を削る。
第十一条第二項中「左に」を「次に」に改め、同項第一号中「もみ、玄米又は精米」を「米穀」に、「売り渡す」を「売り渡し、又はその政府への売渡しを委託する」に改め、同項第三号を削り、同条第三項中「省令の」を「農林水産省令で」に改め、同条を第十二条とする。
第十条第二項中「省令」を「農林水産省令」に改め、同条を第十一条とする。
第九条の見出しを「(検査を行う者)」に改め、同条第三項中「行つ」を「行つて」に、「但し」を「ただし」に、「やむをえない」を「やむを得ない」に改め、同条第四項中「証票」を「証明書」に、「要求」を「請求」に、「呈示しなければ」を「提示しなければ」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(指定検査機関)
第十条 食糧事務所長は、農林水産大臣が指定する者(以下この条及び第二十条の二第一項において「指定検査機関」という。)に対し、成分検査の業務を委託することができる。
2 前項の規定により業務の委託を受けた指定検査機関の役員又は職員で当該委託業務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
3 前項に定めるもののほか、第一項の規定による指定の基準、指定検査機関の業務の方法その他指定検査機関に関し必要な事項は、政令で定める。
第十六条第一項中「品位の格付を行つた」を「検査が完了した」に、「省令の」を「農林水産省令で」に、「包装」を「包装、容器」に、「票せん」を「票せん」に改め、「受検者に」の下に「これらの事項を記載した」を加え、同条第二項中「票せん」を「票せん」に、「にまぎらわしい」を「と紛らわしい」に、「附して」を「付して」に改め、同条第三項中「附して」を「付して」に、「消した」を「除去し、又は抹消した」に改める。
第十七条中「米麦は、左の」を「米穀又は麦は、次の」に、「、検査」を「、検査(第三号に該当する場合にあつては成分以外の事項の検査、第四号に該当する場合にあつては同号の検査を受ける前に受けた検査に係る量目及び品位についての検査)」に、「但し」を「ただし」に、「第二号又は第三号」を「第一号又は第二号」に改め、第一号を削り、同条第二号中「消され、除かれ」を「抹消され」に改め、同号を同条第一号とし、同条第三号中「記載が」の下に「抹消され、」を加え、同号を同条第二号とし、同条に次の二号を加える。
三 米穀の区分に変更が生じた場合
四 第五条第二項(第二十一条の二第三項において準用する場合を含む。)の検査に係る前条第一項の規定による表示が付され、又は同項の検査証明書が交付された場合
第十七条に次の一項を加える。
2 第三条第一項、第四条第一項、第五条の二又は第二十一条の二第一項の検査を受けた米穀(精米を除く。以下この項において同じ。)又は麦であつて、前項第一号から第三号までに掲げる場合に該当するため検査を受けていないものとみなされたものを売り渡し、又はその売渡しを委託しようとする売買取引業者等は、その売渡し又は売渡しの委託前に検査を受けなければならない。この場合において、米穀については、米穀の区分に応じ、検査を受けなければならない。
第十八条中「消させ」を「除去させ」に、「除かせ」を「抹消させ」に改める。
第十九条第一項中「省令」を「農林水産省令」に、「但し」を「ただし」に改める。
第二十条中「積替」を「積替え」に改める。
第二十条の二第一項を次のように改める。
農林水産大臣は、この法律の施行に必要な限度において、農産物の生産者、輸入業者、売買取引業者等若しくは倉庫業者又は指定検査機関に対し、必要な事項に関し報告をさせ、又はその職員に、これらの者のほ場、事務所、販売所、事業所、倉庫若しくは工場に立ち入り、農産物若しくは帳簿、書類その他の物件を調査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
第二十条の二第二項中「職員が」を削り、「行う場合においては、省令の定めるところにより」を「する職員は」に、「証票」を「証明書」に、「関係人の要求がある」を「関係者の請求があつた」に、「呈示しなければ」を「提示しなければ」に改める。
第二十一条中「米麦」を「米穀又は麦」に、「所有者又は占有者」を「生産者又は売買取引業者等」に、「第五条」を「第五条の五」に改め、「国の」を削り、同条の次に次の一条を加える。
(政府が輸入する米麦等に係る検査)
第二十一条の二 政府は、次に掲げる米穀又は麦について検査を行うものとする。
一 政府の輸入を目的とする買入れに係る米穀又は麦で検査を受けていないもの
二 政府の所有に係る米穀又は麦であつて、第十七条第一項第一号から第三号までに掲げる場合に該当するため検査を受けていないものとみなされたもの
2 第七条第二項の規定は、前項第二号に掲げる米穀又は麦についての同項の検査について準用する。
3 第五条第二項及び第七条第三項の規定は、政府の所有に係る米穀で検査を受けたものについて準用する。この場合において、第五条第二項中「受ける」とあるのは、「行う」と読み替えるものとする。
4 第七条第四項の規定は、政府の所有に係る米穀又は麦について準用する。この場合において、同項第一号中「受けようとする者から第十一条第一項の請求があつた」とあり、同項第二号中「受けようとする売買取引業者等から第十一条第一項の請求があつた」とあるのは、「行おうとする」と読み替えるものとする。
5 第一項及び前二項の場合には、第十一条、第十二条、第十四条、第十五条、第十八条及び第十九条の規定は適用しない。
第二十二条中「左の」を「次の」に、「三万円」を「三十万円」に改め、同条第一号中「第二項若しくは第三項又は第四条」を「第四条第一項、第五条の二又は第十七条第二項」に改め、同条中第二号を削り、第三号を第二号とし、第四号を削り、第五号を第三号とし、第六号を第四号とする。
第二十三条中「外」を「ほか」に改め、ただし書を削る。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(罰則の適用に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第三条 前条に規定するもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
(食糧管理特別会計法の一部改正)
第四条 食糧管理特別会計法(大正十年法律第三十七号)の一部を次のように改正する。
第六条ノ三中「第十一条第三項」を「第十二条第三項」に改める。
(印紙をもつてする歳入金納付に関する法律の一部改正)
第五条 印紙をもつてする歳入金納付に関する法律(昭和二十三年法律第百四十二号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第二号中「第十一条第一項」を「第十二条第一項」に改め、同条第二項中「第十一条第三項」を「第十二条第三項」に改める。
大蔵大臣 武村正義
農林水産大臣 大河原太一郎
内閣総理大臣 村山富市