障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第38号
公布年月日: 平成6年6月22日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

障害者の雇用数は全体として増加傾向にあるものの、民間企業の雇用率は法定の1.6%を下回る1.41%にとどまっている。また、重度身体障害者、精神薄弱者、精神障害回復者を中心に、就職希望がありながら雇用に至らない障害者が多数存在している。このため、雇用率制度の厳正な運用に加え、重度障害者の雇用促進と継続に向けた地域レベルでの職業リハビリテーションの実施、通勤・住宅等の職業生活環境の整備が必要となっている。これらの課題について障害者雇用審議会で議論され、意見書に基づき本法律案を作成するに至った。

参照した発言:
第129回国会 参議院 労働委員会 第2号

審議経過

第129回国会

参議院
(平成6年6月2日)
(平成6年6月7日)
(平成6年6月8日)
衆議院
(平成6年6月9日)
(平成6年6月10日)
(平成6年6月14日)
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
国事行為臨時代行名
平成六年六月二十二日
内閣総理大臣 羽田孜
法律第三十八号
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律
障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四節 日本障害者雇用促進協会による障害者職業能力開発校の運営の業務の実施(第九条の十二・第九条の十三)」を
第四節
障害者雇用支援センター(第九条の十二―第九条の十七)
第五節
日本障害者雇用促進協会による障害者職業能力開発校の運営の業務の実施(第九条の十八・第九条の十九)
に改める。
第八条の三中「次節第一款」の下に「及び第九条の十三第三号」を加える。
第九条の二第四号中「及び地域障害者職業センター」を「、地域障害者職業センター及び第九条の十二第二項の障害者雇用支援センター」に改め、同条第五号中「第九条の四第一号」の下に「及び第九条の十三」を加える。
第九条の四中「地域障害者職業センターは」の下に「、都道府県の区域内において」を加える。
第九条の八第二項中「措置」の下に「、第九条の十二第二項の障害者雇用支援センターの行う業務」を加える。
第二章第四節中第九条の十三を第九条の十九とし、第九条の十二を第九条の十八とし、同節を同章第五節とし、同章第三節の次に次の一節を加える。
第四節 障害者雇用支援センター
(指定)
第九条の十二 都道府県知事は、職業生活における自立を図るために継続的な支援を必要とする障害者(以下この節において「支援対象障害者」という。)の職業の安定を図ることを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、市町村(特別区を含む。)の区域(当該地域における支援対象障害者の住居とその就業の場所との地理的関係その他の事情を考慮して労働省令で定める基準に従い、同条第一号から第五号までに掲げる業務の円滑な運営を確保するために必要と認められる場合には、都道府県知事が指定する二以上の市町村の区域)に一を限つて、同条に規定する業務を行う者として指定することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による指定をしたときは、同項の規定による指定を受けた者(以下「障害者雇用支援センター」という。)の名称及び住所並びに事務所の所在地並びに当該指定に係る地域を公示しなければならない。
3 障害者雇用支援センターは、その名称及び住所並びに事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(業務)
第九条の十三 障害者雇用支援センターは、前条第一項の規定による指定に係る区域において、次に掲げる業務を行うものとする。
一 支援対象障害者に対して、その障害の種類及び程度に応じ、必要な職業準備訓練を行うこと。
二 前号の職業準備訓練を受けた後職業に就いた支援対象障害者に対して、必要な助言その他の援助を行うこと。
三 第一号の職業準備訓練を受けた支援対象障害者を雇用し、又は雇用しようとする事業主に対して、当該支援対象障害者の雇用に必要な障害者の雇用管理に関する事項についての助言その他の援助を行うこと。
四 支援対象障害者の通勤への同行その他の支援対象障害者が職業に就くことに伴い必要となる介助等の支援を行う者(以下この条において「障害者雇用支援者」という。)に関する情報を収集し、及び整理すること。
五 第二号及び第三号に掲げるもののほか、事業主、支援対象障害者その他の関係者に対して、前号の規定により収集し、及び整理した障害者雇用支援者に関する情報を提供し、並びに職業リハビリテーションに係る情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
六 障害者雇用支援者に対して、第四号の支援を適切に行うために必要な知識及び技能を習得させるための研修を行うこと。
七 前各号に掲げるもののほか、支援対象障害者がその職業生活における自立を図るために必要な業務を行うこと。
(地域障害者職業センターとの関係)
第九条の十四 障害者雇用支援センターは、地域障害者職業センターの行う支援対象障害者に対する職業評価に基づき、前条第一号から第三号までに掲げる業務を行うものとする。
(事業計画等)
第九条の十五 障害者雇用支援センターは、毎事業年度、労働省令で定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 障害者雇用支援センターは、労働省令で定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書及び収支決算書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。
(監督命令)
第九条の十六 都道府県知事は、この節の規定を施行するために必要な限度において、障害者雇用支援センターに対し、第九条の十三に規定する業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(指定の取消し等)
第九条の十七 都道府県知事は、障害者雇用支援センターが次の各号のいずれかに該当するときは、第九条の十二第一項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)を取り消すことができる。
一 第九条の十三に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
二 指定に関し不正の行為があつたとき。
三 この節の規定又は当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
2 都道府県知事は、前項の規定により、指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
第十八条第二号中「第二号の三」を「第二号の五」に改め、同条第二号の三中「事業主」の下に「又は当該事業主の加入している事業主の団体」を加え、同号を同条第二号の五とし、同条第二号の二の次に次の二号を加える。
二の三 身体障害者である労働者を雇用する事業主に対して、身体障害者である労働者の処遇の改善又は雇用の継続を図るために行う配置転換又は職種転換に伴い必要となる施設又は設備の設置又は整備に要する費用に充てるための助成金を支給すること。
二の四 身体障害者である労働者を雇用する事業主又は当該事業主の加入している事業主の団体に対して、身体障害者である労働者の福祉の増進を図るための施設の設置又は整備に要する費用に充てるための助成金を支給すること。
第十八条第三号の二の次に次の一号を加える。
三の三 障害者雇用支援センターに対して、身体障害者の雇用の促進又は継続に係る第九条の十三第一号に掲げる業務(前号の教育訓練に該当するものを除く。)及び同条第二号から第七号までに掲げる業務に要する費用に充てるための助成金を支給すること。
第三十六条第二項中「(明治二十九年法律第八十九号)」を削る。
第八十二条中「障害者職業センター」の下に「、障害者雇用支援センター」を加える。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成六年十月一日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(職業能力開発促進法の一部改正)
第三条 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。
第十六条第四項中「第二章第四節」を「第二章第五節」に改める。
大蔵大臣 藤井裕久
労働大臣 鳩山邦夫
内閣総理大臣 羽田孜