平成元年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律
法令番号: 法律第42号
公布年月日: 平成元年6月28日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

我が国財政は巨額の公債残高を抱え、国債利払い費が歳出予算の約2割を占めるなど厳しい状態にある。平成2年度までに特例公債依存体質からの脱却を目指し、財政再建に努めてきた。平成元年度予算では歳出の見直し・合理化に取り組み、特例公債発行額を前年度比1兆8200億円減額し、公債依存度も15.6%から11.8%に低下させた。しかし、なお財源不足のため特例公債の発行や国債費定率繰り入れ等の停止などの措置が必要となり、これらの特別措置を定めるため本法律案を提出する。

参照した発言:
第114回国会 衆議院 大蔵委員会 第10号

審議経過

第114回国会

衆議院
(平成1年6月9日)
(平成1年6月9日)
(平成1年6月14日)
(平成1年6月16日)
(平成1年6月16日)
参議院
(平成1年6月19日)
(平成1年6月20日)
(平成1年6月21日)
(平成1年6月22日)
平成元年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成元年六月二十八日
内閣総理大臣 宇野宗佑
法律第四十二号
平成元年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律
(趣旨)
第一条 この法律は、平成元年度における国の財政収支が著しく不均衡な状況にあることにかんがみ、同年度の財政運営に必要な財源を確保し、もって国民生活と国民経済の安定に資するため、同年度における公債の発行の特例に関する措置を定めるとともに、同年度における一般会計からの国債整理基金に充てるべき資金の繰入れ及び一般会計からの厚生保険特別会計健康勘定への繰入れの特例に関する措置を定めるものとする。
(特例公債の発行等)
第二条 政府は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四条第一項ただし書の規定により発行する公債のほか、平成元年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。
2 前項の規定による公債の発行は、平成二年六月三十日までの間、行うことができる。この場合において、同年四月一日以後発行される同項の公債に係る収入は、平成元年度所属の歳入とする。
3 政府は、第一項の議決を経ようとするときは、同項の公債の償還の計画を国会に提出しなければならない。
4 政府は、第一項の規定により発行した公債については、国債整理基金特別会計法(明治三十九年法律第六号)第五条第一項及び第五条ノ二の規定による償還のための起債は、国の財政状況を勘案しつつ、できる限り行わないよう努めるものとする。
5 政府は、第一項の規定により発行した公債について国債整理基金特別会計法第五条第一項又は第五条ノ二の規定による償還のための起債を行った場合においては、その速やかな減債に努めるものとする。
(一般会計からの国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例)
第三条 平成元年度において、国債整理基金特別会計法第二条第一項の規定により一般会計から繰り入れるべき金額のうち国債の元金の償還に充てるべき金額については、同条第二項及び同法第二条ノ二第一項の規定は、適用しない。
(一般会計からの厚生保険特別会計健康勘定への繰入れの特例)
第四条 政府は、平成元年度における一般会計から厚生保険特別会計健康勘定への繰入れについては、同年度の健康保険法(大正十一年法律第七十号)第七十条ノ三第一項及び第二項に規定する国庫補助に係るものについて、これらの額の合算額から四百億円を控除して、繰り入れるものとする。
2 政府は、後日、政府の管掌する健康保険事業の適正な運営が確保されるために、各年度における厚生保険特別会計健康勘定の収入支出の状況を勘案して、予算の定めるところにより、一般会計から当該勘定に四百億円に達するまでの金額を繰り入れる措置その他の適切な措置を講じなければならない。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
大蔵大臣 村山達雄
厚生大臣 小泉純一郎
内閣総理大臣 宇野宗佑