(妊産婦の就業制限)
第八十七条 船舶所有者は、妊娠中の女子を船内で使用してはならない。ただし、次の各号の一に掲げる場合は、この限りでない。
一 命令で定める範囲の航海に関し、妊娠中の女子が船内で作業に従事することを申し出た場合において、その者の母性保護上支障がないと医師が認めたとき。
二 女子の船員が妊娠中であることが航海中に判明した場合において、その者が当該船舶の航海の安全を図るために必要な作業に従事するとき。
船舶所有者は、出産後八週間を経過しない女子を船内で使用してはならない。ただし、出産後六週間を経過した女子が船内で作業に従事することを申し出た場合において、その者の母性保護上支障がないと医師が認めたときは、この限りでない。
船舶所有者は、第一項ただし書の規定に基づき、妊娠中の女子を船内で作業に従事させる場合において、その女子の申出があつたときは、その者を軽易な作業に従事させなければならない。
第八十八条 船舶所有者は、命令で定めるところにより、妊娠中又は出産後一年以内の女子(以下「妊産婦」という。)の船員を命令で定める母性保護上有害な作業に従事させてはならない。
(妊産婦の労働時間の特例)
第八十八条の二 妊産婦の船員の労働時間は、第六章の規定にかかわらず、一日について八時間以内、一週間について四十八時間以内とする。
船舶所有者は、妊産婦の船員を前項に規定する労働時間を超えて作業に従事させてはならない。ただし、出産後八週間を経過した妊産婦の船員がその労働時間を超えて作業に従事することを申し出た場合において、その者の母性保護上支障がないと医師が認めたときは、この限りでない。
第六十七条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定に基づき労働時間の制限を超えて海員(第七十二条各号に掲げる者を除く。)が作業に従事する場合について準用する。
(妊産婦の休日の特例)
第八十八条の三 船舶所有者は、妊産婦の船員に一週間について少なくとも一日の休日を与えなければならない。
船舶所有者は、出産後八週間を経過した妊産婦の船員が休日において作業に従事することを申し出た場合において、その者の母性保護上支障がないと医師が認めたときは、前項の規定にかかわらず、当該妊産婦の船員を休日において作業に従事させることができる。ただし、第六十三条第一項に規定する海員の停泊中の休日における作業については、当該海員を必要な作業に従事させることがやむを得ない場合に限る。
第六十三条第二項及び第三項の規定は、妊産婦の海員については、これを適用しない。
(妊産婦の夜間労働の制限)
第八十八条の四 船舶所有者は、妊産婦の船員を午後八時から翌日の午前五時までの間において作業に従事させてはならない。ただし、命令で定める場合において、これと異なる時刻の間において午前零時前後にわたり連続して九時間休息させるときは、この限りでない。
前項の規定は、出産後八週間を経過した妊産婦の船員が同項本文の時刻の間において作業に従事すること又は同項ただし書の規定による休息時間を短縮することを申し出た場合において、その者の母性保護上支障がないと医師が認めたときは、これを適用しない。
(例外規定)
第八十八条の五 前三条の規定は、船舶所有者が妊産婦の船員を第六十八条第一号又は第三号の作業に従事させる場合には、これを適用しない。
(妊産婦以外の女子船員の就業制限)
第八十八条の六 船舶所有者は、妊産婦以外の女子の船員を第八十八条に規定する作業のうち命令で定める女子の妊娠又は出産に係る機能に有害なものに従事させてはならない。
(生理日における就業制限)
第八十八条の七 船舶所有者は、生理日における就業が著しく困難な女子の船員の請求があつたときは、その者を生理日において作業に従事させてはならない。
(適用範囲)
第八十八条の八 この章の規定は、船舶所有者と同一の家庭に属する者のみを使用する船舶については、これを適用しない。