核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第五十二号
公布年月日: 昭和54年6月29日
法令の形式: 法律
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十四年六月二十九日
内閣総理大臣 大平正芳
法律第五十二号
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)の一部を次のように改正する。
第四十四条を次のように改める。
(事業の指定等)
第四十四条 動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所(日本原子力研究所法(昭和三十一年法律第九十二号)第二十二条第二項の認可を受けて再処理の事業を行う場合に限る。以下この章において同じ。)以外の者で再処理の事業を行おうとするものは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の指定を受けなければならない。
2 前項の指定を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 再処理設備及びその附属施設(以下「再処理施設」という。)を設置する工場又は事業所の名称及び所在地
三 再処理を行う使用済燃料の種類及び再処理能力
四 再処理施設の位置、構造及び設備並びに再処理の方法
五 再処理施設の工事計画
六 使用済燃料から分離された核燃料物質の処分の方法
3 動力炉・核燃料開発事業団又は日本原子力研究所は、再処理の事業を行おうとするときは、政令で定めるところにより、その再処理施設の設置について内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
4 動力炉・核燃料開発事業団又は日本原子力研究所は、前項の承認を受けようとするときは、第二項第二号から第六号までに掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
第四十四条の次に次の三条を加える。
(指定の基準等)
第四十四条の二 内閣総理大臣は、前条第一項の指定の申請があつた場合においては、その申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の指定をしてはならない。
一 再処理施設が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。
二 その指定をすることによつて原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。
三 その事業を適確に遂行するに足りる技術的能力及び経理的基礎があること。
四 再処理施設の位置、構造及び設備が使用済燃料、使用済燃料から分離された物又はこれらによつて汚染された物による災害の防止上支障がないものであること。
2 内閣総理大臣は、前条第三項の承認の申請があつた場合においては、その申請が前項第四号に適合していると認めるときでなければ、同条第三項の承認をしてはならない。
3 内閣総理大臣は、前条第一項の指定又は同条第三項の承認をする場合においては、あらかじめ、第一項第一号、第二号及び第三号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用については原子力委員会、同項第三号(技術的能力に係る部分に限る。)及び第四号に規定する基準の適用については原子力安全委員会の意見を聴き、これを十分に尊重してしなければならない。
(指定の欠格条項)
第四十四条の三 次の各号の一に該当する者には、第四十四条第一項の指定を与えない。
一 第四十六条の七第二項の規定により第四十四条第一項の指定を取り消され、取消しの日から二年を経過していない者
二 この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた後、二年を経過していない者
三 禁治産者
四 法人であつて、その業務を行う役員のうちに前三号の一に該当する者のあるもの
(変更の許可及び届出等)
第四十四条の四 第四十四条第一項の指定を受けた者(以下「再処理事業者」という。)は、同条第二項第二号から第四号まで又は第六号に掲げる事項を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。ただし、同項第二号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更しようとするときは、この限りでない。
2 再処理事業者は、第四十六条の六第一項に規定する場合を除き、第四十四条第二項第一号又は第五号に掲げる事項を変更したときは、変更の日から三十日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。同項第二号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更したときも、同様とする。
3 動力炉・核燃料開発事業団又は日本原子力研究所は、第四十四条第二項第二号から第四号まで又は第六号に掲げる事項を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。この場合においては、第一項ただし書の規定を準用する。
4 動力炉・核燃料開発事業団又は日本原子力研究所は、第四十四条第二項第五号に掲げる事項を変更したときは、変更の日から三十日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。同項第二号に掲げる事項のうち工場又は事業所の名称のみを変更したときも、同様とする。
5 第四十四条の二の規定は、第一項の許可又は第三項の承認に準用する。
第四十五条第一項中「行なう」を「行う」に、「又は前条ただし書の場合における日本原子力研究所をいう。」を「及び日本原子力研究所を含む。第四十六条の三、第四十六条の五から第四十六条の七まで、第六十五条及び第六十六条を除き、」に、「再処理設備及びその附属施設(以下「再処理施設」という。)」を「再処理施設」に改める。
第四十六条の見出しを「(使用前検査)」に改め、同条第一項中「工事」の下に「及び性能」を加え、同条第二項を次のように改める。
2 前項の検査においては、再処理施設が次の各号に適合しているときは、合格とする。
一 その工事が前条の認可を受けた設計及び方法に従つて行われていること。
二 その性能が総理府令で定める技術上の基準に適合するものであること。
第四十六条の次に次の六条を加える。
(定期検査)
第四十六条の二 再処理事業者は、再処理施設のうち政令で定めるものの性能について、内閣総理大臣が毎年一回定期に行う検査を受けなければならない。
2 前項の検査は、その再処理施設の性能が総理府令で定める技術上の基準に適合しているかどうかについて行う。
(事業開始等の届出)
第四十六条の三 再処理事業者は、その事業を開始し、休止し、又は再開したときは、それぞれその日から十五日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
(使用計画)
第四十六条の四 再処理事業者は、総理府令で定めるところにより、再処理施設の使用計画を作成し、内閣総理大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。
(合併)
第四十六条の五 再処理事業者である法人の合併の場合(再処理事業者である法人と再処理事業者でない法人が合併する場合において、再処理事業者である法人が存続するときを除く。)において当該合併について内閣総理大臣の認可を受けたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、再処理事業者の地位を承継する。
2 第四十四条の二第一項第一号から第三号まで及び第三項並びに第四十四条の三の規定は、前項の認可に準用する。
(相続)
第四十六条の六 再処理事業者について相続があつたときは、相続人は、再処理事業者の地位を承継する。
2 前項の規定により再処理事業者の地位を承継した相続人は、相続の日から三十日以内に、その事実を証する書面を添えて、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
(指定の取消し等)
第四十六条の七 内閣総理大臣は、再処理事業者が正当な理由がないのに、総理府令で定める期間内にその事業を開始せず、又は引き続き一年以上その事業を休止したときは、第四十四条第一項の指定を取り消すことができる。
2 内閣総理大臣は、再処理事業者が次の各号の一に該当するときは、第四十四条第一項の指定を取り消し、又は一年以内の期間を定めてその事業の停止を命ずることができる。
一 第四十四条の三第二号から第四号までの一に該当するに至ったとき。
二 第四十四条の四第一項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。
三 第四十九条の規定による命令に違反したとき。
四 第五十条第一項若しくは第四項の規定に違反し、又は同条第三項の規定による命令に違反したとき。
五 第五十一条第二項において準用する第二十二条の五の規定による命令に違反したとき。
六 第五十八条の二の規定に違反したとき。
七 第五十九条の二第二項の規定に違反し、又は同条第三項の規定による命令に違反したとき。
八 第六十一条の八第一項若しくは第四項の規定に違反し、又は同条第三項の規定による命令に違反したとき。
九 第六十二条第一項又は第二項の条件に違反したとき。
十 原子力損害の賠償に関する法律第六条の規定に違反したとき。
第四十九条中「再処理施設の保全若しくは再処理設備の操作又は」を「再処理施設の性能が第四十六条の二第二項の技術上の基準に適合していないと認めるとき、又は再処理施設の保全、再処理設備の操作若しくは」に改める。
第五十条の次に次の一条を加える。
(再処理施設の解体)
第五十条の二 再処理事業者(第六十六条第一項に規定する者のうち再処理事業者に係る者を含む。次項において同じ。)は、再処理施設を解体しようとするときは、総理府令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があつた場合において、必要があると認めるときは、再処理事業者に対し、再処理施設の解体の方法の指定、使用済燃料による汚染の除去その他使用済燃料、使用済燃料から分離された物又はこれらによつて汚染された物による災害を防止するために必要な措置を命ずることができる。
第六十二条第二項中「第三条第一項」の下に「若しくは第四十四条第一項」を加え、「附する」を「付する」に改める。
第六十五条第一項中「若しくは加工事業者」を「、加工事業者若しくは再処理事業者」に改め、「、加工事業者」の下に「、再処理事業者」を加え、同条第二項中「第三条第一項」の下に「若しくは第四十四条第一項」を加え、同条第三項中「又は原子炉設置者」を「原子炉設置者」に、「承継がなかつたときは」を「承継がなかつたとき、又は再処理事業者が解散し、若しくは死亡した場合において、第四十六条の五第一項若しくは第四十六条の六第一項の規定による承継がなかつたときは」に改める。
第六十六条第一項中「第十条」の下に「若しくは第四十六条の七」を、「製錬事業者」の下に「若しくは再処理事業者」を加え、同条第三項中「若しくは加工」を「、加工若しくは再処理」に改め、「原子炉設置者」の下に「、再処理事業者」を加える。
第六十七条の二第二項中「第四十六条」の下に「、第四十六条の二」を加える。
第六十九条第一項中「第三十三条」の下に「、第四十六条の七」を加える。
第七十一条第五項中「若しくは第二十条」を「、第二十条、第四十四条第一項、第四十四条の四第一項、第四十六条の五第一項若しくは第四十六条の七」に改め、「第十三条第一項の許可」の下に「若しくは第四十四条第一項の指定」を加え、同条第六項中「申請者を含む。)」の下に「又は当該再処理事業者(第四十四条第一項の指定の申請者を含む。)」を加え、同条第七項中「若しくは第二十二条の五」を「、第二十二条の五(第五十一条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条、第五十条第一項若しくは第三項若しくは第五十条の二第二項」に改め、「加工事業者」の下に「若しくは再処理事業者」を加え、「若しくは第二十二条の二第二項」を「、第二十二条の二第二項(第五十一条第二項において準用する場合を含む。)、第四十四条の四第二項、第四十六条の三、第四十六条の四、第四十六条の六第二項若しくは第五十条の二第一項」に改め、同項に次のただし書を加える。
ただし、動力炉・核燃料開発事業団又は日本原子力研究所が行う再処理の事業に係る処分、命令、届出又は報告については、この限りでない。
第七十一条第九項中「又は加工事業者」を「、加工事業者又は再処理事業者」に改め、「内閣総理大臣及び通商産業大臣」の下に「(再処理の事業を行う場合における動力炉・核燃料開発事業団又は日本原子力研究所に対するものにあつては、内閣総理大臣)」を加え、「、再処理事業者」を削る。
第七十二条中「第三条第一項」の下に「若しくは第四十四条第一項」を、「第三十九条第一項若しくは第二項」の下に「、第四十四条の四第一項」を、「第十条」の下に「若しくは第四十六条の七」を加える。
第七十四条の二第一項第一号中「第三条第一項」の下に「及び第四十四条第一項」を加え、同項第二号中「及び第三十九条第一項」を「、第三十九条第一項及び第四十四条の四第一項」に改め、同号の次に次の一号を加える。
二の二 第四十四条第三項及び第四十四条の四第三項の規定による承認
第七十四条の二第一項第三号中「及び第三十一条第一項」を「、第三十一条第一項及び第四十六条の五第一項」に改め、同項第四号中「第十条第一項」の下に「及び第四十六条の七第一項」を加え、「及び同条第二項」を「並びに第十条第二項及び第四十六条の七第二項」に改める。
第七十五条第一号中「第三条第一項」の下に「又は第四十四条第一項」を加え、同条第二号中「第三十九条第一項若しくは第二項」の下に「、第四十四条の四第一項」を加え、同条中第六号を第七号とし、第三号から第五号までを一号ずつ繰り下げ、第二号の次に次の一号を加える。
三 第四十四条第三項又は第四十四条の四第三項の承認を受けようとする者
第七十七条第二号中「又は第二十条第二項」を「、第二十条第二項又は第四十六条の七第二項」に改め、同条第七号を次のように改める。
七 第四十四条第一項の指定を受けないで再処理の事業を行つた者
第七十七条第七号の次に次の一号を加える。
七の二 第四十四条第三項の承認を受けないで再処理の事業を行つた者
第七十八条第五号の次に次の一号を加える。
五の二 第四十四条の四第一項又は第三項の規定により許可又は承認を受けなければならない事項について、これらの規定による許可又は承認を受けないで第四十四条第二項第二号から第四号まで又は第六号に掲げる事項を変更した者
第七十九条第四号の次に次の一号を加える。
四の二 第五十条の二第一項の規定による届出をしないで再処理施設を解体し、又は同条第二項の規定による命令に違反した者
第八十二条第一号中「若しくは第十七条」を「、第十七条若しくは第四十六条の三」に改め、同条第二号中「第三十条」の下に「若しくは第四十六条の四」を加える。
第八十三条中「第三十二条第二項」の下に「、第四十四条の四第二項若しくは第四項、第四十六条の六第二項」を加える。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に動力炉・核燃料開発事業団が設置し、又は設置に着手している再処理施設については、次項の規定により動力炉・核燃料開発事業団が提出する書類に記載されたところにより、この法律の施行の日にこの法律による改正後の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下この条において「新法」という。)第四十四条第三項の承認があつたものとみなして、新法の規定を適用する。
2 動力炉・核燃料開発事業団は、前項の規定の適用を受ける再処理施設について、新法第四十四条第三項の承認を申請する場合に必要とされる事項を記載した書類を、この法律の施行の日から六十日以内に、内閣総理大臣に提出しなければならない。
3 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第四十六条第一項の規定による検査についてされている申請は、新法第四十六条第一項の規定による検査についてされた申請とみなす。
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(原子力損害の賠償に関する法律の一部改正)
第三条 原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項第二号の次に次の一号を加える。
二の二 規制法第四十四条第一項の指定を受けた者
内閣総理大臣 大平正芳