農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第三十九号
公布年月日: 昭和50年6月13日
法令の形式: 法律
農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十年六月十三日
内閣総理大臣 三木武夫
法律第三十九号
農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律
農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第十三条」を「第十三条の四」に、「第六章雑則(第二十条―第二十三条)」を
第六章
雑則(第二十条―第二十三条)
第七章
罰則(第二十四条・第二十五条)
に改める。
第三条第一号中「土地」の下に「(以下「農用地」という。)」を加え、同条第二号中「あわせて」を「併せて」に、「前号に掲げるもの」を「農用地」に改め、同条第三号中「前二号」を「農用地又は前号」に改め、同条に次の一号を加える。
四 耕作又は養畜の業務のために必要な農業用施設(前号の施設を除く。)で農林省令で定めるものの用に供される土地
第四章中第十三条の次に次の三条を加える。
(交換分合)
第十三条の二 市町村は、第八条第一項の規定により農業振興地域整備計画を定め、又は前条第一項の規定により農業振興地域整備計画を変更しようとする場合において、農業振興地域の自然的経済的社会的諸条件からみてその定めようとする農業振興地域整備計画に係る農業振興地域内又はその変更しようとする農業振興地域整備計画に係る農用地区域内にある農用地等の一部が農用地等以外の用途に供されることが見通されることにより、農業振興地域内にある土地の農業上の利用と他の利用との調整に留意して農業振興地域内において農用地等として利用すべき土地の農業上の利用を確保するため特に必要があると認めるときは、その定めようとする農業振興地域整備計画に係る農用地区域内又はその変更しようとする農業振興地域整備計画に係る農用地区域内にある土地を含む農業振興地域内にある一定の土地に関し交換分合を行うことができる。
2 市町村は、前項の規定により交換分合を行おうとするときは、農林省令で定めるところにより、交換分合計画を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。
3 交換分合計画は、農業振興地域内にある土地の農業上の利用と他の利用との調整に留意して農業振興地域内において農用地等として利用すべき土地の農業上の利用を確保するとともに、農業振興地域内における農用地の集団化その他農業構造の改善に資するように定めるものでなければならない。
4 農用地以外の土地を含めて交換分合計画を定めようとするときは、第十三条の四において準用する土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第九十九条第二項の規定によるほか、当該土地について所有権、地上権、永小作権、質権、貸借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者並びに当該交換分合により当該土地についてこれらの権利を取得すべき者のすべての同意を得なければならない。
第十三の三条 交換分合計画においては、その交換分合計画に係る土地の所有者の申出又は同意があつた場合には、その申出又は同意に係る土地の所有者が取得すべき土地を定めないでその所有者が失うべき土地を定めることができる。この場合において、その所有者が失うべき土地について地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者があるときは、市町村は、その所有者が取得すべき土地を定めないことについてこれらの者のすべての同意を得なければならない。
2 前項前段の場合には、金銭による清算をするものとし、当該交換分合計画においてその額並びに支払及び徴収の方法及び時期を定めなければならない。
3 第一項の規定により所有者が取得すべき土地を定めないでその所有者が失うべき土地を定める場合において、その所有者が失うべき土地の全部又は一部について先取特権、質権又は抵当権があるときは、前項の規定により交換分合計画において清算金を定めるに当たつて、当該権利の及ぶべき清算金の額を併せて定めなければならない。
第十三条の四 土地改良法第九十九条(第一項を除く。)、第百一条第二項、第百二条から第百七条まで、第百八条第一項及び第二項、第百九条、第百十条、第百十二条、第百十三条、第百十四条第一項、第百十五条、第百十八条(第二項を除く。)並びに第百二十一条から第百二十三条までの規定は、第十三条の二第一項の規定による交換分合について準用する。この場合において、これらの規定の準用について必要な技術的読替えは、政令で定める。
第十五条の次に次の十六条を加える。
(農用地利用増進事業)
第十五条の二 市町村は、農用地区域内にある農用地の保有及び利用の現況及び将来の見通し、当該農用地について耕作又は養畜の業務を営む個人又は農業生産法人(農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第七項に規定する農業生産法人をいう。以下同じ。)の農業経営に関する意向等からみて、当該農用地の農業上の利用の増進を図るため必要があると認めるときは、農用地区域内の一定の区域内にある農用地について利用権(耕作を目的とし、又は主として耕作若しくは養畜の業務のための採草若しくは家畜の放牧を目的とする農用地についての賃借権又は使用貸借による権利をいう。以下同じ。)の設定を促進する事業(以下「農用地利用増進事業」という。)を行うことができる。
(農用地利用増進規程)
第十五条の三 市町村は、前条の規定により農用地利用増進事業を行おうとするときは、農林省令で定めるところにより、農用地利用増進規程を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。
2 農用地利用増進規程においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 農用地利用増進事業の実施区域(以下単に「実施区域」という。)及びその実施区域内にある農用地の総面積
二 農用地利用増進事業の実施に関する基本方針
三 農用地利用増進事業の実施により利用権の設定を受ける者の備えるべき要件
四 農用地利用増進事業の実施により設定される利用権の存続期間並びに借賃の算定基準及び支払の方法
五 その他農林省令で定める事項
3 農用地利用増進規程は、実施区域内にある農用地の農業上の効率的な利用の促進並びに当該農用地について耕作又は養畜の業務を営む個人又は農業生産法人でその農業経営の規模の拡大のため利用権を取得しようとするもののその取得の促進及びこれらの者の農業経営の安定を図ることにより、農業振興地域整備計画の達成に資するように定めるものでなければならない。
4 都道府県知事は、第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聴かなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の認可をしたときは、農林省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
第十五条の四 市町村は、農用地利用増進規程の変更(農林省令で定める軽微な変更を除く。)又は廃止をしようとするときは、農林省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けなければならない。
2 前条第四項及び第五項の規定は、前項の認可について準用する。
(農用地利用増進計画)
第十五条の五 第十五条の三第一項の認可を受けた市町村は、農林省令で定めるところにより、実施区域につき農用地利用増進計画を定めなければならない。
2 農用地利用増進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 利用権の設定を受ける者の氏名又は名称及び住所
二 前号に規定する者が利用権の設定を受ける農用地の所在、地番、地目及び面積
三 第一号に規定する者に前号に規定する農用地について利用権を設定する者の氏名又は名称及び住所
四 第一号に規定する者が設定を受ける利用権の種類、内容、始期、存続期間並びに借賃及びその支払の方法
五 第一号に規定する者が現に耕作又は養畜の業務に供している農用地の所在、地番、地目、面積及び利用状況
六 その他農林省令で定める事項
3 農用地利用増進計画は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。
一 農用地利用増進計画の内容が農用地利用増進規程に適合するものであること。
二 前項第一号に規定する者が、利用権の設定を受けた後において、次に掲げる要件(農業生産法人にあつては、イ及びハに掲げる要件)のすべてを備えることとなること。
イ 耕作又は養畜の業務に供すべき農用地のすべてについて耕作又は養畜の業務を行うと認められること。
ロ 耕作又は養畜の業務に必要な農作業に常時従事すると認められること。
ハ 前項第二号に規定する農用地を効率的に利用して耕作又は養畜の業務を行うことができると認められること。
4 市町村は、農用地利用増進計画を定めようとするときは、第二項第一号に規定する者並びに同項第二号に規定する農用地について所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者のすべての同意を得、かつ、農業委員会の決定を経なければならない。
5 市町村は、農用地利用増進計画を定めたときは、農林省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
6 市町村は、前項の規定による公告をしようとするときは、農林省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。
(公告の効果)
第十五条の六 前条第五項の規定による公告があつたときは、その公告があつた農用地利用増進計画の定めるところにより利用権が設定される。
(特定利用権の設定に関する承認)
第十五条の七 市町村又は農業協同組合は、農用地区域内にある農用地で現に耕作の目的又は耕作若しくは養畜の業務のための採草若しくは家畜の放牧の目的(以下「耕作の目的等」という。)に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的等に供されないと見込まれることにより農用地としての利用が困難となると認められるものがある場合において、その住民又は組合員で耕作又は養畜の業務を営むものの共同利用に供するため、その農用地について特定利用権(耕作を目的とし、又は主として耕作若しくは養畜の業務のための採草若しくは家畜の放牧を目的とする農用地についての賃借権をいう。以下同じ。)を取得する必要があるときは、農林省令で定めるところにより、都道府県知事の承認を受けて、その農用地の所有権(所有者以外に権原に基づき使用及び収益をする者がある場合には、その者。以下「農用地所有者等」という。)に対し、特定利用権の設定に関する協議を求めることができる。ただし、農地法第三十一条において準用する同法第二十六条第一項又は同法第七十五条の二第一項の協議を求めることができる場合は、この限りでない。
2 都道府県知事は、前項の承認の申請があつたときは、農林省令で定めるところにより、その申請に係る農用地の利用の状況並びに自然条件及び利用条件その他の必要な事項を調査しなければならない。
3 都道府県知事は、前項の規定による調査の結果、その調査に係る農用地が次に掲げる要件のすべてを備えている場合に限り、第一項の承認をすることができる。
一 その農用地が現に耕作の目的等に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的等に供されないと見込まれることによりその農用地の農用地としての利用が困難となると認められること。
二 その農用地の自然条件及び利用条件からみて、その農用地について特定利用権の設定を受けようとする者の利用計画に従つてその農用地を耕作の目的等に供することが相当であると認められること。
三 その農用地について特定利用権の設定を受けようとする者の利用計画に従つてその農用地を共同利用に供することが農用地区域内における農業経営の状況等からみて耕作又は養畜の業務を営む者の農業経営の改善を図るため必要かつ適当であつて、他の土地をもつて代えることが困難であると認められること。
4 都道府県知事は、第一項の承認をしようとするときは、あらかじめ、その承認の申請に係る協議の相手方その他農林省令で定める者の意見を聴かなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の承認をしたときは、遅滞なく、その旨をその承認の申請に係る協議の相手方その他農林省令で定める者に通知するとともに、これを公告しなければならない。
(裁定の申請)
第十五条の八 前条第一項の協議に調わず、又は協議をすることができないときは、同項の承認を受けた者は、その承認を受けた日から起算して二月以内に、農林省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、その協議に係る特定利用権の設定に関し裁定を申請することができる。
(意見書の提出)
第十五条の九 都道府県知事は、前条の規定による申請があつたときは、農林省令で定める事項を公告するとともに、その申請に係る農用地所有者等にこれを通知し、二週間を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。
2 前項の意見書を提出する者は、その意見書において、その者の有する権利の種類及び内容、その者が前条の規定による申請に係る農用地を現に耕作の目的等に供していない理由その他の農林省令で定める事項を明らかにしなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の期間を経過した後でなければ、裁定をしてはならない。
(裁定)
第十五条の十 都道府県知事は、第十五条の八の規定による申請に係る農用地が現に耕作の目的等に供されておらず、かつ、前条第一項の意見書の内容その他その農用地の利用に関する諸事情を考慮して引き続き耕作の目的等に供されないことが確実であると見込まれる場合において、その申請をした者がその農用地をその者の利用計画に従つて共同利用に供することが農業振興地域整備計画の達成のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、特定利用権を設定すべき旨の裁定をするものとする。
2 前項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 特定利用権を設定すべき農用地の所在、地番、地目及び面積
二 特定利用権の内容
三 特定利用権の始期及び存続期間
四 借賃
五 借賃の支払の方法
3 第一項の裁定は、前項第一号から第三号までに掲げる事項については申請の範囲を超えてはならず、同項第二号に掲げる事項についてはその農用地の性質によつて定まる用方に従い利用することとなるものでなければならず、同項第三号に規定する存続期間については五年を限度としなければならない。
4 都道府県知事は、第一項の裁定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聴かなければならない。
(裁定の効果等)
第十五条の十一 都道府県知事は、前条第一項の裁定をしたときは、農林省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨をその裁定の申請をした者及びその申請に係る農用地所有者等に通知するとともに、これを公告しなければならない。その裁定についての審査請求に対する裁決によつてその裁定の内容が変更されたときも、同様とする。
2 前条第一項の裁定について前項の規定による公告があつたときは、その裁定の定めるところにより、その裁定の申請をした者とその申請に係る農用地所有者等との間に協議が調つたものとみなす。
第十五条の十二 第十五条の十第一項の裁定のうち借賃の額について不服がある者は、訴えをもつて、その増減を請求することができる。ただし、その裁定があつた日から三月を経過したときは、この限りでない。
2 前項の訴えにおいては、第十五条の十第一項の裁定の申請をした者又はその申請に係る農用地所有者等を被告とする。
3 第十五条の十第一項の裁定についての審査請求においては、その借賃の額についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。
(特定利用権に係る賃貸借の解除)
第十五条の十三 第十五条の七第一項の承認を受けてする協議が調つたこと(第十五条の十一第二項の規定により協議が調つたものとみなされる場合を含む。次条において同じ。)により設定された特定利用権を有する者が正当な理由がなく引き続き一年以上その特定利用権に係る農用地の全部又は一部をその目的に供しなかつたときは、その特定利用権を設定した者は、その目的に供されていない農用地につき、都道府県知事の承認を受けて、その特定利用権に係る賃貸借の解除をすることができる。
(特定利用権の譲渡等の禁止)
第十五条の十四 第十五条の七第一項の承認を受けてする協議が調つたことにより設定された特定利用権を有する者は、その特定利用権を譲り渡し、又はその特定利用権に係る農用地を貸し付けることができない。
(農用地区域内における開発行為の制限)
第十五条の十五 農用地区域内において開発行為(宅地の造成、土石の採取その他の土地の形質の変更又は建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築をいう。以下同じ。)をしようとする者は、あらかじめ、農林省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する行為については、この限りでない。
一 国又は地方公共団体が行う行為
二 土地改良法第二条第二項に規定する土地改良事業の施行として行う行為
三 農地法第四条第一項、第五条第一項又は第七十三条第一項の許可に係る土地をその許可に係る目的に供するために行う行為
四 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で農林省令で定めるもの
五 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
六 公益性が特に高いと認められる事業の実施に係る行為のうち農業振興地域整備計画の達成に著しい支障を及ぼすおそれが少ないと認められるもので農林省令で定めるもの
七 農用地区域が定められ、又は拡張された際既に着手していた行為
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、次の各号の一に該当すると認めるときは、これを許可してはならない。
一 当該開発行為により当該開発行為に係る土地を農用地等として利用することが困難となるため、農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼすおそれがあること。
二 当該開発行為により当該開発行為に係る土地の周辺の農用地等において土砂の流出又は崩壊その他の耕作又は養畜の業務に著しい支障を及ぼす災害を発生させるおそれがあること。
三 当該開発行為により当該開発行為に係る土地の周辺の農用地等に係る農業用用排水施設の有する機能に著しい支障を及ぼすおそれがあること。
3 第一項の許可には、当該開発行為に係る土地及びその周辺の農用地等の農業上の利用を確保するために必要な限度において、条件を付することができる。
4 都道府県知事は、第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聴かなければならない。
(監督処分等)
第十五条の十六 都道府県知事は、開発行為に係る土地及びその周辺の農用地等の農業上の利用を確保するために必要な限度において、前条第一項の規定に違反した者若しくは同項の許可に付した同条第三項の条件に違反して開発行為をした者又は偽りその他の不正な手段により同条第一項の許可を受けて開発行為をした者に対し、その開発行為の中止を命じ、又は期間を定めて復旧に必要な行為をすべき旨を命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定により開発行為の中止を命じ、又は復旧に必要な行為をすべき旨を命じようとするときは、あらかじめ、その開発行為の中止又は復旧に必要な行為を命ずべき者に弁明の機会を与えなければならない。
(農用地区域以外の区域内における開発行為についての勧告等)
第十五条の十七 都道府県知事は、農業振興地域の区域のうち農用地区域以外の区域内において開発行為を行つている者がある場合において、その開発行為により、農用地区域内にある農用地等において土砂の流出若しくは崩壊その他の耕作若しくは養畜の業務に著しい支障を及ぼす災害を発生させ、又は農用地区域内にある農用地等に係る農業用用排水施設の有する機能に著しい支障を及ぼすことにより、農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、農用地区域内にある農用地等の農業上の利用を確保するために必要な限度において、その者に対し、その事態を除去するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
第十七条中「(昭和二十七年法律第二百二十九号)」を削り、「行なう」を「行う」に改める。
第十八条中「同条第一項の農地等について」を「土地について、その土地の農業上の利用を確保するため」に、「行なう」を「行う」に、「これらの土地」を「その土地」に改める。
第二十三条第一項中「個人」の下に「又は法人」を、「土地を」の下に「第十三条の二第一項の規定による交換分合、」を加え、「その譲渡しに係る所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十三条第一項に規定する譲渡所得についての所得税」を「所得税又は法人税」に改め、同条第二項中「規定する」の下に「交換分合、」を加える。
第六章の次に次の一章を加える。
第七章 罰則
第二十四条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
一 第十三条の四において準用する土地改良法第百九条の規定に違反した者
二 第十五条の十五第一項の規定に違反した者
三 第十五条の十六第一項の規定による命令に違反した者
第二十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(農業振興地域整備基本方針の変更に関する経過措置)
2 都道府県知事は、政令で定めるところにより、この法律の施行の日以後遅滞なく、この法律の施行の際現に農業振興地域の整備に関する法律(以下「法」という。)第四条第一項の規定により定められている農業振興地域整備基本方針(同条第二項第三号に掲げる事項のうち改正後の法第三条第四号に掲げる土地に係る部分に限る。)を変更しなければならない。この場合には、法第四条第四項から第七項までの規定を準用する。
(開発行為に関する経過措置)
3 この法律の施行の際現に着手している開発行為(改正後の法第十五条の十五第一項の開発行為をいう。)については、同項本文の規定は、適用しない。
(農地法の一部改正)
4 農地法の一部を次のように改正する。
第三条第一項第四号中「土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)」の下に「若しくは農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)」を加え、同号の次に次の二号を加える。
四の二 農業振興地域の整備に関する法律第十五条の二に規定する農用地利用増進事業の実施によつて同条に規定する利用権が設定される場合
四の三 農業振興地域の整備に関する法律第十五条の七から第十五条の十一までの規定によつて同法第十五条の七第一項に規定する特定利用権が設定される場合
第七条第一項第十三号の次に次の一号を加える。
十三の二 農業振興地域の整備に関する法律第十五条の二に規定する農用地利用増進事業の実施により貸し付けられている小作地
第十九条ただし書中「及び第七十五条の二」を「、第七十五条の二」に改め、「に係る賃貸借」の下に「、農業振興地域の整備に関する法律第十五条の二に規定する農用地利用増進事業の実施によつて設定された同条に規定する利用権に係る賃貸借及び同法第十五条の七から第十五条の十一までの規定によつて設定された同法第十五条の七第一項に規定する特定利用権に係る賃貸借」を加える。
第二十条第一項に次の一号を加える。
五 農業振興地域の整備に関する法律第十五条の七から第十五条の十一までの規定によつて設定された同法第十五条の七第一項に規定する特定利用権に係る賃貸借の解除が、同法第十五条の十三の規定により都道府県知事の承認を受けて行われる場合
法務大臣 稻葉修
農林大臣 安倍晋太郎
内閣総理大臣 三木武夫
農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十年六月十三日
内閣総理大臣 三木武夫
法律第三十九号
農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律
農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第十三条」を「第十三条の四」に、「第六章雑則(第二十条―第二十三条)」を
第六章
雑則(第二十条―第二十三条)
第七章
罰則(第二十四条・第二十五条)
に改める。
第三条第一号中「土地」の下に「(以下「農用地」という。)」を加え、同条第二号中「あわせて」を「併せて」に、「前号に掲げるもの」を「農用地」に改め、同条第三号中「前二号」を「農用地又は前号」に改め、同条に次の一号を加える。
四 耕作又は養畜の業務のために必要な農業用施設(前号の施設を除く。)で農林省令で定めるものの用に供される土地
第四章中第十三条の次に次の三条を加える。
(交換分合)
第十三条の二 市町村は、第八条第一項の規定により農業振興地域整備計画を定め、又は前条第一項の規定により農業振興地域整備計画を変更しようとする場合において、農業振興地域の自然的経済的社会的諸条件からみてその定めようとする農業振興地域整備計画に係る農業振興地域内又はその変更しようとする農業振興地域整備計画に係る農用地区域内にある農用地等の一部が農用地等以外の用途に供されることが見通されることにより、農業振興地域内にある土地の農業上の利用と他の利用との調整に留意して農業振興地域内において農用地等として利用すべき土地の農業上の利用を確保するため特に必要があると認めるときは、その定めようとする農業振興地域整備計画に係る農用地区域内又はその変更しようとする農業振興地域整備計画に係る農用地区域内にある土地を含む農業振興地域内にある一定の土地に関し交換分合を行うことができる。
2 市町村は、前項の規定により交換分合を行おうとするときは、農林省令で定めるところにより、交換分合計画を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。
3 交換分合計画は、農業振興地域内にある土地の農業上の利用と他の利用との調整に留意して農業振興地域内において農用地等として利用すべき土地の農業上の利用を確保するとともに、農業振興地域内における農用地の集団化その他農業構造の改善に資するように定めるものでなければならない。
4 農用地以外の土地を含めて交換分合計画を定めようとするときは、第十三条の四において準用する土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第九十九条第二項の規定によるほか、当該土地について所有権、地上権、永小作権、質権、貸借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者並びに当該交換分合により当該土地についてこれらの権利を取得すべき者のすべての同意を得なければならない。
第十三の三条 交換分合計画においては、その交換分合計画に係る土地の所有者の申出又は同意があつた場合には、その申出又は同意に係る土地の所有者が取得すべき土地を定めないでその所有者が失うべき土地を定めることができる。この場合において、その所有者が失うべき土地について地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者があるときは、市町村は、その所有者が取得すべき土地を定めないことについてこれらの者のすべての同意を得なければならない。
2 前項前段の場合には、金銭による清算をするものとし、当該交換分合計画においてその額並びに支払及び徴収の方法及び時期を定めなければならない。
3 第一項の規定により所有者が取得すべき土地を定めないでその所有者が失うべき土地を定める場合において、その所有者が失うべき土地の全部又は一部について先取特権、質権又は抵当権があるときは、前項の規定により交換分合計画において清算金を定めるに当たつて、当該権利の及ぶべき清算金の額を併せて定めなければならない。
第十三条の四 土地改良法第九十九条(第一項を除く。)、第百一条第二項、第百二条から第百七条まで、第百八条第一項及び第二項、第百九条、第百十条、第百十二条、第百十三条、第百十四条第一項、第百十五条、第百十八条(第二項を除く。)並びに第百二十一条から第百二十三条までの規定は、第十三条の二第一項の規定による交換分合について準用する。この場合において、これらの規定の準用について必要な技術的読替えは、政令で定める。
第十五条の次に次の十六条を加える。
(農用地利用増進事業)
第十五条の二 市町村は、農用地区域内にある農用地の保有及び利用の現況及び将来の見通し、当該農用地について耕作又は養畜の業務を営む個人又は農業生産法人(農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第七項に規定する農業生産法人をいう。以下同じ。)の農業経営に関する意向等からみて、当該農用地の農業上の利用の増進を図るため必要があると認めるときは、農用地区域内の一定の区域内にある農用地について利用権(耕作を目的とし、又は主として耕作若しくは養畜の業務のための採草若しくは家畜の放牧を目的とする農用地についての賃借権又は使用貸借による権利をいう。以下同じ。)の設定を促進する事業(以下「農用地利用増進事業」という。)を行うことができる。
(農用地利用増進規程)
第十五条の三 市町村は、前条の規定により農用地利用増進事業を行おうとするときは、農林省令で定めるところにより、農用地利用増進規程を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。
2 農用地利用増進規程においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 農用地利用増進事業の実施区域(以下単に「実施区域」という。)及びその実施区域内にある農用地の総面積
二 農用地利用増進事業の実施に関する基本方針
三 農用地利用増進事業の実施により利用権の設定を受ける者の備えるべき要件
四 農用地利用増進事業の実施により設定される利用権の存続期間並びに借賃の算定基準及び支払の方法
五 その他農林省令で定める事項
3 農用地利用増進規程は、実施区域内にある農用地の農業上の効率的な利用の促進並びに当該農用地について耕作又は養畜の業務を営む個人又は農業生産法人でその農業経営の規模の拡大のため利用権を取得しようとするもののその取得の促進及びこれらの者の農業経営の安定を図ることにより、農業振興地域整備計画の達成に資するように定めるものでなければならない。
4 都道府県知事は、第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聴かなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の認可をしたときは、農林省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
第十五条の四 市町村は、農用地利用増進規程の変更(農林省令で定める軽微な変更を除く。)又は廃止をしようとするときは、農林省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けなければならない。
2 前条第四項及び第五項の規定は、前項の認可について準用する。
(農用地利用増進計画)
第十五条の五 第十五条の三第一項の認可を受けた市町村は、農林省令で定めるところにより、実施区域につき農用地利用増進計画を定めなければならない。
2 農用地利用増進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 利用権の設定を受ける者の氏名又は名称及び住所
二 前号に規定する者が利用権の設定を受ける農用地の所在、地番、地目及び面積
三 第一号に規定する者に前号に規定する農用地について利用権を設定する者の氏名又は名称及び住所
四 第一号に規定する者が設定を受ける利用権の種類、内容、始期、存続期間並びに借賃及びその支払の方法
五 第一号に規定する者が現に耕作又は養畜の業務に供している農用地の所在、地番、地目、面積及び利用状況
六 その他農林省令で定める事項
3 農用地利用増進計画は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。
一 農用地利用増進計画の内容が農用地利用増進規程に適合するものであること。
二 前項第一号に規定する者が、利用権の設定を受けた後において、次に掲げる要件(農業生産法人にあつては、イ及びハに掲げる要件)のすべてを備えることとなること。
イ 耕作又は養畜の業務に供すべき農用地のすべてについて耕作又は養畜の業務を行うと認められること。
ロ 耕作又は養畜の業務に必要な農作業に常時従事すると認められること。
ハ 前項第二号に規定する農用地を効率的に利用して耕作又は養畜の業務を行うことができると認められること。
4 市町村は、農用地利用増進計画を定めようとするときは、第二項第一号に規定する者並びに同項第二号に規定する農用地について所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者のすべての同意を得、かつ、農業委員会の決定を経なければならない。
5 市町村は、農用地利用増進計画を定めたときは、農林省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
6 市町村は、前項の規定による公告をしようとするときは、農林省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。
(公告の効果)
第十五条の六 前条第五項の規定による公告があつたときは、その公告があつた農用地利用増進計画の定めるところにより利用権が設定される。
(特定利用権の設定に関する承認)
第十五条の七 市町村又は農業協同組合は、農用地区域内にある農用地で現に耕作の目的又は耕作若しくは養畜の業務のための採草若しくは家畜の放牧の目的(以下「耕作の目的等」という。)に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的等に供されないと見込まれることにより農用地としての利用が困難となると認められるものがある場合において、その住民又は組合員で耕作又は養畜の業務を営むものの共同利用に供するため、その農用地について特定利用権(耕作を目的とし、又は主として耕作若しくは養畜の業務のための採草若しくは家畜の放牧を目的とする農用地についての賃借権をいう。以下同じ。)を取得する必要があるときは、農林省令で定めるところにより、都道府県知事の承認を受けて、その農用地の所有権(所有者以外に権原に基づき使用及び収益をする者がある場合には、その者。以下「農用地所有者等」という。)に対し、特定利用権の設定に関する協議を求めることができる。ただし、農地法第三十一条において準用する同法第二十六条第一項又は同法第七十五条の二第一項の協議を求めることができる場合は、この限りでない。
2 都道府県知事は、前項の承認の申請があつたときは、農林省令で定めるところにより、その申請に係る農用地の利用の状況並びに自然条件及び利用条件その他の必要な事項を調査しなければならない。
3 都道府県知事は、前項の規定による調査の結果、その調査に係る農用地が次に掲げる要件のすべてを備えている場合に限り、第一項の承認をすることができる。
一 その農用地が現に耕作の目的等に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的等に供されないと見込まれることによりその農用地の農用地としての利用が困難となると認められること。
二 その農用地の自然条件及び利用条件からみて、その農用地について特定利用権の設定を受けようとする者の利用計画に従つてその農用地を耕作の目的等に供することが相当であると認められること。
三 その農用地について特定利用権の設定を受けようとする者の利用計画に従つてその農用地を共同利用に供することが農用地区域内における農業経営の状況等からみて耕作又は養畜の業務を営む者の農業経営の改善を図るため必要かつ適当であつて、他の土地をもつて代えることが困難であると認められること。
4 都道府県知事は、第一項の承認をしようとするときは、あらかじめ、その承認の申請に係る協議の相手方その他農林省令で定める者の意見を聴かなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の承認をしたときは、遅滞なく、その旨をその承認の申請に係る協議の相手方その他農林省令で定める者に通知するとともに、これを公告しなければならない。
(裁定の申請)
第十五条の八 前条第一項の協議に調わず、又は協議をすることができないときは、同項の承認を受けた者は、その承認を受けた日から起算して二月以内に、農林省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、その協議に係る特定利用権の設定に関し裁定を申請することができる。
(意見書の提出)
第十五条の九 都道府県知事は、前条の規定による申請があつたときは、農林省令で定める事項を公告するとともに、その申請に係る農用地所有者等にこれを通知し、二週間を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。
2 前項の意見書を提出する者は、その意見書において、その者の有する権利の種類及び内容、その者が前条の規定による申請に係る農用地を現に耕作の目的等に供していない理由その他の農林省令で定める事項を明らかにしなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の期間を経過した後でなければ、裁定をしてはならない。
(裁定)
第十五条の十 都道府県知事は、第十五条の八の規定による申請に係る農用地が現に耕作の目的等に供されておらず、かつ、前条第一項の意見書の内容その他その農用地の利用に関する諸事情を考慮して引き続き耕作の目的等に供されないことが確実であると見込まれる場合において、その申請をした者がその農用地をその者の利用計画に従つて共同利用に供することが農業振興地域整備計画の達成のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、特定利用権を設定すべき旨の裁定をするものとする。
2 前項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 特定利用権を設定すべき農用地の所在、地番、地目及び面積
二 特定利用権の内容
三 特定利用権の始期及び存続期間
四 借賃
五 借賃の支払の方法
3 第一項の裁定は、前項第一号から第三号までに掲げる事項については申請の範囲を超えてはならず、同項第二号に掲げる事項についてはその農用地の性質によつて定まる用方に従い利用することとなるものでなければならず、同項第三号に規定する存続期間については五年を限度としなければならない。
4 都道府県知事は、第一項の裁定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聴かなければならない。
(裁定の効果等)
第十五条の十一 都道府県知事は、前条第一項の裁定をしたときは、農林省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨をその裁定の申請をした者及びその申請に係る農用地所有者等に通知するとともに、これを公告しなければならない。その裁定についての審査請求に対する裁決によつてその裁定の内容が変更されたときも、同様とする。
2 前条第一項の裁定について前項の規定による公告があつたときは、その裁定の定めるところにより、その裁定の申請をした者とその申請に係る農用地所有者等との間に協議が調つたものとみなす。
第十五条の十二 第十五条の十第一項の裁定のうち借賃の額について不服がある者は、訴えをもつて、その増減を請求することができる。ただし、その裁定があつた日から三月を経過したときは、この限りでない。
2 前項の訴えにおいては、第十五条の十第一項の裁定の申請をした者又はその申請に係る農用地所有者等を被告とする。
3 第十五条の十第一項の裁定についての審査請求においては、その借賃の額についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。
(特定利用権に係る賃貸借の解除)
第十五条の十三 第十五条の七第一項の承認を受けてする協議が調つたこと(第十五条の十一第二項の規定により協議が調つたものとみなされる場合を含む。次条において同じ。)により設定された特定利用権を有する者が正当な理由がなく引き続き一年以上その特定利用権に係る農用地の全部又は一部をその目的に供しなかつたときは、その特定利用権を設定した者は、その目的に供されていない農用地につき、都道府県知事の承認を受けて、その特定利用権に係る賃貸借の解除をすることができる。
(特定利用権の譲渡等の禁止)
第十五条の十四 第十五条の七第一項の承認を受けてする協議が調つたことにより設定された特定利用権を有する者は、その特定利用権を譲り渡し、又はその特定利用権に係る農用地を貸し付けることができない。
(農用地区域内における開発行為の制限)
第十五条の十五 農用地区域内において開発行為(宅地の造成、土石の採取その他の土地の形質の変更又は建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築をいう。以下同じ。)をしようとする者は、あらかじめ、農林省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する行為については、この限りでない。
一 国又は地方公共団体が行う行為
二 土地改良法第二条第二項に規定する土地改良事業の施行として行う行為
三 農地法第四条第一項、第五条第一項又は第七十三条第一項の許可に係る土地をその許可に係る目的に供するために行う行為
四 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で農林省令で定めるもの
五 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
六 公益性が特に高いと認められる事業の実施に係る行為のうち農業振興地域整備計画の達成に著しい支障を及ぼすおそれが少ないと認められるもので農林省令で定めるもの
七 農用地区域が定められ、又は拡張された際既に着手していた行為
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、次の各号の一に該当すると認めるときは、これを許可してはならない。
一 当該開発行為により当該開発行為に係る土地を農用地等として利用することが困難となるため、農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼすおそれがあること。
二 当該開発行為により当該開発行為に係る土地の周辺の農用地等において土砂の流出又は崩壊その他の耕作又は養畜の業務に著しい支障を及ぼす災害を発生させるおそれがあること。
三 当該開発行為により当該開発行為に係る土地の周辺の農用地等に係る農業用用排水施設の有する機能に著しい支障を及ぼすおそれがあること。
3 第一項の許可には、当該開発行為に係る土地及びその周辺の農用地等の農業上の利用を確保するために必要な限度において、条件を付することができる。
4 都道府県知事は、第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聴かなければならない。
(監督処分等)
第十五条の十六 都道府県知事は、開発行為に係る土地及びその周辺の農用地等の農業上の利用を確保するために必要な限度において、前条第一項の規定に違反した者若しくは同項の許可に付した同条第三項の条件に違反して開発行為をした者又は偽りその他の不正な手段により同条第一項の許可を受けて開発行為をした者に対し、その開発行為の中止を命じ、又は期間を定めて復旧に必要な行為をすべき旨を命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定により開発行為の中止を命じ、又は復旧に必要な行為をすべき旨を命じようとするときは、あらかじめ、その開発行為の中止又は復旧に必要な行為を命ずべき者に弁明の機会を与えなければならない。
(農用地区域以外の区域内における開発行為についての勧告等)
第十五条の十七 都道府県知事は、農業振興地域の区域のうち農用地区域以外の区域内において開発行為を行つている者がある場合において、その開発行為により、農用地区域内にある農用地等において土砂の流出若しくは崩壊その他の耕作若しくは養畜の業務に著しい支障を及ぼす災害を発生させ、又は農用地区域内にある農用地等に係る農業用用排水施設の有する機能に著しい支障を及ぼすことにより、農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、農用地区域内にある農用地等の農業上の利用を確保するために必要な限度において、その者に対し、その事態を除去するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
第十七条中「(昭和二十七年法律第二百二十九号)」を削り、「行なう」を「行う」に改める。
第十八条中「同条第一項の農地等について」を「土地について、その土地の農業上の利用を確保するため」に、「行なう」を「行う」に、「これらの土地」を「その土地」に改める。
第二十三条第一項中「個人」の下に「又は法人」を、「土地を」の下に「第十三条の二第一項の規定による交換分合、」を加え、「その譲渡しに係る所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十三条第一項に規定する譲渡所得についての所得税」を「所得税又は法人税」に改め、同条第二項中「規定する」の下に「交換分合、」を加える。
第六章の次に次の一章を加える。
第七章 罰則
第二十四条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
一 第十三条の四において準用する土地改良法第百九条の規定に違反した者
二 第十五条の十五第一項の規定に違反した者
三 第十五条の十六第一項の規定による命令に違反した者
第二十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(農業振興地域整備基本方針の変更に関する経過措置)
2 都道府県知事は、政令で定めるところにより、この法律の施行の日以後遅滞なく、この法律の施行の際現に農業振興地域の整備に関する法律(以下「法」という。)第四条第一項の規定により定められている農業振興地域整備基本方針(同条第二項第三号に掲げる事項のうち改正後の法第三条第四号に掲げる土地に係る部分に限る。)を変更しなければならない。この場合には、法第四条第四項から第七項までの規定を準用する。
(開発行為に関する経過措置)
3 この法律の施行の際現に着手している開発行為(改正後の法第十五条の十五第一項の開発行為をいう。)については、同項本文の規定は、適用しない。
(農地法の一部改正)
4 農地法の一部を次のように改正する。
第三条第一項第四号中「土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)」の下に「若しくは農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)」を加え、同号の次に次の二号を加える。
四の二 農業振興地域の整備に関する法律第十五条の二に規定する農用地利用増進事業の実施によつて同条に規定する利用権が設定される場合
四の三 農業振興地域の整備に関する法律第十五条の七から第十五条の十一までの規定によつて同法第十五条の七第一項に規定する特定利用権が設定される場合
第七条第一項第十三号の次に次の一号を加える。
十三の二 農業振興地域の整備に関する法律第十五条の二に規定する農用地利用増進事業の実施により貸し付けられている小作地
第十九条ただし書中「及び第七十五条の二」を「、第七十五条の二」に改め、「に係る賃貸借」の下に「、農業振興地域の整備に関する法律第十五条の二に規定する農用地利用増進事業の実施によつて設定された同条に規定する利用権に係る賃貸借及び同法第十五条の七から第十五条の十一までの規定によつて設定された同法第十五条の七第一項に規定する特定利用権に係る賃貸借」を加える。
第二十条第一項に次の一号を加える。
五 農業振興地域の整備に関する法律第十五条の七から第十五条の十一までの規定によつて設定された同法第十五条の七第一項に規定する特定利用権に係る賃貸借の解除が、同法第十五条の十三の規定により都道府県知事の承認を受けて行われる場合
法務大臣 稲葉修
農林大臣 安倍晋太郎
内閣総理大臣 三木武夫