法人税法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第14号
公布年月日: 昭和50年3月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

法人税については、昭和49年度に税率引き上げを含む大きな改正を実施したばかりであることから、昭和50年度は最小限の改正にとどめることとした。具体的には、中小企業の内部留保充実を目的として、同族会社の留保所得課税における定額控除を1000万円から1500万円に引き上げる。また、改正商法の施行に伴い、会計監査人の監査を要する等の理由により決算確定が遅れる法人について、一定の条件下で申告期限を1か月延長できる制度を新設することとした。

参照した発言:
第75回国会 衆議院 本会議 第6号

審議経過

第75回国会

衆議院
(昭和50年2月14日)
(昭和50年2月26日)
(昭和50年2月28日)
(昭和50年3月4日)
(昭和50年3月11日)
(昭和50年3月12日)
(昭和50年3月13日)
(昭和50年3月14日)
参議院
(昭和50年3月14日)
衆議院
(昭和50年3月18日)
参議院
(昭和50年3月18日)
衆議院
(昭和50年3月19日)
(昭和50年3月20日)
(昭和50年3月25日)
参議院
(昭和50年3月25日)
(昭和50年3月26日)
(昭和50年3月27日)
(昭和50年3月28日)
(昭和50年3月31日)
(昭和50年3月31日)
(昭和50年5月23日)
法人税法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十年三月三十一日
内閣総理大臣 三木武夫
法律第十四号
法人税法の一部を改正する法律
法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「第七十四条・第七十五条」を「第七十四条―第七十五条の二」に改める。
第二条第十七号イ中「こえる」を「超える」に改め、「金額」の下に「(商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百八十八条ノ二第二項(資本準備金)の規定により同条第一項の資本準備金として積み立てなかつた金額を除く。)」を加え、同号ホ中「(明治三十二年法律第四十八号)」を削り、「(資本準備金)」を「第一項」に改める。
第二十二条第五項中「行なう」を「行う」に改め、「分配」の下に「(商法第二百九十三条ノ五第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)」を加える。
第二十三条第一項第一号中「配当」の下に「(商法第二百九十三条ノ五第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。次号において同じ。)」を加える。
第三十八条第一項第三号中「又は第七十八条第三項」を「(第七十五条の二第六項又は第八項(確定申告期限の延長の特例の場合の利子税)において準用する場合を含む。)又は第七十八条第四項」に改め、同条第二項第四号中「されるもの」の下に「及び同法第六十五条(法人の道府県民税に係る納期限の延長の場合の延滞金)、第七十二条の四十五の二(法人の事業税に係る納期限の延長の場合の延滞金)又は第三百二十七条(法人の市町村民税に係る納期限の延長の場合の延滞金)の規定により徴収されるもの」を加える。
第六十七条第三項第二号及び第四項中「千万円」を「千五百万円」に改める。
第七十二条第三項中「ついては」の下に「、第二条第二十六号(定義)中「確定した決算」とあるのは「決算」と」を加える。
第七十五条第一項中「理由」の下に「(次条第一項に規定する理由を除く。)」を加え、「同項」を「前条第一項」に改める。
第二編第一章第三節第二款中第七十五条の次に次の一条を加える。
(確定申告書の提出期限の延長の特例)
第七十五条の二 第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書を提出すべき内国法人が、会計監査人の監査を受けなければならないことその他これに類する理由により決算が確定しないため、当該事業年度以後の各事業年度の当該申告書をそれぞれ同項に規定する提出期限までに提出することができない常況にあると認められる場合には、納税地の所轄税務署長は、その内国法人の申請に基づき、当該各事業年度の申告書の提出期限を一月間(特別の事情により各事業年度終了の日の翌日から三月以内に当該各事業年度の決算についての定時総会が招集されないことその他やむを得ない事情があると認められる場合には、税務署長が指定する月数の期間)延長することができる。
2 前項の申請は、同項に規定する申告書に係る事業年度終了の日までに、当該申告書の提出期限までに決算が確定しない理由、同項の指定を受けようとする場合にはその指定を受けようとする月数その他大蔵省令で定める事項を記載した申請書をもつてしなければならない。
3 税務署長は、第一項の規定の適用を受けている内国法人につき、同項に規定する理由若しくは事情がないこととなつたと認める場合又は当該事情に変更が生じたと認める場合には、同項の提出期間の延長の処分を取り消し、又は同項の指定に係る月数を変更することができる。この場合において、当該取消し又は変更の処分があつたときは、その処分のあつた日の属する事業年度以後の各事業年度につき、その処分の効果が生ずるものとする。
4 税務署長は、前項の処分をするときは、その処分に係る内国法人に対し、書面によりその旨を通知する。
5 第一項の規定の適用を受けている内国法人は、当該事業年度以後の各事業年度に係る同項に規定する申告書の提出期限について同項の規定の適用を受けることをやめようとするときは、当該事業年度終了の日までに、当該事業年度開始の日その他大蔵省令で定める事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。この場合において、その届出書の提出があつたときは、当該事業年度以後の各事業年度については、同項の提出期限の延長の処分は、その効力を失うものとする。
6 前条第三項から第五項までの規定は、第二項の申請書の提出があつた場合について、同条第七項の規定は、第一項の規定の適用を受ける内国法人の同項に規定する申告書に係る事業年度の所得に対する法人税について、それぞれ準用する。この場合において、同条第五項中「二月」とあるのは「十五日」と、「その申請に係る指定を受けようとする期日を第一項の期日として」とあるのは「一月間(第七十五条の二第一項の指定を受けようとする旨の申請があつた場合には、その申請に係る指定を受けようとする月数の期間)」と、同条第七項中「同項に規定する申告書に係る事業年度」とあるのは「その適用に係る各事業年度」と、「当該事業年度」とあるのは「当該各事業年度」と、「同項の規定により指定された期日」とあるのは「第七十五条の二第一項の規定により延長された提出期限」と読み替えるものとする。
7 第一項の規定の適用を受けている内国法人について当該事業年度終了の日の翌日から二月を経過した日前に災害その他やむを得ない理由が生じた場合には、当該事業年度に限り、同項の規定の適用がないものとみなして、前条及び第七十八条(延納)並びに国税通則法第十一条(災害等による期限の延長)の規定を適用することができる。
8 前条の規定は、第一項の規定の適用を受けている内国法人が、当該事業年度(前項の規定の適用に係る事業年度を除く。)につき災害その他やむを得ない理由により決算が確定しないため、第一項に規定する申告書を同項の規定により延長された提出期限までに提出することができないと認められる場合について準用する。この場合において、同条第二項中「申告書に係る事業年度終了の日の翌日から四十五日以内」とあるのは「申告書の提出期限の到来する日の十五日前まで」と、同条第五項中「申告書に係る事業年度終了の日の翌日から二月以内」とあるのは「申告書の提出期限まで」と、同条第七項中「内国法人は、同項」とあるのは「内国法人は、第七十五条の二第六項において準用するこの項の規定による利子税のほか、第一項」と、「当該事業年度終了の日の翌日以後二月を経過した日から同項」とあるのは「同条第一項の規定により延長された当該申告書の提出期限の翌日から第一項」と読み替えるものとする。
第七十八条第一項中「中間申告書」の下に「を提出した内国法人」を、「同じ。)」の下に「で次項に規定する内国法人以外のもの」を加え、同条第三項中「第一項」の下に「又は第二項」を加え、「同項」を「これら」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に、「同項」を「これらの規定」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 第七十四条第一項の規定による申告書を提出した内国法人で第七十五条の二第一項(確定申告書の提出期限の延長の特例)の規定の適用を受けているものが、前条の規定により納付すべき税額(以下この項において「確定法人税額」という。)について当該事業年度終了の日の翌日から二月以内に見込納付(国税通則法第五十九条第一項第二号(国税の予納額の還付の特例)の規定に該当する納付をいう。以下この項において同じ。)をしたときは、その内国法人は、その残額(以下この項において「見込納付後の税額」という。)のうち当該見込納付をした金額に相当する金額を限度として、確定法人税額からその納期限までに納付した法人税の額を控除した金額について、その納期限の翌日から当該事業年度終了の日の翌日以後五月を経過した日の前日までの期間その納付を延期することができる。ただし、当該見込納付をした金額が確定法人税額の二分の一に相当する金額に満たない場合には、当該見込納付をした金額のほか、当該見込納付後の税額から当該見込納付をした金額を控除した金額以上の法人税をその納期限までに国に納付したときに限る。
第七十八条に次の一項を加える。
5 第二項に規定する内国法人で、第七十五条の二第八項において準用する第七十五条第一項(確定申告書の提出期限の延長)の規定の適用を受けたもの又は国税通則法第十一条(災害等による期限の延長)の規定により第二項に規定する申告書の提出期限が延長されたものの当該事業年度に係る同項の規定の適用については、同項中「当該事業年度終了の日の翌日以後五月を経過した日の前日までの期間」とあるのは、「三月間」とする。
第百四十五条第二項の表の上欄中「第七十五条第一項(確定申告書の提出期限の延長)」の下に「及び第七十五条の二第一項(確定申告書の提出期限の延長の特例)」を加え、同表の中欄及び下欄中「前条第一項の」を削り、同表第七十八条第一項の項の次に次のように加える。
第七十八条第二項
前日までの期間
前日までの期間(当該期間内に第百四十一条第一号から第三号までに掲げる外国法人に該当する法人が納税管理人の届出をしないでこれらの号に掲げる外国法人のいずれにも該当しないこととなる場合又は同条第四号に掲げる外国法人に該当する法人が人的役務提供事業で国内において行うものを廃止する場合には、当該納期限の翌日からその該当しないこととなる日又はその廃止の日までの期間)
別表第一中「別表第一 公共法人の表」を「別表第一 公共法人の表(第二条関係)」に改める。
別表第二中「別表第二 公益法人等の表」を「別表第二 公益法人等の表(第二条、第三条関係)」に改め、同表第一号の表中南方同胞援護会の項を削る。
別表第三中「別表第三 協同組合等の表」を「別表第三 協同組合等の表(第二条関係)」に改める。
附 則
1 この法律は、昭和五十年四月一日から施行する。
2 この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後の法人税法(以下「新法」という。)の規定は、法人(新法第二条第八号(定義)に規定する人格のない社団等を含む。以下同じ。)のこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に終了する事業年度の所得に対する法人税及び施行日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人税(清算所得に対する法人税を課される法人の清算中の事業年度の所得に係る法人税及び残余財産の一部分配により納付すべき法人税を含む。以下この項において同じ。)について適用し、法人の施行日前に終了した事業年度の所得に対する法人税及び施行日前の解散又は合併による清算所得に対する法人税については、なお従前の例による。
3 新法第六十七条(同族会社の特別税率)の規定は、法人の施行日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の施行日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、なお従前の例による。
4 法人の昭和五十年四月一日から同年五月三十一日までの間に終了する事業年度の所得に対する法人税に係る新法第七十五条の二(確定申告書の提出期限の延長の特例)(新法第百四十五条第一項(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定の適用については、新法第七十五条の二第二項中「事業年度終了の日」とあるのは「事業年度終了の日の翌日から一月を経過した日の前日」と、同条第六項中「十五日」とあるのは「四十五日」とする。
5 会社臨時特別税法(昭和四十九年法律第十一号)の一部を次のように改正する。
第十一条第二項中「延長)」の下に「及び第七十五条の二(確定申告書の提出期限の延長の特例)」を加える。
第十六条中「延長)」の下に「、第七十五条の二(確定申告書の提出期限の延長の特例)」を加える。
第二十条第一項の表の法人税法第三十八条第一項の項中「延長の」を「特例の」に改め、「を含む。)」の下に「及び同項」を加える。
6 前項の規定による改正後の会社臨時特別税法の規定は、会社の施行日以後に終了する事業年度に係る会社臨時特別税について適用し、会社の施行日前に終了した事業年度に係る会社臨時特別税については、なお従前の例による。この場合において、附則第四項の規定は、会社の昭和五十年四月一日から同年五月三十一日までの間に終了する事業年度に係る会社臨時特別税の申告につき同法第十一条第二項(課税標準及び税額の申告)又は第十六条(外国会社の申告及び納付等)において準用する新法第七十五条の二の規定を適用する場合について準用する。
大蔵大臣 大平正芳
内閣総理大臣 三木武夫