民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第55号
公布年月日: 昭和49年5月24日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年の民事・家事調停事件の複雑多様化に対応し、調停制度の充実強化を図るため、以下の改正を行うものである。第一に、従来の調停委員候補者制度を改め、非常勤の裁判所職員として民事調停委員及び家事調停委員の制度を新設し、職務内容の明確化と手当支給を可能とする。第二に、民事調停手続について、当事者間の合意による調停条項をもって調停成立とみなす制度を全般に適用可能とし、また交通調停事件と公害等調停事件の管轄を拡大する。第三に、家事調停手続について、遺産分割調停事件における遠隔地居住者の調停条項案の書面受諾制度を導入する。

参照した発言:
第72回国会 衆議院 法務委員会 第3号

審議経過

第72回国会

参議院
(昭和49年2月5日)
衆議院
(昭和49年2月12日)
(昭和49年3月15日)
(昭和49年3月19日)
(昭和49年3月22日)
(昭和49年3月26日)
(昭和49年3月29日)
(昭和49年4月2日)
(昭和49年4月3日)
(昭和49年4月4日)
参議院
(昭和49年4月25日)
(昭和49年5月9日)
(昭和49年5月14日)
(昭和49年5月16日)
衆議院
(昭和49年5月17日)
参議院
(昭和49年5月17日)
民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十九年五月二十四日
内閣総理大臣 田中角榮
法律第五十五号
民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律
(民事調停法の一部改正)
第一条 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四節 鉱害調停(第三十二条・第三十三条)」を
第四節
鉱害調停(第三十二条・第三十三条)
第五節
交通調停(第三十三条の二)
第六節
公害等調停(第三十三条の三)
に改める。
第六条中「調停委員」を「民事調停委員」に改める。
第七条の見出しを「(調停主任等の指定)」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 調停委員会を組織する民事調停委員は、裁判所が各事件について指定する。
第七条第三項を削る。
第八条及び第九条を次のように改める。
(民事調停委員)
第八条 民事調停委員は、調停委員会で行う調停に関与するほか、裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べ、嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行い、その他調停事件を処理するために必要な最高裁判所の定める事務を行う。
2 民事調停委員は、非常勤とし、その任免に関して必要な事項は、最高裁判所が定める。
(手当等)
第九条 民事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第十五条中「第八条、第九条及び」を削る。
第十七条の見出し中「代る」を「代わる」に改め、同条中「見込」を「見込み」に、「調停委員」を「当該調停委員会を組織する民事調停委員」に、「聞き」を「聴き」に、「申立」を「申立て」に、「引渡」を「引渡し」に改める。
第二章第四節の次に次の二節を加える。
第五節 交通調停
(交通調停事件・管轄)
第三十三条の二 自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償の紛争に関する調停事件は、第三条に規定する裁判所のほか、損害賠償を請求する者の住所又は居所の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄とする。
第六節 公害等調停
(公害等調停事件・管轄)
第三十三条の三 公害又は日照、通風等の生活上の利益の侵害により生ずる被害に係る紛争に関する調停事件は、第三条に規定する裁判所のほか、損害の発生地又は損害が発生するおそれのある地を管轄する簡易裁判所の管轄とする。
第三十七条及び第三十八条中「調停委員」を「民事調停委員」に改める。
(家事審判法の一部改正)
第二条 家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)の一部を次のように改正する。
第三条第二項中「調停委員を以て」を「家事調停委員をもつて」に、「但書」を「ただし書」に改める。
第五条及び第六条を次のように改める。
第五条及び第六条 削除
第十条の次に次の一条を加える。
第十条の二 参与員には、最高裁判所の定める旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第二十一条の次に次の一条を加える。
第二十一条の二 遺産の分割に関する事件の調停において、遠隔の地に居住する等の理由により出頭することが困難であると認められる当事者が、あらかじめ調停委員会又は家庭裁判所から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。
第二十二条第一項中「調停委員」を「家事調停委員」に改め、同条第二項を次のように改める。
調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。
第二十二条第三項を削り、同条の次に次の二条を加える。
第二十二条の二 家事調停委員は、調停委員会で行う調停に関与するほか、家庭裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べ、又は嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行う。
家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所が定める。
第二十二条の三 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第二十三条第一項中「取消」を「取消し」に、「争」を「争い」に、「調停委員」を「当該調停委員会を組織する家事調停委員」に改める。
第二十四条第一項中「調停委員」を「当該調停委員会を組織する家事調停委員」に、「観て」を「見て」に、「申立」を「申立て」に改める。
第三十条第一項及び第三十一条中「調停委員」を「家事調停委員」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和四十九年十月一日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行前に調停委員会においてした手続及び裁判所がした調停委員の意見の聴取は、この法律による改正後の民事調停法又は家事審判法の規定により調停委員会においてした手続及び裁判所がした民事調停委員又は家事調停委員の意見の聴取とみなす。
3 この法律の施行前に調停委員、調停の補助をした者又は参与員がした執務に係る旅費、日当及び宿泊料又は止宿料の支給については、なお従前の例による。
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
5 この法律の施行前に調停委員であつた者がこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用についても、前項と同様とする。
法務大臣 中村梅吉
内閣総理大臣 田中角榮
民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十九年五月二十四日
内閣総理大臣 田中角栄
法律第五十五号
民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律
(民事調停法の一部改正)
第一条 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四節 鉱害調停(第三十二条・第三十三条)」を
第四節
鉱害調停(第三十二条・第三十三条)
第五節
交通調停(第三十三条の二)
第六節
公害等調停(第三十三条の三)
に改める。
第六条中「調停委員」を「民事調停委員」に改める。
第七条の見出しを「(調停主任等の指定)」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 調停委員会を組織する民事調停委員は、裁判所が各事件について指定する。
第七条第三項を削る。
第八条及び第九条を次のように改める。
(民事調停委員)
第八条 民事調停委員は、調停委員会で行う調停に関与するほか、裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べ、嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行い、その他調停事件を処理するために必要な最高裁判所の定める事務を行う。
2 民事調停委員は、非常勤とし、その任免に関して必要な事項は、最高裁判所が定める。
(手当等)
第九条 民事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第十五条中「第八条、第九条及び」を削る。
第十七条の見出し中「代る」を「代わる」に改め、同条中「見込」を「見込み」に、「調停委員」を「当該調停委員会を組織する民事調停委員」に、「聞き」を「聴き」に、「申立」を「申立て」に、「引渡」を「引渡し」に改める。
第二章第四節の次に次の二節を加える。
第五節 交通調停
(交通調停事件・管轄)
第三十三条の二 自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償の紛争に関する調停事件は、第三条に規定する裁判所のほか、損害賠償を請求する者の住所又は居所の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄とする。
第六節 公害等調停
(公害等調停事件・管轄)
第三十三条の三 公害又は日照、通風等の生活上の利益の侵害により生ずる被害に係る紛争に関する調停事件は、第三条に規定する裁判所のほか、損害の発生地又は損害が発生するおそれのある地を管轄する簡易裁判所の管轄とする。
第三十七条及び第三十八条中「調停委員」を「民事調停委員」に改める。
(家事審判法の一部改正)
第二条 家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)の一部を次のように改正する。
第三条第二項中「調停委員を以て」を「家事調停委員をもつて」に、「但書」を「ただし書」に改める。
第五条及び第六条を次のように改める。
第五条及び第六条 削除
第十条の次に次の一条を加える。
第十条の二 参与員には、最高裁判所の定める旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第二十一条の次に次の一条を加える。
第二十一条の二 遺産の分割に関する事件の調停において、遠隔の地に居住する等の理由により出頭することが困難であると認められる当事者が、あらかじめ調停委員会又は家庭裁判所から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。
第二十二条第一項中「調停委員」を「家事調停委員」に改め、同条第二項を次のように改める。
調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。
第二十二条第三項を削り、同条の次に次の二条を加える。
第二十二条の二 家事調停委員は、調停委員会で行う調停に関与するほか、家庭裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べ、又は嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行う。
家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所が定める。
第二十二条の三 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第二十三条第一項中「取消」を「取消し」に、「争」を「争い」に、「調停委員」を「当該調停委員会を組織する家事調停委員」に改める。
第二十四条第一項中「調停委員」を「当該調停委員会を組織する家事調停委員」に、「観て」を「見て」に、「申立」を「申立て」に改める。
第三十条第一項及び第三十一条中「調停委員」を「家事調停委員」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和四十九年十月一日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行前に調停委員会においてした手続及び裁判所がした調停委員の意見の聴取は、この法律による改正後の民事調停法又は家事審判法の規定により調停委員会においてした手続及び裁判所がした民事調停委員又は家事調停委員の意見の聴取とみなす。
3 この法律の施行前に調停委員、調停の補助をした者又は参与員がした執務に係る旅費、日当及び宿泊料又は止宿料の支給については、なお従前の例による。
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
5 この法律の施行前に調停委員であつた者がこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用についても、前項と同様とする。
法務大臣 中村梅吉
内閣総理大臣 田中角栄