(共済事業の実施)
第三条 畑作物共済事業及び園芸施設共済事業は、農業共済組合及び農業災害補償法第八十五条の三第一項の認可を受けた市町村のうちその申請により都道府県知事が指定するもの(以下「指定組合等」という。)が行なう。
2 農業共済組合又は市町村は、前項の指定を申請しようとするときは、農林省令で定めるところにより、その行なおうとする畑作物共済事業又は園芸施設共済事業に係る次に掲げる事項に関する共済事業計画を記載した申請書に、当該事業の収支の見積り及び実施の細目に関する書類を添えて、都道府県知事に提出しなければならない。
一 共済目的とする指定畑作物の種類(畑作物共済事業に限る。)
3 農業共済組合又は市町村は、第一項の指定を申請しようとするときは、あらかじめ、前項の共済事業計画につき、農業共済組合にあつては総会又は総代会の議決、市町村にあつては議会の議決を経たうえ、当該農業共済組合又は市町村がその組合員となつている農業共済組合連合会の同意を得なければならない。
4 都道府県知事は、第一項の指定をする場合においては、当該都道府県の区域を通ずる指定畑作物に係る生産事情又は特定園芸施設の設置状況及びこれらに係る災害の発生状況に照らし畑作物共済事業又は園芸施設共済事業が第一条に規定する制度の確立に資することとなるように効率的に行なわれることを旨としてこれをしなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の申請に係る農業共済組合又は市町村がその組合員となつている農業共済組合連合会が第十六条第一項の規定により当該申請に係る畑作物共済事業又は園芸施設共済事業による共済責任について保険事業を行なうこととなる場合でなければ、第一項の指定をしてはならない。
6 都道府県知事は、第一項の指定をしたときは、農林省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を農林大臣に報告しなければならない。
(共済約款)
第四条 指定組合等は、その行なう畑作物共済事業又は園芸施設共済事業に係る共済約款を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。
2 共済約款には、次に掲げる事項を定めなければならない。
3 共済約款の認可に関する基準は、農林省令で定める。
4 前条第三項及び第六項の規定は、第一項の認可及びその申請について準用する。
(共済事業計画等の遵守)
第五条 指定組合等は、その共済事業計画及び共済約款に従つて畑作物共済事業又は園芸施設共済事業を行なわなければならない。
(共済事業計画等の変更)
第六条 指定組合等は、その共済事業計画又は共済約款を変更しようとするときは、農林省令で定めるところにより、その変更につき、都道府県知事の認可を受けなければならない。
2 第三条第三項、第四項(共済事業計画を変更する場合に限る。)及び第六項の規定は、前項の認可及びその申請について準用する。
(指定の取消し)
第七条 都道府県知事は、指定組合等が畑作物共済事業又は園芸施設共済事業に係る業務又は会計につき法令又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反したときは、第三条第一項の指定を取り消すことができる。
2 前項の規定により第三条第一項の指定を取り消した場合における当該共済事業、これに係る共済契約、その共済責任に係る保険契約及びその保険責任に係る再保険契約に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(共済目的)
第八条 畑作物共済は、被共済者が栽培する指定畑作物をその共済目的とする。
2 園芸施設共済は、被共済者が所有し、又は管理する特定園芸施設をその共済目的とし、共済約款において定めたときは、これにあわせて次に掲げる物についても、これらをその共済目的とする。
一 被共済者が所有し、又は管理する農林省令で定める施設園芸用施設(特定園芸施設を除く。)であつて、共済目的とされた特定園芸施設とともに次号に掲げる農作物の栽培の用に供されるもの
二 共済目的とされた特定園芸施設の内部で被共済者が栽培する農作物(農業災害補償法対象畑作物その他農林省令で定める農作物を除く。)
(共済の対象とする損害)
第九条 指定組合等は、その共済目的につき風水害その他の気象上の原因(地震及び噴火を含む。)による災害、火災、病虫害、鳥獣害又はこれらに準ずる事故で農林省令で定めるものによつて生じた損害(前条第二項第二号に掲げる共済目的に係るものにあつては、共済目的とされた特定園芸施設につき生じた事故に伴つて生じたものに限る。)について、被共済者に共済金を支払うものとする。
(共済金額)
第十条 畑作物共済の共済金額は、指定畑作物に係る収穫物の単位当たり価格に基準収穫量を乗じて得た金額(以下「基準収穫金額」という。)に政令で定める率を乗じて得た金額をこえない範囲内において、共済契約で定める金額とする。
2 前項の単位当たり価格は都道府県知事が、同項の基準収穫量は過去一定年間における当該被共済者の当該収穫物の収穫量等を基礎として指定組合等が、それぞれ農林大臣が定める準則に従つて定めるものとする。
3 園芸施設共済の共済金額は、共済価額に政令で定める率を乗じて得た金額をこえない範囲内において、共済契約で定める金額とする。
4 前項の共済価額は、農林省令で定めるところにより、共済目的とされた特定園芸施設及び第八条第二項第一号に掲げる施設園芸用施設の価額を基礎とし、共済目的とされた同項第二号に掲げる農作物の生産費を勘案して、指定組合等が定める金額とする。
5 園芸施設共済の共済金が支払われた場合においては、当該共済金に係る損害の発生した時以後の当該園芸施設共済の共済金額は、その支払われた共済金に相当する金額だけ減額された金額となるものとする。
(純共済掛金率)
第十一条 純共済掛金率は、各指定組合等につき指定畑作物の種類ごと又は農林省令で定める施設園芸用施設の区分ごとに農林大臣が定める基準共済掛金率を下らない範囲内の率としなければならない。
2 指定組合等は、前項の規定にかかわらず、事業実施地域を二以上の地域に分けた場合においては、農林省令で定めるところにより、その地域ごとの純共済掛金率をその地域ごとの共済金額の合計額の見込額を重みとするその算術平均が同項の基準共済掛金率を下らないものとなるように定めることができる。
(共済金)
第十二条 畑作物共済の共済金は、共済契約ごとに、その共済目的に係る第九条に規定する損害(指定組合等が 填補する責めを負わないものを除く。)に係る損害額の共済責任期間を通じての総額が基準収穫金額に政令で定める割合を乗じて得た金額をこえる場合に支払うものとし、その金額は、共済金額に当該損害額の総額の基準収穫金額に対する割合に応じて政令で定める割合を乗じて得た金額とする。
2 園芸施設共済の共済金は、共済契約ごとに、その共済目的に係る第九条に規定する損害(指定組合等が填補する責めを負わないものを除く。)に係る損害額が農林省令で定める金額をこえる場合に支払うものとし、その金額は、当該損害額に共済金額の共済価額に対する割合を乗じて得た金額とする。
(経理)
第十三条 第三条第一項の指定を受けた農業共済組合は、畑作物共済事業又は園芸施設共済事業の経理については、農業災害補償法第九十九条の二第一項の規定によるほか、他の事業と区分してこれを行なわなければならない。
2 第三条第一項の指定を受けた市町村は、畑作物共済事業又は園芸施設共済事業の経理については、農業災害補償法第九十九条の二第二項の特別会計において他の事業と区分してこれを行ない、その経費は、当該畑作物共済事業又は園芸施設共済事業による収入をもつて充てなければならない。
3 農業災害補償法第九十九条の二第三項及び第四項の規定は、第三条第一項の指定を受けに市町村が畑作物共済事業又は園芸施設共済事業を行なう場合に準用する。
(資料の提供に関する協力)
第十四条 指定組合等は、畑作物共済又は園芸施設共済の共済金額の決定又は共済金に係る損害額の認定に関し必要があるときは、被共済者若しくは共済契約の締結の申込みをした者からその生産した指定畑作物若しくは特定園芸施設の内部で栽培した農作物に係る収穫物の加工若しくは販売の委託を受け、若しくは当該収穫物の売渡しを受けた者又は被共済若しくは共済契約の締結の申込みをした者に施設園芸用施設に係る資材を売り渡した者に対し、当該収穫物又は資材の数量、価格等に関する資料の提供につき、その協力を求めることができる。
(準用規定等)
第十五条 農業災害補償法第四十七条(同法第八十五条の九第四項において準用する場合を含む。)、第八十五条の十二、第九十一条、第九十二条、第九十三条第二項、第三項及び第五項、第九十四条から第九十八条の二まで、第九十九条第一項(第四号、第六号及び第七号を除く。)及び第三項、第百条、第百一条、第百四十二条の五第二項並びに第百四十二条の六並びに商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百三十九条から第六百四十五条まで、第六百四十九条、第六百六十二条及び第六百六十三条の規定は、畑作物共済及び園芸施設共済並びにこれらに係る共済事業について準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替は、政令で定める。
2 畑作物共済事業及び園芸施設共済事業については、これらを農業災害補償法に規定する共済事業であるものとみなして同法第三十条第一項(第五号の二、第九号及び第十号に係る部分に限る。)及び第八十五条の三の二(同法第三十条第一項第五号の二、第九号及び第十号に掲げる事項に係る部分に限る。)の規定を適用する。