(訴訟費用の担保の免除)
第十条 民訴条約の締約国に住所、事務所又は営業所を有する締約国の国民である原告は、本邦に住所、事務所及び営業所を有しないときでも、民事訴訟法第百七条第一項に規定する訴訟費用の担保を供することを要しない。ただし、その者が国籍を有する締約国が民訴条約第三十二条第一項の留保をしているときは、この限りでない。
(執行認許の請求の嘱託)
第十一条 民訴条約第十八条第一項又は第二項の裁判で本邦の裁判所がしたものについては、第一審の受訴裁判所は、訴訟費用債権者の申立てにより、執行認許の請求をすべき旨を外務大臣に嘱託するものとする。
(訴訟費用の負担を命ずる外国裁判の執行)
第十二条 民訴条約第十八条第一項又は第二項の裁判で外国裁判所がしたものによる強制執行は、本邦の裁判所が執行認許をしたときに限り、行なうことができる。
2 執行認許の事件は、訴訟費用債務者が普通裁判籍を有する地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。その普通裁判籍がないときは、民事訴訟法第八条の規定により訴訟費用債務者に対する訴えを管轄する地方裁判所の管轄に属する。
(執行認許の請求の送付)
第十三条 民訴条約第十八条第一項又は第二項の規定により執行認許の請求がされた場合には、外務大臣は、これを裁判所に送付しなければならない。
(執行認許についての裁判)
第十四条 裁判所は、前条の規定による送付を受けたときは職権で、民訴条約第十八条第三項の取極があるときは申立てにより、同条約第十九条第二項1、2及び3に掲げる事項について審理し、執行認許又は執行不認許の決定をしなければならない。
(裁判の告知)
第十五条 前条の規定により裁判所が職権で開始した事件の決定は、検察官及び訴訟費用債務者に告知することによつて、効力を生ずる。
(即時抗告)
第十六条 申立人及び訴訟費用債務者は、執行認許又は執行不認許の決定に対して即時抗告をすることができる。前条の規定により執行不認許の決定の告知を受けた検察官も、同様とする。
(執行認許の決定の効力)
第十七条 確定した執行認許の決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
(決定正本の送付)
第十八条 裁判所は、職権で開始した事件の決定が確定したときは、その決定の正本を外務大臣に送付しなければならない。
(裁判費用の国庫負担)
第十九条 職権で開始した執行認許の手続(その抗告審における手続を含む。)に要する裁判費用は、国庫の負担とする。
(証明、翻訳及び認証の費用額の確定)
第二十条 民訴条約第十九条第四項の規定により費用額を定めるべき旨の請求があつたときは、裁判所は、執行認許の決定においてその額を定める。
(非訟事件手続法の準用)
第二十一条 第十一条の申立て及び執行認許の手続に関しては、民訴条約又はこの法律に特別の定めがある場合を除き、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第一編の規定を準用する。
(当局の権限証明)
第二十二条 民訴条約第十九条第三項の当局の権限は、最高裁判所が証明する。