(趣旨)
第一条 この法律は、日本国有鉄道をして、将来とも国民経済及び国民生活におけるその使命を遂行させるため、日本国有鉄道の財政の再建の促進に関してとるべき特別措置を定めるものとする。
(財政再建の目標)
第二条 日本国有鉄道の財政の再建の目標は、将来にわたるわが国の交通体系においてその果たすべき役割に応じうる近代的経営体制を確立しつつ、昭和五十三年度までにその損益計算において利益が生ずるよう財政の健全性を回復することに置くものとする。
(基本方針)
第三条 運輸大臣は、昭和四十四年度以降十年間(以下「再建期間」という。)における日本国有鉄道の財政の再建に関する基本方針(以下「基本方針」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
2 基本方針には、将来にわたるわが国の交通体系において日本国有鉄道が果たすべき役割及び日本国有鉄道の近代的経営体制の確立に関する基本的な構想その他日本国有鉄道の財政の再建の目標に関する事項並びにその目標を実現するために必要な国の施策及び日本国有鉄道の措置に関する基本的事項を定めるものとする。
3 運輸大臣は、第一項の閣議の決定があつたときは、遅滞なく、基本方針を日本国有鉄道に通知しなければならない。
(再建計画)
第四条 日本国有鉄道は、前条第三項の規定により基本方針の通知を受けたときは、これに基づき、再建期間における日本国有鉄道の財政の再建に関する経営の基本的な計画(以下「再建計画」という。)を定め、運輸大臣の承認を受けなければならない。
2 再建計画は、次の事項について定めるものとする。
3 運輸大臣は、第一項の承認をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
(長期資金の貸付け)
第五条 政府は、再建期間中の毎年度、日本国有鉄道に対し、昭和四十四年三月三十一日における次の債権に関し受け取るべき利子の額に相当する金額の範囲内において、政令で定める融資条件による長期資金を貸し付けるよう特別の配慮をするものとする。
二 日本国有鉄道法施行法(昭和二十四年法律第百五号)第九条第二項の規定による債権
三 その他政府が日本国有鉄道に対して貸し付けた長期資金に係る債権
(利子補給)
第六条 政府は、再建期間中の毎年度、予算の範囲内において、日本国有鉄道に対し、前条の規定により貸し付けた長期資金に関し日本国有鉄道が当該年度において支払うべき利子に充てるべき金額を補給する。
(補助金)
第七条 政府は、昭和四十四年度から昭和五十七年度までの毎年度、予算の範囲内において、日本国有鉄道に対し、当該年度の前年度に相当する日本国有鉄道の事業年度から前七箇事業年度(昭和四十年度から昭和五十年度までの事業年度に限る。)における工事勘定の支出に充てられた資金に係る費用の一部について補助する。
(再建計画の実施状況の報告)
第八条 日本国有鉄道は、運輸省令で定めるところにより、再建期間中の毎事業年度における再建計画の実施状況を明らかにした報告書を作成し、これに監査委員会の意見書を添えて運輸大臣に提出しなければならない。
(改善命令)
第九条 運輸大臣は、日本国有鉄道の業務の運営が再建計画に適合しないと認めるときは、日本国有鉄道に対し、その業務の運営について必要な命令をすることができる。