診療エツクス線技師法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第63号
公布年月日: 昭和43年5月23日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

放射線医療の進歩に伴い、従来の診療エックス線技師法を改正する必要が生じた。昭和26年の法制定時には結核診断用の20~30万ボルトの装置が主流だったが、現在では高エネルギー発生装置の開発や、コバルト60などのガンマ線源、ベータ線、アルファ線、中性子線など多様な放射線源が医療分野で活用されている。そこで、現行の診療エックス線技師制度を存置しつつ、修習課程を1年延長した診療放射線技師制度を新設する。新制度の技師は全ての医療用放射線を扱え、従来の技師は100万電子ボルト未満のエックス線に限定される。政府は7年以内に新制度への移行を目指し、現職者の資格移行にも配慮する。

参照した発言:
第58回国会 参議院 本会議 第16号

審議経過

第58回国会

参議院
(昭和43年4月25日)
(昭和43年4月26日)
衆議院
(昭和43年5月9日)
(昭和43年5月10日)
診療エツクス線技師法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十三年五月二十三日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第六十三号
診療エツクス線技師法の一部を改正する法律
診療エツクス線技師法(昭和二十六年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
診療放射線技師及び診療エツクス線技師法
目次中
第二章
免許、診療エツクス線技師籍及び登録
第三章
診療エツクス線技師試験
第二章
免許
第三章
試験
に改める。
第一条を次のように改める。
(この法律の目的)
第一条 この法律は、診療放射線技師及び診療エツクス線技師の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もつて医療及び公衆衛生の普及及び向上に寄与することを目的とする。
第二条中「指示のもとに、」を「指示の下に、百万電子ボルト未満のエネルギーを有する」に改め、「(撮影を含む。以下同じ。)」を削り、同条を同条第三項とし、同項の前に次の二項を加える。
この法律で「放射線」とは、次に掲げる電磁波又は粒子線をいう。
一 アルファ線及びべータ線
二 ガンマ線
三 百万電子ボルト以上のエネルギーを有する電子線
四 エツクス線
五 その他政令で定める電磁波又は粒子線
2 この法律で「診療放射線技師」とは、厚生大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線を人体に対して照射(撮影を含み、照射機器又は放射性同位元素(その化合物及び放射性同位元素又はその化合物の含有物を含む。)を人体内にそう入して行なうものを除く。以下同じ。)することを業とする者をいう。
「第二章 免許、診療エツクス線技師籍及び登録」を「第二章 免許」に改める。
第三条の見出しを「(診療放射線技師免許及び診療エツクス線技師免許)」に改め、同条第二項中「基いて免許を受けた者」を「基づいて前二項の規定による免許を受けた者」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項を同条第二項とし、同項の前に次の一項を加える。
診療放射線技師になろうとする者は、診療放射線技師試験に合格し、厚生大臣の免許を受けなければならない。
第四条中「左の」を「次の」に、「免許」を「前条第一項又は第二項の規定による免許(以下「免許」という。)」に改める。
第五条各号列記以外の部分中「左の」を「次の」に改め、同条第二号中「診療エツクス線技師」を「診療放射線技師又は診療エツクス線技師」に改める。
第六条中「診療エツクス線技師籍」を「診療放射線技師籍又は診療エツクス線技師籍」に、「行う」を「行なう」に改める。
第七条の見出しを「(診療放射線技師籍及び診療エツクス線技師籍)」に改め、同条中「都道府県に診療エツクス線技師籍を備え、」を「厚生省に診療放射線技師籍を、都道府県に診療エツクス線技師籍を備え、それぞれ」に改める。
第八条第一項中「都道府県知事」を「厚生大臣又は都道府県知事」に、「免許証」を「診療放射線技師免許証又は診療エツクス線技師免許証(以下「免許証」という。)」に改め、同条第二項中「都道府県知事」を「厚生大臣又は都道府県知事」に改め、同条第三項中「住所地の都道府県知事」を「厚生大臣又は住所地の都道府県知事」に改める。
第九条の見出しを「(免許の取消し及び業務の停止)」に改め、同条第一項及び第二項中「診療エツクス線技師」を「診療放射線技師又は診療エツクス線技師」に、「各号の一」を「各号のいずれか」に、「都道府県知事」を「厚生大臣又は都道府県知事」に改め、同条第四項中「行つた者」を「行なつた者」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「前二項」を「第一項又は第二項」に、「改しゆん」を「改しゆん」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 都道府県知事は、診療放射線技師について前二項の処分が行なわれる必要があると認めるときは、その旨を厚生大臣に具申しなければならない。
第十条第一項中「都道府県知事」を「厚生大臣又は都道府県知事」に、「且つ」を「かつ」に、「行わなければならない」を「行なわなければならない」に改め、同条第三項中「都道府県知事」を「厚生大臣又は都道府県知事」に、「行わないで」を「行なわないで」に改める。
第十一条第一項中「住所地の都道府県知事」を「厚生大臣又は住所地の都道府県知事」に改める。
第十二条第一項中「診療エツクス線技師」を「診療放射線技師又は診療エツクス線技師」に、「住所地の都道府県知事」を「厚生大臣又は住所地の都道府県知事」に改める。
第十三条第一項中「診療エツクス線技師」を「診療放射線技師又は診療エツクス線技師」に、「都道府県知事」を「厚生大臣又は都道府県知事」に改め、同条第二項中「診療エツクス線技師籍」を「診療放射線技師籍又は診療エツクス線技師籍」に改める。
第十四条第二項中「診療エクス線技師」を「診療エツクス線技師」に改める。
第十五条の見出しを「(死亡等の届出)」に改め、同条第一項中「診療エツクス線技師」を「診療放射線技師又は診療エツクス線技師」に、「失そう」を「失 踪」に、「住所地の都道府県知事」を「厚生大臣又は住所地の都道府県知事」に改める。
第十六条中「この法律に規定するものの外」を「この章に規定するもののほか」に、「免許証の提出、」を「、免許証の返納及び提出、診療放射線技師籍及び」に、「及び住所」を「並びに氏名、本籍、住所、死亡及び失 踪」に改める。
「第三章 診療エツクス線技師試験」を「第三章 試験」に改める。
第十七条及び第十八条を次のように改める。
(試験の目的)
第十七条 診療放射線技師試験又は診療エツクス線技師試験は、診療放射線技師又は診療エツクス線技師として必要な知識及び技能について行なう。
(試験の実施)
第十八条 診療放射線技師試験及び診療エツクス線技師試験は、厚生大臣が行なう。
第十九条第一項中「診療エツクス線技師試験」を「診療放射線技師試験及び診療エツクス線技師試験」に、「診療エツクス線技師試験委員」を「診療放射線技師診療エツクス線技師試験委員」に改め、同条第二項中「診療エツクス線技師試験委員」を「診療放射線技師診療エツクス線技師試験委員」に、「診療エツクス線」を「診療放射線技師又は診療エツクス線技師の業務」に改め、同条第三項中「前二項に定めるものの外、診療エツクス線技師試験委員」を「前二項に定めるもののほか、診療放射線技師診療エツクス線技師試験委員」に改める。
第二十条各号列記以外の部分中「左の各号の一に該当する者」を「次の各号のいずれかに該当する者」に改め、同条第一号中「(昭和二十二年法律第二十六号)」及び「(大学への入学資格)」を削り、同条第二号中「前項に掲げるもの」を「第一号に掲げる者」に改め、同号を同条第三号とし、同条第一号の次に次の一号を加え、同条を同条第二項とする。
二 前項第一号又は第三号に該当する者
第二十条に第一項として次の一項を加える。
診療放射線技師試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十六条第一項(大学への入学資格)の規定により大学に入学することができる者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した診療放射線技師養成所において、三年以上診療放射線技師として必要な知識及び技能の修習をおえたもの
二 診療エツクス線技師又は診療エツクス線技師試験を受けることができる者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した診療放射線技師養成所において、一年以上診療放射線技師として必要な知識及び技能の修習をおえたもの
三 外国の診療放射線技術に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で診療放射線技師免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が前二号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有するものと認めたもの
第二十一条前段中「診療エツクス線技師試験」を「診療放射線技師試験又は診療エツクス線技師試験」に改め、同条後段中「診療エツクス線技師試験」を「診療放射線技師試験及び診療エツクス線技師試験」に改め、同条を同条第二項とし、同項の前に次の一項を加える。
診療放射線技師診療エツクス線技師試験委員その他診療放射線技師試験又は診療エツクス線技師試験に関する事務をつかさどる者は、その事務の施行に当たつて厳正を保持し、不正の行為がないようにしなければならない。
第二十一条に次の一項を加える。
3 第一項の規定に違反して、故意若しくは重大な過失により事前に試験問題を漏らし、又は故意に不正の採点をした者は、六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
第二十二条中「診療エツクス線技師試験」を「診療放射線技師試験又は診療エツクス線技師試験」に改める。
第二十三条を次のように改める。
(省令への委任)
第二十三条 この章に規定するもののほか、診療放射線技師試験又は診療エツクス線技師試験の科目、受験手続その他試験に関し必要な事項並びに第二十条(受験資格)第一項第一号及び第二号の学校又は診療放射線技師養成所の指定並びに同条第二項第一号の学校又は診療エツクス線技師養成所の指定に関し必要な事項は、省令で定める。
第二十四条第一項を次のように改める。
医師、歯科医師、診療放射線技師又は診療エツクス線技師でなければ、第二条第二項(診療放射線技師の定義)に規定する業をしてはならない。
第二十四条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 診療エツクス線技師は、百万電子ボルト未満のエネルギーを有するエツクス線以外の放射線に関して、第二条第二項に規定する業をしてはならない。
第二十五条第一項を次のように改める。
診療放射線技師又は診療エツクス線技師でなければ、診療放射線技師若しくは診療エツクス線技師という名称又ははこれらに紛らわしい名称を用いてはならない。
第二十五条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 診療エツクス線技師は、診療放射線技師という名称又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
第二十六条第一項中「診療エツクス線技師」を「診療放射線技師又は診療エツクス線技師」に、「エツクス線」を「放射線又は百万電子ボルト未満のエネルギーを有するエツクス線」に改め、同条第二項各号列記以外の部分中「診療エツクス線技師」を「診療放射線技師又は診療エツクス線技師」に、「行つて」を「行なつて」に、「但し、左に」を「ただし、次に」に改め、同項第一号中「照射をする」を「百万電子ボルト未満のエネルギーを有するエツクス線を照射する」に改め、同項第二号中「行う」を「行なう」に、「立会のもとに照射をする」を「立会いの下に百万電子ボルト未満のエネルギーを有するエツクス線を照射する」に改め、同条第三項中「違反したとき」を「違反した者」に改める。
第二十七条第一項各号列記以外の部分中「診療エツクス線技師」を「診療放射線技師又は診療エツクス線技師」に、「エツクス線」を「放射線又は百万電子ボルト未満のエネルギーを有するエツクス線」に、「左の」を「次の」に改め、同項第三号中「且つ」を「かつ」に改め、同条第二項中「都道府県知事」を「厚生大臣又は都道府県知事」に改める。
附則第十一項を次のように改める。
(受験資格の特例)
11 旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校を卒業した者又は省令の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められる者は、第二十条(受験資格)第一項第一号及び第二項第一号の規定の適用については、学校教育法第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者とみなす。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して百二十日を経過した日から施行する。ただし、診療エツクス線技師法第十七条から第二十三条までの改正規定、同法附則第十一項の改正規定及び附則第二項から第六項までの規定は、公布の日から施行する。
(試験委員の特例)
2 この法律の公布の際現にこの法律による改正前の診療エツクス線技師法(以下「旧法」という。)第十九条第一項(試験委員)の診療エツクス線技師試験委員である者は、この法律による改正後の同法(以下「新法」という。)第十九条第一項(試験委員)の診療放射線技師診療エツクス線技師試験委員に任命された者とみなす。
(受験資格の特例)
3 次の各号のいずれかに該当する者は、新法第二十条第一項(診療放射線技師試験の受験資格)の規定にかかわらず、診療放射線技師試験を受けることができる。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十六条第一項(大学への入学資格)の規定により大学に入学することができる者(新法附則第十一項(受験資格の特例)に規定する者を含む。)で、文部大臣若しくは厚生大臣が指定した学校若しくは養成所においてこの法律の公布の際現に三年以上診療放射線技師として必要な知識及び技能の修習をおえているもの又はこれらの学校若しくは養成所においてこの法律の公布の際現に診療放射線技師として必要な知識及び技能を修習中であり、三年以上にわたるその修習をこの法律の公布後におえたもの
二 診療エツクス線技師又は診療エツクス線技師試験を受けることができる者で、文部大臣若しくは厚生大臣が指定した学校若しくは養成所においてこの法律の公布の際現に一年以上診療放射線技師として必要な知識及び技能の修習をおえているもの又はこれらの学校若しくは養成所においてこの法律の公布の際現に診療放射線技師として必要な知識及び技能を修習中であり、一年以上にわたるその修習をこの法律の公布後におえたもの
4 旧法附則第九項(免許の特例)に規定する者は、新法第二十条第一項第二号又は前項第二号の規定の適用については、診療エツクス線技師試験を受けることができる者とみなす。
5 診療エツクス線技師免許を受けた後二年以上医師又は歯科医師の指示の下にエツクス線を人体に対して照射することを業としていた者が厚生大臣が指定した講習会の課程を修了したときは、昭和五十年十二月三十一日までは、新法第二十条第一項の規定にかかわらず、診療放射線技師試験を受けることができる。
(診療放射線技師の養成)
6 国は、前項の規定による診療放射線技師試験を受けることができる期間内に診療放射線技師の養成に特に努めなければならない。
(業務の暫定的継続)
7 この法律の施行の際現に百万電子ボルト以上のエネルギーを有するエツクス線に関して、新法第二条第二項(診療放射線技師の定義)に規定する業をしている診療エツクス線技師は、この法律の施行後三箇月以内に、その氏名、年齢、性別、本籍及び住所並びに業務に従事している施設の名称及び所在地並びにその業務を行なうに際して用いている照射装置の種類を、その住所地の都道府県知事を経由して厚生大臣に届け出なければならない。
8 前項に規定する者は同項の届出をするまでの間、同項の届出をした者はその届出をした後昭和五十年十二月三十一日までの間、新法第二十四条第二項(診療エツクス線技師に係る禁止行為)の規定にかかわらず、百万電子ボルト以上のエネルギーを有するエツクス線に関して、新法第二条第二項に規定する業をすることができる。
9 前項に規定する者がする同項の業については、新法第二十六条(業務上の制限)及び第二十七条(照射録)の規定を準用する。
(罰則に係る経過措置)
10 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(登録免許税法の一部改正)
11 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一の第二十三号の(六)のイの(3)中「又は作業療法士」を「、作業療法士又は診療放射線技師」に改める。
(厚生省設置法の一部改正)
12 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第三十七号の二中「診療エツクス線技師及び」を削り、同号を同条第三十七号の三とし、同条第三十七号の次に次の一号を加える。
三十七の二 診療放射線技師又は診療エツクス線技師の養成所を指定し、診療放射線技師又は診療エツクス線技師の試験を行ない、並びに診療放射線技師の免許及び登録を行ない、並びに免許を取り消し、及び業務の停止を命ずること。
第五条第三十九号の二中「診療エツクス線技師、」を削る。
第十条第三号中「診療エツクス線技師」を「診療放射線技師、診療エツクス線技師」に改める。
法務大臣 赤間文三
大蔵大臣 水田三喜男
文部大臣 灘尾弘吉
厚生大臣 園田直
内閣総理大臣 佐藤栄作