(果樹保険事業の実施)
第三条 農業共済組合連合会は、農業災害補償法(昭和二十二年法律第百八十五号)第百二十一条の規定による保険事業及び同法第百三十二条の二第一項の規定による共済事業のほか、農林大臣の認可を受けて、この法律の規定による果樹保険事業を行なうことができる。
2 農業共済組合連合会は、前項の認可を受けようとするときは、農林省令で定めるところにより、次に掲げる事項を内容とする果樹保険事業計画(以下「事業計画」という。)を定め、これを申請書に添えて、都道府県知事を経由して農林大臣に提出しなければならない。
四 保険契約の締結の要件、保険金額の制限及び保険金の削減に関する事項
3 農業共済組合連合会は、第一項の認可の申請をするには、あらかじめ、その事業計画につき、総会の議決を経なければならない。
4 第一項の認可は、全国を通ずる指定果樹に係る生産事情及び災害の発生状況に照らしこの法律の規定による果樹保険事業が第一条に規定する制度の確立に資することとなるように効率的に行なわれることを旨としてしなければならない。
(事業計画の遵守)
第四条 前条第一項の認可を受けた農業共済組合連合会(以下「指定連合会」という。)は、その事業計画に従つて果樹保険事業を行なわなければならない。
(事業計画の変更)
第五条 指定連合会は、その事業計画を変更しようとするときは、その変更につき、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 第三条第二項から第四項までの規定は、前項の認可について準用する。
(認可の取消し)
第六条 農林大臣は、指定連合会が果樹保険事業に係る業務又は会計につき法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反したときは、第三条第一項の認可を取り消すことができる。
(果樹保険の種類及び内容)
2 収穫保険においては、指定連合会は、被保険者の栽培する指定果樹につき、果実の減収又は品質の低下によつて生じた損害であつて風水害、干害、寒害、雪害その他気象上の原因(地震及び噴火を含む。)による災害、病害(農林大臣の指定するものに限る。)、鳥獣害又は火災(次項において「指定災害」と総称する。)によるものについて、被保険者に保険金を支払うものとする。
3 樹体保険においては、指定連合会は、被保険者の栽培する指定果樹(当該指定果樹の支持物で農林省令で定めるものを含む。)につき、その枯死、流失若しくは滅失又はこれらに準ずるものとして農林省令で定める事由によつて生じた損害であつて指定災害によるものについて、被保険者に保険金を支払うものとする。
(被保険者の資格)
第八条 果樹保険の被保険者たる資格を有する者は、指定連合会の果樹保険の実施地域内において指定果樹を栽培している農業者であつて、当該指定連合会の定款で定めるものとする。
(保険契約の成立及び保険料の支払)
第九条 果樹保険の保険契約は、収穫保険にあつては指定果樹の種類(農林大臣が指定連合会を指定して特定の種類の指定果樹につき特定の品種に限定し又は品種に応じて区分を定めたときは、その指定連合会のその種類の指定果樹についての果樹保険にあつては、その限定した品種又はその定めた区分。以下この項並びに次条及び第十二条において「指定果樹の種類等」という。)ごと及び果実の年産ごと、樹体保険にあつては指定果樹の種類等ごとに、被保険者たる資格を有する者が指定連合会の定款で定めるところにより申込みをし、指定連合会がこれを承諾することによつて成立する。
2 指定連合会と果樹保険の保険契約を締結した者は、指定連合会の定款で定めるところにより、指定連合会に保険料を支払わなければならない。
(保険期間)
第十条 収穫保険の保険期間は、指定果樹の種類等ごとに、花芽の形成期から果実の収穫期までの期間(農林大臣が指定果樹の種類等のうち特定の種類又は品種の指定果樹につきこれと異なる期間を定めたときは、その種類又は品種の指定果樹にあつては、その農林大臣の定めた期間)を基準として、指定連合会が定款で定める期間とする。
(保険金額)
第十一条 収穫保険の保険金額は、政令で定めるところにより、果実の単位当たり価額に基準収穫量を乗じて得た金額(以下「基準収穫金額」という。)をこえない範囲内において、保険契約で定める金額とする。
2 前項の果実の単位当たり価額及び基準収穫量は、農林大臣が定める準則に従い、果実の単位当たり価額にあつては過去一定年間における当該都道府県産の当該果実の平均価格として農林大臣が定める価格を基礎とし、基準収穫量にあつては過去一定年間における当該被保険者の当該果実の収穫量を基礎として、指定連合会が定める。
3 樹体保険の保険金額は、政令で定めるところにより、保険価額をこえない範囲内において、保険契約で定める金額とする。
4 前項の保険価額は、農林大臣が定める準則に従い、保険期間の開始時における当該被保険者の栽培する当該指定果樹(当該指定果樹に係る第七条第三項の農林省令で定める支持物を含む。)の価額として、指定連合会が定める。
(純保険料率)
第十二条 果樹保険の純保険料率は、各指定連合会につきその行なう果樹保険の種類ごと及び指定果樹の種類等ごとに農林大臣が定める基準保険料率を下らない範囲内において、指定連合会が定款で定める割合とする。
2 指定連合会は、前項の規定にかかわらず、指定果樹の種類等ごとに、果樹保険の実施地域を二以上の地域に分けて、その地域ごとに純保険料率を定めることができる。この場合には、その地域ごとの純保険料率は、その地域ごとの保険金額の合計額の見込額を重みとするその算術平均が同項の基準保険料率を下らないように定款で定めるものとする。
(保険金)
第十三条 収穫保険の保険金は、保険契約ごとに、第七条第二項に規定する損害(指定連合会がてん補する責めを負わないものを除く。)に係る損害額の総額が基準収穫金額に政令で定める割合を乗じて得た金額をこえる場合に支払うものとし、その金額は、保険金額にその損害額の総額の基準収穫金額に対する割合に応じて政令で定める割合を乗じて得た金額とする。
2 樹体保険の保険金は、保険契約ごとに、第七条第三項に規定する損害(指定連合会がてん補する責めを負わないものを除く。次項において同じ。)に係る損害額の総額に保険金額の保険価額に対する割合を乗じて得た金額とする。
3 樹体保険の保険金については、保険契約ごとに、第七条第三項に規定する損害に係る損害額の総額が農林省令で定める金額に満たない場合には、指定連合会は、その支払の責めを負わない。
(事務の委託)
第十四条 指定連合会は、その行なう果樹保険に係る事務のうち、保険契約の申込みの受理、果実の生産数量の調査その他農林省令で定める事項に係るものを農業共済組合、農業災害補償法第八十五条の六第一項の共済事業を行なう市町村、農業協同組合又は農業協同組合連合会に委託することができる。
2 農業共済組合は、農業災害補償法第八十三条各号に掲げる共済事業のほか、前項の規定による委託を受けて同項に規定する事務を行なうことができる。
3 農業協同組合及び農業協同組合連合会は、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条の規定にかかわらず、第一項の規定による委託を受けて同項に規定する事務を行なうことができる。
(経理の区分)
第十五条 指定連合会は、農業災害補償法第百三十条の規定によるほか、果樹保険事業については、他の事業と区分して経理しなければならない。
(資料の提供に関する協力)
第十六条 指定連合会は、果樹保険の保険金額の決定又は支払うべき果樹保険の保険金に係る損害額の認定に関し必要があるときは、被保険者又は被保険者となる者が直接又は間接の構成員となつている農業協同組合その他の団体でこれらの者からその生産した果実の加工若しくは販売の委託を受け又は当該果実の売渡しを受けたものに対し、当該委託又は売渡しに係る果実の数量又は品質に関する資料の提供につき、その協力を求めることができる。
(農業災害補償法及び商法の準用等)
第十七条 農業災害補償法第四十七条、第九十一条、第九十二条、第九十三条第二項、第三項及び第五項、第九十四条から第九十八条の二まで、第九十九条(同条第一項第四号、第六号及び第七号を除く。)、第百条並びに第百一条並びに商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百四十条から第六百四十五条まで、第六百四十九条、第六百六十二条及び第六百六十三条の規定は、果樹保険について準用する。
2 この法律の規定による果樹保険事業は、農業災害補償法第三十条第一項の規定の適用については、同項第五号の二に規定する保険事業であるものとする。
3 指定連合会がこの法律の規定による果樹保険事業を行なう場合における農業災害補償法第百四十二条の五第二項の規定の適用については、同項中「又は保険事業」とあるのは、「若しくは保険事業又は果樹保険臨時措置法(昭和四十二年法律第九十三号)の規定による果樹保険事業」とする。