第四百四十四条 手形ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ヲ目的トスル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムルコトヲ得
手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ訴状ニ記載シテ之ヲ為スコトヲ要ス
第四百四十五条 手形訴訟ニ於テハ反訴ハ之ヲ提起スルコトヲ得ズ
第四百四十六条 手形訴訟ニ於テハ証拠調ハ書証ニ限リ之ヲ為スコトヲ得
文書ノ提出ノ命令又ハ送付ノ嘱託ハ之ヲ為スコトヲ得ズ対照ノ用ニ供スべキ筆跡又ハ印影ヲ具フル物件ニ付亦同ジ
文書ノ真否又ハ手形ノ呈示ニ関スル事実ニ付テハ申立ニ因リ当事者本人又ハ訴訟ニ於テ当事者ヲ代表スル法定代理人ヲ訊問スルコトヲ得
証拠調ノ嘱託ハ之ヲ為スコトヲ得ズ第二百六十二条ノ規定ニ依ル調査ノ嘱託亦同ジ
前各項ノ規定ハ裁判所ガ職権ヲ以テ調査スべキ事項ニハ之ヲ適用セズ
第四百四十七条 原告ハ口頭弁論ノ終結ニ至ル迄被告ノ承諾ヲ要セズシテ訴訟ヲ通常ノ手続ニ移行セシムル旨ノ申述ヲ為スコトヲ得
訴訟ハ前項ノ申述アリタル時ニ於テ通常ノ手続ニ移行スルモノトシ裁判所ハ直ニ其ノ旨ヲ記載シタル書面ヲ被告ニ送達スルコトヲ要ス但シ其ノ申述ガ被告ノ出頭シタル期日ニ於テ口頭ヲ以テ為サレタルモノナルトキハ其ノ送達ハ之ヲ為スコトヲ要セズ
訴訟ガ通常ノ手続ニ移行シタルトキハ手形訴訟ノ為既ニ指定シタル期日ハ通常ノ手続ノ為ニ之ヲ指定シタルモノト看做ス
第四百四十八条 裁判所ハ被告ガ口頭弁論ニ於テ原告ノ主張シタル事実ハ争ハズ其ノ他何ラノ防禦ノ方法ヲモ提出セザル場合ニ於テハ前条第二項ノ書面ノ送達前ト雖口頭弁論ヲ終結スルコトヲ得
第四百四十九条 請求ノ全部又ハ一部ガ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ為スコトヲ得ザルモノナルトキハ裁判所ハ口頭弁論ヲ経ズシテ判決ヲ以テ訴ノ全部又ハ一部ヲ却下スルコトヲ得
原告ガ前項ノ判決ノ送達アリタル日ヨリ二週間内ニ同項ノ請求ニ付通常ノ手続ニ依リ訴ヲ提起シタルトキハ第二百三十五条ノ規定ノ適用ニ付テハ其ノ訴ノ提起ハ前ノ訴ノ提起ノ時ニ於テ之ヲ為シタルモノト看做ス
第四百五十条 手形訴訟ノ終局判決ニ対シテハ控訴ヲ為スコトヲ得ズ但シ前条第一項ノ判決ヲ除クノ外訴ヲ却下シタル判決ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ
第四百五十一条 手形訴訟ノ終局判決ニ対シテハ訴ヲ却下シタル判決ヲ除クノ外判決ノ送達アリタル日ヨリ二週間内ニ其ノ判決ヲ為シタル裁判所ニ異議ヲ申立ツルコトヲ得但シ其ノ期間前申立テタル異議ノ効力ヲ妨ゲズ
第四百五十二条 異議ハ通常ノ手続ニ依ル第一審ノ終局判決アル迄之ヲ取下グルコトヲ得
異議ノ取下ハ相手方ノ同意ヲ得ルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二百三十六条第三項乃至第六項、第二百三十七条第一項及第二百三十八条ノ規定ハ異議ノ取下ニ之ヲ準用ス
第四百五十三条 異議ヲ申立ツル権利ハ其ノ申立前ニ限リ之ヲ抛棄スルコトヲ得
異議申立権ノ抛棄ハ裁判所ニ対スル申述ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス
異議申立権抛棄ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス
第四百五十四条 異議ノ申立ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス
第四百五十五条 不適法ナル異議ニシテ其ノ欠缺ガ補正スルコト能ハザルモノナル場合ニ於テハ口頭弁論ヲ経ズシテ判決ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得
第四百五十六条 適法ナル異議アリタルトキハ訴訟ハ口頭弁論終結前ノ程度ニ復スルモノトシ其ノ審理及裁判ハ通常ノ手続ニ依リテ之ヲ為ス
第四百五十七条 前条ノ規定ニ依リテ為スベキ判決ガ手形訴訟ノ判決ト符合スルトキハ裁判所ハ手形訴訟ノ判決ヲ認可スルコトヲ要ス但シ手形訴訟ノ判決ノ手続ガ法律ニ違背シタルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リ手形訴訟ノ判決ヲ認可スル場合ヲ除クノ外新判決ニ於テハ手形訴訟ノ判決ヲ取消スコトヲ要ス
第四百五十八条 異議ヲ却下シ又ハ手形訴訟ニ於テ為シタル訴訟費用ノ裁判ヲ認可スル場合ニ於テハ裁判所ハ異譲ノ申立アリタル後ノ訴訟費用ニ付裁判ヲ為スコトヲ要ス
第百九十五条第三項ノ規定ハ手形訴訟ノ判決ニ対シ適法ナル異議アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第四百五十九条 判決ニ事実及理由ヲ記載スルニハ手形訴訟ノ判決ヲ引用スルコトヲ得
第四百六十条 異議ヲ却下シタル第一審判決ヲ取消ス場合ニ於テハ控訴裁判所ハ事件ヲ第一審裁判所ニ差戻スコトヲ要ス
第四百六十一条 第三百五十六条第三項後段ノ規定ニ依リテ提起アリタルモノト看做サルル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ同項前段ノ申立ノ際之ヲ為スコトヲ要ス
第四百六十二条 第四百四十二条第一項ノ規定ニ依リテ提起アリタルモノト看做サルル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ支払命令ノ申立ノ際之ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ申述アリタルトキハ支払命令ニ其ノ旨ヲ附記スべシ
第四百三十八条第一項ノ規定ニ依ル仮執行ノ宣言アリタルトキハ第一項ノ申述ハナカリシモノト看做ス
第四百六十三条 小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ヲ目的トスル訴ニ付テハ小切手訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムルコトヲ得
第四百四十四条第二項及第四百四十五条乃至前条ノ規定ハ小切手訴訟ニ関シテ之ヲ準用ス