公認会計士特例試験等に関する法律
法令番号: 法律第123号
公布年月日: 昭和39年6月30日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

証券取引法に基づかない一般の監査証明は計理士も行えるが、資本市場育成の観点から投資家保護と企業経理の健全化が求められており、監査証明を行う者の社会的地位と監査水準の向上が急務となっている。そこで旧計理士制度を廃止し、試験により公認会計士の資格要件を満たす計理士には公認会計士への登用の道を開き、主として計理士業務を行う者で政令要件を満たす者には税理士資格を付与する。また現行の公認会計士試験第三次試験に口述試験を追加する必要があることから、本法案を提出するものである。

参照した発言:
第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第33号

審議経過

第46回国会

衆議院
(昭和39年4月14日)
参議院
(昭和39年4月14日)
衆議院
(昭和39年5月12日)
(昭和39年5月13日)
(昭和39年5月22日)
(昭和39年5月26日)
(昭和39年5月27日)
(昭和39年5月29日)
(昭和39年6月2日)
(昭和39年6月3日)
(昭和39年6月9日)
(昭和39年6月10日)
(昭和39年6月12日)
(昭和39年6月16日)
(昭和39年6月19日)
参議院
(昭和39年6月22日)
(昭和39年6月25日)
(昭和39年6月26日)
(昭和39年6月26日)
(昭和39年6月26日)
公認会計士特例試験等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十九年六月三十日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百二十三号
公認会計士特例試験等に関する法律
(趣旨)
第一条 この法律は、財務書類の監査又は証明をすることを業とする者に関する制度の整備に資するため、公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)に規定する公認会計士試験の特例として行なう公認会計士試験(以下「公認会計士特例試験」という。)その他その制度の整備に関し必要な事項を定めるものとする。
(実施期間)
第二条 公認会計士特例試験は、昭和三十九年七月一日から昭和四十二年三月三十一日までの間に、五回を限り、大蔵大臣の定める時期に行なう。
(受験資格)
第三条 公認会計士特例試験は、大蔵省に備える計理士名簿に登録を受けている者又は当該計理士名簿への登録を受ける資格を有する者でなければ受けることができない。
(試験科目)
第四条 公認会計士特例試験は、公認会計士となるのに必要な高等の専門的学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することをもつてその目的とし、会計監査、会計実務(税に関する実務を含む。)、商法及び論文について、筆記の方法により行なう。
(合格の決定)
第五条 公認会計士特例試験の合格者を定める場合には、試験科目の成績により定めるほか、当該特例試験を受けた者が計理士の職にあつた年数をしんしやくして定めることができる。
2 前項の規定による年数のしんしやくの方法は、政令で定める。
(合格者の資格等)
第六条 公認会計士特例試験に合格した者は、公認会計士法第五条第三項の規定にかかわらず、公認会計士となる資格を取得するものとする。
2 公認会計士特例試験に合格した者には、その試験に合格したことを証する証書を授与する。
(受験手数料)
第七条 公認会計士特例試験を受けようとする者は、受験手数料として、千円を納付しなければならない。
2 前項の規定により納付した受験手数料は、公認会計士特例試験を受けなかつた場合にも、還付しない。
(試験の執行)
第八条 公認会計士特例試験は、公認会計士審査会が行なう。
(試験委員)
第九条 公認会計士審査会に、公認会計士特例試験の問題の作成及び採点を行なわせるため、臨時に、試験委員八人以内を置く。
2 試験委員は、公認会計士特例試験を行なうについて必要な学識経験を有する者のうちから、試験の執行ごとに、公認会計士審査会の推薦に基づき、大蔵大臣が任命し、その試験が終つたときは退任する。
(合格の取消し等)
第十条 公認会計士審査会は、不正の手段によつて公認会計士特例試験を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、又はその試験を受けることを禁止することができる。
2 公認会計士審査会は、前項の規定による処分を受けた者に対し、情状により二年九月以内の期間を定めて公認会計士特例試験を受けることができないものとすることができる。
(試験の細目)
第十一条 この法律に定めるもののほか、公認会計士特例試験の実施に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。
(税理士となる資格の付与)
第十二条 昭和三十九年四月一日において、大蔵省の備える計理士名簿に登録を受け、かつ、計理士の名称を用いて、主として旧計理士法(昭和二年法律第三十一号)第一条に規定する業務を営んでいる者のうち、政令で定める要件に該当することにつき、税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第十三条に規定する税理士試験委員の認定を受けたものは、同法第三条の規定にかかわらず、税理士となる資格を取得するものとする。
2 前項の認定を受けようとする者は、昭和三十九年九月三十日までに、大蔵省令で定めるところにより、認定申請書を税理士試験委員に提出しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、第一項の認定に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三十日をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。ただし、附則第五条及び第六条の規定は、昭和四十二年四月一日から施行する。
(公認会計士法の一部改正)
第二条 公認会計士法の一部を次のように改正する。
第六条及び第八条第一項中「これを」を「筆記の方法により」に改める。
第十条中「について、これを」を「及び論文について、筆記及び口述の方法により」に改め、同条に次の二項を加える。
2 口述試験は、次条の規定により実務補習を受け、及び第二条第一項の業務について公認会計士を補助し、又は財務に関する実務に従事することにより修得される技能の程度の判定に意を用いて、筆記試験において政令で定める基準以上の成績を得た者について行なう。
3 筆記試験において前項に規定する基準をこえる政令で定める基準以上の成績を得た者については、その申請により、その後行なわれる四回の筆記試験を免除する。
第三十五条中「第五十七条に規定する検定」を「公認会計士特例試験等に関する法律(昭和三十九年法律第百二十三号)に規定する公認会計士特例試験」に改める。
第三十八条第一項中「及び第五十七条に規定する検定」を削り、同条第二項中「又は検定」を削る。
第五十七条から第五十九条までを次のように改める。
第五十七条から第五十九条まで 削除
第六十条第一項中「第五十七条第二項各号」を「公認会計士特例試験等に関する法律による改正前の第五十七条第二項各号」に、「者に対しては、検定を免除する。」を「者は、第十一条の規定にかかわらず、第三次試験を受けることができる。」に改め、同条第二項を削る。
(検定合格者の経過措置)
第三条 改正前の公認会計士法第五十七条の規定により検定に合格した者の資格については、なお従前の例による。
(大蔵省設置法の一部改正)
第四条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第十七条第一項の表公認会計士審査会の項中「第三次試験の受験資格についての検定」を「公認会計士特例試験等に関する法律(昭和三十九年法律第百二十三号)に規定する公認会計士特例試験」に改める。
(公認会計士法の一部改正)
第五条 公認会計士法の一部を次のように改正する。
第三十五条中「、外国公認会計士及び計理士」を「及び外国公認会計士」に改める。
第六十三条及び第六十四条を次のように改める。
第六十三条及び第六十四条 削除
(罰則に係る経過措置)
第六条 前条の規定の施行日前にした行為で、改正前の公認会計士法第六十三条の規定に係るものに対する罰則の適用については、なお従前の例による。
大蔵大臣 田中角栄
内閣総理大臣 池田勇人