東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法
法令番号: 法律第111号
公布年月日: 昭和39年6月22日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

東海道新幹線は在来線の約2倍の時速200kmで運行され、自動列車制御設備等による運転方式を採用している。また事故発生時の被害は航空機なみとなる。この特殊性を踏まえ、政府・国鉄は安全確保のため、最高水準の運行保安設備の設置や運転士の教育訓練、立体交差化による踏切事故の防止等の措置を講じている。しかし、あえて行われる安全妨害行為は重大な結果を招くため、運行保安設備の損壊・不正操作、線路への物件設置・立入、列車への投石等の行為に対し、罰則を定める必要がある。

参照した発言:
第46回国会 衆議院 運輸委員会 第23号

審議経過

第46回国会

衆議院
(昭和39年4月3日)
参議院
(昭和39年4月7日)
衆議院
(昭和39年5月8日)
(昭和39年5月12日)
(昭和39年5月15日)
(昭和39年5月19日)
(昭和39年5月22日)
(昭和39年5月26日)
参議院
(昭和39年6月2日)
(昭和39年6月4日)
(昭和39年6月9日)
(昭和39年6月11日)
(昭和39年6月16日)
(昭和39年6月17日)
(昭和39年6月26日)
東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十九年六月二十二日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百十一号
東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法
(趣旨)
第一条 この法律は、東海道新幹線鉄道(東京都と大阪府とを連絡する日本国有鉄道の幹線鉄道であつて、その軌間が一・四三五メートルであるものをいう。以下同じ。)の列車がその主たる区間を二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できることにかんがみ、その列車の運行の安全を妨げる行為の処罰に関し、鉄道営業法(明治三十三年法律第六十五号)の特例等を定めるものとする。
(運行保安設備の損壊等の罪)
第二条 東海道新幹線鉄道の用に供する自動列車制御設備、列車集中制御設備その他の運輸省令で定める列車の運行の安全を確保するための設備を損壊し、その他これらの設備の機能をそこなう行為をした者は、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
2 前項の設備をみだりに操作した者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
3 第一項の設備を損傷し、その他同項の設備の機能をそこなうおそれのある行為をした者は、五万円以下の罰金に処する。
(線路上に物件を置く等の罪)
第三条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 列車の運行の妨害となるような方法で、みだりに、物件を東海道新幹線鉄道の線路(軌道及びこれに附属する保線用通路その他の施設であつて、軌道の中心線の両側について幅三メートル以内の場所にあるものをいう。次号において同じ。)上に置き、又はこれに類する行為をした者
二 東海道新幹線鉄道の線路内にみだりに立ち入つた者
(列車に物件を投げる等の罪)
第四条 東海道新幹線鉄道の走行中の列車に向かつて物件を投げ、又は発射した者は、五万円以下の罰金に処する。
附 則
この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
法務大臣 賀屋興宣
運輸大臣 綾部健太郎
内閣総理大臣 池田勇人