家畜商法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百七十二号
公布年月日: 昭和36年11月1日
法令の形式: 法律
家畜商法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十六年十一月一日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百七十二号
家畜商法の一部を改正する法律
家畜商法(昭和二十四年法律第二百八号)の一部を次のように改正する。
第一条中「免許制度を実施することにより」を「免許、営業保証金の供託等の制度を実施して、その業務の健全な運営を図り、もつて」に改める。
第二条中「次条の規定による免許」を「次条第一項の免許」に、「業務」を「事業」に改める。
第三条第一項中「省令」を「農林省令」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 前項の免許は、次の各号の一に該当する者でなければ、与えない。
一 農林大臣が指定する者が行なうか又は都道府県知事が行なう家畜の取引の業務に関し必要な知識を修得させることを目的とする講習会の課程を修了した者
二 前号に該当する者以外の者であつて、その家畜の取引の業務(農林省令で定める業務に限る。以下同じ。)に従事する使用人その他の従業者として同号に該当する者を置くもの
第四条中「左の各号」を「前条第二項各号の一に該当する者であつても、次の各号」に、「前条の免許」を「同条第一項の免許」に改め、同条に次の二号を加える。
四 家畜の取引の業務を行なう事業所を二以上設ける者であつて、そのいずれかの事業所について、その事業所に属する当該業務に従事する者のすべてが前条第二項第一号に該当する者でないもの
五 その家畜の取引の業務に従事する使用人その他の従業者を置く者であつて、その者の当該業務に従事する前条第二項第一号に該当する者のすべて(当該業務を行なう事業所を二以上設ける者にあつては、そのいずれかの事業所について、その事業所に属する同号に該当する者のすべて)が第一号から第三号までのいずれかに該当するもの
第四条の次に次の一条を加える。
(講習会の開催及び修了証明書の交付)
第四条の二 都道府県知事は、毎年一回を常例として、第三条第二項第一号の講習会を開催しなければならない。ただし、その都道府県の区域内において同号の農林大臣が指定する者の行なう講習会が開催される年については、この限りでない。
2 第三条第二項第一号の農林大臣が指定する者又は都道府県知事は、同号の講習会を開催した場合には、その講習会の課程を修了した者に対し、修了証明書を交付しなければならない。
第六条第一項中「第三条の免許」を「第三条第一項の免許」に改め、同条第二項中「第三条の免許を与えたときは」を「第三条第一項の免許を与えたときは、農林省令で定めるところにより、その者に対し、その家畜の取引の業務に従事する者の数に応じ」に改める。
第七条の見出し中「業務」を「事業」に改め、同条第一項中「第四条第一号若しくは第二号に該当するとき」を「第四条第一号、第二号、第四号若しくは第五号に該当することとなつたとき、第三条第二項第二号に該当する家畜商が同号に該当しないこととなつたとき(同項第一号に該当することとなつた場合を除く。)」に改め、同条第二項中「左の各号」を「次の各号」に、「業務」を「事業」に改め、第二号を第四号とし、第一号を第二号とし、同号の次に次の一号を加える。
三 第十一条の二の規定に違反して、帳簿を備え付けず、又は必要な事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき。
第七条第二項に第一号として次の一号を加える。
一 第十条第二項若しくは第三項、第十条の二第三項又は第十条の五第一項の規定に違反したとき。
第八条中「第三条の免許」を「第三条第一項の免許」に、「業務」を「事業」に改める。
第九条中「免許の申請」の下に「、第三条第二項第一号の講習会の実施方法」を加え、「まつ消」を「消除」に改める。
第十条の見出し中「取引業務の制限」を「取引の事業に関する制限」に改め、同条中「業務」を「事業」に改め、同条に次の二項を加える。
2 家畜商は、第三条第二項第一号に該当する者以外の者を当該家畜商の家畜の取引の業務に従事させてはならない。
3 家畜商で、第三条第二項第二号に該当するもの(法人を除く。)は、みずからその家畜の取引の業務に従事してはならない。
第十条の次に次の六条を加える。
(営業保証金の供託)
第十条の二 家畜商は、営業保証金を住所のもよりの供託所に供託しなければならない。
2 家畜商は、営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、その旨を住所地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
3 家畜商は、前項の規定による届出をした後でなければ、その営業を開始してはならない。
(営業保証金の額等)
第十条の三 前条第一項の営業保証金の額は、その家畜商の家畜の取引の業務に従事する者の数に応じ一人である場合には二万円、一人をこえる場合には一万円にそのこえる数に相当する数を乗じて得た額を二万円に加えて得た額とする。
2 前項の営業保証金は、農林省令で定めるところにより、国債証券、地方債証券又は農林省令で定めるその他の有価証券をもつて、これに充てることができる。
(営業保証金の還付)
第十条の四 家畜商と家畜の取引の契約を締結した者は、その契約によって生じた債権に関し、当該家畜商が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。
2 前項の権利の実行に関し必要な事項は、法務省令、農林省令で定める。
(営業保証金の不足額の供託等)
第十条の五 家畜商は、その家畜商の家畜の取引の業務に従事する者の数が増加したため、又は前条第一項の権利を有する者がその権利を実行したため、営業保証金の額が第十条の三第一項に規定する額に不足することとなつたときは、法務省令、農林省令で定める相当の期間内に、その不足額を住所のもよりの供託所に供託しなければならない。
2 第十条の二第二項及び第十条の三第二項の規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。
(営業保証金の保管替え等)
第十条の六 家畜商は、その住所を移転したためそのもよりの供託所が変更した場合において、金銭のみをもつて営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、法務省令、農林省令で定めるところにより、これを供託している供託所に対し、費用を予納して、移転後の住所のもよりの供託所への営業保証金の保管替えを請求し、その他のときは、遅滞なく、営業保証金を移転後の住所のもよりの供託所に新たに供託しなければならない。
2 第十条の三の規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。
(営業保証金の取りもどし)
第十条の七 家畜商名簿の登録が消除されたときは、家畜商であつた者又はその承継人は、当該家畜商であつた者が供託した営業保証金を取りもどすことができる。
2 家畜商は、その家畜商の家畜の取引の業務に従事する者の数が減少した場合において、営業保証金の額が第十条の三第一項に規定する額をこえることとなつたときは、そのこえる部分の額の営業保証金を取りもどすことができる。
3 家畜商は、前条第一項の規定により供託したときは、その移転前の住所のもよりの供託所に供託した営業保証金を取りもどすことができる。
4 第一項又は第二項の規定による営業保証金の取りもどしは、当該営業保証金につき第十条の四第一項の権利を有する者に対し、六月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、することができない。ただし、営業保証金を取りもどすことができる理由が発生した時から十年を経過したときは、この限りでない。
5 前項の公告その他営業保証金の取りもどしに関し必要な事項は、法務省令、農林省令で定める。
第十一条の次に次の二条を加える。
(家畜の取引に関する帳簿の備付け等)
第十一条の二 家畜商は、農林省令で定めるところにより、その事業所ごとに、家畜の取引に関する帳簿を備え、これに、家畜の取引のあつたつど、その年月日及び場所、その取引に係る家畜の種類別の頭数その他農林省令で定める事項を記載しなければならない。
(立入検査)
第十一条の三 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、家畜商の事業所に立ち入り、帳簿書類を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第十二条中「左の各号」を「次の各号」に改め、同条第一号中「第十条」を「第十条第一項」に、「業務」を「事業」に改め、同条に次の一号を加える。
三 第十条第二項又は第三項の規定に違反した者
第十三条中「業務」を「事業」に改める。
第十四条を次のように改める。
第十四条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十一条の規定に違反した者
二 第十一条の二の規定に違反して、帳簿を備え付けず、又は必要な事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者
三 第十一条の三第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 この法律の施行の際現に改正前の家畜商法(以下「旧法」という。)の規定により旧法第三条第一項の免許を受けている者は、この法律の施行の日から起算して一年を経過する日(その日までに改正後の家畜商法(以下「新法」という。)の規定により新法第三条第一項の免許を受けた者についてはその免許の時、その日までにした当該免許の申請に対し免許をするかどうかの処分がその日までになかつた者についてはその処分のある時。以下「経過措置期限」という。)までは、新法の規定により当該免許を受けた者とみなす。
3 旧法の規定によつてされた家畜商名簿への登録は、経過措置期限までは、新法の規定によつてされた家畜商名簿への登録とみなす。
4 旧法の規定によつて交付された家畜商免許証は、経過措置期限までは、新法の規定によつて交付された家畜商免許証とみなす。
5 都道府県知事は、この法律の施行の日から起算して十月以内に少なくとも一回新法第三条第二項第一号の講習会を開催しなければならない。ただし、その期間内にその都道府県の区域内において同号の農林大臣が指定する者の行なう講習会が開催される場合は、この限りでない。
6 附則第二項の規定により免許を受けた者とみなされる者については、経過措置期限までは、新法第七条第一項中「第四条第一号、第二号、第四号若しくは第五号に該当することとなつたとき、第三条第二項第二号に該当する家畜商が同号に該当しないこととなつたとき(同項第一号に該当することとなつた場合を除く。)」とあるのは、「第四条第一号若しくは第二号に該当することとなつたとき」とする。
7 前項に規定する者については、経過措置期限までは、新法第十条第二項及び第三項並びに第十条の二から第十条の七までの規定は、適用しない。
8 附則第六項に規定する者が、この法律の施行の日から起算して一年を経過する日までに新法の規定により新法第三条第一項の免許を受けたとき、又はその期限までに新法の規定により当該免許の申請をしたがその期限までにこれについて免許をするかどうかの処分がなく、その後においてその免許を受けたときは、その者は、法務省令、農林省令で定めるところにより、第十条の二第一項の規定により営業保証金を供託しなければならない。
9 前項の規定により営業保証金を供託した者は、法務省令、農林省令で定める相当の期間内に、その住所地を管轄する都道府県知事に対し、新法第十条の二第二項の規定による届出をしなければならない。
10 都道府県知事は、附則第八項の規定により営業保証金を供託しなければならない者から前項の規定による届出がなされなかつたときは、その者に与えた新法第三条第一項の免許を取り消すことができる。
11 前項の場合には、新法第七条第三項の規定を準用する。
12 新法第十条の四の規定は、この法律の施行前に締結された家畜の取引(新法第二条に規定する家畜の取引をいう。)の契約により生じた債権に関しては、適用しない。
13 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
法務大臣 植木庚子郎
農林大臣 河野一郎
内閣総理大臣 池田勇人