中小型鋼船造船業合理化臨時措置法
法令番号: 法律第101号
公布年月日: 昭和34年4月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

中小型鋼船造船業は、戦時中の軍需産業としての急激な膨張後、設備の老朽化や技術水準の遅れが顕著となっている。一方で、東南アジアへの賠償や後進国からの需要を踏まえ、中小型鋼船の輸出振興が重要政策となっている。また国内では木船から鋼船化が進み、安全性能の向上と船価低減が求められている。そこで、設備の近代化、能率増進、生産技術向上を通じた総合的な合理化を図り、船舶輸出振興と海運業の健全な発達に寄与することを目的として本法案を提出するものである。

参照した発言:
第31回国会 衆議院 運輸委員会 第6号

審議経過

第31回国会

衆議院
(昭和34年2月10日)
参議院
(昭和34年2月18日)
(昭和34年2月26日)
(昭和34年3月3日)
(昭和34年3月4日)
衆議院
(昭和34年3月12日)
(昭和34年3月17日)
参議院
(昭和34年3月18日)
衆議院
(昭和34年3月19日)
(昭和34年3月24日)
(昭和34年5月2日)
中小型鋼船造船業合理化臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年四月一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百一号
中小型鋼船造船業合理化臨時措置法
(目的)
第一条 この法律は、中小型鋼船造船業の合理化を促進することにより、船舶の輸出の振興及び海運業の健全な発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「中小型鋼船」とは、総トン数三千トン未満の鋼製の船舶をいう。
2 この法律において「中小型鋼船造船業」とは、主として中小型鋼船の製造又は修繕を行う事業をいう。
(合理化基本計画)
第三条 運輸大臣は、中小型鋼船の製造及び修繕に関する技術の向上及び生産費の低減を促進するため、海運造船合理化審議会の意見をきいて、中小型鋼船造船業について、合理化基本計画を定めなければならない。
2 合理化基本計画に定める事項は、次のとおりとする。
一 昭和三十八年度末における中小型鋼船造船業の合理化の目標
二 新たに設置すべき設備の種類及び数量並びにその設置に必要な資金に関する事項
三 くず化、転用その他の方法により処理すべき設備に関する事項
四 前三号に定めるもののほか、技術の向上、能率の増進その他合理化に関する重要事項
3 運輸大臣は、第一項の規定により合理化基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
(合理化実施計画)
第四条 運輸大臣は、毎年、海運造船合理化審議会の意見をきいて、合理化基本計画を実施するため必要な合理化実施計画を定めなければならない。
2 前条第三項の規定は、前項の場合について準用する。
(計画の変更)
第五条 運輪大臣は、造船技術の著しい進歩又は中小型鋼船造船業における生産条件その他経済事情の著しい変動のため特に必要があると認めるときは、海運造船合理化審議会の意見をきいて、合理化基本計画又は合理化実施計画を変更するものとする。
2 第三条第三項の規定は、前項の場合について準用する。
(資金のあつせん)
第六条 政府は、合理化実施計画に定める中小型鋼船造船業の合理化のための設備の設置に必要な資金のあつせんに努めるものとする。
(造船技術の向上のための基準等の公表)
第七条 運輸大臣は、造船技術審義会の意見をきいて、次に掲げる事項を定めて公表するものとする。
一 中小型鋼船造船業における設備及び工事の方法の基準に関する事項
二 中小型鋼船の製造及び修繕に従事する者の技術的能力の基準に関する事項
三 中小型鋼船の設計の基本に関する事項
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 モーターボート競走法(昭和二十六年法律第二百四十二号)の一部を次のように改正する。
第一条、第二十二条第二項並びに第二十二条の四第三号、第四号及び第六号中「モーターボート、」を「モーターボートその他の船舶、」に改める。
3 この法律は、昭和三十九年三月三十一日限り、その効力を失う。
内閣総理大臣 岸信介
運輸大臣 永野護