(補導処分)
第十七条 第五条の罪を犯した満二十歳以上の女子に対して、同条の罪又は同条の罪と他の罪とに係る懲役又は禁錮につきその執行を猶予するときは、その者を補導処分に付することができる。
2 補導処分に付された者は、婦人補導院に収容し、その更生のために必要な補導を行う。
(保護観察との関係)
第十九条 第五条の罪のみを犯した者を補導処分に付するときは、刑法第二十五条ノ二第一項の規定を適用しない。同法第五十四条第一項の規定により第五条の罪の刑によつて処断された者についても、同様とする。
(補導処分の言渡)
第二十条 裁判所は、補導処分に付するときは、刑の言渡と同時に、判決でその言渡をしなければならない。
(勾留状の効力)
第二十一条 補導処分に付する旨の判決の宣告があつたときは、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百四十三条から第三百四十五条までの規定を適用しない。
(収容)
第二十二条 補導処分に付する旨の裁判が確定した場合において、収容のため必要があるときは、検察官は、収容状を発することができる。
2 収容状には、補導処分の言渡を受けた者の氏名、住居、年齢、収容すべき婦人補導院その他収容に必要な事項を記載し、これに裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本を添えなければならない。
3 収容状は、検察官の指揮によつて、検察事務官、警察官又は婦人補導院若しくは監獄の職員が執行する。収容状を執行したときは、これに執行の日時、場所その他必要な事項を記載しなければならない。
4 収容状については、刑事訴訟法第七十一条、第七十三条第一項及び第三項並びに第七十四条の規定を準用する。
5 収容状によつて身体の拘束を受けた日数は、補導処分の期間に算入する。
6 検察官は、収容状を発したときは、補導処分に付する旨の裁判の執行を指揮することを要しない。
(補導処分の競合)
第二十三条 補導処分に付する旨の二以上の裁判が同時に又は時を異にして確定した場合において、二以上の確定裁判があることとなつた日以後に一の補導処分について執行(執行以外の身体の拘束でその日数が補導処分の期間に算入されるものを含む。)が行われたときは、その日数は、他の補導処分の期間に算入する。
(在院者の環境調整)
第二十四条 保護観察所の長は、婦人補導院に収容されている者の社会復帰を円滑にするため、必要があると認めるときは、その者の環境の調整に関する措置を講ずることができる。
2 前項の措置については、犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号。以下「予防更生法」という。)第五十二条の規定を準用する。
(仮退院の許可)
第二十五条 地方更生保護委員会(以下「地方委員会」という。)は、補導処分に付された者に対し、婦人補導院の長の申請又は職権により、相当と認めるときは、仮に退院を許すことができる。
2 婦人補導院の長は、補導処分に付された者が収容されたときは、すみやかに、これを地方委員会に通告しなければならない。
3 第一項の仮退院については、予防更生法第二十九条から第三十二条までの規定を準用する。この場合において、同法第二十九条第二項中「前条」とあるのは、「売春防止法第二十五条第二項」と読み替えるものとする。
(仮退院中の保護観察)
第二十六条 仮退院を許された者は、補導処分の残期間中、保護観察に付する。
2 前項の保護観察については、予防更生法第二条、第三十四条から第三十七条まで及び第三十九条から第四十一条の二までの規定を準用する。この場合において、同法第三十四条第二項中「第三十一条第三項」とあるのは、「売春防止法第二十五条第三項において準用する第三十一条第三項」と、第四十一条第七項中「第四十五条第一項」とあるのは、「売春防止法第二十七条第二項において準用する第四十五条第一項」と読み替えるものとする。
(仮退院の取消)
第二十七条 仮退院中の者が遵守すべき事項を遵守しなかつたときは、地方委員会は、仮退院の取消をすることができる。
2 前項の仮退院の取消については、予防更生法第四十四条第一項及び第二項並びに第四十五条第一項、第二項及び第五項の規定を準用する。この場合において、同法第四十五条第一項中「第四十一条第二項」とあるのは、「売春防止法第二十六条第二項において準用する第四十一条第二項」と読み替えるものとする。
3 仮退院中の者が前項の規定において準用する予防更生法第四十五条第二項の規定により留置されたときは、その留置の日数は、補導処分の期間に算入する。
4 仮退院が取り消されたときは、検察官は、収容のため再収容状を発することができる。
5 再収容状には、仮退院を取り消された者の氏名、住居、年齢、収容すべき婦人補導院その他収容に必要な事項を記載しなければならない。
6 再収容状については、第二十二条第三項から第五項までの規定を準用する。ただし、再収容状の執行は、同条第三項に規定する者のほか、保護観察官もすることができる。
(処分の審査)
第二十八条 前条第一項の規定による地方委員会の処分に不服がある者は、処分の日から十五日以内に、中央更生保護審査会に対し、審査の請求をすることができる。
2 前項の審査の請求については、予防更生法第四十九条第二項及び第三項、第五十条並びに第五十一条の規定を準用する。この場合において、同法第五十一条第三項中「六十日」とあるのは、「三十日」と読み替えるものとする。
(予防更生法雑則の準用)
第二十九条 仮退院の許可、仮退院中の保護観察、仮退院の取消及び処分の審査については、前四条に定めるもののほか、予防更生法第五十五条から第六十条までの規定を準用する。
(仮退院の効果)
第三十条 仮退院を許された者が、仮退院を取り消されることなく、補導処分の残期間を経過したときは、その執行を受け終つたものとする。
(更生保護)
第三十一条 更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)の適用については、婦人補導院から退院した者及び前条の規定により補導処分の執行を受け終つたとされた者は、同法第一条第一号に掲げる者とみなし、補導処分による身体の拘束、婦人補導院の長及び仮退院は、それぞれ、刑事上の手続による身体の拘束、監獄の長及び仮出獄とみなす。
(執行猶予期間の短縮)
第三十二条 婦人補導院から退院した者及び第三十条の規定により補導処分の執行を受け終つたとされた者については、退院の時又は補導処分の執行を受け終つたとされた時において刑の執行猶予の期間を経過したものとみなす。
2 第五条の罪と他の罪とにつき懲役又は禁錮に処せられ、補導処分に付された者については、刑法第五十四条第一項の規定により第五条の罪の刑によつて処断された場合を除き、前項の規定を適用しない。
(補導処分の失効)
第三十三条 刑の執行猶予の期間が経過し、その他刑の言渡がその効力を失つたとき、又は刑の執行猶予の言渡が取り消されたときは、補導処分に付する旨の言渡は、その効力を失う。