宅地建物取引業法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第131号
公布年月日: 昭和32年5月27日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

宅地建物取引業法は昭和27年に制定され、業者の登録制度により一定の秩序を与えてきたが、現行法では必要最小限の知識を持たない業者や不心得な業者、もぐり業者による被害が発生している。そこで業者の質向上と信頼度向上、業務の適正化を図るため、事務所ごとに都道府県知事の試験に合格した取引主任者の設置と営業保証金の供託を義務付け、宅地建物取引員会等の法人設立を可能とする。また無登録業者の取締り強化や、従来適用除外だった信託会社等への法律適用などの改正を行う。

参照した発言:
第26回国会 衆議院 建設委員会 第23号

審議経過

第26回国会

衆議院
(昭和32年5月16日)
(昭和32年5月16日)
参議院
(昭和32年5月16日)
(昭和32年5月16日)
衆議院
(昭和32年5月19日)
参議院
(昭和32年5月19日)
宅地建物取引業法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年五月二十七日
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 石井光次郎
法律第百三十一号
宅地建物取引業法の一部を改正する法律
宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二章 登録(第三条―第十二条)」を
第二章
登録(第三条―第十二条)
第二章の二
営業保証金(第十二条の二―第十二条の七)
に改める。
第一条中「取締」を「規制」に改める。
第四条第一項に次の一号を加える。
五 第十一条の二第一項に規定する取引主任者の氏名(同条第二項本文の場合においては、その旨及び同項本文の規定に該当する者の氏名)
第四条第二項第四号中「の略歴」を「及び第十一条の二第一項に規定する取引主任者の略歴」に改め、同号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。
四 第十一条の二第一項に規定する取引主任者(同条第二項本文の場合においては、同項本文の規定に該当する者)が宅地建物取引員試験に合格した者であることを証明する書面及びその者が同条第一項各号に掲げる者(同条第二項本文の場合においては、同項但書に掲げる者)に該当しないものであることを誓約する書面
第五条第一項に次のただし書を加える。
但し、第三条第一項の登録にあつては、当該登録申請者が第十二条の二の規定による供託をした旨を供託物受入の記載ある供託書の写を添附して届け出た後でなければ、登録をすることができない。
第八条第二項中「第五条第一項」を「第五条第一項本文」に改め、同項に次のただし書を加える。
但し、事務所の新設による登録事項の変更の届出があつた場合においては、当該宅地建物取引業者が第十二条の三の規定による供託をした旨を供託物受入の記載ある供託書の写を添附して届け出た後でなければ、登録の変更をすることができない。
第八条に次の一項を加える。
3 新たに事務所を設置した宅地建物取引業者は、前項の規定による登録の変更をした後でなければ、その事務所について営業を開始してはならない。
第八条の次に次の一条を加える。
(登録換)
第八条の二 宅地建物取引業者は、その主たる事務所を登録を受けている都道府県の区域外に移転するときは、建設省令の定めるところにより、登録換の申請書を登録を受けている都道府県知事を経由して移転後の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
2 前項の登録換は、第三条第三項の更新の登録とみなし、この法律(第十条第一項第二号を除く。)の規定を適用する。但し、第五条第二項及び第六条第三項中「当該登録申請者」とあるのは、「当該登録申請者及び従前の登録をした都道府県知事」と読み替えるものとする。
第十条第一項に次の一号を加える。
三 第八条の二第二項の規定により適用される第五条第二項又は第六条第三項の規定による通知があつたとき。
第十一条の次に次の二条を加える。
(取引主任者の設置)
第十一条の二 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、宅地建物取引員試験に合格した者(以下「宅地建物取引員」という。)であつて左の各号に該当しないものを、専任の取引主任者として、一人以上置かなければならない。
一 第六条第一項第一号若しくは第二号に掲げる者又は禁治産者
二 第六条第二項第一号に掲げる者又は未成年者
2 前項の規定は、宅地建物取引業者(法人である場合においては、その役員のうちいずれかの役員)が宅地建物取引員であるときは、その者が、みずから、主として業務に従事する事務所については、適用しない。但し、その者が前項第一号に掲げる者であるとき、又は営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者であるときは、この限りでない。
3 宅地建物取引業者は、左の各号に掲げる場合においては、当該事務所につき、当該各号の場合に該当することを知つた時から二週間以内に、第一項の規定による取引主任者の選任をしなければならない。
一 取引主任者が第一項各号の一に該当するに至つたとき。
二 取引主任者が欠けるに至つたとき(前項の事務所について、第一項の規定が適用されるに至つた場合を含む。)。
三 新たに事務所を設置したとき。
(試験)
第十一条の三 都道府県知事は、建設省令の定めるところにより、宅地建物取引員試験(以下「試験」という。)を行わなければならない。
2 試験は、宅地建物取引業に関して、必要な知識について行う。
3 試験を受けようとする者は、条例の定めるところにより、五百円以下の受験手数料を都道府県に納めなければならない。
第十二条の見出し中「無登録事業」を「無登録事業等」に改め、同条に次の一項を加える。
2 第五条第一項の規定による登録を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の標示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもつて、広告をしてはならない。
第二章の次に次の一章を加える。
第二章の二 営業保証金
(営業保証金の額及び供託)
第十二条の二 宅地建物取引業を営む者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。
2 前項の営業保証金の額は、主たる専務所につき十万円、その他の事務所につき事務所ごとに五万円の割合による金額の合計額とする。但し、その額は、三十万円をこえないものとする。
(事務所新設の場合の営業保証金)
第十二条の三 宅地建物取引業者は、第五条第一項の規定による登録を受けた後新たに事務所を設置したときは、当該事務所につき前条第二項に規定する割合の金額の営業保証金を供託しなければならない。但し、その者が供託する営業保証金の総額が三十万円をこえることとなるときは、その超過分については、この限りでない。
2 前条第一項の規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。
(営業保証金の還付)
第十二条の四 宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。
2 前項の権利の実行に関し必要な事項は、法務省令・建設省令で定める。
(営業保証金の不足額の供託)
第十二条の五 宅地建物取引業者は、前条第一項の権利を有する者がその権利を実行したため、営業保証金が第十二条の二第二項に規定する額に不足することとなつたときは、法務省令・建設省令で定める日から二週間以内にその不足額を供託しなければならない。
2 宅地建物取引業者は、前項の規定により営業保証金を供託したときは、建設省令の定めるところにより、二週間以内にその旨を主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
(営業保証金の保管換)
第十二条の六 宅地建物取引業者は、その主たる事務所を移転したときは、法務省令・建設省令の定めるところにより、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所のもよりの供託所への営業保証金の保管換を請求しなければならない。
(営業保証金の取りもどし)
第十二条の七 第十条第一項の規定による登録のまつ消(第八条の二第二項の規定により適用される第五条第二項の規定による通知があつた場合における登録のまつ消を除く。)又は第二十条第四項の規定による登録のまつ消があつたときは、宅地建物取引業者であつた者又はその承継人は、当該宅地建物取引業者であつた者が供託した営業保証金を取りもどすことができる。宅地建物取引業者が一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金の額が第十二条の二第二項に規定する額をこえることとなつたときは、その超過額についてもまた同様とする。
2 前項の営業保証金の取りもどしは、当該営業保証金につき第十二条の四第一項の権利を有する者に対し、六箇月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、これをすることができない。但し、営業保証金を取りもどすことができる事由が発生した時から十年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の公告その他営業保証金の取りもどしに関し必要な事項は、法務省令・建設省令で定める。
第二十条第二項第三号中「第十四条」を「第十一条の二第三項、第十二条の五第一項、第十四条」に改める。
第二十二条の二の次に次の一条を加える。
(宅地建物取引員会及び宅地建物取引員会連合会)
第二十二条の三 宅地建物取引員は、都道府県の区域ごとに、宅地建物取引員会と称する民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定による法人を設立することができる。
2 宅地建物取引員会は、全国を単位として、宅地建物取引員会を会員とする宅地建物取引員会連合会と称する民法第三十四条の規定による法人を設立することができる。
3 宅地建物取引員会及び宅地建物取引員会連合会は、宅地建物取引員の品位の保持及び資質の向上を図り、あわせて宅地又は建物の取引に係る業務の進歩改善に資するため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
第二十三条中「前条」を「第二十二条の二」に改め、「並びに信託会社及び信託業務を兼営する銀行」を削る。
第二十四条第二号中「第十二条」を「第十二条第一項」に改める。
第二十六条中「第十四条」を「第八条第三項、第十一条の二第三項、第十二条第二項、第十四条」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和三十二年八月一日から施行する。
(経過規定)
2 この法律の施行の際現に個人である宅地建物取引業者(宅地建物取引業法第八条第一項に規定する宅地建物取引業者をいう。以下同じ。)又は宅地建物取引業者である法人(この法律の施行の際現に宅地建物取引業を営んでいる信託会社及び信託業務を兼営する銀行を含む。)の役員(業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)であつて、この法律の施行の日から二年をこえない範囲内において政令で定める日(以下「指定日」という。)までにおいて、引き続く四年をこえる期間宅地建物取引業者又は宅地建物取引業者である法人(宅地建物取引業を営む信託会社及び信託業務を兼営する銀行を含む。)の役員であり、かつ、建設省令の定めるところにより都道府県知事が行う選考により、宅地建物取引業に関し必要な知識を有すると認められた者は、改正後の宅地建物取引業法の適用については、同法第十一条の二第一項に規定する宅地建物取引員とみなす。
3 第十一条の三第三項の改正規定は、前項の選考について準用する。
4 第十一条の二の改正規定は、指定までは適用しない。
5 指定日の翌日において現に設置されている宅地建物取引業者の事務所に関しては、改正後の宅地建物取引業法第十一条の二の規定及び同法第八条中同法第四条第一項第五号に係る部分の規定の適用については、同日新たに設置されたものとみなす。
6 第二章の二の改正規定は、この法律の施行の際現に宅地建物取引業者であるもの(この法律の施行の際現に宅地建物取引業者であつて、この法律の施行の日以後において宅地建物取引業法第三条第三項の更新の登録を受けた者を含む。)に対しては、昭和三十四年七月三十一日までは適用しない。
7 前項に規定する者は、昭和三十四年八月三十一日までに、第十二条の二の改正規定により営業保証金の供託をし、当該供託をした旨を供託物受入の記載ある供託書の写を添附して、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
8 前項の規定に違反した者は、改正後の宅地建物取引業法第十二条の五第一項の規定に違反したものとみなし、同法の規定を適用する。
9 この法律の施行の際現に宅地建物取引業を営んでいる信託会社及び信託業務を兼営する銀行は、改正後の宅地建物取引業法第五条第一項の規定による登録を受けないでも、この法律の施行の日から起算して二箇月間を限り、宅地建物取引業者とみなす。その者がその期間内に同法第四条の規定により登録を申請した場合において、その期間を経過したときは、その申請に対する処分のある日まで、また同様とする。
10 附則第六項から第八項までの規定は、この法律の施行の際現に宅地建物取引業を営んでいる信託会社又は信託業務を兼営する銀行であつて、前項の期間内に改正後の宅地建物取引業法第四条の規定により登録を申請し、かつ、同法第五条第一項の規定による登録を受けたものについて準用する。
(地方自治法の一部改正)
11 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
別表第三第一号(百十九の二)中「及び業務の停止」を「、宅地建物取引員試験及び宅地建物取引業者の業務の停止」に改める。
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 石井光次郎
法務大臣 中村梅吉
建設大臣 南條徳男
宅地建物取引業法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年五月二十七日
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 石井光次郎
法律第百三十一号
宅地建物取引業法の一部を改正する法律
宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二章 登録(第三条―第十二条)」を
第二章
登録(第三条―第十二条)
第二章の二
営業保証金(第十二条の二―第十二条の七)
に改める。
第一条中「取締」を「規制」に改める。
第四条第一項に次の一号を加える。
五 第十一条の二第一項に規定する取引主任者の氏名(同条第二項本文の場合においては、その旨及び同項本文の規定に該当する者の氏名)
第四条第二項第四号中「の略歴」を「及び第十一条の二第一項に規定する取引主任者の略歴」に改め、同号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。
四 第十一条の二第一項に規定する取引主任者(同条第二項本文の場合においては、同項本文の規定に該当する者)が宅地建物取引員試験に合格した者であることを証明する書面及びその者が同条第一項各号に掲げる者(同条第二項本文の場合においては、同項但書に掲げる者)に該当しないものであることを誓約する書面
第五条第一項に次のただし書を加える。
但し、第三条第一項の登録にあつては、当該登録申請者が第十二条の二の規定による供託をした旨を供託物受入の記載ある供託書の写を添附して届け出た後でなければ、登録をすることができない。
第八条第二項中「第五条第一項」を「第五条第一項本文」に改め、同項に次のただし書を加える。
但し、事務所の新設による登録事項の変更の届出があつた場合においては、当該宅地建物取引業者が第十二条の三の規定による供託をした旨を供託物受入の記載ある供託書の写を添附して届け出た後でなければ、登録の変更をすることができない。
第八条に次の一項を加える。
3 新たに事務所を設置した宅地建物取引業者は、前項の規定による登録の変更をした後でなければ、その事務所について営業を開始してはならない。
第八条の次に次の一条を加える。
(登録換)
第八条の二 宅地建物取引業者は、その主たる事務所を登録を受けている都道府県の区域外に移転するときは、建設省令の定めるところにより、登録換の申請書を登録を受けている都道府県知事を経由して移転後の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
2 前項の登録換は、第三条第三項の更新の登録とみなし、この法律(第十条第一項第二号を除く。)の規定を適用する。但し、第五条第二項及び第六条第三項中「当該登録申請者」とあるのは、「当該登録申請者及び従前の登録をした都道府県知事」と読み替えるものとする。
第十条第一項に次の一号を加える。
三 第八条の二第二項の規定により適用される第五条第二項又は第六条第三項の規定による通知があつたとき。
第十一条の次に次の二条を加える。
(取引主任者の設置)
第十一条の二 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、宅地建物取引員試験に合格した者(以下「宅地建物取引員」という。)であつて左の各号に該当しないものを、専任の取引主任者として、一人以上置かなければならない。
一 第六条第一項第一号若しくは第二号に掲げる者又は禁治産者
二 第六条第二項第一号に掲げる者又は未成年者
2 前項の規定は、宅地建物取引業者(法人である場合においては、その役員のうちいずれかの役員)が宅地建物取引員であるときは、その者が、みずから、主として業務に従事する事務所については、適用しない。但し、その者が前項第一号に掲げる者であるとき、又は営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者であるときは、この限りでない。
3 宅地建物取引業者は、左の各号に掲げる場合においては、当該事務所につき、当該各号の場合に該当することを知つた時から二週間以内に、第一項の規定による取引主任者の選任をしなければならない。
一 取引主任者が第一項各号の一に該当するに至つたとき。
二 取引主任者が欠けるに至つたとき(前項の事務所について、第一項の規定が適用されるに至つた場合を含む。)。
三 新たに事務所を設置したとき。
(試験)
第十一条の三 都道府県知事は、建設省令の定めるところにより、宅地建物取引員試験(以下「試験」という。)を行わなければならない。
2 試験は、宅地建物取引業に関して、必要な知識について行う。
3 試験を受けようとする者は、条例の定めるところにより、五百円以下の受験手数料を都道府県に納めなければならない。
第十二条の見出し中「無登録事業」を「無登録事業等」に改め、同条に次の一項を加える。
2 第五条第一項の規定による登録を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の標示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもつて、広告をしてはならない。
第二章の次に次の一章を加える。
第二章の二 営業保証金
(営業保証金の額及び供託)
第十二条の二 宅地建物取引業を営む者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。
2 前項の営業保証金の額は、主たる専務所につき十万円、その他の事務所につき事務所ごとに五万円の割合による金額の合計額とする。但し、その額は、三十万円をこえないものとする。
(事務所新設の場合の営業保証金)
第十二条の三 宅地建物取引業者は、第五条第一項の規定による登録を受けた後新たに事務所を設置したときは、当該事務所につき前条第二項に規定する割合の金額の営業保証金を供託しなければならない。但し、その者が供託する営業保証金の総額が三十万円をこえることとなるときは、その超過分については、この限りでない。
2 前条第一項の規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。
(営業保証金の還付)
第十二条の四 宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。
2 前項の権利の実行に関し必要な事項は、法務省令・建設省令で定める。
(営業保証金の不足額の供託)
第十二条の五 宅地建物取引業者は、前条第一項の権利を有する者がその権利を実行したため、営業保証金が第十二条の二第二項に規定する額に不足することとなつたときは、法務省令・建設省令で定める日から二週間以内にその不足額を供託しなければならない。
2 宅地建物取引業者は、前項の規定により営業保証金を供託したときは、建設省令の定めるところにより、二週間以内にその旨を主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
(営業保証金の保管換)
第十二条の六 宅地建物取引業者は、その主たる事務所を移転したときは、法務省令・建設省令の定めるところにより、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所のもよりの供託所への営業保証金の保管換を請求しなければならない。
(営業保証金の取りもどし)
第十二条の七 第十条第一項の規定による登録のまつ消(第八条の二第二項の規定により適用される第五条第二項の規定による通知があつた場合における登録のまつ消を除く。)又は第二十条第四項の規定による登録のまつ消があつたときは、宅地建物取引業者であつた者又はその承継人は、当該宅地建物取引業者であつた者が供託した営業保証金を取りもどすことができる。宅地建物取引業者が一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金の額が第十二条の二第二項に規定する額をこえることとなつたときは、その超過額についてもまた同様とする。
2 前項の営業保証金の取りもどしは、当該営業保証金につき第十二条の四第一項の権利を有する者に対し、六箇月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、これをすることができない。但し、営業保証金を取りもどすことができる事由が発生した時から十年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の公告その他営業保証金の取りもどしに関し必要な事項は、法務省令・建設省令で定める。
第二十条第二項第三号中「第十四条」を「第十一条の二第三項、第十二条の五第一項、第十四条」に改める。
第二十二条の二の次に次の一条を加える。
(宅地建物取引員会及び宅地建物取引員会連合会)
第二十二条の三 宅地建物取引員は、都道府県の区域ごとに、宅地建物取引員会と称する民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定による法人を設立することができる。
2 宅地建物取引員会は、全国を単位として、宅地建物取引員会を会員とする宅地建物取引員会連合会と称する民法第三十四条の規定による法人を設立することができる。
3 宅地建物取引員会及び宅地建物取引員会連合会は、宅地建物取引員の品位の保持及び資質の向上を図り、あわせて宅地又は建物の取引に係る業務の進歩改善に資するため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
第二十三条中「前条」を「第二十二条の二」に改め、「並びに信託会社及び信託業務を兼営する銀行」を削る。
第二十四条第二号中「第十二条」を「第十二条第一項」に改める。
第二十六条中「第十四条」を「第八条第三項、第十一条の二第三項、第十二条第二項、第十四条」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和三十二年八月一日から施行する。
(経過規定)
2 この法律の施行の際現に個人である宅地建物取引業者(宅地建物取引業法第八条第一項に規定する宅地建物取引業者をいう。以下同じ。)又は宅地建物取引業者である法人(この法律の施行の際現に宅地建物取引業を営んでいる信託会社及び信託業務を兼営する銀行を含む。)の役員(業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)であつて、この法律の施行の日から二年をこえない範囲内において政令で定める日(以下「指定日」という。)までにおいて、引き続く四年をこえる期間宅地建物取引業者又は宅地建物取引業者である法人(宅地建物取引業を営む信託会社及び信託業務を兼営する銀行を含む。)の役員であり、かつ、建設省令の定めるところにより都道府県知事が行う選考により、宅地建物取引業に関し必要な知識を有すると認められた者は、改正後の宅地建物取引業法の適用については、同法第十一条の二第一項に規定する宅地建物取引員とみなす。
3 第十一条の三第三項の改正規定は、前項の選考について準用する。
4 第十一条の二の改正規定は、指定までは適用しない。
5 指定日の翌日において現に設置されている宅地建物取引業者の事務所に関しては、改正後の宅地建物取引業法第十一条の二の規定及び同法第八条中同法第四条第一項第五号に係る部分の規定の適用については、同日新たに設置されたものとみなす。
6 第二章の二の改正規定は、この法律の施行の際現に宅地建物取引業者であるもの(この法律の施行の際現に宅地建物取引業者であつて、この法律の施行の日以後において宅地建物取引業法第三条第三項の更新の登録を受けた者を含む。)に対しては、昭和三十四年七月三十一日までは適用しない。
7 前項に規定する者は、昭和三十四年八月三十一日までに、第十二条の二の改正規定により営業保証金の供託をし、当該供託をした旨を供託物受入の記載ある供託書の写を添附して、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
8 前項の規定に違反した者は、改正後の宅地建物取引業法第十二条の五第一項の規定に違反したものとみなし、同法の規定を適用する。
9 この法律の施行の際現に宅地建物取引業を営んでいる信託会社及び信託業務を兼営する銀行は、改正後の宅地建物取引業法第五条第一項の規定による登録を受けないでも、この法律の施行の日から起算して二箇月間を限り、宅地建物取引業者とみなす。その者がその期間内に同法第四条の規定により登録を申請した場合において、その期間を経過したときは、その申請に対する処分のある日まで、また同様とする。
10 附則第六項から第八項までの規定は、この法律の施行の際現に宅地建物取引業を営んでいる信託会社又は信託業務を兼営する銀行であつて、前項の期間内に改正後の宅地建物取引業法第四条の規定により登録を申請し、かつ、同法第五条第一項の規定による登録を受けたものについて準用する。
(地方自治法の一部改正)
11 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
別表第三第一号(百十九の二)中「及び業務の停止」を「、宅地建物取引員試験及び宅地建物取引業者の業務の停止」に改める。
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 石井光次郎
法務大臣 中村梅吉
建設大臣 南条徳男