(目的)
第一条 この法律は、公立の小学校において不正常授業が行われている現状にかんがみ、当該不正常授業の解消を促進するため、公立の小学校の校舎の建築に要する経費について、臨時に国が補助を行うこととし、もつて公立の小学校における教育の円滑な実施を確保することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「不正常授業」とは、公立の小学校における校舎の不足による次の各号に掲げる授業をいう。
二 当該学校の建物のうち普通教室以外の部分を普通教室として使用して行う授業
三 収容児童一人当りの面積が〇・三五坪以下の普通教室を使用して行う授業
四 当該学校の建物以外の建物(仮校舎を含む。)を普通教室として使用して行う授業
(国の補助)
第三条 国は、不正常授業を解消するため公立の小学校の校舎の建築(買収その他これに準ずる方法による校舎の取得を含む。以下同じ。)を行おうとする地方公共団体に対し、その経費の一部を補助することができる。
(補助率)
第四条 前条の規定により国が行う補助は、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、不正常授業を解消するための校舎の建築に要する経費の三分の一以内とする。
(国が補助を行うことができる建築の坪数)
第五条 第三条の規定により国が補助を行うことができる建築の坪数は、児童一人当りの基準坪数に当該建築を行う年度の五月一日における当該学校の児童の数を乗じて得た坪数からその日における当該学校の校舎の保有坪数を控除して得た坪数とする。
2 前項の児童一人当りの基準坪数は、〇・九坪とする。ただし、当該学校の校舎の保有坪数のうち普通教室に使用することができる部分がきわめて少いことその他政令で定める特別の事由があるため、児童一人当りの基準坪数を〇・九坪として同項の規定により算定した坪数が児童の教育を行うのに著しく不適当であると認められる場合においては、一・〇八坪とする。
3 前項の児童一人当りの基準坪数については、当該学校の所在地の積雪寒冷度、当該学校の児童の数、当該学校における一学級の平均収容児童数又は当該学校の校舎の構造に応じ、文部大臣が大蔵大臣と協議して定めるところにより、補正を行うものとする。
(補助金の交付の取消、停止等)
第六条 文部大臣は、地方公共団体が次の各号の一に該当するときは、当該地方公共団体に対して、補助金の全部若しくは一部の交付を取り消し、その交付を停止し、又は交付した補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。
一 正当な理由がなくて、補助に係る建築の全部又は一部を行わないこととなつたとき。
三 前各号のほか、文部大臣の指示に違反したと認められるとき。
2 前項の規定により文部大臣が補助金の交付の取消若しくは停止又は交付した補助金の返還を命じようとする場合においては、あらかじめ、当該地方公共団体の教育委員会に対し、釈明のため意見を述べ、及び当該地方公共団体のため有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
(監督)
第七条 文部大臣は、不正常授業を解消するための校舎の建築に関し、この法律により国の補助金の交付を受ける地方公共団体に対して、当該建築を適正に実施させるために必要な限度において、実施検査を行い、報告を求め、又は必要な指示を示すことができる。
2 文部大臣は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会をして、当該都道府県の区域内に存する市(特別区を含む。以下同じ。)町村(市町村の組合を含む。)に対し、前項に規定する文部大臣の権限を行わせることができる。
(政令への委任)
第八条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。