刑法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第57号
公布年月日: 昭和29年4月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

刑法の執行猶予に関する第25条の2を改正し、初度目の執行猶予者も保護観察に付すことができるようにすることで、刑政の目的達成と犯罪対策に寄与することを目指している。また、日本の航空機による国外航空開始に伴い、国外にある日本の航空機内での犯罪も処罰可能とする規定を含む。犯罪者の改善更生のため、できる限り刑の執行を避けて保護観察に付し、その成績に応じて刑の執行を考慮することが必要との考えに基づき提案された。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 法務委員会 第10号

審議経過

第19回国会

衆議院
(昭和29年2月24日)
参議院
(昭和29年2月25日)
(昭和29年3月16日)
衆議院
(昭和29年3月18日)
(昭和29年3月24日)
(昭和29年3月25日)
(昭和29年3月27日)
参議院
(昭和29年3月30日)
(昭和29年3月31日)
(昭和29年4月1日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
刑法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年四月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第五十七号
刑法の一部を改正する法律
刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第一条第二項中「日本船舶」の下に「又ハ日本航空機」を加える。
第二十五条第二項但書中「第二十五条ノ二ノ保護観察ニ付セラレ」を「第二十五条ノ二第一項ノ規定ニ依リ保護観察ニ付セラレ」に改める。
第二十五条ノ二を次のように改める。
第二十五条ノ二 前条第一項ノ場合ニ於テハ猶予ノ期間中保護観察ニ付スルコトヲ得前条第二項ノ場合ニ於テハ猶予ノ期間中保護観察ニ付ス
保護観察ハ行政官庁ノ処分ヲ以テ之ヲ仮ニ解除スルコトヲ得
保護観察ヲ仮ニ解除セラレタルトキハ前条第二項但書及ビ第二十六条ノ二第二号ノ規定ノ適用ニ付テハ其処分ヲ取消サルルマデノ間ハ保護観察ニ付セラレザリシモノト看做ス
第二十六条ノ二第二号を次のように改める。
二 第二十五条ノ二第一項ノ規定ニ依リ保護観察ニ付セラレタル者遵守ス可キ事項ヲ遵守セズ其情状重キトキ
附 則
1 この法律は、昭和二十九年八月三十一日までの間において政令で定める日から施行する。但し、刑法第一条第二項の改正規定及び附則第三項の規定は、公布の日から施行する。
2 この法律による改正後の刑法第二十五条ノ二第一項前段の規定は、この法律の施行前に犯された罪については、適用しない。但し、その罪とこの法律の施行後に犯された罪とにつき、刑法第四十七条又は第四十八条第二項の規定を適用して処断すべきときは、この限りでない。
3 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第二条に次の一項を加える。
国外に在る日本航空機内で犯した罪については、第一項に規定する地の外、犯罪後その航空機の着陸(着水を含む。)した地による。
法務大臣 犬養健
内閣総理大臣 吉田茂