母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第27号
公布年月日: 昭和29年3月31日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

母子福祉資金の貸付制度について、二点の改正を行う。第一に、従来母子家庭の子女のみに限定されていた修学資金及び修業資金の貸付対象を、父母のない児童にも拡大する。これは、父母のない児童の社会的・経済的条件が母子家庭の子女より低い状況にあることを踏まえ、将来の自立支援を図るためである。第二に、特別会計の歳出に貸付事務費用を加え、その限度を規制する。これは、都道府県の財政逼迫により事務費確保が困難な状況を改善するため、一般会計からの繰入金や償還金利子等を財源として支出できるようにするものである。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 厚生委員会 第14号

審議経過

第19回国会

衆議院
(昭和29年3月15日)
参議院
(昭和29年3月16日)
衆議院
(昭和29年3月17日)
(昭和29年3月18日)
(昭和29年3月23日)
(昭和29年3月24日)
(昭和29年3月26日)
(昭和29年3月27日)
参議院
(昭和29年3月29日)
(昭和29年3月30日)
(昭和29年3月30日)
衆議院
(昭和29年3月31日)
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二十七号
母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律
母子福祉資金の貸付等に関する法律(昭和二十七年法律第三百五十号)の一部を次のように改正する。
第一条中「児童の福祉を増進すること」を「児童の福祉を増進するとともに父母のない児童に対し、資金の貸付を行うことにより、その独立自活の促進を図ること」に改める。
第二条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 この法律において「父母のない児童」とは、父母(実父母及び養父母を含む。以下同じ。)と死別した児童及びこれに準ずる左の各号の一に掲げる児童をいう。
一 父母の生死が明らかでない児童
二 父母から遺棄されている児童
三 父母が海外にあるためその扶養を受けることができない児童
四 父母が精神又は身体の障害により長期にわたつて労働能力を失つているためその扶養を受けることができない児童
五 前各号に掲げる者に準ずる児童であつて政令で定める者
第三条第一項中「左の各号に掲げる資金を」の下に「、父母のない児童に対し、第二号、第六号及び第七号に掲げる資金を」を加え、同項中第二号、第六号及び第七号をそれぞれ次のように改め、同条第二項中「修学資金又は修業資金の貸付については、その貸付により」を「配偶者のない女子が扶養している者の支度資金、修学資金又は修業資金の貸付については、その就職し、」に改め、同条第四項を削る。
二 配偶者のない女子若しくはその者が扶養している児童又は父母のない児童の就職に際し必要な資金(以下「支度資金」という。)
六 配偶者のない女子が扶養している児童又は父母のない児童が、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する高等学校(盲学校、ろう学校又は養護学校の高等部を含む。以下同じ。)若しくは大学に就学し、又は医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十一条に規定する実地修練(以下「実地修練」という。)を受けるのに必要な資金(以下「修学資金」という。)
七 配偶者のない女子が扶養している児童又は父母のない児童が、事業を開始し、又は就職するために必要な知識、技能を習得するのに必要な資金(以下「修業資金」という。)
第五条第二項を次のように改める。
2 修学資金の貸付金は、無利子とし、その他の貸付金については、据置期間中は無利子とし、据置期間経過後はその利率を年三分とする。
第六条第二項中「第九条」を「第九条第一項」に改める。
第八条の次に次の二条を加える。
(財産管理者の不当使用)
第八条の二 都道府県は、第三条第一項の規定により父母のない児童に対し、支度資金、修学資金又は修業資金の貸付が行われた場合において、当該児童の財産を管理する親権を行う者又は後見人が、当該貸付金を貸付の目的以外の目的に使用したときは、その者に対し、使用した金額に相当する金額を都道府県に納付すべきことを命ずることができる。
2 都道府県が前項の規定により納付することを命じた場合においては、当該父母のない児童の都道府県に対する貸付金の償還の債務は、当該親権を行う者又は後見人が納付することを命ぜられた限度において消滅するものとする。
(後見人解任の請求)
第八条の三 第三条第一項の規定により支度資金、修学資金又は修業資金の貸付を受けた父母のない児童の後見人に、当該貸付金の使用に関し不正な行為その他後見の任務に適しない事由があるときは、民法第八百四十五条の規定による後見人の解任の請求は、同条に定める者の外、都道府県知事も行うことができる。
第九条の見出しを「(違約金等)」に、同条中「前条」を「第八条」に改め、同条に次の一項を加える。
2 前項の規定は、第八条の二第一項の規定により納付を命ぜられた者が支払期日に納付を命ぜられた金額を納付しなかつた場合に準用する。
第十二条第二項中「及び第九条の規定による違約金」を「、第八条の二第一項の規定による納付金及び第九条の規定による違約金等」に、「貸付金をもつてその歳出とする。」を「貸付金及び貸付に関する事務に要する費用をもつてその歳出とする。」に改め、同条に次の一項を加える。
3 前項に規定する貸付に関する事務に要する費用の額は、貸付金の利子及び第九条の規定による違約金等のうち収納済となつたものの三分の一に相当する金額の範囲内において厚生大臣の定めるところにより算定した額と、当該経費に充てるための一般会計からの繰入金の額との合計額をこえてはならない。
第十三条第一項中「貸付金の財源として、」を削り、「都道府県が」の下に「貸付金の財源として」を加える。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和二十九年四月一日から施行する。但し、改正後の第五条第二項の規定は、昭和二十八年四月一日から適用する。
(印紙税法の一部改正)
2 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条中第六号の八の次に次の一号を加える。
六ノ八ノ二 母子福祉資金の貸付等に関する法律ニ依ル貸付金ニ関スル証書
内閣総理大臣 吉田茂
法務大臣 犬養健
大蔵大臣 小笠原三九郎
厚生大臣 草葉隆円