(無償貸付)
第一条 政府は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定第二条により日本国に駐留する合衆国軍隊に提供されている国有財産たる別表第一の建物が返還された場合において、この法律の施行の際現に東京都千代田区三年町一番地に主たる事務所を有する財団法人日本遺族会(以下「遺族会」という。)が、もとの軍人軍属で公務により死亡した者の遺族(以下「遺族」という。)の福祉を目的とする事業の用に供するときは、遺族会に対し、その建物及び国有財産たる別表第二の土地のうちその建物の使用に必要な部分を、他の法令の規定にかかわらず、無償で貸し付けることができる。
(用途の制限)
第二条 遺族会は、前条の規定により貸付を受けた財産を左に掲げる事業以外の事業の用に供してはならない。
一 遺族に無料又は低額な料金で宿泊所を利用させる事業
二 遺族に無料又は低額な料金で集会所、食堂、理容所、洗たく所等の施設を利用させる事業
四 無料又は低額な料金で遺族の生活及び結婚に関する相談に応ずる事業
六 その他遺族の福祉を目的として行う事業で厚生大臣の指定するもの
2 遺族会は、遺族会以外の者が前項に規定する事業を行うために使用する場合においては、厚生省令で定めるところにより厚生大臣の承認を受けて、その者に前条の規定により貸付を受けた財産を使用させることができる。
(監督)
第三条 第一条の規定により遺族会に対し国有財産が貸し付けられたときは、厚生大臣は、その貸付の目的が有効に達せられることを確保するため、遺族会に対して、左に掲げる権限を有する。
二 貸付の目的に照らして、遺族会の予算が不適当であると認める場合において、その予算について必要な変更をなすべき旨を勧告すること。
三 遺族会の役員が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は寄附行為に違反した場合において、その役員を解職すべき旨を勧告すること。
2 第一条の規定により貸し付けた財産の所管大臣は、遺族会が前条の規定に違反したとき、又は前項の規定による措置に従わなかつたときは、厚生大臣の意見を聞き、第一条の規定による貸付の契約を解除することができる。但し、他の方法により監督の目的を達することができない場合に限る。
3 第一項第三号の規定により解職を勧告する場合においては厚生大臣、前項の規定により契約を解除する場合においては同項に規定する財産の所管大臣は、それぞれ、解職しようとする役員又は遺族会に弁明する機会を与えなければならない。この場合においては、解職しようとする役員又は遺族会に対し、あらかじめ、書面をもつて、弁明すべき日時、場所及びその処分をなすべき理由を通知しなければならない。