農林漁業組合連合会整備促進法
法令番号: 法律第190号
公布年月日: 昭和28年8月8日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

農林漁業組合の整備強化を図るため、昭和26年度から再建整備法により事業不振組合の再建に着手し、一定の実績を上げてきた。しかし、農林漁業組合連合会は多額の欠損金を抱え、増資や債務償還に困難が予想される状況にある。そこで、従来の再建整備方式に加え、農林中央金庫等の系統金融機関による固定債権の利子軽減等の援助を促進し、それら金融機関への助成措置を講じることで、農林漁業組合連合会の整備促進と健全な発達を図るため、本法案を提出するものである。

参照した発言:
第16回国会 参議院 農林委員会 第7号

審議経過

第16回国会

参議院
(昭和28年6月30日)
衆議院
(昭和28年7月1日)
(昭和28年7月14日)
参議院
(昭和28年7月15日)
衆議院
参議院
(昭和28年7月21日)
衆議院
(昭和28年7月22日)
(昭和28年7月23日)
参議院
(昭和28年7月30日)
(昭和28年8月3日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
農林漁業組合連合会整備促進法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十号
農林漁業組合連合会整備促進法
(目的)
第一条 この法律は、農林漁業組合連合会に対する金融機関の援助につき国が助成を行う等の措置により、農林漁業組合連合会の整備を促進し、もつて農林漁業に関する協同組織の健全な発達を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「農林漁業組合連合会」とは、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第三号、第六号、第七号又は第九号の事業を行う農業協同組合連合会及び森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第百五十四条第一項第三号又は第四号の事業を行う森林組合連合会であつて、都道府県の区域又はその区減をこえる区域を地区とするもの並びに水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第八十七条第一項第三号又は第五号の事業を行う漁業協同組合連合会であつて、政令で定める区域を地区とするものをいう。
2 この法律において「金融機関」とは、農林中央金庫、農業協同組合法第十条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行う農業協同組合連合会並びに水産業協同組合法第八十七条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行う漁業協同組合連合会をいう。
(整備計画の樹立)
第三条 事業の継続に著しい支障をきたすことなしにはその債務を弁済することができない農林漁業組合連合会であつて、この法律によつて整備を行おうとするものは、農林大臣の指定する日(以下「指定日」という。)現在により貸借対照表を作製し、これに基いて整備計画をたてなければならない。
2 農林漁業組合連合会は、前項の規定により貸借対照表を作製するに当つては、省令で定めるところにより、資産の適正な評価を行い、その評価によつて損失を生ずる場合には、その損失金額を欠損金に算入しなければならない。
3 農林漁業組合連合会は、第一項の規定により整備計画をたてるに当つては、省令で定める金融機関と協議しなければならない。
4 第一項の規定により整備計画をたてる場合には、その会員(准会員を除く。)の半数以上が出席する総会において、その議決権の三分の二以上の多数による議決を経なければならない。
(整備の目標)
第四条 前条第一項の農林漁業組合連合会は、指定日から起算して十年を経過した日の属する事業年度の終了の日までに左に掲げる条件を満すように整備を行わなければならない。
一 固定した債務の全部の整理
二 欠損金の全部の補てん
(整備計画の内容)
第五条 整備計画においては、左に掲げる事項を定めるものとする。
一 会員又は他の農林漁業組合連合会との間における利用及び協力を強化するための方策
二 事業執行の体制を改善するための措置
三 固定した債務の条件の緩和その他金融機関から受ける援助の内容
四 固定した債務の整理
五 欠損金の補てん
六 出資金の増加
(整備計画の適否の認定)
第六条 第三条第一項の規定により整備計画をたてた農林漁業組合連合会は、省令で定めるところにより、これを農林大臣に提出しなければならない。
2 農林大臣は、前項の規定による整備計画の提出があつたときは、農林漁業組合連合会整備促進審議会の議を経て、大蔵大臣と協議の上、その整備計画が適当であるかどうかを認定しなければならない。
(整備計画の変更)
第七条 農林漁業組合連合会が前条第二項の規定により適当である旨の認定を受けた整備計画を変更する場合には、第三条第三項及び第四項並びに前条の規定を準用する。
(合併の場合の特例)
第八条 第六条第二項(第三項において準用する場合を含む。)の規定によりその整備計画が適当である旨の認定を受けている農林漁業組合連合会が合併によつて解散した場合において、合併によつて成立した農林漁業組合連合会又は合併後存続する農林漁業組合連合会が整備を行おうとする場合には、当該合併についての登記の日現在により貸借対照表を作製し、これに基いて整備計画をたてなければならない。
2 前項の規定による整備は、指定日(合併によつて成立した農林漁業組合連合会にあつては、当該合併によつて解散した農林漁業組合連合会についての指定日とし、その指定日がそれぞれ異なるときは、当該合併についての登記の日に最も近い指定日とする。)から起算して十年を経過した日の属する事業年度の終了の日までに第四条に規定する条件を満すように整備を行わなければならない。
3 第一項の場合には、第三条第三項及び第四項並びに第五条から前条までの規定を準用する。
(農林漁業組合連合会整備促進審議会)
第九条 農林省に、農林漁業組合連合会整備促進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、第六条第二項に定めるものの外、農林大臣の諮問に応じ、農林漁業組合連合会の整備計画の実施状況その他農林漁業組合連合会の整備の促進に関する重要な事項を調査審議する。
3 審議会は、農林漁業組合連合会の整備の促進に関する重要な事項について関係行政機関の長に建議することができる。
第十条 審議会は、委員九人以内で組織する。
2 委員は、左に掲げる者につき、農林大臣が任命する。
一 審議会の所掌事務に関し学識経験を有する者 六人以内
二 関係行政機関の職員 三人以内
3 審議会に会長を置く。
4 会長は、委員のうちから互選する。
5 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
6 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指定した者がその職務を代行する。
7 委員は、非常勤とする。
8 前各項に定めるものの外、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(政府の助成措置)
第十一条 金融機関は、農林漁業組合連合会が整備を行うに際し当該農林漁業組合連合会に対する債権の利息を減免したときは、省令で定める手続により、当該農林漁業組合連合会の整備の実績を記載した書類を添えて、政府に補助金の交付を申請することができる。
第十二条 政府は、前条の申請があつた場合において、当該申請に係る農林漁業組合連合会が左に掲げる条件に適合するときは、省令で定めるところにより、毎年、予算の範囲内において、当該金融機関に対して補助金を交付することができる。
一 第六条第二項(第七条及び第八条第三項において準用する場合を含む。)の規定により整備計画が適当である旨の認定を受けていること。
二 当該整備計画に従い誠実に整備を行つていると認められること。
第十三条 政府が前条の規定により補助金を交付する場合における毎会計年度の補助金の額は、金融機関ごとに、当該金融機関が第十一条の規定により行う申請に係る農林漁業組合連合会についての指定日から起算して十年以内に、且つ、前会計年度中に減免した利息の額を限度として、当該金融機関が減免した利息に係る元本債権の残高に年五分以内の率を乗じて得た額とする。
(法人税法の特例)
第十四条 第六条第二項(第七条において準用する場合を含む。次条において同じ。)の規定によりその整備計画が適当である旨の認定を受けている農林漁業組合連合会の昭和二十五年一月一日以後に開始する最初の事業年度の開始の日から指定日の属する事業年度の終了の日までの各事業年度において生じた欠損金(合併によつて成立した農林漁業組合連合会又は合併後存続する農林漁業組合連合会にあつては、当該合併によつて解散した農林漁業組合連合会から引き継いだ当該欠損金を含む。)は、当該農林漁業組合連合会の整備計画において欠損金の全部の補てんが完了することとなつている事業年度までの各事業年度において、法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第九条第一項の所得の計算上、これを損金に算入する。但し、指定日の属する事業年度(以下「基準事業年度」という。)において青色申告書(法人税法第二十五条第一項の申告書をいう。以下同じ。)を提出し、且つ、その後においても連続して青色申告書を提出している場合に限る。
2 前項の規定により各事業年度において法人税法第九条第一項の所得の計算上損金に算入すべき欠損金の金額は、当該欠損金の生じた事業年度以後の事業年度において同項の所得の計算上同項の総益金から控除されなかつたものに限る。
3 前二項の規定により法人税法第九条第一項の所得の計算上損金に算入すべき欠損金が同条第五項又は農林漁業組合再建整備法(昭和二十六年法律第百四十号)第二十条第一項の規定により損金に算入すべきものである場合には、当該欠損金については、これらの規定は、適用しない。
第十五条 第六条第二項の規定によりその整備計画が適当である旨の認定を受けている農林漁業組合連合会の最初に青色申告書を提出しようとする事業年度が基準事業年度である場合には、当該農林漁業組合連合会が法人税法第二十五条第三項の規定により提出する申請書は、同項の期限後においても、指定日から一月以内は提出することができる。
2 前項の規定の適用を受ける農林漁業組合連合会で指定日から一月以内に指定日の属する事業年度が終了するものについて法人税法第二十五条第六項の規定を適用する場合には、同項中「当該事業年度終了の日」とあるのは「基準事業年度の終了の日から六十日を経過した日」と読み替えるものとする。
第十六条 第六条第二項(第七条及び第八条第三項において準用する場合を含む。)の規定によりその整備計画が適当である旨の認定を受けている農林漁業組合連合会が基準事業年度に続く事業年度の開始の日以後合併によつて解散した場合において、合併によつて成立した農林漁業組合連合会又は合併後存続する農林漁業組合連合会が第八条第三項において準用する第六条第二項の規定によりその整備計画が適当である旨の認定を受けているときは、合併によつて解散した農林漁業組合連合会で基準事業年度から解散の日を含む事業年度の直前の事業年度までの各事業年度(当該合併によつて解散した農林漁業組合連合会が解散の日を含む事業年度の直前の事業年度に係る青色申告書を提出しないで解散した場合には、当該解散の日を含む事業年度の直前の事業年度を除く。)において青色申告書を提出しているものの第十四条第一項の欠損金で当該合併によつて成立した農林漁業組合連合会又は合併後存続する農林漁業組合連合会にその欠損金として引き継がれたものは、合併後に開始する最初の事業年度又は合併の日の属する事業年度及びその事業年度終了の日後に開始し、当該農林漁業組合連合会の整備計画において欠損金の全部の補てんが完了することとなつている事業年度の終了の日までに終了する各事業年度においては、法人税法第九条第一項の所得の計算上、これを損金に算入する。
2 前項の規定は、合併によつて成立した農林漁業組合連合会又は合併後存続する農林漁業組合連合会が当該合併によつて解散した農林漁業組合連合会の解散の日を含む事業年度(当該合併によつて解散した農林漁業組合連合会が解散の日を含む事業年度の直前の事業年度に係る青色申告書を提出しないで解散した場合には、当該解散の日を含む事業年度及びその直前の事業年度)に係る青色申告書を提出した場合に限り適用する。
3 第一項の場合には、第十四条第一項但書及び同条第二項の規定を準用する。この場合において、同条第一項但書中「基準事業年度」とあるのは、「合併後に開始する最初の事業年度又は合併の日を含む事業年度」と読み替えるものとする。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 農林漁業組合再建整備法の一部を次のように改正する。
第四条第一項第二号中「欠損金」の下に「(農林漁業組合連合会整備促進法(昭和二十八年法律第百九十号)第三条第二項の規定により算入された額を除く。)」を加える。
3 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第三十四条第一項の表中
農林物資規格調査会
農林畜水産物の規格及び標準に関する事項を調査審議すること。
農林物資規格調査会
農林畜水産物の規格及び標準に関する事項を調査審議すること。
農林漁業組合連合会整備促進審議会
農林漁業組合連合会整備促進法(昭和二十八年法律第百九十号)により、その権限に属せしめられた事項を行うこと。
に改める。
大蔵大臣 小笠原三九郎
農林大臣 保利茂
内閣総理大臣 吉田茂