木材防腐特別措置法
法令番号: 法律第112号
公布年月日: 昭和28年8月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

昭和27年度の木材需給は、需要量約1億石に対し供給量は約9300万石で700万石の供給不足があり、この不均衡は今後さらに拡大する傾向にある。政府は木材需給対策要綱を策定し、未開発資源の開発や木材防腐加工の奨励など需給調整に努めているが、行政措置だけでは限界がある。そこで法的措置として、鉄道・軌道の枕木等特定用途の木材に防腐措置を義務付け、その耐久力を約3倍に高めることで、木材の効率的利用を図るため本法案を提案するものである。なお、適用困難な場合の除外規定や、需要者への融資あっせん制度も設けている。

参照した発言:
第16回国会 衆議院 通商産業委員会 第22号

審議経過

第16回国会

衆議院
(昭和28年7月22日)
参議院
(昭和28年7月22日)
衆議院
(昭和28年7月23日)
(昭和28年7月25日)
(昭和28年7月27日)
参議院
(昭和28年7月28日)
(昭和28年7月29日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
木材防腐特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百十二号
木材防腐特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、特定の用途に使用する木材に適正な防腐の措置を施すことを促進することによつて、木材の消費の節約に寄与することを目的とする。
(表示)
第二条 通商産業省令で定める方法により木材(通商産業省令で定める樹種の木材に限る。以下同じ。)に防腐の措置を施した者は、遅滞なく、その木材に通商産業省令で定める方式による表示をしなければならない。
2 何人も、前項に規定する場合の外、木材に同項の表示又はこれと紛らわしい表示をしてはならない。
(使用)
第三条 木材(第一号に掲げる物については、通商産業省令、運輸省令で定める樹種の木材に限る。)は、左の各号に掲げる物には、当該各号に掲げる物ごとに前条第一項の表示のうち通商産業省令で指定する表示をしたものでなければ、使用してはならない。
一 鉄道及び軌道の枕木
二 電柱(通商産業省令、運輸省令、郵政省令で定める規模以下のもの及び通商産業省令、運輸省令、郵政省令で定める特別の事由があるものを除く。)
三 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)にいう道路たる橋(建設省令で定める規模以下のもの及び建設省令で定める特別の事由があるものを除く。)のはり、けた及び脚
四 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)による港湾施設たるさん橋及び橋(運輸省令で定める規模以下のもの及び運輸省令で定める特別の事由があるものを除く。)のはり、けた及び脚並びにけい船くい
五 漁港法(昭和二十五年法律第百三十七号)による漁港施設たるさん橋及び橋(農林省令で定める規模以下のもの及び農林省令で定める特別の事由があるものを除く。)のはり、けた及び脚並びにけい船くい
2 前項の規定は、左に掲げる場合は、適用しない。
一 三年以内の用途に木材を使用するとき。
二 災害が発生した場合又は災害が発生するおそれがある場合において、応急的に前項第三号から第五号までに掲げる物に木材を使用するとき。
三 通商産業省令で定める範囲内の補修をするため木材を使用するとき。
四 前条第一項の表示をした木材を使用することが困難な場合において、主務省令で定める期間内に、事由を具して主務大臣にその旨の届出があつたとき。
第四条 通商産業局長は、防腐の効果の判定に必要な限度において、鉱業権者又は租鉱権者に対し、その鉱区又は租鉱区内の一定の地域を指定して、その地域に設ける坑木に第二条第一項の表示のうち通商産業省令で指定する表示をした木材を試験的に使用すべきことを指示することができる。
2 前項の規定による指示を受けた鉱業権者又は租鉱権者は、通商産業省令で定める期間ごとに、その指示に係る事項の実施の結果について通商産業局長に報告しなければならない。
(届出)
第五条 第二条第一項の通商産業省令で定める方法により木材に防腐の措置を施すことを業とする者(以下「防腐業者」という。)は、工場又は事業場ごとに、営業の開始の日から三十日以内に、通商産業省令で定める事項を通商産業大臣に届け出なければならない。
2 防腐業者は、前項の規定により届け出た事項を変更したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
3 防腐業者は、その営業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(資金調達の援助)
第六条 主務大臣は、第三条第一項各号に掲げる物に同項の通商産業省令で定める表示をした木材を使用する者に対し、その木材の使用に要する資金の調達について必要な援助をするものとする。
(報告)
第七条 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、第二条第一項の通商産業省令で定める方法により防腐の措置を施す者又は第三条第一項各号に掲げる物に木材を使用する者から報告を徴することができる。
(訴願)
第八条 この法律又はこの法律に基く命令の規定による行政庁の処分に不服がある者は、訴願をすることができる。
(協議)
第九条 通商産業大臣は、第二条第一項及び第三条第二項第三号の通商産業省令の制定又は改廃をしようとするときは、農林大臣、運輸大臣、郵政大臣及び建設大臣に協議しなければならない。
(権限の委任)
第十条 この法律の規定による主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、地方支分部局の長又は都道府県知事に行わせることができる。
(罰則)
第十一条 第二条又は第三条第一項の規定に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して同項の刑を科する。
第十二条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の過料に処する。
一 第四条第二項又は第七条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第五条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
附 則
1 この法律は、昭和二十八年十月一日から施行する。但し、第三条の規定は、昭和二十九年一月一日から、第九条の規定は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行の際現に防腐業者である者が第五条第一項の規定によりなすべき届出については、同項中「営業の開始の日」とあるのは、「この法律の施行の日」と読み替えるものとする。
農林大臣 保利茂
通商産業大臣 岡野清豪
運輸大臣 石井光次郎
郵政大臣 塚田十一郎
建設大臣 戸塚九一郎
内閣総理大臣 吉田茂