てん菜生産振興臨時措置法
法令番号: 法律第二号
公布年月日: 昭和28年1月9日
法令の形式: 法律
てん菜生産振興臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年一月九日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二号
てん菜生産振興臨時措置法
(目的)
第一条 この法律は、てん菜の生産増強を図ることによつて、寒地における農業経営の合理化を推進するとともに、国内における砂糖の供給量の増大を期することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「てん菜」とは、砂糖の製造の用に供される、てん菜をいい、「てん菜糖」とはてん菜を原料として製造された砂糖をいう。
(てん菜生産振興計画)
第三条 省令で定める数量以上のてん菜を生産する道府県の知事は、省令の定めるところにより、当該道府県におけるてん菜生産振興計画を定めて農林大臣の承認を受けなければならない。
2 てん菜生産計画には、左に掲げる計画を含むものとする。
一 てん菜の生産計画
二 てん菜の優良種子の生産及び普及計画
三 てん菜の生産改善及びてん菜を導入した農業経営の合理化に関する計画
3 国は、毎年度、予算の範囲内において、第一項の道府県に対し、同項の規定により農林大臣の承認を受けたてん菜生産振興計画を実施するために必要な経費の一部を補助する。
(買入)
第四条 政府は、第一条の目的を達成するため特に必要があると認めるときは、省令の定めるところにより、てん菜糖の製造を業とする者(以下「製造業者」という。)からてん菜糖の買入をすることができる。
2 農林大臣は、前項の買入を行うてん菜糖の原料となるてん菜の生産される年(以下「生産年」という。)の四月末日までに、前項の買入を行う旨を告示しなければならない。
第五条 前条第一項の規定により政府が買い入れるてん菜糖は、当該生産年において農林大臣が定める価格(以下「最低生産者価格」という。)を下らない価格で生産者から買い入れたてん菜を原料として製造されたものであつて政令で定めるものに限る。
2 前項の最低生産者価格は、政令で定めるところにより算出される価格を基準とし、物価その他の経済事情を参しやくして定める。
3 第一項の最低生産者価格は、生産年の四月末日までに告示する。
4 第一項の最低生産者価格は、経済事情の変動が著しい場合には、これを改定することができる。
5 農林大臣は、前項の改定を行つたときは、遅滞なく告示しなければならない。
(買入の価格)
第六条 第四条第一項の規定による政府の買入の価格は、生産年におけるてん菜につき定められる前条の最低生産者価格にてん菜の買入並びにてん菜糖の製造及び売渡に関する費用を加えて得た額を基準として、農林大臣が定める。
2 前項の買入の価格は、生産年の十月末日までに告示する。
(報告の聴取等)
第七条 農林大臣は、前条第一項の規定により買入の価格を定めるため必要があるときは、製造業者に対し、業務及び財産の状況に関し、必要な報告を求め、又はその職員に製造業者の製造場、事務所、事業場又は倉庫に立ち入らせ、帳簿書類その他業務に関係のある物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を証する証票を携帯し、関係人の要求があるときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(農林大臣の指示)
第八条 農林大臣は、製造業者に対し、てん菜の買入その他生産者との取引についての条件及びその買入の方法並びにてん菜糖の製造及び貯蔵に関し必要な指示をすることができる。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律は、昭和三十七年三月三十一日限りその効力を失う。
3 食糧管理特別会計法(大正十年法律第三十七号)の一部を次のように改正する。
第一条中「食糧管理ノ為ニスル食糧」を「食糧管理ノ為ニスル食糧(てん菜生産振興臨時措置法(昭和二十八年法律第二号)ニ依リ政府ノ買入ルル甜菜糖ヲ含ム以下同シ)」に改める。
農林大臣 広川弘禅
内閣総理大臣 吉田茂