連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律
法令番号: 法律第302号
公布年月日: 昭和27年8月8日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

対日平和条約第15条(C)に基づき、連合国及び連合国民の著作権保護に関する法整備を行うものである。同条約の規定だけでは一般国民の理解が不十分で実施上の細目も欠けているため、条約上の義務を誠実に履行し、将来の問題を回避するために、条約規定の解釈を法律で定める必要があると認められたことから、本法案を提出するに至った。

参照した発言:
第13回国会 参議院 文部委員会 第22号

審議経過

第13回国会

参議院
(昭和27年4月1日)
衆議院
(昭和27年4月2日)
参議院
(昭和27年4月3日)
衆議院
(昭和27年4月11日)
参議院
(昭和27年4月15日)
(昭和27年4月17日)
衆議院
(昭和27年4月22日)
参議院
(昭和27年4月24日)
(昭和27年4月25日)
(昭和27年5月8日)
(昭和27年5月15日)
(昭和27年5月19日)
衆議院
(昭和27年6月6日)
(昭和27年6月9日)
(昭和27年6月17日)
(昭和27年6月21日)
(昭和27年7月30日)
(昭和27年7月31日)
(昭和27年7月31日)
連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年八月八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第三百二号
連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律
(目的)
第一條 この法律は、連合国及び連合国民の著作権に関し、日本国との平和條約第十五條(c)の規定に基き、著作権法(明治三十二年法律第三十九号)の特例を定めることを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「連合国」とは、日本国との平和條約第二十五條において「連合国」として規定された国をいう。
2 この法律において「連合国民」とは、左の各号に掲げるものをいう。
一 連合国の国籍を有する者
二 連合国の法令に基いて設立された法人及びこれに準ずる者
三 前号に掲げるものを除く外、営利を目的とする法人その他の団体で、前二号又は本号に掲げるものがその株式又は持分(当該法人その他の団体の役員が有する株式又は持分を除く。)の全部を有するもの
四 第二号に掲げるものを除く外、前三号又は本号に掲げるものが支配する宗教法人その他の営利を目的としない法人その他の団体
3 この法律において「著作権」とは、著作権法に基く権利(同法第二十八條の三に規定する出版権を除く。)の全部又は一部をいう。
(戦時中に生じた著作権)
第三條 昭和十六年十二月七日に日本国が当事国であつた條約又は協定が、日本国と当該連合国との戦争の発生の時以後において、日本国又は当該連合国の国内法により廃棄され、又は停止されたかどうかにかかわらず、その日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和條約が効力を生ずる日の前日までの期間に、当該條約又は協定により連合国又は連合国民が取得するはずであつた著作権は、その取得するはずであつた日において有効に取得されたものとして保護する。
(著作権の存続期間に関する特例)
第四條 昭和十六年十二月七日に連合国及び連合国民が有していた著作権は、著作権法に規定する当該著作権の存続期間に、昭和十六年十二月八日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和條約が効力を生ずる日の前日までの期間(当該期間において連合国及び連合国民以外の者が当該著作権を有していた期間があるときは、その期間を除く。)に相当する期間を加算した期間継続する。
2 昭和十六年十二月八日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和條約が効力を生ずる日の前日までの期間において、連合国又は連合国民が取得した著作権(前條の規定により有効に取得されたものとして保護される著作権を含む。)は、著作権法に規定する当該著作権の存続期間に、当該連合国又は連合国民がその著作権を取得した日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和條約が効力を生ずる日の前日までの期間(当該期間において連合国及び連合国民以外の者が当該著作権を有していた期間があるときは、その期間を除く。)に相当する期間を加算した期間継続する。
(翻訳権の存続期間に関する特例)
第五條 著作物を日本語に翻訳する権利について、著作権法第七條第一項(翻訳権)に規定する期間につき前條第一項又は第二項の規定を適用する場合には、それぞれ更に六箇月を加算するものとする。
(連合国及び連合国民以外の者の著作権)
第六條 前二條の規定は、日本国と当該連合国との間に日本国との平和條約が効力を生ずる日において、連合国又は連合国民が有する著作権(前二條に規定する加算期間を加算することにより、著作権の存続期間が同日以後なお継続することとなる場合を含む。)についてのみ、これを適用する。
(手続等の不要)
第七條 第三條から第五條までの規定の適用については、申請書の提出、手数料の支払その他一切の手続又は條件を課さない。但し、著作権法第十五條(著作権の相続、譲渡及び質入の登録)又は登録税法(明治二十九年法律第二十七号)第十條(著作権の登録)の規定の適用を妨げない。
附 則
この法律は、公布の日から施行し、日本国との平和條約の最初の効力発生の日から適用する。
文部大臣 天野貞祐
内閣総理大臣 吉田茂
連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年八月八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第三百二号
連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、連合国及び連合国民の著作権に関し、日本国との平和条約第十五条(c)の規定に基き、著作権法(明治三十二年法律第三十九号)の特例を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「連合国」とは、日本国との平和条約第二十五条において「連合国」として規定された国をいう。
2 この法律において「連合国民」とは、左の各号に掲げるものをいう。
一 連合国の国籍を有する者
二 連合国の法令に基いて設立された法人及びこれに準ずる者
三 前号に掲げるものを除く外、営利を目的とする法人その他の団体で、前二号又は本号に掲げるものがその株式又は持分(当該法人その他の団体の役員が有する株式又は持分を除く。)の全部を有するもの
四 第二号に掲げるものを除く外、前三号又は本号に掲げるものが支配する宗教法人その他の営利を目的としない法人その他の団体
3 この法律において「著作権」とは、著作権法に基く権利(同法第二十八条の三に規定する出版権を除く。)の全部又は一部をいう。
(戦時中に生じた著作権)
第三条 昭和十六年十二月七日に日本国が当事国であつた条約又は協定が、日本国と当該連合国との戦争の発生の時以後において、日本国又は当該連合国の国内法により廃棄され、又は停止されたかどうかにかかわらず、その日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間に、当該条約又は協定により連合国又は連合国民が取得するはずであつた著作権は、その取得するはずであつた日において有効に取得されたものとして保護する。
(著作権の存続期間に関する特例)
第四条 昭和十六年十二月七日に連合国及び連合国民が有していた著作権は、著作権法に規定する当該著作権の存続期間に、昭和十六年十二月八日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間(当該期間において連合国及び連合国民以外の者が当該著作権を有していた期間があるときは、その期間を除く。)に相当する期間を加算した期間継続する。
2 昭和十六年十二月八日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間において、連合国又は連合国民が取得した著作権(前条の規定により有効に取得されたものとして保護される著作権を含む。)は、著作権法に規定する当該著作権の存続期間に、当該連合国又は連合国民がその著作権を取得した日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間(当該期間において連合国及び連合国民以外の者が当該著作権を有していた期間があるときは、その期間を除く。)に相当する期間を加算した期間継続する。
(翻訳権の存続期間に関する特例)
第五条 著作物を日本語に翻訳する権利について、著作権法第七条第一項(翻訳権)に規定する期間につき前条第一項又は第二項の規定を適用する場合には、それぞれ更に六箇月を加算するものとする。
(連合国及び連合国民以外の者の著作権)
第六条 前二条の規定は、日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日において、連合国又は連合国民が有する著作権(前二条に規定する加算期間を加算することにより、著作権の存続期間が同日以後なお継続することとなる場合を含む。)についてのみ、これを適用する。
(手続等の不要)
第七条 第三条から第五条までの規定の適用については、申請書の提出、手数料の支払その他一切の手続又は条件を課さない。但し、著作権法第十五条(著作権の相続、譲渡及び質入の登録)又は登録税法(明治二十九年法律第二十七号)第十条(著作権の登録)の規定の適用を妨げない。
附 則
この法律は、公布の日から施行し、日本国との平和条約の最初の効力発生の日から適用する。
文部大臣 天野貞祐
内閣総理大臣 吉田茂