罰金等臨時措置法
法令番号: 法律第251号
公布年月日: 昭和23年12月18日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

終戦後の経済事情の変動、特に貨幣価値の低落に伴い、裁判所が言い渡す罰金・科料の額を適切な水準に引き上げる必要が生じた。しかし、刑法総則の規定は改められておらず、古い刑罰法規の罰金額が現在の物価から見て不自然に低いため、適切な罰金刑を言い渡すことが困難な状況にある。各法令自体の改正は経済事情が安定していない現状では時期尚早であるため、暫定的特例として本法を立案した。具体的には、罰金の最低額と科料の最高額を50倍に引き上げ、刑法及び2法律について罰金の上限額も50倍とする措置を講じることとした。

参照した発言:
第4回国会 衆議院 法務委員会 第3号

審議経過

第4回国会

衆議院
(昭和23年12月11日)
参議院
(昭和23年12月11日)
衆議院
(昭和23年12月12日)
(昭和23年12月12日)
参議院
(昭和23年12月12日)
(昭和23年12月13日)
(昭和23年12月14日)
(昭和23年12月14日)
衆議院
(昭和23年12月23日)
参議院
(昭和23年12月23日)
罰金等臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年十二月十八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百五十一号
罰金等臨時措置法
第一條 経済事情の変動に伴う罰金及び科料の額等に関する特例は、当分の間、この法律の定めるところによる。
第二條 罰金は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第十五條及び刑法施行法(明治四十一年法律第二十九号)第二十條の規定にかかわらず、千円以上とする。但し、これを減軽する場合においては、千円以下に下げることができる。
2 科料は、刑法第十七條及び刑法施行法第二十條の規定にかかわらず、五円以上千円未満とする。
第三條 左に掲げる罪につき定めた罰金については、それぞれその多額の五十倍に相当する額をもつてその多額とする。
一 刑法の罪。但し、第百五十二條の罪を除く。
二 暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪
三 経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の罪
2 刑法第百五十二條中「一円以下」とあるのは、「五十円以下」とする。
第四條 前條第一項各号に掲げる罪以外の罪(條例の罪を除く。)につき定めた罰金については、その多額が二千円に満たないときはこれを二千円とし、その寡額が千円に満たないときはこれを千円とする。但し、罰金の額が一定の金額に倍数を乗じて定められる場合は、この限りでない。
2 前項但書の場合において、その罰金の額が千円に満たないときは、これを千円とする。
3 第一項の罪につき定めた科料で特にその額の定のあるものについては、その定がないものとする。但し、科料の額が一定の金額に倍数を乗じて定められる場合は、この限りでない。
第五條 法律で命令に罰金の罰則を設けることを委任してゐる場合において、その委任に基いて規定することができる罰金額の最高限度が二千円に満たないときは、これを二千円とする。
第六條 刑法第二十五條中「五千円以下ノ罰金」とあるのは、「五万円以下ノ罰金」とする。
第七條 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第六十條第三項、第百九十九條第一項及び第二百十七條中「五百円以下の罰金」とあるのは、第三條第一項各号に掲げる法律の罪については、「二万五千円以下の罰金」とし、その他の罪については、「二千円以下の罰金」とする。
2 第三條第一項各号に掲げる法律の罪については、刑事訴訟法第二百八十四條中「五千円以下の罰金」とあるのは、「五万円以下の罰金」とし、同法第二百八十五條第二項中「五千円を超える罰金」とあるのは、「五万円を超える罰金」とする。
3 刑事訴訟法第四百六十一條第一項中「五千円以下の罰金」とあるのは、「五万円以下の罰金」とする。
4 刑事訴訟法第四百九十五條第三項中「二十円」とあるのは、「二百円」とする。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年二月一日から施行する。
2 條例の罰則でこの法律施行の際現に効力を有するものについては、第二條の規定は、この法律施行の日から六箇月間は、適用しない。この法律施行後六箇月を経るまでになされた違反行為に対してこれらの罰則を適用する場合においては、この法律施行後六箇月を経た後においても、また同様とする。
3 第四條の規定は、第三回國会で成立した法律の罰則についても適用する。
法務総裁 殖田俊吉
内閣総理大臣 吉田茂
罰金等臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年十二月十八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百五十一号
罰金等臨時措置法
第一条 経済事情の変動に伴う罰金及び科料の額等に関する特例は、当分の間、この法律の定めるところによる。
第二条 罰金は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第十五条及び刑法施行法(明治四十一年法律第二十九号)第二十条の規定にかかわらず、千円以上とする。但し、これを減軽する場合においては、千円以下に下げることができる。
2 科料は、刑法第十七条及び刑法施行法第二十条の規定にかかわらず、五円以上千円未満とする。
第三条 左に掲げる罪につき定めた罰金については、それぞれその多額の五十倍に相当する額をもつてその多額とする。
一 刑法の罪。但し、第百五十二条の罪を除く。
二 暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪
三 経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の罪
2 刑法第百五十二条中「一円以下」とあるのは、「五十円以下」とする。
第四条 前条第一項各号に掲げる罪以外の罪(条例の罪を除く。)につき定めた罰金については、その多額が二千円に満たないときはこれを二千円とし、その寡額が千円に満たないときはこれを千円とする。但し、罰金の額が一定の金額に倍数を乗じて定められる場合は、この限りでない。
2 前項但書の場合において、その罰金の額が千円に満たないときは、これを千円とする。
3 第一項の罪につき定めた科料で特にその額の定のあるものについては、その定がないものとする。但し、科料の額が一定の金額に倍数を乗じて定められる場合は、この限りでない。
第五条 法律で命令に罰金の罰則を設けることを委任してゐる場合において、その委任に基いて規定することができる罰金額の最高限度が二千円に満たないときは、これを二千円とする。
第六条 刑法第二十五条中「五千円以下ノ罰金」とあるのは、「五万円以下ノ罰金」とする。
第七条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第六十条第三項、第百九十九条第一項及び第二百十七条中「五百円以下の罰金」とあるのは、第三条第一項各号に掲げる法律の罪については、「二万五千円以下の罰金」とし、その他の罪については、「二千円以下の罰金」とする。
2 第三条第一項各号に掲げる法律の罪については、刑事訴訟法第二百八十四条中「五千円以下の罰金」とあるのは、「五万円以下の罰金」とし、同法第二百八十五条第二項中「五千円を超える罰金」とあるのは、「五万円を超える罰金」とする。
3 刑事訴訟法第四百六十一条第一項中「五千円以下の罰金」とあるのは、「五万円以下の罰金」とする。
4 刑事訴訟法第四百九十五条第三項中「二十円」とあるのは、「二百円」とする。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年二月一日から施行する。
2 条例の罰則でこの法律施行の際現に効力を有するものについては、第二条の規定は、この法律施行の日から六箇月間は、適用しない。この法律施行後六箇月を経るまでになされた違反行為に対してこれらの罰則を適用する場合においては、この法律施行後六箇月を経た後においても、また同様とする。
3 第四条の規定は、第三回国会で成立した法律の罰則についても適用する。
法務総裁 殖田俊吉
内閣総理大臣 吉田茂