(日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律)
法令番号: 法律第74号
公布年月日: 昭和22年4月19日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

新憲法が個人の尊厳と両性の本質的平等を宣言したことに伴い、これに抵触する現行民法の規定を改正する必要が生じた。しかし、民法改正案の国会提出が間に合わないため、新憲法実施から民法改正までの混乱を防ぐための応急措置として本法を提案する。本法は、新憲法の基本原則を実現するための最小限度の措置であり、できるだけ早期に民法改正を実現し本法を廃止する予定である。

参照した発言:
第92回帝国議会 衆議院 本会議 第20号

審議経過

第92回帝国議会

衆議院
(昭和22年3月18日)
(昭和22年3月28日)
貴族院
(昭和22年3月29日)
(昭和22年3月31日)
朕は、帝國議会の協賛を経た日本國憲法施行に伴う民法の應急的措置に関する法律を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十八日
內閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
國務大臣 男爵 幣原喜重郞
司法大臣 木村篤太郎
國務大臣 齋藤隆夫
逓信大臣 一松定吉
國務大臣 星島二郎
厚生大臣 河合良成
內務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
國務大臣 金森徳次郎
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
文部大臣 高橋誠一郎
農林大臣 木村小左衞門
國務大臣 田中萬逸
國務大臣 高瀬莊太郎
法律第七十四号
第一條 この法律は、日本國憲法の施行に伴い、民法について、個人の尊嚴と両性の本質的平等に立脚する應急的措置を講ずることを目的とする。
第二條 妻又は母であることに基いて法律上の能力その他を制限する規定は、これを適用しない。
第三條 戸主、家族その他家に関する規定は、これを適用しない。
第四條 成年者の婚姻、離婚、養子縁組及び離縁については、父母の同意を要しない。
第五條 夫婦は、その協議で定める場所に同居するものとする。
夫婦の財產関係に関する規定で両性の本質的平等に反するものは、これを適用しない。
配偶者の一方に著しい不貞の行爲があつたときは、他の一方は、これを原因として離婚の訴を提起することができる。
第六條 親権は、父母が共同してこれを行う。
父母が離婚するとき、又は父が子を認知するときは、親権を行う者は、父母の協議でこれを定めなければならない。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、裁判所が、これを定める。
裁判所は、子の利益のために、親権者を変更することができる。
第七條 家督相続に関する規定は、これを適用しない。
相続については、第八條及び第九條の規定によるの外、遺產相続に関する規定に從う。
第八條 直系卑属、直系尊属及び兄弟姉妹は、その順序により相続人となる。
配偶者は、常に相続人となるものとし、その相続分は、左の規定に從う。
一 直系卑属とともに相続人であるときは、三分の一とする。
二 直系尊属とともに相続人であるときは、二分の一とする。
三 兄弟姉妹とともに相続人であるときは、三分の二とする。
第九條 兄弟姉妹以外の相続人の遺留分の額は、左の規定に從う。
一 直系卑属のみが相続人であるとき、又は直系卑属及び配偶者が相続人であるときは、被相続人の財產の二分の一とする。
二 その他の場合は、被相続人の財產の三分の一とする。
第十條 この法律の規定に反する他の法律の規定は、これを適用しない。
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。
朕は、帝国議会の協賛を経た日本国憲法施行に伴う民法の応急的措置に関する法律を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十八日
内閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
国務大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 木村篤太郎
国務大臣 斎藤隆夫
逓信大臣 一松定吉
国務大臣 星島二郎
厚生大臣 河合良成
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
国務大臣 金森徳次郎
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
文部大臣 高橋誠一郎
農林大臣 木村小左衛門
国務大臣 田中万逸
国務大臣 高瀬荘太郎
法律第七十四号
第一条 この法律は、日本国憲法の施行に伴い、民法について、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚する応急的措置を講ずることを目的とする。
第二条 妻又は母であることに基いて法律上の能力その他を制限する規定は、これを適用しない。
第三条 戸主、家族その他家に関する規定は、これを適用しない。
第四条 成年者の婚姻、離婚、養子縁組及び離縁については、父母の同意を要しない。
第五条 夫婦は、その協議で定める場所に同居するものとする。
夫婦の財産関係に関する規定で両性の本質的平等に反するものは、これを適用しない。
配偶者の一方に著しい不貞の行為があつたときは、他の一方は、これを原因として離婚の訴を提起することができる。
第六条 親権は、父母が共同してこれを行う。
父母が離婚するとき、又は父が子を認知するときは、親権を行う者は、父母の協議でこれを定めなければならない。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、裁判所が、これを定める。
裁判所は、子の利益のために、親権者を変更することができる。
第七条 家督相続に関する規定は、これを適用しない。
相続については、第八条及び第九条の規定によるの外、遺産相続に関する規定に従う。
第八条 直系卑属、直系尊属及び兄弟姉妹は、その順序により相続人となる。
配偶者は、常に相続人となるものとし、その相続分は、左の規定に従う。
一 直系卑属とともに相続人であるときは、三分の一とする。
二 直系尊属とともに相続人であるときは、二分の一とする。
三 兄弟姉妹とともに相続人であるときは、三分の二とする。
第九条 兄弟姉妹以外の相続人の遺留分の額は、左の規定に従う。
一 直系卑属のみが相続人であるとき、又は直系卑属及び配偶者が相続人であるときは、被相続人の財産の二分の一とする。
二 その他の場合は、被相続人の財産の三分の一とする。
第十条 この法律の規定に反する他の法律の規定は、これを適用しない。
附 則
この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。
この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。