船舶公団法
法令番号: 法律第52号
公布年月日: 昭和22年4月8日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

戦後の日本経済は輸送力不足により復興が阻害されており、特に海上輸送は戦争で保有船舶の大半を喪失し壊滅状態となった。海上運賃と新造船価の間に大きな不均衡があり、海運界は軍需補償打切りで甚大な損失を被ったため、自力での船腹増強や遊休船舶の修理も困難な状況にある。そこで輸送力の緊急増強のため、国策遂行機関として船舶公団を設立し、運賃と新造船価・修繕料の不均衡を船舶共有方式で調整し、船腹の増強を図る。公団は産業設備営団から継続中の船舶建造業務を引き継ぎ、非能率船の改造や沈没船の引揚げなども行う。

参照した発言:
第92回帝国議会 衆議院 本会議 第20号

審議経過

第92回帝国議会

衆議院
(昭和22年3月18日)
(昭和22年3月29日)
貴族院
(昭和22年3月30日)
朕は、帝國議会の協賛を経た船舶公團法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月七日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
法律第五十二号
船舶公團法
第一章 総則
第一條 船舶公團は、経済安定本部総務長官の定める海上輸送に関する基本的な政策及び計画に基き、海運の速やかな復興を促進するため、船舶又は船舶用資材の確保又は活用に関する業務を行うことを目的とする。
船舶公團は、法人とする。
第二條 船舶公團は、主たる事務所を東京都に置く。
船舶公團は、主務大臣の認可を受けて、第十六條に規定する業務を行うため必要の地に從たる事務所を設けることができる。
第三條 船舶公團の基本金は、三億円とする。
前項の基本金は、政府が全額これを出資しなければならない。
船舶公團の運営資金は、必要があるときには、復興金融金庫から借り入れるものとする。
第四條 船舶公團は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第五條 船舶公團は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六條 船舶公團には、所得税及び法人税を課さない。
都道府縣、市町村その他これに準ずるものは、船舶公團の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて、内務大臣及び大藏大臣の認可を受けた場合にはこの限りでない。
第七條 船舶公團がその業務のため、船舶又は不動產に関する権利の取得又は所有権の保存について登記を受けた場合には、その登録税の額は、船舶又は不動產の價格の千分の一・五とする。
第八條 船舶公團は、経済定安本部総務長官の命令によつて解散する。
前項に定めるものの外、船舶公團の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第九條 船舶公團でない者は、船舶公團又はこれに類似する名称を用いることができない。
第十條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及び第五十七條並びに非訟事件手続法第三十五條第一項の規定は、船舶公團にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十一條 船舶公團に、役員として、総裁副総裁各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、船舶公團を代表し、第十六條の規定に基き、その業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、船舶公團を代表し、総裁を補佐して船舶公團の業務を掌理し、総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、船舶公團を代表し、総裁及び副総裁を補佐して船舶公團の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、船舶公團の業務を監査する。
第十二條 総裁、副総裁、理事及び監事は、主務大臣がこれを任命する。
第十三條 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、船舶公團の職員のうちから、主たる事務所又は從たる事務所の業務に関して、一切の裁判上又は裁判外の行爲をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十四條 船舶公團の役員及び職員は、船舶の製造、修繕若しくは運航を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に從事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十五條 船舶公團の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、運輸次官と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、主務大臣がこれを定める。
船舶公團の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に從うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給與、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十六條 船舶公團は、経済安定本部総務長官の定める海上輸送に関する基本的な政策及び計画に基き、主務大臣の監督に從い、左の業務を行う。
一 船舶、船舶用機関及び、ぎ裝品の製造の注文並びに船舶の改造、修繕、引揚又は解体の注文
二 船舶、船舶用機関、ぎ裝品及び船舶用資材の買受又は賣渡並びに船舶の保有又は貸付
三 造船事業用設備の貸付又は賣渡
四 政府の委託による船舶の管理
船舶公團の保有又は管理する船舶の運航は、これを契約によつて海運業者に行わせなければならない。
第十七條 船舶公團は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十八條 船舶公團は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月毎の事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十九條 船舶公團の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第二十條 船舶公團は、前條の各期毎に財產目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
船舶公團は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときには、その財產目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財產目録、貸借対照表及び損益計算書は、会計檢査院の檢査を受け、その承認を受けなければならない。
船舶公團は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剩余金を國庫に納付しなければならない。
船舶公團は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計檢査院、経済安定本部及び主務官廳の檢査を受けることができるように整備しなければならない。
会計檢査院は、常に適確に前項の檢査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十一條 経済安定本部総務長官は、海上輸送に関する基本的な政策及び計画に関して、船舶公團を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、海上輸送に関する基本的な政策及び計画を確保するため必要があると認めるときには、船舶公團に対して、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、船舶又は船舶用資材の確保又は活用を図るため必要があるときには、船舶公團に対して、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣又は経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときには、船舶公團又は船舶公團から船舶若しくは造船事業用設備の貸付を受け、又は船舶用資材の賣渡を受けた者に対して、報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。
前項の規定により、当該官吏に臨檢檢査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帶させなければならない。
第二十二條 船舶公團は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を與える必要があるときには、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十三條 主務大臣は、船舶公團の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、船舶公團の役員が船舶公團の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。
第二十四條 主務大臣は、左に掲げる者に対して、船舶公團が第二十一條第二項の規定による経済安定本部総務長官の命令を実行するにつき必要な協力を命ずることができる。
一 船舶公團の注文により船舶、船舶用機関又は、ぎ裝品の製造をなす者及び船舶公團と共同でその注文をなす者
二 船舶公團の注文により船舶の改造、修繕、引揚又は解体をなす者及びその船舶の所有者又は管理者
三 船舶公團から船舶、船舶用資材又は造船事業用設備の賣渡又は貸付を受けた者
前項の命令により、協力を命ぜられた者が、損失を被つたときには、船舶公團は、その者に対して、協力の終つた日から一箇月以内に、適正な補償を支拂わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規定を定めた後でなければ、第一項の命令をなすことができない。
第六章 罰則
第二十五條 前條第一項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十六條 左の場合においては、その違反行爲をなした船舶公團の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十六條に規定しない業務を行つた場合
二 第二十一條第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十七條 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をなし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十八條 前三條の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人(船舶公團を除く。以下同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人又は人の業務に関して第二十五條又は前條の違反行爲をなしたときには、行爲者を罰する外、その法人又は人に対して各本條の罰金刑を科する。
第二十九條 第九條の規定に違反して、船舶公團又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第三十條 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第三十一條 政府は、設立委員を命じて、船舶公團の設立に関する事務を処理させる。
第三十二條 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときには、設立委員は、遅滯なく基本金の拂込を請求しなければならない。
第三十三條 基本金の拂込があつたときには、設立委員は、遅滯なくその事務を船舶公團の総裁に引き継がなければならない。
総裁が前項の事務の引継を受けたときには、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滯なく設立の登記をしなければならない。
船舶公團は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十四條 船舶公團でない者で、この法律施行の際現に船舶公團又はこれに類似する名称を用いているものについては、この法律施行後六箇月を限り、第九條の規定を適用しない。
第三十五條 船舶公團は、產業設備営團の船舶、船舶用機関、ぎ裝品及び船舶用資材並びに造船事業用設備に関する権利及び義務を承継するものとする。
船舶公團が、前項の規定により承継する権利及び義務の範囲並びに承継に関して必要な事項は、命令でこれを定める。
朕は、帝国議会の協賛を経た船舶公団法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月七日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
法律第五十二号
船舶公団法
第一章 総則
第一条 船舶公団は、経済安定本部総務長官の定める海上輸送に関する基本的な政策及び計画に基き、海運の速やかな復興を促進するため、船舶又は船舶用資材の確保又は活用に関する業務を行うことを目的とする。
船舶公団は、法人とする。
第二条 船舶公団は、主たる事務所を東京都に置く。
船舶公団は、主務大臣の認可を受けて、第十六条に規定する業務を行うため必要の地に従たる事務所を設けることができる。
第三条 船舶公団の基本金は、三億円とする。
前項の基本金は、政府が全額これを出資しなければならない。
船舶公団の運営資金は、必要があるときには、復興金融金庫から借り入れるものとする。
第四条 船舶公団は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第五条 船舶公団は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六条 船舶公団には、所得税及び法人税を課さない。
都道府県、市町村その他これに準ずるものは、船舶公団の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて、内務大臣及び大蔵大臣の認可を受けた場合にはこの限りでない。
第七条 船舶公団がその業務のため、船舶又は不動産に関する権利の取得又は所有権の保存について登記を受けた場合には、その登録税の額は、船舶又は不動産の価格の千分の一・五とする。
第八条 船舶公団は、経済定安本部総務長官の命令によつて解散する。
前項に定めるものの外、船舶公団の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第九条 船舶公団でない者は、船舶公団又はこれに類似する名称を用いることができない。
第十条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及び第五十七条並びに非訟事件手続法第三十五条第一項の規定は、船舶公団にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十一条 船舶公団に、役員として、総裁副総裁各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、船舶公団を代表し、第十六条の規定に基き、その業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、船舶公団を代表し、総裁を補佐して船舶公団の業務を掌理し、総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、船舶公団を代表し、総裁及び副総裁を補佐して船舶公団の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、船舶公団の業務を監査する。
第十二条 総裁、副総裁、理事及び監事は、主務大臣がこれを任命する。
第十三条 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、船舶公団の職員のうちから、主たる事務所又は従たる事務所の業務に関して、一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十四条 船舶公団の役員及び職員は、船舶の製造、修繕若しくは運航を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に従事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十五条 船舶公団の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、運輸次官と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、主務大臣がこれを定める。
船舶公団の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に従うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給与、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十六条 船舶公団は、経済安定本部総務長官の定める海上輸送に関する基本的な政策及び計画に基き、主務大臣の監督に従い、左の業務を行う。
一 船舶、船舶用機関及び、ぎ装品の製造の注文並びに船舶の改造、修繕、引揚又は解体の注文
二 船舶、船舶用機関、ぎ装品及び船舶用資材の買受又は売渡並びに船舶の保有又は貸付
三 造船事業用設備の貸付又は売渡
四 政府の委託による船舶の管理
船舶公団の保有又は管理する船舶の運航は、これを契約によつて海運業者に行わせなければならない。
第十七条 船舶公団は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十八条 船舶公団は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月毎の事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十九条 船舶公団の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第二十条 船舶公団は、前条の各期毎に財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
船舶公団は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときには、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財産目録、貸借対照表及び損益計算書は、会計検査院の検査を受け、その承認を受けなければならない。
船舶公団は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剰余金を国庫に納付しなければならない。
船舶公団は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計検査院、経済安定本部及び主務官庁の検査を受けることができるように整備しなければならない。
会計検査院は、常に適確に前項の検査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十一条 経済安定本部総務長官は、海上輸送に関する基本的な政策及び計画に関して、船舶公団を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、海上輸送に関する基本的な政策及び計画を確保するため必要があると認めるときには、船舶公団に対して、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、船舶又は船舶用資材の確保又は活用を図るため必要があるときには、船舶公団に対して、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣又は経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときには、船舶公団又は船舶公団から船舶若しくは造船事業用設備の貸付を受け、又は船舶用資材の売渡を受けた者に対して、報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨検し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
前項の規定により、当該官吏に臨検検査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯させなければならない。
第二十二条 船舶公団は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を与える必要があるときには、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十三条 主務大臣は、船舶公団の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、船舶公団の役員が船舶公団の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。
第二十四条 主務大臣は、左に掲げる者に対して、船舶公団が第二十一条第二項の規定による経済安定本部総務長官の命令を実行するにつき必要な協力を命ずることができる。
一 船舶公団の注文により船舶、船舶用機関又は、ぎ装品の製造をなす者及び船舶公団と共同でその注文をなす者
二 船舶公団の注文により船舶の改造、修繕、引揚又は解体をなす者及びその船舶の所有者又は管理者
三 船舶公団から船舶、船舶用資材又は造船事業用設備の売渡又は貸付を受けた者
前項の命令により、協力を命ぜられた者が、損失を被つたときには、船舶公団は、その者に対して、協力の終つた日から一箇月以内に、適正な補償を支払わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規定を定めた後でなければ、第一項の命令をなすことができない。
第六章 罰則
第二十五条 前条第一項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十六条 左の場合においては、その違反行為をなした船舶公団の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十六条に規定しない業務を行つた場合
二 第二十一条第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十七条 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をなし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十八条 前三条の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人(船舶公団を除く。以下同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して第二十五条又は前条の違反行為をなしたときには、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第二十九条 第九条の規定に違反して、船舶公団又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第三十条 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第三十一条 政府は、設立委員を命じて、船舶公団の設立に関する事務を処理させる。
第三十二条 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときには、設立委員は、遅滞なく基本金の払込を請求しなければならない。
第三十三条 基本金の払込があつたときには、設立委員は、遅滞なくその事務を船舶公団の総裁に引き継がなければならない。
総裁が前項の事務の引継を受けたときには、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滞なく設立の登記をしなければならない。
船舶公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十四条 船舶公団でない者で、この法律施行の際現に船舶公団又はこれに類似する名称を用いているものについては、この法律施行後六箇月を限り、第九条の規定を適用しない。
第三十五条 船舶公団は、産業設備営団の船舶、船舶用機関、ぎ装品及び船舶用資材並びに造船事業用設備に関する権利及び義務を承継するものとする。
船舶公団が、前項の規定により承継する権利及び義務の範囲並びに承継に関して必要な事項は、命令でこれを定める。